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「望まない転勤はない」と言われ入社→拒否したら降格処分に

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稼ぎ頭を外して支店全体が落ちたのに…会議で個人攻撃を受け続けた10年目

「望まない転勤はない」と言われ入社→拒否したら降格処分に

男性・43歳の体験談
男性・43歳の体験談

つい最近退職したばかりの会社のお話です。「望まない転勤はない」と言われ、それだったらと入社し約10年勤続しました

その時、会社から転勤命令が下りました。私は当初、望まない転勤がないということで入社していたので転勤拒否。すると会社の意向に反したとのことで制裁降格処分となりました

また、降格になった後の風当たりも強かったです。私が担当していたのは、働いていた会社では主力商品といわれるもののシェアがトップのエリア。いわゆる支店の中でも稼ぎ頭のエリアを任されておりました

降格後、担当地区以外も含めて支店全体の売上が落ちました。今まで他のエリアでの売上未達もカバーしていたのですが、「売上が落ちたのはお前の担当のエリアの売上が落ちたからだ」と毎回会議で詰められるようになりました

所属長は会議の場で徹底的に個人攻撃。それを見たさらに上の支社長は「上長の責任もあるだろう」と上長の指導についても言及してくれましたが、上長はのらりくらりとかわし、その場を切り抜けるだけでした。あげくの果てに「お前がちゃんとやらないからだ」と全ての責任を押し付けてきました。私は完全に会社と人間不信に陥りました

その後、業績が少し持ち直し、詰められることは少なくなってきましたが、所属長はパワハラ告発を気にしたのか、「自分が会議でしっかり指導したから売上が持ち直したんだ」と今度は自分の手柄に転換してきました

呆れてモノが言えず、そのまま在職しても自分にとってプラスはないと確信しました

 

みんブラ事務局の所見:勤務地を限定する合意があれば転勤命令は根拠を欠く。無効な命令の拒否を理由とする懲戒も無効である。

みんブラ事務局の所見
みんブラ事務局の所見

みんブラ事務局・5段階判定メーカー営業/男性43歳の体験談
総合ブラック度3.8/5証拠を集めて交渉を
労働時間3
賃金・残業代4
ハラスメント5
休暇3
法令違反リスク4
判定理由:「望まない転勤はない」と言われて入社し、約10年勤続した後に転勤命令が出た。拒否したところ「会社の意向に反した」として制裁降格処分となった。担当していたのはシェアトップの稼ぎ頭のエリアで、降格後は支店全体の売上が落ちたのに、会議で個人攻撃を受け続けた。 読者投票:まだ投票がありません

勤務地を限定する合意があれば、転勤命令は効力を持たない

この体験談の出発点から取り上げます。

投稿者はこう書いています。

「『望まない転勤はない』と言われ、それだったらと入社し約10年勤続しました」。

ここを整理します。

転勤命令の有効性は二段階で判断されます。

第一段階そもそも転勤を命じる根拠があるかです。

就業規則に業務上の都合により転勤を命ずることがあるという定めがあり、

かつ勤務地を限定する合意がない場合には、

会社は転勤を命じることができます。

逆に勤務地を限定する合意があれば、

その範囲を超える転勤は命じられません。

第二段階権利の濫用にあたらないかです。

判例は次の場合に濫用となるとしています。

  • 業務上の必要性が存在しない場合
  • 不当な動機・目的がある場合
  • 労働者に通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせる場合

そして令和6年4月からは、

就業の場所の変更の範囲を労働条件通知書に明示することが義務づけられました。

つまりどこまで転勤があり得るかを書面で示すことになったのです。

そのうえで、全体を確認します。

  • 「望まない転勤はない」と言われて入社した
  • 約10年勤続した
  • 転勤命令が出た
  • 拒否した
  • 会社の意向に反したとして制裁降格処分となった
  • 担当はシェアトップの稼ぎ頭のエリアだった
  • 降格後、支店全体の売上が落ちた
  • 「お前のエリアが落ちたからだ」と毎回会議で詰められた
  • 所属長は会議で徹底的に個人攻撃した
  • 支社長が上長の責任にも言及したがかわされた
  • 業績が持ち直すと「自分が指導したから」と手柄に転換された

