最悪の人間関係の職場。1人ターゲットを決め、辞めるまでスタッフ・店長全員でイジメ・・・。

私は長年通信業界で勤めておりました。何社か経験があるのですが、その中で私が休職にまで追い込まれた企業を紹介します。
具体的には携帯電話ショップなのですが、関東での勤務を経て、事情があり実家に帰省し、同じ業界の全く違う会社に正社員として入社しました。元々この業界はお客様から与えられるストレスが多く、それが離職に繋がる傾向にあるのですが、この会社は違っていました。
私はハローワークで求人を拝見し、即日で採用を頂きました。もちろん基本給などを熟読して応募したのですが、入社してすぐ私は後悔をしました。それほど高くない基本給なのですが(13万円ほど)そこに見込み残業が40時間も含まれていたんです。求人にそんな記載は一切ありませんでした。最初の給料で気が付いたのです。時は既に遅し、私は仕方なく働き続けることにしました。
しかし、一番酷いのは賃金よりも、スタッフ同士の人間関係です。
私は在籍が20人以上いる大型の店舗を経験してきていました。そこはせいぜい10人足らずの小さなお店なのですが、人間関係が悪すぎるんです。必ず一人ターゲットが決められ、その人をある事ない事で注意し、辞めるまで追い込んでいくんです。更に驚いたのが、それに店長クラスまでが加担しているんです。元々平等な立場にいなければいけない管理者がそのような状態だったので、この会社は終わっているな、と思いました。
その中で私は実力を付け、本社近くの店舗に転勤になりました。
誰も知らない人の中に一人で飛び込み、店舗の勝手もわからず悪戦苦闘している時、とうとう私に矛先が回ってきました。書類を投げつけられる、無視される、意味もなく上司に怒鳴られる、全くわからない仕事を押し付けられる・・・。私は山ほどの書類を抱え、一時間ある昼食休憩も栄養ドリンク1本で過ごし、五分ほど休憩で済ませ、仕事をしていました。そんな私に浴びせられた言葉は「邪魔」でした。
とうとう私は精神は限界に達し、精神安定剤を飲みながら仕事をするようになりました。
夜も眠れず、何かあった時の為に私がされてきたことの時間・日時・内容を全て記載し、労働基準監督署に相談し、本社を含む問題になり、私は休職、そして退職しました。
能力が足りなかったのであればわかりますが、10年以上同じ業界にいて、管理職も経験したことのある私に、そこまで目の敵にされる理由がわかりませんでした。結局2年程在籍した会社ですが、私の後に入社したスタッフは少なくても10人以上辞めています。あの会社は完全にブラックだと思いました。
みんブラ事務局の所見:「必ず一人ターゲットを決める」職場は、制度としていじめを運用している。
この職場の何がブラックだったのか
この体験談には、他のいじめ事例と決定的に違う点があります。それはいじめが「偶発的なトラブル」ではなく、職場の運用ルールとして定着していたという点です。
投稿者の言葉を引用します。「必ず一人ターゲットが決められ、その人をある事ない事で注意し、辞めるまで追い込んでいくんです」。「必ず」であり、「辞めるまで」です。誰かが気に食わないから嫌がらせをする、という話ではありません。常に標的を一人立てておく、というのがこの店舗の平常運転だったということになります。ターゲットが辞めれば、次のターゲットが選ばれる。だから投稿者の後に入った10人以上が辞めていったのです。
そして、この構造を成立させている決定的な要素が「店長クラスまでが加担している」という事実です。本来、職場のハラスメントを止めるのは管理者の職務です。その管理者が加害側に回ってしまえば、被害者には社内に逃げ場がなくなります。投稿者が「元々平等な立場にいなければいけない管理者がそのような状態だったので、この会社は終わっているな、と思いました」と書いているのは、正確な観察です。
投稿者自身が標的になったときの内容も見てください。書類を投げつけられる、無視される、意味もなく怒鳴られる、まったくわからない仕事を押し付けられる。これらはパワハラ6類型のうち「精神的な攻撃」「人間関係からの切り離し」「過大な要求」にそれぞれ対応しています。山ほどの書類を抱え、1時間ある昼休憩を栄養ドリンク1本と5分で済ませて働いている人間に浴びせられた言葉が「邪魔」だった、という記述は、この職場の悪意の質をよく表しています。
加えて賃金の問題があります。基本給13万円ほどのなかに見込み残業40時間分が含まれていたにもかかわらず、求人票にその記載は一切なく、最初の給料日に初めて気づいた。これは待遇の悪さという以前に、採用の入口で事実が伏せられていたという問題です。
