会社に来ない飲んだくれクズ所長。さらに、会社の重鎮は全員、社長に借金があり奴隷状態だった…。

夫が数年前に、とある会社に転職したときのことです。田舎町に新しい事業所を立ち上げるので、夫にはそこの管理責任者になって赴任して欲しいとの事でした。事業所内に生活スベースまで用意してくれたので、夫婦揃って引っ越しました。
所長は別にいて、毎日通勤してきて、昼間は常駐するとのことでした。ところが所長は最初の数日は来たものの、以降、月に数日程度来るだけになりました。来ると事業所の電話を私用で使いまくります。しかも所長室ではいつもこっそりと酒を呑んで寝ています。なし崩し的に夫にすべての業務が降ってきます。
夫は昼間は外に出てしまいますので、更になし崩し的に私は店番になってしまいました。電話は全て本社に転送するようセットしましたが、直接事業所にやってくる客や、クレーム処理などは私が対応するしかありません。
これに対して、会社としての対応が全くなかったので、当然夫は仕事を辞めました。仕事も住居もいっぺんに失うことになるので、慎重に事を運びました。私には「社員ではない」と、一円の報酬も支払われませんでした。
ここまででもかなりブラックだと思いますが。。。
所長を始め、この会社の重鎮と呼ばれる人はほぼ全員が社長に多額の借金をしておりまして、返済の為、鵜飼いの鵜と同じく、土日も祝日も、夜勤もいとわずに社長の命令のまま働かされていました。21日連続勤務や、3日間仮眠のみで日勤夜勤日勤夜勤日勤と続けて勤務する人を見たこともありました。
本来なら近所の日帰り温泉で汗を流すことになっていましたが、そのような人たちが高額の入湯料を支払うはずもなく、最初に夫が親切に我が家の風呂を提供したため、以降恒例行事になりました。夫もこんな社長に目をつけられたと言うことは、借金の肩代わりを申し出てくるのを期待されていたのかと思います。
現に、食堂などない田舎町なので、仮眠の人たちに自腹で食事を食べたさせたりするハメになり、我が家もここに住んでいる間に、僅かばかりの貯金は底をついてしまいました。
みんブラ事務局の所見:雇用主から金を借りてはいけない。労働基準法17条が「前借金による拘束」を禁じる理由。
この事業所で何が起きていたのか
この体験談は、金銭による支配が労働に持ち込まれるとどうなるかを記録した、極めて重い事例です。
投稿者の夫が転職し、田舎町の新しい事業所の管理責任者として赴任しました。事業所内に生活スペースまで用意され、夫婦揃って引っ越しました。
所長は別にいて、毎日通勤して昼間は常駐するという説明でした。ところが——
「所長は最初の数日は来たものの、以降、月に数日程度来るだけになりました。来ると事業所の電話を私用で使いまくります。しかも所長室ではいつもこっそりと酒を呑んで寝ています」。
結果、なし崩し的に夫にすべての業務が降ってきます。そして夫は昼間外に出るため、さらになし崩し的に投稿者が店番になりました。電話は本社に転送しても、直接来る客やクレーム処理は投稿者が対応するしかない。
そして決定的な一文。「私には『社員ではない』と、一円の報酬も支払われませんでした」。
会社としての対応がまったくなかったため、夫は退職。「仕事も住居もいっぺんに失うことになるので、慎重に事を運びました」とあります。
そして、ここからがこの事業所の本当の異常さです。
「所長を始め、この会社の重鎮と呼ばれる人はほぼ全員が社長に多額の借金をしておりまして、返済の為、鵜飼いの鵜と同じく、土日も祝日も、夜勤もいとわずに社長の命令のまま働かされていました」。
そして目撃された勤務実態。「21日連続勤務や、3日間仮眠のみで日勤夜勤日勤夜勤日勤と続けて勤務する人を見たこともありました」。
さらに、この体験談の最も切実な部分。本来なら近所の日帰り温泉で汗を流すことになっていたものの、借金を抱えた人たちが高額の入湯料を支払うはずもなく、最初に夫が親切に自宅の風呂を提供したため、以降恒例行事になりました。
そして食堂などない田舎町なので、仮眠の人たちに自腹で食事を食べさせるハメになり、我が家の僅かばかりの貯金は底をついてしまいました。
投稿者はこうも書いています。「夫もこんな社長に目をつけられたと言うことは、借金の肩代わりを申し出てくるのを期待されていたのかと思います」。
法律から見ると、これは何にあたるのか
この事業所で行われていたことを条文と突き合わせます。労働基準法のなかでも最も重い条文が関わります。
| 体験談で実際に行われていたこと | 抵触する条文 | 何が問題なのか |
|---|---|---|