法律から見ると

降格処分転勤命令が中心の論点です。

体験談で実際に行われていたこと 抵触する条文 何が問題なのか
転勤の拒否を理由に制裁としての降格処分を行った。 労働契約法15条
労働基準法89条9号
懲戒は客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当でなければ無効制裁の種類と程度は就業規則に記載周知されていなければならない。
勤務地を限定する説明を受けて入社していた。 労働契約法7条
8条
労働基準法15条
勤務地限定の合意があれば転勤命令の根拠を欠く令和6年4月から就業の場所の変更の範囲の明示が義務となった。
降格に伴い賃金が引き下げられた可能性がある。 労働契約法8条
9条
労働基準法91条
労働条件の不利益変更には合意が必要制裁としての減給は賃金総額の10分の1が上限であり、降格による賃金減額は別途相当性が問われる
支店全体の売上減少の責任を特定の個人に帰していた。 労働施策総合推進法
30条の2
事実に反する責任の追及を反復すること「精神的な攻撃」にあたり得る。会議という場での実施は他の労働者の面前にあたる。
上位者が指導の在り方に言及しても、改善されなかった。 労働施策総合推進法
30条の2
(措置義務)
事業主には事実関係の確認と行為者への措置、再発防止措置の義務がある。認識しながら是正しないことは措置義務の不履行
業績回復を自らの指導の成果として説明していた。 労働契約法3条4項
労働施策総合推進法30条の2
評価は公正に行われるべきもの成果の帰属を恣意的に操作することは人事評価の信頼性を損なう。
約10年の勤続の後に転勤命令が出されている。 労働契約法7条
(労働契約の内容の推定)
長期間にわたり特定の勤務地で就労した実績勤務地限定の黙示の合意を推認させる事情となり得る。
降格処分について、事前の説明や弁明の機会が確認できない。 労働契約法15条
(懲戒手続の相当性)
懲戒処分には適正な手続が求められる。弁明の機会の付与を欠く処分は相当性を否定する事情となる。

※ 引用した条文は2026年8月時点のものです。実際の判断は個別の事情によります。

この会社を糾弾する

この記事の要点を順に述べます。

まず「制裁降格処分」という言葉です。

ここが決定的です。

降格には二種類あります。

  • 人事権の行使としての降格 (適性や能力に基づく配置の変更)
  • 懲戒処分としての降格 (規律違反に対する制裁)

そしてこの件は「制裁」と明示されています。

つまり懲戒処分です。

懲戒処分には厳格な要件があります。

労働基準法89条9号は表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項を就業規則に記載せよとしています。

