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受診していない患者から再診料…職場の不正を知ってしまったら

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指摘した後に嫌がらせ、離職票も出ない…調べたら職員全員が雇用保険未加入だった

受診していない患者から再診料…職場の不正を知ってしまったら

女性・45歳の体験談
女性・45歳の体験談

病院内の歯科に就職して数年後に、新しく赴任してきた歯科医師が最悪でした。

病院内の患者さんの病室にも、定期的に往診に行っていたのですが、ある日仲の良い事務の人に呼び止められて、「先生、月初めになると受診してない患者さんも診療したように再診料をとっているけど、大丈夫?」と話を聞かされました。

月末にカルテ書きをしているときに、偶然遭遇したら「こうやって月の患者さんの人数を調整しているんだよ」と訳の分からない言い訳をして慌てていましたが、その後、医師と助手の方が結託し、嫌がらせを受けて数ヶ月後に辞めることになりました

病院自体も失業給付のために、離職票を欲しいと何度もお願いしても、事務長が、のらりくらりとはぐらかし(今まで辞めていった病院職員の方も最終的にもらえずに諦めていたらしく…)「ハローワークのパソコンがおかしいから離職票が出ない」と訳の分からない説明をしてきました。

そこですぐハローワークに説明をして確認を取ると、就職してからずっと雇用保険料は差し引かれていたのですが、加入されてなかった事が発覚。すぐに事務長に確認をとりましたが、知らない分からないの一点張り…

これはダメだと、労働基準監督署へ相談したら病院へ監査が入り、職員全員の雇用保険未加入が発覚して大騒ぎになりました

それが原因だったのか数年後、他の病院に吸収され病院自体もなくなり、歯科医師も病院の近くで開業することになったみたいですが、私は逆恨みされて、歯科医師会に加盟している市内の歯科医院に、実名を書かれて精神的におかしいので雇わないようにとファックスを送られました。もう個人開業は懲り懲りです。

 

みんブラ事務局の所見:退職者の実名を挙げて就職を妨げる通信は違法。公益通報者保護法は退職後1年以内の通報者も守る。

みんブラ事務局の所見
みんブラ事務局の所見

みんブラ事務局・5段階判定病院内歯科/女性45歳の体験談
総合ブラック度4.8/5今すぐ辞めるべき
労働時間5
賃金・残業代4
ハラスメント5
休暇5
法令違反リスク5
判定理由:受診していない患者からも再診料を取っていた疑いがあった。指摘した後に医師と助手が結託して嫌がらせが始まり、数か月で退職に至った。離職票を何度求めても事務長がはぐらかし調べたところ雇用保険料は引かれていたのに未加入だった退職後、市内の歯科医院に実名入りのファックスを送られ再就職を妨害された。 読者投票:まだ投票がありません

「他人の就職を妨げる通信」は、労働基準法が正面から禁じている

この体験談にはいくつもの論点があります。

ですが最初に取り上げるのは最後の一件です。

投稿者はこう書いています。

「私は逆恨みされて、歯科医師会に加盟している市内の歯科医院に、実名を書かれて精神的におかしいので雇わないようにとファックスを送られました」。

これは再就職の妨害です。

そしてこれを禁じる条文があります。

労働基準法22条4項です。

条文はこう定めます。

使用者は、あらかじめ第三者と謀り、労働者の就業を妨げることを目的として、労働者の国籍、信条、社会的身分もしくは労働組合運動に関する通信をし、または証明書に秘密の記号を記入してはならない。

いわゆるブラックリストの禁止です。

ここは正確に申し上げます。

条文が挙げる事項は国籍・信条・社会的身分・労働組合運動です。

ですからこの件がそのまま22条4項に当たるとは限りません。

ですが法が何を守ろうとしているかは明らかです。

辞めた後の人生を妨げてはならないということです。

そしてこの件には別の条文が当てはまります。

  • 名誉毀損罪(刑法230条) 公然と事実を摘示し人の名誉を毀損した者は3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
  • 侮辱罪(刑法231条) 事実を摘示しなくても公然と人を侮辱した場合。令和4年7月に法定刑が引き上げ
  • 信用毀損・業務妨害罪(刑法233条) 虚偽の風説を流布して人の業務を妨害した場合
  • 不法行為(民法709条) 故意または過失により他人の権利を侵害した者は損害賠償責任を負う

