週3日契約が週5日に…研修もないのに「研修期間の時給」が続いたジムの実態

以前私はスポーツジムでアルバイトしていました。そちらに入社した時期が春休みだったこともあり、アルバイトの大学四年生達が一気にやめてしまったのでかなりの人手不足でした。
週3日の契約でしたが、毎日のように社員から「今日出勤できませんか?」と電話がかかってきたり、アルバイトの方からも「代行お願いできませんか?」とLINEが来ていました。
社員からのお願いを断っても押しが強く、何の予定があるのか、何で出勤できないのかをしつこく聞かれ、嘘をつくのが苦手な私は大学生でありながらも週5で1日6時間、夜の12時まで働いていました。
たくさん出勤しても全然研修の時間を割いてくれず、もちろんその分時給も研修期間の時給だったので全然稼げませんでした。
サービス業だったので、施設紹介や会員種別の説明をする際のお客様との会話がはずむようにトレーニング中でしたが、やっと時間を割いてくれた研修で上司にうまく話せないと「何にも仕事できないね」「向いてないね」と言われたり、座っている椅子を蹴られたりもしました。
私は耐えきれず、そこの職場をやめることにしたのですが、その際も「何の職業ならできると思ってるの?」「ここで働いてる人は人柄の良い人ばかりだからやめられないって言うのに、あなたは人柄よりお金で決めるんだね、へえ」とまで言ってきました。
勤務時間、勤務内容、上司の態度など全部含めて考えても、やめて正解だったと思います。
みんブラ事務局の所見:最低賃金の減額には労働局長の許可が要る。会社が勝手に「研修期間だから安い」と決めることはできない。
研修期間の時給を、いつまでも続けることはできない
この体験談で見過ごされやすい違法から取り上げます。
投稿者はこう書いています。
「たくさん出勤しても全然研修の時間を割いてくれず、もちろんその分時給も研修期間の時給だったので全然稼げませんでした」。
ここには二重のおかしさがあります。
第一に、研修をしていないのです。
第二に、それでも研修期間の時給だったのです。
つまり研修期間という名目だけが残っている状態です。
ここで最低賃金法7条を確認します。
この条文は最低賃金の減額の特例を定めています。
対象となるのは次のような場合です。
- 精神または身体の障害により著しく労働能力が低い者
- 試の使用期間中の者
- 認定職業訓練を受ける者
- 軽易な業務に従事する者
- 断続的労働に従事する者
そして重要なのはここです。
使用者が都道府県労働局長の許可を受けた場合に限られます。
つまり会社が勝手に「研修期間だから安い」と決めることはできません。
そのうえで、全体を確認します。
- 春休みに大学4年生が一斉に辞め、人手不足だった
- 契約は週3日だった
- 社員から毎日のように出勤要請の電話が来た
- 断っても押しが強く、理由をしつこく聞かれた
- 実際は週5日・1日6時間・夜12時まで働いた
- 研修の時間は割いてもらえなかった
- それでも時給は研修期間のままだった
- 「何にも仕事できないね」「向いてないね」と言われた
- 座っている椅子を蹴られた
- 退職を申し出ると「何の職業ならできると思ってるの?」と言われた
法律から見ると
シフトの変更と試用期間の賃金が中心の論点です。
| 体験談で実際に行われていたこと | 抵触する条文 | 何が問題なのか |
|---|---|---|
| 研修が行われていないにもかかわらず、研修期間の時給が続いていた。 | 最低賃金法7条 労働基準法15条 |
最低賃金の減額には都道府県労働局長の許可が必要。使用者が任意に低い時給を続けることはできず、賃金は明示すべき労働条件である。 |
| 週3日の契約に対し、実際は週5日の勤務になっていた。 | 労働基準法15条 労働契約法8条 9条 |
所定労働日数は明示すべき労働条件。労働条件の変更には労働者の合意が必要で、一方的な変更はできない。 |
| 出勤要請を断った際に、理由をしつこく問いただしていた。 | 労働施策総合推進法30条の2 シフト制労働者の 雇用管理の留意事項 |
私生活の予定への過度な立ち入りは「個の侵害」にあたり得る。シフトの決定は労使の話し合いによるべきである。 |