つまりどういう場合に、どの程度の処分をするかが書かれていなければなりません。

そして労働契約法15条です。

使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする

ここで問われるのは転勤の拒否が懲戒事由にあたるかです。

そしてその前提として転勤命令自体が有効かが問われます。

投稿者は「望まない転勤はない」と言われていました。

これが勤務地を限定する合意と評価されれば、

転勤命令自体が効力を持ちません。

そして無効な命令に従わなかったことを理由とする懲戒は、

当然に無効です。

ここで10年という期間が効いてきます。

10年同じ場所で働いたことは、

勤務地限定の合意を推認させる事情になり得ます。

次に降格後です。

ここがこの記事の核心です。

事実を並べます。

  • 投稿者の担当はシェアトップのエリアだった
  • 他エリアの未達をカバーしていた
  • 降格後支店全体の売上が落ちた

ここから導かれる結論は一つです。

この方を外したことが売上減の原因である可能性が高い。

ところが会社の説明は逆でした。

「売上が落ちたのはお前の担当のエリアの売上が落ちたからだ」。

ここを整理します。

降格したのは会社です。

担当を変えたのも会社です。

そして結果が悪くなったのです。

これは会社の判断の結果です。

そして会議の場でそれが行われました。

「所属長は会議の場で徹底的に個人攻撃」。

厚生労働省の指針は「精神的な攻撃」の例として、

必要以上に長時間にわたる厳しい叱責を繰り返し行うこと

他の労働者の面前における威圧的な叱責を繰り返し行うことを挙げています。

そして支社長が介入しました。

「上長の責任もあるだろう」と言ったのです。

これは正しい認識です。

ですが上長はかわしました。

そして会社はそこで止めたのです。

ここが措置義務の問題です。

認識していたのです。

それでも是正しなかった。

最後に手柄の転換です。

「自分が会議でしっかり指導したから売上が持ち直したんだ」。

投稿者はその動機まで見抜いています。

「パワハラ告発を気にしたのか」。

つまり叱責を指導と言い換えたのです。

そして結果が出たのは自分のおかげと主張する。

ここまで来れば評価の仕組みが機能していないことは明らかです。

そして転勤という制度そのものについても触れておきます。

転勤は日本の雇用慣行の一つです。

会社の側には人材の育成、拠点間の調整、不正の防止といった目的があります。

ですが働く側の事情も変わりました。

  • 共働きが前提になった
  • 介護を担う人が増えた
  • 持ち家や子の就学がある

そこで勤務地限定という選択肢を設ける会社が増えています。

そして令和6年4月の改正で、

就業の場所の変更の範囲を明示することが義務となりました。

つまり口頭の約束ではなく書面で残る時代になったのです。

この方の場合、

「望まない転勤はない」という説明が口頭だった可能性があります。

ですから申し上げます。

入社時の説明で重要なものは、書面にしてもらってください。

そしていまお勤めの方も労働条件通知書を確認してください。

最後にこの方の結論を確認します。

「呆れてモノが言えず、そのまま在職しても自分にとってプラスはないと確信しました」。

この判断は妥当です。

10年勤めた会社です。

簡単な判断ではなかったでしょう。

ですが降格は取り消されず

個人攻撃も止まらず

成果は上長のものにされたのです。

ここで残る道を考えます。

  • 降格処分の有効性を争う
  • ハラスメントの相談窓口に申し出る
  • あっせんを申請する
  • 退職する

どれを選んでも構いません。

そして退職してからでも争えることを申し添えます。

降格による賃金の差額賃金請求権の時効当面3年の範囲で請求の余地があります。

この会社は、辞めて構わない

3つの理由を述べます。

  • 1. 説明と違う運用をされたら、10年の実績も守られない
    「望まない転勤はない」と言われて入ったのです。10年守られたものが一度で覆るのであれば、今後の約束も同じです。
  • 2. 数字が示していても、説明が変わらない
    支店全体の売上が落ちたのです。つまり原因は個人ではありません。それでも個人に帰されたのですから、成果を出しても評価されません。
  • 3. 上位者が指摘しても改まらないなら、社内に是正の力がない
    支社長が言及したのにかわされて終わったのです。これ以上の手が社内にありません。

もし今、同じ状況にいるなら

  • 1. 採用時の説明を、書面で探す
    労働条件通知書、募集要項、面接時のメールを確認してください。令和6年4月からは就業の場所の変更の範囲の明示が義務です。限定の合意を示す資料があれば転勤命令の根拠を争えます。
  • 2. 降格処分の根拠を、就業規則で確認する
    制裁の種類と程度が就業規則にどう書かれているかを見てください。労働基準法106条により周知されるべきものです。記載がなければ処分の根拠を欠きます。
  • 3. 会議での発言は、日付と内容で記録する
    いつ、誰が、何を言ったかを書き留めてください。同席者も重要です。支社長が言及したという事実は会社が認識していたことの証拠になります。相談先は総合労働相談コーナー(無料・予約不要)です。

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