| 会社の重鎮がほぼ全員社長に借金をしており、返済のため命令のまま働かされていた。 | 労働基準法17条 | 使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない(前借金相殺の禁止)。借金によって労働者を身分的に拘束することを防ぐための規定で、違反には1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金。 |
| 借金の返済を背景に、土日祝も夜勤も断れない状態に置かれていた。 | 労働基準法5条 | 使用者は、精神または身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。労働基準法で最も重い罰則(1年以上10年以下の拘禁刑等)が定められた条文。 |
| 21日連続勤務、3日間仮眠のみで日勤夜勤を繰り返す勤務が行われていた。 | 労働基準法32条 労働基準法35条 |
1日8時間・週40時間が上限で、毎週1回または4週4日の休日が必要。21日連続勤務は明白な35条違反であり、仮眠のみでの連続勤務は安全配慮義務にも反する。 |
| 管理責任者の配偶者が、報酬なく店番とクレーム対応をさせられていた。 | 労働基準法9条 労働基準法11条 |
使用者に使用されて労働し賃金を支払われる者が労働者。会社の指揮命令下で継続的に業務を行っていれば、呼称にかかわらず労働者と評価され得る。その場合、賃金の支払義務が生じる。 |
| 所長が月に数日しか出勤せず、所長室で飲酒して寝ていた。 | 労働契約法3条4項 | 労働契約は信義に従い誠実に権利を行使し義務を履行すべきもの。職務を放棄して業務を他者へ転嫁する行為は、使用者側の労務管理の破綻を示す。 |
| 事業所内の生活スペースを住居とし、退職が住居の喪失に直結する状態だった。 | 労働基準法23条 労働契約法 |
社宅・寮が雇用と一体の場合、退職が直ちに住居喪失につながる構造は労働者の退職の自由を実質的に制約する。退職に際しては明渡し期限の確認が不可欠。 |
| 従業員が私費で他の従業員の入浴と食事を負担していた。 | 労働基準法89条5号 | 労働者に費用を負担させる定めをする場合は就業規則への記載が必要。事業所の立地上必要な福利厚生を個人の負担に転嫁することに正当性はない。 |
※ 引用した条文は2026年8月時点のものです。実際の判断は個別の事情によります。
この事例で最も重要な条文は、労働基準法17条(前借金相殺の禁止)です。あまり知られていませんが、極めて重い規定です。
条文はこうです。「使用者は、前借金その他労働することを条件とする前貸の債権と賃金を相殺してはならない」。
この条文が置かれた歴史的な背景を説明します。かつて日本には、前借金によって労働者を事実上の人身拘束下に置く慣行がありました。借金を返すまで辞められない。辞めれば全額返済を求められる。結果として、労働者は使用者から離れられなくなる。
労働基準法は、この構造を「身分的拘束」として明確に否定しました。そして17条違反には1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が定められています。
この事業所で起きていたことを見てください。「重鎮と呼ばれる人はほぼ全員が社長に多額の借金」「返済の為、鵜飼いの鵜と同じく、土日も祝日も、夜勤もいとわずに社長の命令のまま働かされていた」。
投稿者の「鵜飼いの鵜」という比喩は、この状態を的確に言い当てています。首に縄をつけられ、獲物を自分のものにできない鳥。
そして、これが労働基準法5条(強制労働の禁止)の問題にもつながります。同条は「精神又は身体の自由を不当に拘束する手段」による労働の強制を禁じており、経済的な拘束もこれに含まれ得ます。この条文の罰則は1年以上10年以下の拘禁刑——労働基準法で最も重いものです。
そして、もうひとつ重要な論点があります。投稿者自身の労働者性です。
会社は「社員ではない」として一円も支払いませんでした。しかし労働基準法9条は、労働者を「事業に使用される者で、賃金を支払われる者」と定義しており、実態で判断されます。
この方は店番を務め、来店客に対応し、クレーム処理まで行っていました。事業所の業務そのものです。契約書がないこと、「社員ではない」と言われたことは、労働者性を否定する決定的な理由になりません。
借金で人を縛る経営を糾弾する
ここからは、事務局として率直に書きます。
この体験談が、当サイトの他の事例と決定的に異なる点があります。この会社では、幹部こそが最も深く囚われているということです。
通常、ブラック企業の体験談では「上司が加害者、部下が被害者」という構図になります。ところがこの事業所では、重鎮と呼ばれる人たちが社長への借金によって最も自由を奪われていた。
21日連続勤務。3日間仮眠のみで日勤夜勤の繰り返し。これを断れない理由が、業務上の必要でも、職務への忠誠でもなく、借金だった。
