手取り13万・保険なし…インフルエンザでも受診できない同期がいた美容室

美容室勤務で接客業でしたが、街中に出てお客さんを飛び込み営業させられてました。しかも青山の表参道、一番混むところで。
定期的にクビになるスタッフもおり、毎日ヒヤヒヤ奴隷のような日々を過ごしていました。「やりたいことをやる」というと聞こえはいいですが、なかなか精神的につらく、私は途中でリタイヤしてしまいました。
もちろん給料は手渡しで、ボーナスなし。社会保険も国民年金も自分で入らないといけない体制なのに、手取り給料は13万円でした。
同期には社会保険に入っておらず、インフルエンザにかかっても受診出来ず苦しんでいた人もいました。
オーナーはとてもお金持ちで、二週間に一度はお客さんとしてやってきましたが、それがまた気をつかいまくってとても疲れていました。
飲み会もありましたが、女子はとにかくお酒を注ぎまくり、気をつかいまくらないとダメな雰囲気だったので、「男に生まれたかった!」と思うこともしばしばありました。
今は一般会社の事務員として働いていますが、昔やしなった強い精神力があるので、ちょっとやそっとの事では動じない人材になったかなぁ、なんて思います。若い時の苦労は将来役に立つなぁ、と思うことはありますが、振り返るとつらかったなぁ、という素直な感想です。
みんブラ事務局の所見:雇用保険は業種も規模も関係なく、労働者を1人でも雇えば適用事業になる。
雇用保険は、業種も規模も関係なく加入させなければならない
この体験談で最も実害の大きい部分から取り上げます。
投稿者はこう書いています。
「社会保険も国民年金も自分で入らないといけない体制」。
そしてこうも書いています。
「同期には社会保険に入っておらず、インフルエンザにかかっても受診出来ず苦しんでいた人もいました」。
ここは正確に整理する必要があります。
社会保険には二つの系統があります。
まず健康保険と厚生年金です。
これは法人であれば業種を問わず強制適用です。
一方個人経営の場合、
理容・美容業は非適用業種とされており、
常時5人以上でも任意適用という扱いです。
つまり個人経営の美容室であれば、加入させていないこと自体が直ちに違法とは限りません。
ここまでが一つ目です。
ですがもう一つがあります。
雇用保険です。
雇用保険は業種も規模も関係ありません。
労働者を一人でも雇っていれば適用事業となり、
週20時間以上、31日以上の雇用見込みがあれば加入させる義務が生じます。
これは選べるものではありません。
そのうえで、全体を確認します。
- 美容室勤務だが街中で飛び込み営業をさせられた
- 場所は表参道の一番混むところだった
- 定期的にクビになるスタッフがいた
- 給料は手渡しでボーナスなしだった
- 社会保険も年金も自分で入る体制だった
- 手取りは13万円だった
- 同期は保険に入っておらずインフルエンザで受診できなかった
- オーナーが2週間に一度客として来店し気を遣った
- 飲み会では女性がひたすら酒を注ぐ雰囲気だった
法律から見ると
社会保険と業務の範囲が中心の論点です。
| 体験談で実際に行われていたこと | 抵触する条文 | 何が問題なのか |
|---|---|---|
| 労働者を雇用しながら雇用保険に加入させていなかった。 | 雇用保険法5条 6条 同施行規則 |
労働者を1人でも雇えば適用事業。週20時間以上・31日以上の雇用見込みがあれば被保険者となる。業種や規模による例外はない。 |
| 健康保険に加入していない従業員が受診できない状態にあった。 | 健康保険法3条 国民健康保険法5条 6条 |
法人であれば業種を問わず健康保険は強制適用。個人経営の理容・美容業は非適用業種だが、その場合は国民健康保険への加入義務がある。 |
| 美容師として採用した者に、街頭での勧誘を行わせていた。 | 労働基準法15条 労働契約法6条 |
従事すべき業務の内容は明示すべき労働条件。令和6年4月からは業務の変更の範囲の明示も義務。契約と異なる業務の強制は問題となる。 |