そして注目すべきは、投稿者の経歴です。この方は通信業界に10年以上おり、20人以上が在籍する大型店舗で管理職も経験しています。能力が足りずに標的にされたのではありません。本人が「そこまで目の敵にされる理由がわかりませんでした」と書いているとおり、理由などなかったのです。誰かが標的でなければならなかった、それだけです。
法律から見ると、これは何にあたるのか
この職場で行われていたことを、条文と突き合わせて整理します。
| 体験談で実際に行われていたこと | 抵触する条文 | 何が問題なのか |
|---|---|---|
| 必ず一人ターゲットを決め、辞めるまで無視・叱責で追い込む。店長クラスまで加担していた。 | 労働施策総合推進法 30条の2 |
厚生労働省が示すパワハラ6類型のうち「人間関係からの切り離し」「精神的な攻撃」に該当する。2022年4月からは中小企業を含む全事業主に防止措置が義務づけられており、管理者が加担している場合は会社そのものの責任が問われる。 |
| 書類を投げつけられる、意味もなく怒鳴られる、まったくわからない仕事を押し付けられる。 | 民法709条 労働契約法5条 |
個々の行為は不法行為として損害賠償請求の対象になり得る。会社が事実を把握しながら放置すれば、安全配慮義務違反として会社の責任も生じる。 |
| 基本給13万円ほどに見込み残業40時間分が含まれていたが、求人票には一切記載がなかった。 | 労働基準法15条 職業安定法65条 |
労働条件は書面で明示する義務があり、固定残業代は対象時間数と金額を明示し、超過分を別途支払うことが要件。求人票に記載せず入社後の給与明細で初めて分かる運用は、明示義務違反にあたる。 |
| 1時間ある昼休憩を、栄養ドリンク1本と5分程度で済ませて働いていた。 | 労働基準法34条 | 8時間を超える労働には少なくとも1時間の休憩を労働時間の途中に、自由に利用させて与えなければならない。取れない量の業務を課しているなら、休憩を与えたことにならない。 |
| 2年ほどの在籍中、投稿者の後に入社したスタッフが少なくとも10人以上辞めている。 | 労働施策総合推進法 30条の2 |
特定個人の相性の問題ではなく、職場の仕組みとして人を追い出していることの証拠。事業主には相談体制の整備と、事案への迅速かつ適切な対応が義務づけられている。 |
※ 引用した条文は2026年8月時点のものです。実際の判断は個別の事情によります。
ここで最も重要なのは、職場のいじめは「気の合わない人がいる」という私的な問題ではなく、法律が会社に対策を義務づけている問題だという点です。労働施策総合推進法30条の2は、2020年6月から大企業に、2022年4月からは中小企業にもパワーハラスメント防止のための雇用管理上の措置を義務づけています。相談窓口を設けること、事案が起きたら迅速かつ適切に事実確認と対応を行うこと、相談したことを理由に不利益な取扱いをしないこと。これらは努力目標ではなく義務です。
厚生労働省が示すパワハラの定義は、①優越的な関係を背景とした言動、②業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの、③就業環境が害されるものという3要件です。そして6類型として、身体的な攻撃/精神的な攻撃/人間関係からの切り離し/過大な要求/過小な要求/個の侵害が挙げられています。「無視」や「仲間外し」が明確に類型として挙がっていることは、ぜひ覚えておいてください。殴られていないから、暴言を吐かれていないから、ハラスメントではない、ということにはなりません。
また、店長が加担していたという点は法的にも重い意味を持ちます。会社は使用者として、従業員が職務に関連して行った不法行為について民法715条の使用者責任を負う場合があります。さらに、いじめの事実を認識しながら是正措置を取らなかったのであれば、労働契約法5条の安全配慮義務違反として、会社自身の責任が問われます。「現場が勝手にやったこと」で会社が逃げ切れる話ではありません。
標的を回し続ける職場を糾弾する
ここからは、事務局として率直に書きます。
職場のいじめの体験談は当サイトにも数多く寄せられていますが、この事例が突出して悪質なのは、いじめが目的化し、制度として運用されている点です。
普通のいじめには、歪んでいるとはいえ一応の「きっかけ」があります。ミスが多い、態度が気に入らない、うまが合わない。どれも正当化はできませんが、因果の順序としては「何かがあって、標的になる」という形をとります。ところがこの職場は逆です。先に「標的が必要だ」という枠があり、後から誰かがそこに嵌められる。「ある事ない事で注意し」という表現がすべてを物語っています。無い事まで持ち出さなければ理由が作れないのに、それでも標的を立てる。目的は指導でも改善でもなく、標的を作ること自体なのです。