そして、この構造の巧妙さを考えてください。金を貸すこと自体は、一見すると親切です。困っている社員を助ける経営者、という形をとる。ところが貸した瞬間から、相手は断れなくなる。命令を拒めば、返済を求められるかもしれない。雇用関係に、債権債務関係が重ねられる。
労働基準法17条が禁じているのは、まさにこの構造です。そして、この会社の「重鎮」たちは全員がそこに落ちていた。
そして所長です。月に数日しか来ず、来れば事業所の電話を私用で使い、所長室でこっそり酒を飲んで寝ている。
この人物も、おそらく借金を抱えた一人でしょう。職務を果たさなくても解雇されない。なぜなら、辞められないから。——債務による拘束は、働かせすぎるだけでなく、働かない者を放置する構造も生みます。そして、そのしわ寄せは借金のない新しい管理責任者に全部降りかかりました。
そして、この記事で最も胸が痛むのが風呂と食事の話です。
「最初に夫が親切に我が家の風呂を提供したため、以降恒例行事になりました」「仮眠の人たちに自腹で食事を食べさせたりするハメになり、我が家もここに住んでいる間に、僅かばかりの貯金は底をついてしまいました」。
親切が、義務に変わった。
21日連続で働き、入湯料も払えない同僚が目の前にいる。見かねて風呂を貸す。食事を出す。そして、それが常態化する。
本来なら、従業員の入浴や食事を確保するのは会社の仕事です。食堂のない田舎町に事業所を作り、夜勤と仮眠を課すなら、その環境を整えるのは事業者の責任です。それを、たまたま情のあった夫婦の家計が肩代わりしていた。
そして投稿者が推測する「借金の肩代わりを申し出てくるのを期待されていたのかと思います」という一文。
——次に取り込まれる予定だったという認識です。そして夫は辞めました。「仕事も住居もいっぺんに失うことになるので、慎重に事を運びました」。この慎重さは、正しい。職場と住居が一体の環境では、退職は生活の基盤ごと動かす決断になります。
なぜ、この状況からは即座に離れるべきなのか
第一に、借金は絶対に受けてはいけないからです。これが、この記事で最も伝えたいことです。雇用主から金を借りた瞬間、労働と債務が分離できなくなります。どんなに条件がよく見えても、どんなに親切な提案に見えても、雇用主と金銭の貸借関係を作らないでください。必要なら、金融機関や生活福祉資金貸付制度など公的な制度を検討すべきです。
第二に、21日連続勤務は命に関わるからです。3日間仮眠のみで日勤夜勤を繰り返す働き方は、脳・心臓疾患のリスクを著しく高めます。そして本人は借金があるために断れない。断れない状態で働き続ければ、結末は目に見えています。
第三に、職住一体は退職を難しくするからです。この夫婦は慎重に事を運んで退職しました。正しい判断です。辞めると住む場所も失うという状況は、それ自体が労働者の自由を制約します。だからこそ、早い段階で次の住居と仕事の見通しを立てておく必要があります。
いま同じ状況にいる人が、今日のうちにやるべき3つのこと
- 1. 雇用主からの借入は、断る。すでにあるなら記録する
労働基準法17条は、労働することを条件とする前貸の債権と賃金の相殺を禁じています。すでに借入がある場合、借用書の内容、返済方法、給与から天引きされているかどうかを確認してください。賃金からの控除は、労使協定がなければ労働基準法24条違反です。「返済のため断れない」という状態に置かれているなら、それは労働基準法17条・5条の問題として相談できます。 - 2. 「社員ではない」と言われても、労働者かもしれない
労働者かどうかは、呼称ではなく実態で判断されます。会社の指揮命令下で、継続的に業務(店番、来客対応、クレーム処理など)を行っていたなら、労働者と評価され、賃金の支払義務が生じ得ます。何をどれだけ行ったかを記録してください。業務日誌、来客の対応記録、会社から受けた指示のメールやメッセージが証拠になります。 - 3. 職住一体なら、退職前に住居と期限を確認する
事業所内の生活スペースに住んでいる場合、退職と明渡しの期限を必ず書面で確認してください。即日の明渡しを求められる筋合いはなく、相当な猶予期間が必要です。退職自体は民法627条1項により申し入れから2週間で成立します。違法な連続勤務、賃金の不払い、前借金による拘束はいずれも労働基準監督署の申告対象です。21日連続勤務のような明白な違反は、監督署にとって扱いやすい事案です。
この体験談に近いケース
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この記事を読んで「うちの会社も同じだ」と感じた方は、ページ上部のブラック度から5段階で投票してください。投稿された体験談とあわせて、職場の実態を可視化していきます。





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