| 賃金を現金手渡しで支給し、明細の交付が確認できない。 | 労働基準法24条 108条 所得税法231条 |
通貨払い自体は原則どおりだが、賃金台帳の調製と支払明細書の交付は義務である。 |
| スタッフが定期的に解雇されていた。 | 労働契約法16条 労働基準法20条 |
客観的に合理的な理由を欠く解雇は無効。30日前の予告または30日分以上の平均賃金が必要。 |
| 飲み会で女性従業員が酌をする役割を担わされていた。 | 男女雇用機会均等法11条 労働施策総合推進法30条の2 |
性別により役割を割り当てる言動は環境型セクシュアルハラスメントにあたり得る。事業主には防止措置義務がある。 |
| 手取り13万円という賃金水準が生じていた。 | 最低賃金法4条 労働基準法37条 |
実労働時間で割った額が最低賃金を下回れば無効となる。営業時間外の街頭勧誘も労働時間に含めて計算する。 |
| 街頭での勧誘中の事故について、補償の枠組みが不明である。 | 労働者災害補償保険法 労働安全衛生法3条 |
労災保険は労働者を1人でも雇えば強制適用。事業主が未加入でも労働者は給付を受けられる。 |
※ 引用した条文は2026年8月時点のものです。実際の判断は個別の事情によります。
この美容室を糾弾する
この記事の要点を順に述べます。
まず飛び込み営業です。
投稿者はこう書いています。
「街中に出てお客さんを飛び込み営業させられてました。しかも青山の表参道、一番混むところで」。
ここを整理します。
美容師として採用された人が、
路上で声をかけるのです。
ここには二つの問題があります。
第一に、契約の内容です。
労働基準法15条は従事すべき業務の内容を明示すべき事項としています。
そして令和6年4月からは、
業務の変更の範囲も明示の対象に加わりました。
第二に、心理的な負荷です。
路上で声をかける仕事は断られ続ける仕事です。
そして成果が出なければ責められる。
投稿者はこう書いています。
「定期的にクビになるスタッフもおり、毎日ヒヤヒヤ奴隷のような日々」。
次に保険です。
ここがこの記事の核心です。
「同期には社会保険に入っておらず、インフルエンザにかかっても受診出来ず苦しんでいた人もいました」。
ここは丁寧に説明します。
健康保険に入っていない場合、
国民健康保険に加入する義務があります。
国民健康保険法5条は市町村または特別区の区域内に住所を有する者は、当該市町村が行う国民健康保険の被保険者とすると定めています。
つまりどちらかには必ず入るのです。
そして無保険という状態は制度上想定されていません。
この同期の方はおそらく国保の手続きをしていなかったのでしょう。
ここで重要なことを申し上げます。
国民健康保険はさかのぼって加入できます。
そして保険料の減免制度もあります。
手取り13万円であれば対象になる可能性があります。
ですから受診できないという状態は避けられたのです。
問題は誰も教えなかったことです。
そして雇用保険です。
こちらは言い訳が効きません。
雇用保険は業種の区別がありません。
個人経営でも法人でも、
労働者を雇えば適用事業です。
そして未加入だった場合、
原則2年さかのぼって資格取得の確認を受けられます。
手続きはハローワークで行い、
本人からの申出もできます。
最後に飲み会です。
「女子はとにかくお酒を注ぎまくり、気をつかいまくらないとダメな雰囲気」。
そして「男に生まれたかった!」という一文です。
ここをはっきり申し上げます。
性別で役割を割り当てることはハラスメントです。
男女雇用機会均等法11条は職場において行われる性的な言動に対する労働者の対応により労働条件につき不利益を受け、又は就業環境が害されることの防止措置を事業主に義務づけています。
そして酌を求める行為は指針が挙げる例の一つです。
そしてこの方の締めくくりに触れておきます。
「昔やしなった強い精神力があるので、ちょっとやそっとの事では動じない人材になったかなぁ」。
そしてこう続きます。
