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「正社員」のはずが入社1週間前に契約社員へ…助成金目当ての実態

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学生のふりで連絡先を聞き出す営業、残業100時間・手取り14万で2か月退職

「正社員」のはずが入社1週間前に契約社員へ…助成金目当ての実態

女性・29歳の体験談
女性・29歳の体験談

大学生向けのサークル合宿の企画をする旅行会社に勤めていたときのことです。

もともと求人サイトには「正社員」の文字がありましたが、入社1週間前に「契約社員を正社員にすると会社に国からお金が入るから、まずは契約社員として入社して欲しい」と言われました。実害はそれほどないのかも知れませんが予想もしてない事だったので驚きました。でも3月の終わりに内定辞退などとても出来ずそのまま入社しました

営業内容は完全に詐欺でした。最初の仕事は、新入生歓迎のムードで湧く大学に学生のふりをして入り、「サークルに入りたい」と嘘をついて学生から連絡先を聞き出す、というものでした。

そして会社に戻ってからは学生達にテレアポ。当然学生達はどうしてこの番号を知ってるのかと聞いてきますので、「あなたの先輩に教えてもらった」など嘘をつくことも度々ありました

仕事内容は詐欺の上、待遇もひどいものでした。残業100時間、手取り14万、携帯代は自分持ち、会社のイベントの為という名目で毎月3000円の天引き。当たり前ですが、同期はどんどん辞めて行きました

休日出勤もザラで、名門大学の学祭などに行き、連絡先を聞き出すだけの休日が続きました。

そこで働く意味が全くないため、わたしも2ヶ月で退職。今も薄給ではありますが、まともな企業に転職することができました。ちなみにまだその企業は存続していますので皆様お気をつけください

 

みんブラ事務局の所見:募集条件の変更には書面での明示が必要。正社員前提で有期採用する運用は助成金の対象外である。

みんブラ事務局の所見
みんブラ事務局の所見

みんブラ事務局・5段階判定旅行会社(学生向け合宿企画)/女性29歳の体験談
総合ブラック度4.6/5今すぐ辞めるべき
労働時間5
賃金・残業代5
ハラスメント4
休暇4
法令違反リスク5
判定理由:求人は「正社員」だったのに入社1週間前に契約社員へ変更された。理由は「正社員にすると国から会社にお金が入るから」という助成金目当ての説明だった。学生のふりをして大学に入り、嘘をついて連絡先を聞き出す営業をさせられた。残業100時間・手取り14万・毎月3000円の天引き2か月で退職し、現在は別の企業に転職している。 読者投票:まだ投票がありません

入社1週間前の「やっぱり契約社員で」は、通用しない

この体験談は入社前の出来事から始まります。

投稿者はこう書いています。

「もともと求人サイトには『正社員』の文字がありましたが、入社1週間前に『契約社員を正社員にすると会社に国からお金が入るから、まずは契約社員として入社して欲しい』と言われました」。

ここには二つの問題が含まれています。

一つ目は労働条件の一方的な変更です。

二つ目は助成金の使い方です。

順に説明します。

まず労働条件です。

正社員契約社員まったく別の契約です。

正社員は期間の定めのない労働契約です。

契約社員は期間の定めのある労働契約です。

この違いは雇用の安定に直結します。

期間の定めがあれば期間の満了で契約は終わり得ます。

一方期間の定めがなければ解雇には客観的に合理的な理由が必要です(労働契約法16条)。

ですから「実害はそれほどない」ということはありません。

投稿者は謙虚に書いていますが、

これは重大な不利益変更です。

そして職業安定法5条の3は、

募集の時点で明示した労働条件を変更する場合は、変更内容を明示しなければならないと定めています。

厚生労働省の指針はさらにこう求めます。

  • 変更内容を書面で明示する
  • 変更の理由を説明する
  • 労働契約の締結前に明示する
  • 安易な変更を行わない

とくに最後の一つです。

指針は「安易に変更等を行わないこと」と明記しています。

入社1週間前の変更はまさにこれです。

そのうえで、全体を確認します。

  • 求人サイトの表示は「正社員」だった
  • 入社1週間前に契約社員へ変更を求められた
  • 理由は「正社員にすると国からお金が入るから」だった
  • 3月末で内定辞退ができずそのまま入社した
  • 学生のふりをして大学に入る営業をさせられた
  • 嘘をついて連絡先を聞き出すことが最初の仕事だった
  • 「先輩に教えてもらった」と嘘をつくこともあった
  • 残業100時間・手取り14万だった
  • 携帯代は自己負担だった
  • 毎月3000円の天引きがあった
  • 休日出勤も常態だった
  • 2か月で退職した