とくに「精神的におかしい」という表現です。

これは虚偽の事実であれば名誉毀損に当たり得ます。

そしてファックスという形が重要です。

紙が残るからです。

受け取った医院に現物がある可能性があります。

そのうえで、全体を確認します。

  • 病院内の歯科に勤務していた
  • 赴任してきた歯科医師が問題の中心だった
  • 受診していない患者からも再診料を取っていた疑いがあった
  • 本人は「月の患者数を調整している」と説明した
  • その後医師と助手が結託して嫌がらせを始めた
  • 数か月で退職に至った
  • 離職票を何度求めても交付されなかった
  • 事務長は「ハローワークのパソコンがおかしい」と説明した
  • 雇用保険料は引かれていたのに未加入だった
  • 職員全員が未加入だった
  • 退職後に実名入りのファックスで再就職を妨害された

法律から見ると

公益通報者の保護雇用保険の手続がこの記事の柱です。

体験談で実際に行われていたこと 抵触する条文 何が問題なのか
退職者の実名を挙げ、雇用しないよう求める文書を同業他社へ送っていた。 刑法230条
231条
民法709条
労働基準法22条4項
公然と事実を摘示して名誉を毀損すれば3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金第三者と謀り就業を妨げる目的の通信は労基法が禁止している。
不正の疑いを指摘した後に、嫌がらせが始まり退職に至った。 公益通報者保護法3条
5条
公益通報をしたことを理由とする解雇は無効降格・減給その他の不利益な取扱いも禁止されている。
受診していない患者について再診料を算定していた疑いがある。 健康保険法76条
80条
保険医療機関及び
保険医療養担当規則
療養の給付に関する費用は実際に行った療養に基づき請求する。不正または著しく不当な請求は保険医療機関の指定取消事由となる。
実際には行っていない診療の費用を保険者に請求していた。 刑法246条1項
健康保険法58条
人を欺いて財物を交付させれば詐欺罪で10年以下の拘禁刑偽りその他不正の行為により保険給付を受けた場合は返還命令の対象。
退職者が求めても離職票を交付しなかった。 雇用保険法施行規則7条
雇用保険法83条4号
離職者が離職票の交付を希望するときは離職証明書を添えて提出する義務届出をせず、または虚偽の届出をした事業主は6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金
雇用保険料を給与から控除しながら、被保険者資格の届出をしていなかった。 雇用保険法7条
労働基準法24条1項
被保険者となった事実があった場合、事業主は届出をしなければならない控除の根拠を欠く天引きは賃金全額払い違反となる。
職員全員について雇用保険の加入手続がなされていなかった。 雇用保険法附則
雇用保険法22条5項
確認があった日の2年前の日より前に納付されたことが明らかな期間はさかのぼれる原則は2年、給与明細等で控除が確認できればそれ以前も対象となる。
医師と助手が結託して継続的な嫌がらせを行っていた。 労働施策総合推進法30条の2
労働契約法5条
優越的な関係を背景とした言動で就業環境を害する行為は禁止使用者は労働者の生命・身体等の安全に配慮する義務を負う。
虚偽の説明で手続を先延ばしにし、退職者が諦めるのを待っていた。 労働契約法3条4項
民法1条2項
権利の行使および義務の履行は信義に従い誠実に行わなければならない手続を怠って損害が生じれば損害賠償の対象となり得る。

※ 引用した条文は2026年8月時点のものです。実際の判断は個別の事情によります。

不正を知ってしまったとき、通報者はどう守られるのか

この記事の中心はここです。

投稿者は不正を知ってしまいました。

そして本人に確認しました。

その結果嫌がらせが始まりました。

これは典型的な経過です。

ここで公益通報者保護法を説明します。

この法律は平成18年4月に施行され、

令和4年6月に大きく改正されました。

まず誰が守られるかです。

  • 労働者 正社員、パート、アルバイト、派遣労働者を含む
  • 退職者 令和4年6月から退職後1年以内の者が対象に加わった
  • 役員 取締役、監査役なども対象に加わった

次に何を通報すれば守られるかです。

通報対象事実と呼ばれ、

刑法、食品衛生法、金融商品取引法など別表に掲げる法律に違反する行為です。

そして令和4年6月から、

過料の対象となる行為も含まれるようになりました。

診療報酬の不正請求は詐欺罪に当たり得ます。

詐欺罪は刑法です。

ですから通報対象事実に含まれます。

次にどこに通報すればよいかです。

三つの通報先があります。

  • 事業者内部 社内の通報窓口や上司。要件が最も緩い
  • 権限を有する行政機関 厚生労働省、地方厚生局、都道府県など。真実相当性が必要
  • その他被害の拡大防止に必要な者 報道機関など。さらに加重された要件が必要

