長時間労働・激務の結果、もらった給料にガッカリ。「研修期間」を理由にボランティア残業にされていた。

最終的には2年働いた子供の写真スタジオの研修期間のことです。採用して頂いた時は、研修期間は月14万円の残業代ありということで説明を受けていました。
入社した時は丁度七五三シーズンに差し掛かったところで、スタジオが1番忙しい時期でした。週1回の休み、勤務時間は毎日13~14時間。休みも少なくあまりの長時間勤務に驚きましたが、これだけ働けばお給料が増えると思い頑張りました。その月の勤務時間は300時間をゆうに超えていました。
どれくらいのお給料になるのだろうと楽しみにしておりましたが、翌月地獄を見るのです。お給料日、通帳を確認すると振り込まれた額は13万円程でした。会社に確認したところ、「残業代は研修期間は出ません」とのこと。研修期間の時間外の勤務は、いわゆるボランティア残業ということにされていたのです。
説明を受けた時にきちんと残業代がいつから出るのか聞かなかったのでこちらにも非がありますが、いくらなんでも残業代が出ないのに働かせすぎだと憤りを感じざるを得ませんでした。残業の内容も、仕事が終わらないから帰れないのではなく、予約が入っていてお客様がいらっしゃるので帰れないという状態で、普通の勤務です。
人生で初めて、見合ったお給料が貰えなかったと感じ、支給額のあまりの少なさに泣きました。
みんブラ事務局の所見:労働基準法に「研修期間は除く」という規定はない。月300時間で13万円は時給433円である。
「研修期間だから残業代なし」という制度は存在しない
この記事の論点は一つです。先に結論を述べます。
労働基準法に「研修期間は除く」という規定はありません。
試用期間であっても、研修期間であっても、労働者は労働者です。
時間外労働には25%以上の割増賃金が必要です(労基法37条)。
そして、仮に「研修期間は残業代を出さない」という合意があったとしても——
労働基準法13条によりその部分は無効となり、法律の基準によることになります。
そのうえで、数字を確認します。
- 採用時の説明は「研修期間は月14万円の残業代あり」
- 入社時は七五三シーズンでスタジオが1番忙しい時期だった
- 週1回の休み、勤務時間は毎日13〜14時間
- その月の勤務時間は300時間をゆうに超えていた
- 振り込まれたのは13万円程
- 確認すると「残業代は研修期間は出ません」
- 時間外の勤務はいわゆるボランティア残業にされていた
- 残業の内容は仕事が終わらないから帰れないのではなく、予約が入っていてお客様がいらっしゃるので帰れないという状態で、普通の勤務だった
この最後の一項目が決定的です。
自主的な居残りではなく、予約された業務だったのです。
法律から見ると
月300時間という数字を軸に整理します。
| 体験談で実際に行われていたこと | 抵触する条文 | 何が問題なのか |
|---|---|---|
| 「研修期間は残業代が出ない」として、時間外の割増賃金を支払わなかった。 | 労働基準法37条 13条 119条 |
労働基準法に「研修期間は除く」という規定はない。法定基準に達しない労働条件を定める部分は無効となり、無効となった部分は法律の基準による。 |
| 月の勤務時間が300時間を優に超えていた。 | 労働基準法32条 36条 |
月の法定労働時間はおよそ174時間。300時間なら126時間超が時間外労働となり、単月100時間未満という絶対的上限を超える。 |
| 毎日13〜14時間の勤務が常態化していた。 | 労働基準法32条 34条 37条 |
1日8時間が原則で、8時間超の勤務には1時間の休憩が必要。1日あたり5〜6時間の時間外労働が毎日発生している計算になる。 |
| 休みが週1回しかなかった。 | 労働基準法35条 | 毎週少なくとも1回の休日という最低基準はかろうじて満たすが、月300時間の労働と組み合わさることで健康障害のリスクが著しく高まる。 |
| 採用時に説明した「残業代あり」という条件と実際が異なっていた。 | 労働基準法15条 職業安定法5条の3 65条 |