法律から見ると

募集条件の変更不正な手段による個人情報の取得が中心の論点です。

体験談で実際に行われていたこと 抵触する条文 何が問題なのか
求人では正社員と表示しながら、入社直前に契約社員へ変更させた。 職業安定法5条の3
指針(平成11年労働省告示141号)
当初明示した労働条件を変更する場合は変更内容の明示が必要。指針は書面での明示・理由の説明・安易な変更を行わないことを求める。
求人の表示と実際の雇用形態が異なっていた。 職業安定法65条8号 虚偽の広告をなし、または虚偽の条件を提示して募集を行った者6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金
学生のふりをして大学に入り、嘘をついて学生の連絡先を取得していた。 個人情報保護法20条1項 偽りその他不正の手段により個人情報を取得してはならない違反すれば個人情報保護委員会の勧告・命令の対象となり、命令違反は罰則がある。
取得した連絡先を、取得目的を告げずに営業電話に使っていた。 個人情報保護法21条
27条
取得に際して利用目的を通知または公表する義務本人の同意なく第三者に提供することも原則禁止
電話で「あなたの先輩に教えてもらった」と虚偽の説明をしていた。 特定商取引法6条1項
消費者契約法4条1項
勧誘に際して重要事項について不実を告げることは禁止不実告知による契約は取り消し得る
月100時間の残業をさせていた。 労働基準法36条6項
労働安全衛生法66条の8
単月100時間未満・複数月平均80時間以内が上限。月80時間超で疲労蓄積があれば医師の面接指導が必要。いわゆる過労死ラインに達している
イベント費の名目で毎月3000円を給与から天引きしていた。 労働基準法24条1項 賃金は全額を支払わなければならない法令に定めのないものを控除するには労使協定が必要協定がなければ全額払い違反となる。
業務に使う携帯電話の費用を労働者に負担させていた。 労働基準法89条5号 労働者に食費・作業用品その他の負担をさせる定めは就業規則の相対的必要記載事項定めなく負担させることはできない
休日にも学祭へ行かせ、連絡先の収集をさせていた。 労働基準法35条
37条
毎週少なくとも1回または4週4日の休日が必要。法定休日労働は35%以上の割増賃金

※ 引用した条文は2026年8月時点のものです。実際の判断は個別の事情によります。

「助成金が入るから契約社員で」という説明について

ここはこの記事の核心です。

会社はこう説明しました。

「契約社員を正社員にすると会社に国からお金が入るから」。

このお金とは何か。

おそらくキャリアアップ助成金です。

これは厚生労働省の制度で、

有期雇用労働者等の正社員化や処遇改善に取り組む事業主を支援するものです。

制度の目的ははっきりしています。

不安定な雇用にある人を安定した雇用に移すことです。

ですからもともと正社員で採る予定の人をわざわざ契約社員にするのは、

制度の趣旨と正反対です。

そして制度の側もこれを想定しています。

正社員化コースの支給要件には厳しい除外規定があります。

  • 正社員として雇用することを前提に有期雇用労働者として雇い入れた場合は対象外
  • 転換前6か月と転換後6か月の賃金を比較し、一定以上増額されていることが必要
  • 転換制度を就業規則等に規定していることが必要
  • 不正受給が判明すれば全額返還・加算金・事業主名の公表

とくに一つ目です。

「正社員として雇用することを前提に有期で雇い入れた場合」は対象外です。

この会社がやったことはまさにそれです。

つまりこの説明は、

もらえないお金をあてにしていたか、

もらえないことを承知で申請するつもりだったか、

どちらかです。

後者であれば不正受給です。

そして不正受給が確認されるとこうなります。

  • 支給された助成金の全額返還
  • 返還額の20%の違約金
  • 年3%の延滞金
  • 5年間各種助成金が不支給
  • 事業所名等の公表
  • 悪質な場合は刑事告発