| 上司が「何にも仕事できないね」「向いてないね」と述べていた。 | 労働施策総合推進法 30条の2 |
人格・能力を全否定する言動は「精神的な攻撃」の典型例。指導は内容を伝えるものであり、適性の否定は指導ではない。 |
| 座っている労働者の椅子を蹴る行為があった。 | 刑法208条 労働施策総合推進法30条の2 |
暴行は2年以下の拘禁刑等。物を介した有形力の行使も暴行にあたる。指針の「身体的な攻撃」に該当する。 |
| 退職の申出に対し、人格に触れる発言で応じていた。 | 民法627条1項 労働施策総合推進法30条の2 |
期間の定めのない契約は2週間前の申入れで終了する。退職を思いとどまらせるための人格攻撃は退職妨害としても問題となる。 |
| 大学生に対し、夜12時までの勤務が常態化していた。 | 労働基準法37条4項 労働安全衛生規則45条 |
午後10時から午前5時は深夜業として25%以上の割増が必要。深夜業に常時従事する者には6か月ごとの健康診断。 |
| 人手不足の解消をアルバイトの追加出勤で埋めていた。 | 労働契約法5条 労働基準法15条 |
要員の確保は使用者の責任。契約の日数を超える就労を反復して求めることは契約内容の実質的な変更にあたる。 |
※ 引用した条文は2026年8月時点のものです。実際の判断は個別の事情によります。
このジムを糾弾する
この記事の要点を順に述べます。
まずシフトの押し込みです。
契約は週3日でした。
実際は週5日です。
ここで重要なのはどうやってそうなったかです。
投稿者はこう書いています。
「社員からのお願いを断っても押しが強く、何の予定があるのか、何で出勤できないのかをしつこく聞かれ」。
ここが問題の中心です。
断ることはできたのです。
形の上では「お願い」です。
ですが断ると理由を問いただされる。
これは断りにくくする仕組みです。
そしてこの方は「嘘をつくのが苦手」だと書いています。
つまり正直な人ほど入れられるのです。
ここで厚生労働省の考え方を紹介します。
厚生労働省はシフト制労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項を公表しています。
そこでは労働契約の締結時に始業・終業時刻や労働日をできる限り明確にすること、
そしてシフトの作成・変更は労使の十分な話し合いによることが求められています。
断れば詰められるのは話し合いではありません。
次に研修です。
ここには矛盾があります。
会社の言い分はこうでしょう。
「まだ研修中だから時給が低い」。
ですが同時に週5日出勤させているのです。
研修中の人に店を任せていることになります。
つまり戦力として数えながら、賃金は見習い扱いということです。
そして研修の時間は割かない。
ここまで来れば「研修期間」は賃金を抑えるための名目だと見るのが自然です。
そしてこの記事で最も許しがたい部分です。
「やっと時間を割いてくれた研修で上司にうまく話せないと」。
ここを読んでください。
研修の場です。
研修とはできないことをできるようにする場です。
できないのが前提なのです。
そこで返ってきたのがこれでした。
「何にも仕事できないね」。
「向いてないね」。
そして椅子を蹴られた。
これは暴行です。
身体に直接触れていなくても、
物を介した有形力の行使は暴行にあたります。
最後に退職を告げたときです。
「何の職業ならできると思ってるの?」。
「ここで働いてる人は人柄の良い人ばかりだからやめられないって言うのに、あなたは人柄よりお金で決めるんだね、へえ」。
ここをはっきり申し上げます。
この方はお金で決めていません。
投稿者自身が書いています。
「勤務時間、勤務内容、上司の態度など全部含めて」と。
そして人柄という言葉を持ち出すなら、
椅子を蹴る行為はどう説明されるのでしょうか。
そして深夜12時までという点にも触れます。
この方は大学生です。
そして20歳ですから年少者の規定はかかりません。
ですが22時から24時は深夜業です。
25%以上の割増賃金が必要になります。
そして研修期間の時給から計算されるのですから、
基礎額そのものが低いのです。
つまり二重に損をしています。
そして翌日の授業があります。