「若い時の苦労は将来役に立つなぁ、と思うことはありますが、振り返るとつらかったなぁ、という素直な感想です」。
この二つの文が並んでいることが重要です。
ここではっきり申し上げます。
耐えたことと、その環境が正しかったことは別です。
強くなったのはこの方の力です。
会社が与えたものではありません。
そして保険に入っていない同期は受診できませんでした。
その方は強くなったのでしょうか。
健康を損なうリスクを負っただけです。
ですから「若い時の苦労」という言葉で片づけてはなりません。
そして時効に触れます。
雇用保険は原則2年さかのぼって確認を受けられます。
賃金請求権は当面3年です。
街頭勧誘の時間が賃金に反映されていなければ、
その分を請求する余地があります。
そして美容業界という事情にも触れておきます。
この業界には独立を目指す人が多くいます。
そして「修業の期間」という考え方が根づいています。
この考え方自体は否定しません。
技術職ですから時間をかけて身につける必要があります。
ですがここで起きているのは別のことです。
この方がしていたのは街頭での勧誘です。
カットもシャンプーも練習ではありません。
つまり修業ではないのです。
そして保険にも入っていない。
ここまで整理すれば見えてきます。
「修業」という言葉が待遇の悪さを覆っているのです。
そして技術も身につかない。
これが最も大きな損失です。
そしてオーナーの来店にも一言。
「二週間に一度はお客さんとしてやってきましたが、それがまた気をつかいまくってとても疲れていました」。
これは客としての来店です。
ですが実質は評価の場でしょう。
つまり施術中ずっと見られているのです。
これも心理的な負荷です。
そして給料の手渡しについても触れておきます。
通貨で直接払うこと自体は労働基準法24条の原則どおりです。
問題は記録です。
振込であれば通帳に履歴が残ります。
手渡しではいくら受け取ったかを証明する手段が限られます。
だからこそ賃金台帳の調製と支払明細書の交付が重要になります。
明細が出ていないのであれば、
受け取った額と日付を自分で記録してください。
それが後の請求の土台になります。
こういう店は、今すぐ辞めていい
3つの理由を述べます。
- 1. 保険がない状態は、病気になったときに詰む
同期の方が受診できなかったのです。次は自分かもしれません。そして手取り13万円では全額自己負担の医療費は払えません。 - 2. 美容師の技術が身につかない
街頭で声をかけている時間は施術の練習にはなりません。技術職である以上、その時間の損失が最も大きいのです。 - 3. 「定期的にクビ」という職場では、計画が立たない
いつ切られるかわからないのですから、生活の見通しが立ちません。そして雇用保険にも入っていないのであれば、失業給付も受けられません。
もし今、同じ状況にいるなら
- 1. 雇用保険は、さかのぼって確認を受けられる
原則2年さかのぼって資格取得の確認を受けられます。窓口はハローワークで、本人からの申出ができます。給与明細に雇用保険料の控除があれば有力な資料です。 - 2. 保険証がないなら、まず市区町村の窓口へ
国民健康保険はさかのぼって加入できます。そして所得が低ければ保険料の軽減や減免の制度があります。受診を諦める必要はありません。 - 3. 街頭勧誘の時間も、労働時間である
指示に基づく業務ですから賃金が発生します。時刻を記録し、賃金を実労働時間で割ってください。相談先は労働基準監督署(匿名申告も可)です。
この体験談に近いケース
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- セクハラ事例6選。ワンマン社長の職場は特に注意。
この記事を読んで「うちの会社も同じだ」と感じた方は、ページ上部のブラック度から5段階で投票してください。投稿された体験談とあわせて、職場の実態を可視化していきます。





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