女性は正規雇用になれない!?人件費削減を理由に手段を選ばない追い込みで、退職に追い込まれる…。

基本的に企業が一番削減したいコストって人件費なんだなと社会に出て一年目で知りました。
まず、働き始めてから女性の正規雇用の人がほとんどいなかったです。組合に聞くと、ほとんどの女性が3年以内に辞めていくということでした。その理由として、女性は産休や育休を取るので、その間にお給料を払わないといけないため、コストが嵩むから正規雇用の契約をなかなかしてくれないということでした。
「産休取ると嫌味を言われる」「育休すると嫌な顔されたり嫌がらせ受けたりする」というニュースが話題になりますけど、私に言わせればこれはまだマシ。
女だからって理由で雇用すらしてもらえない会社が世の中にはたくさんあるんです。
私が働いていた時は、3年間は単年契約にしておいて、そのまま正規雇用にしないということがよく行われていました。その方が家賃手当など削減できるし、年齢が嵩むほどお給料も上がるので、若い人の割合を高めにしておきたいということがあったそうです。実際に私は入社して3ヶ月で次年度は契約しない旨言われ、上司には子供を産んで育てるのも女の幸せだからと言われました。
鬱病になる人も何人かいて、休職せざるを得なくなった人を何人か見ましたが、その人たちを辞めさせるようにその人が働いてたポストに優秀な人材を入れて、戻りにくくしたり、管理職が気に入らない人たちは本人が望んでいない部署に飛ばすなどしていました。
働いている全体の人数が少ないので、管理職が思いのままに一人一人を動かしていたように思います。
みんブラ事務局の所見:「産休でコストが嵩むから正社員にしない」は均等法違反。しかもその前提は事実に反する。
「産休を取るから正社員にしない」という理屈
この体験談は、マタニティハラスメントのさらに一歩手前で起きている差別を記録しています。投稿者の言葉が、その本質を突いています。
「『産休取ると嫌味を言われる』『育休すると嫌な顔されたり嫌がらせ受けたりする』というニュースが話題になりますけど、私に言わせればこれはまだマシ。女だからって理由で雇用すらしてもらえない会社が世の中にはたくさんあるんです」。
状況を確認します。この方が働き始めて気づいたのは、女性の正規雇用の人がほとんどいないということでした。組合に聞くと、ほとんどの女性が3年以内に辞めていくという。
その理由として説明されたのが、これです。「女性は産休や育休を取るので、その間にお給料を払わないといけないため、コストが嵩むから正規雇用の契約をなかなかしてくれない」。
そして実際の運用。「3年間は単年契約にしておいて、そのまま正規雇用にしないということがよく行われていました」。
その狙いも明確に語られています。「その方が家賃手当など削減できるし、年齢が嵩むほどお給料も上がるので、若い人の割合を高めにしておきたい」。
そして投稿者自身の結末。入社して3か月で、次年度は契約しない旨を告げられました。そのとき上司から言われた言葉が——
「子供を産んで育てるのも女の幸せだから」。
さらにこの職場では、鬱病になって休職せざるを得なくなった人が何人もいました。その人たちに対する扱いがこうです。「その人たちを辞めさせるようにその人が働いてたポストに優秀な人材を入れて、戻りにくくしたり、管理職が気に入らない人たちは本人が望んでいない部署に飛ばすなどしていました」。
投稿者の分析はこうです。「働いている全体の人数が少ないので、管理職が思いのままに一人一人を動かしていたように思います」。
法律から見ると、これは何にあたるのか
この会社で行われていたことを条文と突き合わせます。これは労務管理の是非ではなく、明確な差別の問題です。
| 体験談で実際に行われていたこと | 抵触する条文 | 何が問題なのか |
|---|---|---|
| 女性は産休・育休でコストが嵩むという理由で、正規雇用の契約をしなかった。 | 男女雇用機会均等法 5条・6条 |
募集・採用について性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならず(5条)、配置・昇進・雇用形態の変更などについて性別を理由とする差別的取扱いは禁止されている(6条)。 |
| 女性のみ3年間の単年契約とし、正規雇用に転換しない運用がなされていた。 | 労働契約法18条 男女雇用機会均等法6条 |
有期契約が通算5年を超えれば無期転換を申し込む権利が発生する。5年に達する前に雇止めを繰り返す運用は、制度の潜脱と評価され得る。性別を基準とするなら差別にもあたる。 |
| 「子供を産んで育てるのも女の幸せだから」と告げて契約終了を伝えた。 | 男女雇用機会均等法 11条の3 |
妊娠・出産に関する固定的な性別役割分担意識に基づく言動は、職場環境を害するハラスメントにあたり得る。契約を終了する理由として述べたのであれば、性別を理由とする不利益取扱いを自ら示したことになる。 |
| 家賃手当などのコスト削減と、若い人の割合維持を目的としていた。 | 労働契約法17条2項 労働契約法19条 |
有期労働契約について、使用者は必要以上に短い期間を定めて反復更新しないよう配慮する義務を負う。更新の期待が生じている場合、客観的合理性と社会通念上の相当性を欠く雇止めは無効となり得る。 |
| 休職者のポストに別の人材を入れ、復職しにくい状況を作っていた。 | 労働契約法5条 労働契約法16条 |
使用者は安全配慮義務を負う。復職を困難にして退職に追い込む行為は、解雇権濫用法理の潜脱にあたり得る。 |
| 管理職が気に入らない人を、本人が望まない部署へ異動させていた。 | 労働契約法3条5項 | 業務上の必要性を欠き、不当な動機・目的でなされた配置転換は権利の濫用として無効となり得る。 |
※ 引用した条文は2026年8月時点のものです。実際の判断は個別の事情によります。
この事例で最も重要な条文を、はっきり示します。男女雇用機会均等法5条と6条です。
均等法5条——「事業主は、労働者の募集及び採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない」。