賃金や労働時間は明示すべき労働条件。相違する場合、労働者は即時に労働契約を解除でき、虚偽の条件による募集は罰則の対象となる。 |
| 予約が入っているために帰れない状態を「ボランティア残業」としていた。 | 労働基準法32条 37条 |
顧客の予約に対応する業務は、使用者の指揮命令下にある労働である。「ボランティア」という呼び方によって労働時間でなくなることはない。 |
| 月300時間の労働に対し、健康確保の措置が取られていない。 | 労働安全衛生法 66条の8 66条の8の3 |
月80時間超の時間外労働があった労働者への通知義務と、申出があった場合の医師による面接指導が事業者に義務づけられている。 |
※ 引用した条文は2026年8月時点のものです。実際の判断は個別の事情によります。
この会社を糾弾する
まず、投稿者の自己評価を訂正します。
この方はこう書いています。
「説明を受けた時にきちんと残業代がいつから出るのか聞かなかったのでこちらにも非がありますが」。
非はありません。
理由は2つです。
第一に、説明する義務は会社の側にあります。
労働基準法15条は使用者に労働条件の明示を義務づけています。
賃金や労働時間は書面で明示すべき事項です。
労働者が質問しなかったから免除される、という仕組みではありません。
第二に、そもそも説明されていました。
採用時の説明は「研修期間は月14万円の残業代あり」でした。
「残業代あり」と言われているのです。
それが後から「研修期間は出ません」に変わりました。
聞かなかったのではなく、説明が覆されたのです。
次に、300時間という数字を検討します。
月の法定労働時間はおよそ174時間です。
300時間なら126時間超が時間外にあたります。
時間外労働の絶対的な上限は単月100時間未満です。
上限を26時間以上超えています。
そして支払われたのは13万円程でした。
300時間で割ると時給はおよそ433円です。
最低賃金を大きく下回ります。
ここでもう一つの違反が見えてきます。
説明では月14万円でした。実際は13万円程です。
基本の額すら下回っているということです。
そして、残業の中身です。
投稿者は正確に説明しています。
「残業の内容も、仕事が終わらないから帰れないのではなく、予約が入っていてお客様がいらっしゃるので帰れないという状態で、普通の勤務です」。
この区別が重要です。
「仕事が遅いから」という言い訳すら成り立たないのです。
会社が予約を入れた。だから帰れない。
業務量を決めたのは会社の側です。
そして、この会社が七五三シーズンに新人を入社させたことも見ておく必要があります。
1番忙しい時期です。
その時期に人を入れ、研修期間という名目で残業代を払わない。
最も人手が要る時期に、最も安く働く人員を確保していたことになります。
投稿者は最後にこう書いています。
「人生で初めて、見合ったお給料が貰えなかったと感じ、支給額のあまりの少なさに泣きました」。
もう一点、この会社の言い方について指摘します。
「残業代は研修期間は出ません」。
この一文は制度の説明のように聞こえます。
「うちの制度ではそうなっている」と言われれば、新人は疑いません。
ですが、そのような制度はそもそも作れません。
労働基準法は強行法規です。
就業規則にも、雇用契約書にも、法定基準を下回る定めを置くことはできません。
置いたとしてもその部分は無効になり、法律の基準に置き換わります。
つまり、この会社が言ったのは制度の説明ではなく、存在しない制度の話でした。
そして、それを最も忙しい時期に入った新人に告げている。
確認する余裕も、調べる時間もない相手を選んでいます。
そして、この会社はその後2年間、この方を雇い続けました。
投稿者は冒頭に「最終的には2年働いた」と書いています。
つまり研修期間が終わった後も在籍していたのです。
ここで一つ、確認しておくべきことがあります。
研修期間中の未払い分も、賃金請求権の時効3年の範囲で請求できます。
その後に正規の扱いになったからといって、過去の未払いが消えることはありません。
そして、この記事を読む方に一つ伝えておきます。