ですから申し上げます。

助成金を理由に雇用形態を下げられたら、それは会社の得にすらなりません。

そして労働局の助成金部門に相談することもできます。

この会社を糾弾する

次に営業の中身です。

投稿者ははっきり書いています。

「営業内容は完全に詐欺でした」。

やらされたことはこうです。

  • 新入生歓迎で賑わう大学に学生のふりをして入る
  • 「サークルに入りたい」と嘘をついて連絡先を聞き出す
  • 会社に戻ってその学生にテレアポ
  • 「先輩に教えてもらった」と重ねて嘘をつく

ここで個人情報保護法20条1項を確認します。

個人情報取扱事業者は、偽りその他不正の手段により個人情報を取得してはならない。

「偽り」と書いてあります。

学生のふりをして聞き出すことはまさにこれです。

そして令和4年4月から、

個人情報保護法は取扱件数にかかわらずすべての事業者に適用されています。

小さな会社だから関係ない、ということはありません。

さらに令和4年4月には、

不正取得等に対する罰則も引き上げられました。

ここで一点申し上げたいことがあります。

これをやらされたのは新入社員だということです。

入社したばかりの人に嘘をつく仕事をさせる。

これは職業倫理を壊す行為です。

そして本人には断りにくいのです。

新人はそれが普通なのか分からないからです。

この方は2か月で見切りをつけました。

これは早い判断です。

そして正しい判断です。

次に待遇です。

残業100時間、手取り14万。

この二つを並べてみます。

月100時間の残業は過労死ラインです。

脳・心臓疾患の労災認定基準では、

発症前1か月におおむね100時間

または2〜6か月平均でおおむね80時間を超える時間外労働は、

業務と発症の関連性が強いと評価されます。

つまり命に関わる水準です。

そしてその対価が手取り14万でした。

そこからさらに毎月3000円が引かれ、

携帯代も自己負担でした。

この3000円の天引きについて述べます。

労働基準法24条1項賃金の全額払いを定めます。

給与から控除できるのは原則として、

  • 法令に定めのあるもの (所得税、住民税、社会保険料など)
  • 労使協定があるもの (社宅費、財形貯蓄、組合費など)

この二つだけです。

会社のイベント費はどちらにも当たりません。

労使協定がなければ違法な控除です。

そして返還を請求できます。

金額は小さいと思われるかもしれません。

ですが同意なく引けるという前提が問題なのです。

この会社は、2か月で辞めて正解である

この方の判断を振り返ります。

「そこで働く意味が全くないため、わたしも2ヶ月で退職」。

短期離職を悔やむ方がいます。

ですがこのケースでは悔やむ必要がありません。

理由を三つ挙げます。

  • 約束が入社前に破られている。 雇用形態を直前に下げる会社が、入社後の約束を守る理由はない
  • 業務そのものが違法性を帯びている。 身分を偽って個人情報を取得する仕事は、続けるほど本人の経歴を傷つける
  • 命に関わる労働時間である。 月100時間の残業は過労死ラインで、我慢の対象ではない

そしてこの方はまともな企業に転職されました。

2か月の在籍は回復可能です。

ですが体を壊した2年はそうではありません。

最後にいま同じ状況にいる方へ申し上げます。

まず入社前に条件を変えられた場合です。

その場で受け入れる必要はありません。

変更内容を書面でくださいと言ってください。

職業安定法5条の3の指針が書面による明示を求めているからです。

そして書面が出ない会社は、

その一点で判断材料になります。

次にすでに入ってしまった場合です。

求人票を保存してください。

求人サイトの画面は消えます

ですから画面を保存しておくことが有効です。

そしてハローワーク経由の求人であれば、

ハローワーク求人ホットラインに申し出てください。

求人票と実際の条件が違う場合の専用窓口です。

そして残業代と天引き労働基準監督署です。

退職後でも賃金請求権の時効当面3年の範囲で請求できます。

そしてこの方が最後に書いた一文を引きます。

「ちなみにまだその企業は存続していますので皆様お気をつけください」。

この一文がこの投稿の目的でしょう。

自分は抜けた。

だがまだ誰かが入っていく。

その思いに応えます。

この記事がその一助になれば幸いです。

この体験談に近いケース

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この記事を読んで「うちの会社も同じだ」と感じた方は、ページ上部のブラック度から5段階で投票してください。投稿された体験談とあわせて、職場の実態を可視化していきます。

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