そして令和4年6月の改正で、

従業員数301人以上の事業者には、

内部通報に適切に対応する体制を整備する義務が課されました。

300人以下は努力義務です。

さらに公益通報対応業務従事者を定めることも求められます。

この従事者には守秘義務が課され、

違反すれば30万円以下の罰金です。

つまり通報者の名前を漏らせば刑事罰ということです。

ここまで整備が進んだのは過去の事件の積み重ねがあるからです。

通報した人が職場で孤立させられ、

長い裁判を強いられた例が数多くあります。

そして令和4年6月から、

解雇や不利益取扱いをされた場合の立証についても議論が続いています。

この病院を糾弾する

ここからは個別の論点を述べます。

まず離職票です。

事務長はこう言いました。

「ハローワークのパソコンがおかしいから離職票が出ない」。

これは作り話です。

手続を説明します。

従業員が退職すると事業主は、

資格喪失届をハローワークに提出します。

そして離職票の交付を希望する場合は、

離職証明書を添えなければなりません。

ハローワークはこれを受けて離職票を交付します。

つまり会社が出さなければ始まらないのです。

パソコンの問題ではありません。

そしてこの方は正しい行動を取りました。

ハローワークに直接確認したのです。

これは大変重要です。

会社の説明が不自然なときは、

役所に直接聞いてください。

役所は答えてくれます。

そしてこの確認からもっと大きな問題が出てきました。

雇用保険に加入していなかったのです。

しかも保険料は引かれていたのです。

ここは二重の問題です。

  • 加入義務違反 週20時間以上働き31日以上の雇用見込みがあれば加入させる義務がある
  • 控除の根拠がない 加入していない以上、保険料の名目で引く根拠がない

引かれたお金はどこへ行ったのか。

この一点だけでも重大です。

そしてこの方は労働基準監督署に相談しました。

結果監査が入り、職員全員の未加入が発覚しました。

これは大きな成果です。

一人の行動で職員全員の記録が回復したのです。

雇用保険の加入期間は失業給付の日数に直結します。

そして教育訓練給付育児休業給付にも関わります。

つまり人生に関わる記録です。

次に診療報酬です。

ここは慎重に述べます。

投稿者が見聞きしたことは伝聞と本人の発言です。

ですがその発言が重いのです。

「こうやって月の患者さんの人数を調整しているんだよ」。

この一言は行為の存在を前提にしています。

診療報酬は公的なお金です。

財源は保険料と税金と窓口負担です。

ですから架空請求は患者と国民の負担になります。

そして発覚すれば厳しい結果になります。

  • 保険医療機関の指定取消
  • 保険医の登録取消
  • 不正に受け取った額の返還と加算金
  • 医療機関名の公表
  • 悪質な場合は刑事告発

そして通報先もあります。

地方厚生局です。

保険医療機関の指導・監査を担う機関です。

そして健康保険組合や協会けんぽにも情報提供の窓口があります。

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この方はすでに離れています。

そして病院自体もなくなりました。

ですがファックスの件は残っています。

そこでいまできることを申し上げます。

まず現物の確保です。

ファックスは受け取った側に残ります。

知り合いの医院があれば写しをもらってください。

これが最も強い証拠です。

次に相談先です。

  • 法務局の人権相談 みんなの人権110番。名誉やプライバシーの侵害を扱う
  • 警察 名誉毀損罪は親告罪であり被害者の告訴が必要
  • 弁護士 損害賠償請求や謝罪広告の請求を検討できる
  • 歯科医師会 会員の行為であれば会としての対応を求められる場合がある

そして時効について述べます。

名誉毀損罪の告訴期間は犯人を知った日から6か月です。

民事の損害賠償は損害と加害者を知った時から3年です。

ですから早いほど良いのです。

最後にいま不正に気づいてしまった方へ申し上げます。

三つお伝えします。

  • 本人に直接確認しない。 この方も本人に当たった後で嫌がらせが始まった。相手に身構える時間を与えることになる
  • 記録を先に取る。 日付、内容、誰が何を言ったか。自分の手元に時系列で残す
  • 外部の窓口を使う。 行政機関への通報は真実相当性があれば保護の対象。社内で抱え込まない

そしてこの方が書いた最後の一言に応えます。

「もう個人開業は懲り懲りです」。

その気持ちはよく分かります。

ですがあえて申し上げます。

この方がしたことは無駄ではありません。

ハローワークに確認し、

労働基準監督署に相談し、

その結果職員全員の雇用保険が回復しました。

名前も出ず、感謝もされず、

むしろ逆恨みされたのです。

それでも結果は残りました。

そのことだけは記録しておきたいと思います。

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