夜12時に終われば帰宅は1時前後でしょう。
これが週5日です。
学業との両立は成立していません。
そして人手不足という背景について述べます。
投稿者は「大学四年生達が一気にやめてしまった」と書いています。
4年生は卒業と就職で抜けます。
これは毎年同じ時期に起きることです。
つまり予測可能なのです。
予測できる欠員に備えていなかったのは会社の責任です。
そしてその穴を残ったアルバイトに埋めさせた。
ここで循環が始まります。
- 人が足りない
- 残った人に出勤を頼む
- 負担が増えて辞める
そして1に戻ります。
この方も辞めました。
つまり会社のやり方が人手不足を深めているのです。
最後にこの方の判断について述べます。
投稿者はこう締めくくっています。
「勤務時間、勤務内容、上司の態度など全部含めて考えても、やめて正解だったと思います」。
この判断は正しいです。
そして20歳でこの判断ができたことは大きい。
退職を告げたときの言葉を思い出してください。
「何の職業ならできると思ってるの?」。
これは外の世界でも通用しないぞというメッセージです。
この種の言葉は辞めさせないために使われます。
ですが事実ではありません。
この職場で評価されなかったのは研修を受けていないからです。
そして研修をしなかったのは会社です。
教えずに「できない」と言うのは評価ではありません。
そして技能は職場に紐づきません。
接客も説明も教われば身につくものです。
教える職場に移れば普通に伸びます。
こういう職場は、今すぐ辞めていい
3つの理由を述べます。
- 1. 断る理由を問われる職場では、契約が意味を持たない
週3日という契約を結んだ意味がなくなります。予定を説明できなければ出勤という運用では、私生活が会社の審査にかかることになります。 - 2. 研修で「向いてない」と言う上司から、学べることはない
教える場で否定するのは、教える意思がないということです。そして椅子を蹴るのは暴行です。技能は身につかず恐怖だけが残ります。 - 3. 学生の時間は、取り返せない
週5日・夜12時まででは授業にも支障が出ます。研修期間の時給のままですから得るものも少ない。続ける合理性がありません。
もし今、同じ状況にいるなら
- 1. 契約書の所定労働日数を、確認する
労働条件通知書に週の所定労働日数と時間が書かれているはずです。労働基準法15条により書面等での明示が義務です。それを超える出勤は任意であり、理由を説明する義務はありません。 - 2. 「用事があるので出られません」で足りる
予定の内容を言う必要はありません。嘘をつく必要もありません。しつこく問われた場合はそのやり取りを記録してください。「個の侵害」の資料になります。 - 3. 研修期間の時給は、根拠を確認できる
いつまでが研修期間かを契約書で確認してください。最低賃金を下回る場合は都道府県労働局長の許可が必要です。相談先は労働基準監督署(匿名申告も可)、暴行・暴言は総合労働相談コーナー(無料・予約不要)です。
この体験談に近いケース
この体験談に近いケースとして、あわせて読まれている記事です。
- 扶養内パートのはずがフルタイム地獄。契約と違うシフトの押し込み。
- 研修期間の給料ってこれが普通なの?毎日14時間も働いたのに。
- パート使い捨て!都合よく使われ頑張り損という職場の構造。
- 熱血指導のつもり?人前で怒る・人格否定はパワハラです。
この記事を読んで「うちの会社も同じだ」と感じた方は、ページ上部のブラック度から5段階で投票してください。投稿された体験談とあわせて、職場の実態を可視化していきます。





・広告、犯罪に関する内容、他人が不快になる誹謗中傷コメントは、書き込みは禁止です(削除させていただきます)。
・投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権、(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利も含む)その他の権利につき(第三者に対して再許諾する権利を含みます。)、サイト運営者に対し、無償で譲渡することを承諾します。
・投稿者は、サイト運営者に対して、著作者人格権を一切行使しないことを承諾します。