均等法6条——配置、昇進、降格、教育訓練、福利厚生、職種および雇用形態の変更、退職の勧奨、定年、解雇、労働契約の更新について、性別を理由として差別的取扱いをしてはならない。
この事例に当てはめてみてください。「女性は産休・育休を取るから正規雇用にしない」——これは雇用形態の選択において性別を理由とした差別的取扱いをしているということです。弁解の余地はありません。
そして、この理屈の誤りも指摘しておきます。産前産後休業や育児休業の期間中、会社が賃金を支払う義務は法律上ありません。無給とすることが一般的で、労働者は健康保険から出産手当金、雇用保険から育児休業給付を受け取ります。
つまり「その間にお給料を払わないといけないため、コストが嵩む」という説明は、前提から事実に反しています。社会保険料の免除制度もあります(産前産後休業・育児休業期間中の保険料は、申出により事業主負担分も含めて免除されます)。差別の理由として持ち出された経済的根拠が、そもそも正確ではないのです。
もうひとつ、労働契約法18条の無期転換ルールについて。有期労働契約が通算5年を超えて更新された場合、労働者は無期労働契約への転換を申し込む権利を得ます。この会社が「3年間は単年契約」としていたのは、5年に達する前に区切りをつける意図があったと見るのが自然でしょう。
「女の幸せ」で契約を切る会社を糾弾する
ここからは、事務局として率直に書きます。
この体験談で最も許しがたいのは、契約終了を告げる際の一言です。
「子供を産んで育てるのも女の幸せだから」。
この言葉を、入社3か月で契約打ち切りを告げる場面で発したという事実に注目してください。
もしこれが純粋な人生観の表明なら、契約の話とは無関係な場面で語られるはずです。ところが実際には、雇用を打ち切る通告とセットで出てきた。
この構造が意味することは明快です。「あなたはどうせ結婚して子供を産むのだから、この職を失っても構わないだろう」——慰めの形をとった、差別の合理化です。
そして、この一言は会社が自ら証拠を差し出しているとも言えます。性別と無関係な理由で契約を終了したのであれば、この言葉が出てくる必然性はありません。「女だから」という判断があったことを、当人が言葉にしてしまっている。
そして、この会社の計算について。「その方が家賃手当など削減できるし、年齢が嵩むほどお給料も上がるので、若い人の割合を高めにしておきたい」。
ここには、働く人を「若いうちだけ使って入れ替える資源」として扱う発想が露骨に表れています。経験を積んだ人材が育たないことも、毎年採用と教育をやり直すことも、コストとして計上されていません。
そして組合の説明にも触れておきます。投稿者は組合に聞いてこの事情を知りました。つまり組合はこの運用を把握していたということです。把握しながら、変えられていない。本来なら、団体交渉の中心的な議題になるべき問題です。
そして休職者への扱い。「その人が働いてたポストに優秀な人材を入れて、戻りにくくしたり」。
これは巧妙です。解雇すれば労働契約法16条の問題になります。ところが「席を埋める」だけなら、形式上は誰も何もしていないことになる。そして戻る場所がないと知った本人が、自分から辞める。責任は誰にも生じません。
投稿者が最後に書いた一文が、この会社の本質を言い当てています。「働いている全体の人数が少ないので、管理職が思いのままに一人一人を動かしていたように思います」。
ルールではなく、個人の裁量で人事が決まる。小規模な組織で最も起こりやすく、最も是正が難しい状態です。
なぜ、この会社からは今すぐ動くべきなのか
第一に、努力では変えられないからです。成果を上げても、勤怠が良好でも、「女性だから正規雇用にしない」という方針の前では何の意味も持ちません。この方は入社3か月で契約終了を告げられています。評価される期間すら与えられていない。
第二に、3年という区切りが最初から決まっているからです。「ほとんどの女性が3年以内に辞めていく」「3年間は単年契約にしておく」——入った時点で、期限が設定されている。その3年を、キャリアが積み上がらない場所で費やす合理性はありません。
第三に、この扱いは法律違反だからです。「うちの会社の方針だから」で済む話ではありません。男女雇用機会均等法5条・6条に反する取扱いであり、労働局が事業主に対して助言・指導・勧告を行える事案です。泣き寝入りする必要はありません。
いま同じ状況にいる人が、今日のうちにやるべき3つのこと
- 1. 「女性だから」と言われた言葉を、そのまま記録する
「子供を産んで育てるのも女の幸せだから」のような発言は、性別を理由とする取扱いがあったことを示す極めて重要な証拠です。いつ、誰が、どういう場面で言ったかをそのまま書き残してください。要約すると威力が落ちます。あわせて男女別の正規・非正規の人数、契約更新の実績など、把握できる範囲で数字も記録してください。数字は個人の主観を超えた証拠になります。 - 2. 雇止めの通告は、理由を書面で求める
有期契約の更新をしないと告げられた場合、更新しない理由の説明を書面で求めてください。有期労働契約が反復更新されていたり、更新への合理的な期待が生じていたりする場合、客観的合理性と社会通念上の相当性を欠く雇止めは無効となり得ます(労働契約法19条)。3年で区切る運用が慣例化しているなら、それ自体が期待を生む事情にもなります。 - 3. 労働局の「雇用環境・均等部(室)」へ
性別を理由とする募集・採用・雇用形態の差別は、各都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)が管轄で、事業主への助言・指導・勧告の権限を持っています。相談は無料です。また均等法には紛争解決援助の制度もあります。組合がある職場なら、この運用を団体交渉の議題にするよう求めることも選択肢のひとつです。相談したことを理由とする不利益な取扱いは禁止されています。
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