10人足らずの店舗という規模も、この構造を凶悪にしています。逃げ場がない。大型店舗であれば別のシフトの同僚と話すこともできますが、全員が顔を突き合わせる小さな職場で全員が加害側に回れば、一日じゅう針のむしろに座らされることになります。そして店長がそれを主導している以上、社内の相談窓口は機能しません。
10年以上のキャリアがあり管理職も務めた人間が、精神安定剤を飲みながら出勤し、夜も眠れなくなり、最終的に休職して退職した。この会社が失ったのは、育成に何年もかかる経験豊富な人材です。投稿者の後に10人以上が辞めているのですから、採用と教育にかけたコストを延々とドブに捨て続けていることになります。いじめを放置する職場は、倫理的に最低であるだけでなく、経営としても端的に無能です。
一方で、私たちがこの投稿者に強い敬意を持つのは、「何かあった時の為に、私がされてきたことの時間・日時・内容を全て記載し、労働基準監督署に相談し、本社を含む問題になり」という一文です。限界の状態で記録を取り続け、外部に持ち込んだ。これは誰にでもできることではありません。そして、この行動こそが次に標的にされる誰かを救う可能性を持っています。
なぜ、この職場からは今すぐ離れるべきなのか
第一に、次のターゲットが自分でなくなることを期待しても無駄だからです。この職場では標的が順番に回されています。今あなたが標的でないなら、それは順番が来ていないだけです。そして標的を降ろされる唯一の方法は、追い込まれて辞めることでした。この仕組みの中に、無事に生き延びるルートは用意されていません。
第二に、管理者が加害側にいる職場は、内部からは変わらないからです。ハラスメントが改善するのは、止める権限を持つ人間が止めると決めたときだけです。その権限を持つ店長が加担しているのですから、現場で耐え続けても構造は変わりません。投稿者が本社を巻き込む形で問題化させたのは正しい判断でしたが、それでも本人は休職と退職に至っています。
第三に、精神への影響は後戻りが難しいという点です。この方は精神安定剤を飲みながら勤務し、夜も眠れない状態になっていました。ハラスメントによる精神障害は労災認定の対象であり、厚生労働省の「心理的負荷による精神障害の認定基準」ではひどい嫌がらせ・いじめ・暴行が評価対象として明示されています。裏を返せば、国が「これは人を病気にする出来事だ」と公式に認めているということです。我慢して耐えられる性質のものではありません。
金額の面でも合理性がありません。基本給13万円に見込み残業40時間が含まれるということは、残業をどれだけしても手取りは増えない設計です。その条件で、無視され、怒鳴られ、書類を投げつけられる。天秤にかけるまでもないでしょう。
いま同じ状況にいる人が、今日のうちにやるべき3つのこと
- 1. とにかく記録を取る。これが最強の武器になる
この体験談の投稿者が実際に行い、本社を動かした方法です。「日時・場所・誰が・何をした・誰が見ていた」を、その日のうちに書き残してください。いじめは「言った言わない」に持ち込まれやすいため、時系列の記録があるかどうかで結果が変わります。可能であれば録音も有効です。自分が参加している会話の録音は、相手の同意がなくても違法ではありません。書類を投げつけられたなら、その状況もメモしてください。心療内科を受診したなら、カルテと診断書も重要な証拠になります。 - 2. 社内窓口が機能しないなら、迷わず外部へ
店長が加担している職場で、店舗内の相談は意味を持ちません。本社の人事やコンプライアンス窓口、それも駄目なら外部です。各都道府県労働局の総合労働相談コーナーは無料・予約不要で、ハラスメント相談の窓口として機能しています。労働局長による助言・指導や、紛争調整委員会によるあっせんという制度もあります。個人でも加入できる労働組合(ユニオン)、費用が心配なら法テラスという選択肢もあります。 - 3. 心を壊す前に離れる。それは負けではない
期間の定めのない雇用なら、民法627条1項により申し入れから2週間で退職できます。「人手が足りない」「引き継ぎが」は、あなたが留まる理由になりません。すでに眠れない、薬が必要という段階にあるなら、医師の診断書をもとに休職して距離を取るという選択肢もあります。固定残業代が求人票に記載されていなかった点は、労働基準法15条2項による即時解除の根拠にもなり得ます。
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