「試用期間」と「研修期間」は、労働基準法上の用語ではありません。
会社が社内で使っている呼び名にすぎません。
呼び名が何であれ、働いた時間には賃金が発生し、法定時間を超えれば割増賃金が付きます。
入社初日から、同じ基準が適用されます。
そして、この会社が新人に伝えた言葉と、実際に支払った額の差をもう一度確認します。
説明は「月14万円の残業代あり」。
実際は「13万円程、残業代なし」。
残業代がないだけでなく、基本の額も下回っています。
2つの約束が、同時に破られていたということです。
この会社は七五三シーズンという最も売上が立つ時期に最も安い労働力を確保していました。
繁忙期の利益が、新人の未払い残業で支えられていたことになります。
そして投稿者は「これだけ働けばお給料が増えると思い頑張りました」と書いています。
期待して働いた分が、そのまま裏切られたのです。
働いた時間に対する対価が払われなかっただけでなく、約束された金額すら下回っていました。
この2つは、別々に請求できます。
この会社は、今すぐ労基署へ相談すべきである
この方は最終的に2年働いています。3点述べます。
未払いの割増賃金と、約束を下回った基本額。この2つは別々に請求できます。
- 1. 未払いの残業代は、3年分請求できる
賃金請求権の時効は3年です。月300時間の月が含まれていれば、相当な金額になります。写真スタジオは予約管理システムと撮影データの記録が残る業種です。いつ何時に撮影したかは、必ず記録に存在します。 - 2. 最低賃金を下回っていた可能性が高い
13万円÷300時間=時給約433円です。最低賃金額未満の定めは無効となり、最低賃金額で契約したものとみなされます(最賃法4条)。差額も請求の対象です。 - 3. 月300時間は、健康に関わる水準
過労死ラインは月80時間の時間外労働とされています。月300時間なら時間外は126時間超。1.5倍を超えています。繁忙期だから仕方ない、で済ませてよい数字ではありません。
もし今、同じ状況にいるなら
- 1. 採用時の説明を、書面で確認する
労働条件通知書の交付は使用者の義務です。「研修期間の賃金はいくらで、残業代はどう扱われますか」とメールで確認すれば、回答そのものが記録になります。求人票も必ず保存してください。 - 2. 勤務時間は、自分でも記録する
毎日の出退勤時刻をメモしてください。予約表・撮影データのタイムスタンプ・店舗の開閉記録・スマホの位置情報履歴も客観的な資料になります。月300時間なら、記録があれば一目でわかる違反です。 - 3. 「研修期間だから」と言われたら、条文を確認する
労働基準法に研修期間の例外はありません。試用期間中でも、入社初日でも、割増賃金は発生します。相談先は労働基準監督署(割増賃金・労働時間・最低賃金/匿名申告も可)へ。
この体験談に近いケース
この体験談に近いケースとして、あわせて読まれている記事です。
- 医療系職種の体験談5選。「勉強だから残業代は出ない」は成り立ちません。
- 「残業するのが当たり前」と言う無能な上司・会社で消耗し続けた体験談3選。
- 給料未払いで悩まされた体験談まとめ。請求方法は?どこに相談すればよいのか?
- 求人情報・面接時と話が違うんだが…。「誤表記」は免責になりません。
この記事を読んで「うちの会社も同じだ」と感じた方は、ページ上部のブラック度から5段階で投票してください。投稿された体験談とあわせて、職場の実態を可視化していきます。





・広告、犯罪に関する内容、他人が不快になる誹謗中傷コメントは、書き込みは禁止です(削除させていただきます)。
・投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権、(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利も含む)その他の権利につき(第三者に対して再許諾する権利を含みます。)、サイト運営者に対し、無償で譲渡することを承諾します。
・投稿者は、サイト運営者に対して、著作者人格権を一切行使しないことを承諾します。