インストラクターの仕事は、年配の生徒に教材などを無理やり売りつけること。客のことは一切考えない徹底した成果主義と拝金主義。

業務委託という形で某パソコン教室のインストラクターをしていました。
交通費支給、時給950円で契約しました。ブラック企業だと思った点は多々ありますが、まず勤務時間、15分前~勤務開始があたりまえ、昼休憩も1時間のはずが15分前には戻って働かされる、勤務終了後も業務日報をぎっしり書かされる(約15分)、これで毎日45分くらいはサービス残業させられました。
他にも、受講生(主に年配の方)に営業トークをさせられ、教材などを無理やり売らされました。
1コマ50分の授業になり、ほとんどの方は平均1日2コマ受講して帰られるのですが、帰られる際に営業トークで延長しませんか?と勧誘しなくてはいけない。
明らかに嫌な顔をされる方もいるのにかかわらず、担当した生徒全員に声かけ、教室長がそれを常に監視してきます。
毎朝行う朝礼でもお金の話ばかりで、社長はお金儲けのことしか考えていないんだろうなと感じました。
教室長の上にエリアマネージャーがおり、教室を巡回しにくるのですが、その人も売り上げの話ばかり。口ばかりで自分は何もせず、威圧的な感じで命令ばかりしてきました。社員は売り上げが上がれば給料にプラスされるため、時給の業務委託をこき使って売り上げを上げるのに必死でした。
みんブラ事務局の所見:時給制の「業務委託」は労働者性が強く推認される。売っても得をしない人が、嫌な役割を負わされていた。
「業務委託」でも、時給制なら労働者の可能性が高い
この記事でまず押さえるべき点があります。
投稿者は「業務委託という形で」働いていました。
ですが、契約の中身を見てください。
「交通費支給、時給950円で契約しました」。
時給制です。
業務委託(請負・委任)は仕事の完成や事務の処理に対して報酬を支払う契約です。
「何時間働いたか」で報酬が決まるのは、労働の対償という性質を強く示します。
さらに——
- 15分前出勤が当たり前
- 昼休憩の時間が決められている
- 勤務終了後に業務日報を書かされる
- 営業トークが義務づけられている
- 教室長が常に監視している
これらはすべて指揮命令下にあることを示しています。
実態が労働者であれば、契約書の名称にかかわらず労働基準法が全面的に適用されます。
そのうえで、全体を確認します。
- 15分前〜勤務開始が当たり前
- 昼休憩も1時間のはずが15分前には戻って働かされる
- 勤務終了後も業務日報をぎっしり書かされる(約15分)
- 合計して毎日45分くらいのサービス残業
- 受講生(主に年配の方)に営業トークをさせられ、教材などを無理やり売らされた
- 帰られる際に「延長しませんか?」と勧誘しなくてはいけない
- 明らかに嫌な顔をされる方がいるにもかかわらず、担当した生徒全員に声かけ。教室長がそれを常に監視
- 朝礼でもお金の話ばかり
- 社員は売上が上がれば給料にプラスされるため、時給の業務委託をこき使って売上を上げるのに必死だった
法律から見ると
この事例は労働法と消費者保護法の両方に関わります。
| 体験談で実際に行われていたこと | 抵触する条文 | 何が問題なのか |
|---|---|---|
| 「業務委託」としながら、時給制で勤務時間や休憩を管理していた。 | 労働基準法9条 (労働者性の判断) |
労働者にあたるかは契約の名称ではなく実態で判断される。時給制であること、勤務時間の拘束、業務内容への指揮命令は、いずれも労働者性を強く示す要素である。 |
| 15分前出勤・休憩の切り上げ・勤務後の日報で、毎日45分の未払い時間があった。 | 労働基準法32条 34条 37条 |
始業前の準備や終業後の日報作成も、義務づけられていれば労働時間。休憩は労働時間の途中に、自由に利用させる必要がある。 |
| 受講生に対し、担当した全員への勧誘を義務づけていた。 | 特定商取引法 41条・44条 (特定継続的役務提供) |
パソコン教室は特定継続的役務に含まれ、一定の期間・金額を超える契約には規制が及ぶ。事実と異なる説明や、故意に不利益な事実を告げない行為は禁止されている。 |
| 嫌がる受講生にも勧誘を続けるよう求めていた。 | 特定商取引法 44条 消費者契約法4条3項 |
威迫して困惑させる勧誘は禁止。退去を求められたのに勧誘を続けた場合、その契約は取り消しの対象となり得る。 |
| 教室長が勧誘の実施を常に監視していた。 | 労働施策総合推進法 30条の2 |
業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制は「過大な要求」。過度な監視も就業環境を害する要素となる。 |
| 業務委託を理由に、社会保険・労災の手続きが行われていない場合。 | 健康保険法 厚生年金保険法 労働者災害補償保険法3条 |
実態が労働者であれば、要件を満たす限り加入は事業主の義務。労災保険は加入手続きの有無にかかわらず労働者に給付される。 |
| 時給制の従事者に売上責任を負わせ、社員の成績に反映させていた。 | 労働契約法3条2項 労働施策総合推進法 30条の2 |
就業の実態に応じた均衡が求められる。成果が反映されない立場の者に成果責任だけを負わせる構造は、公正な処遇とはいえない。 |
※ 引用した条文は2026年8月時点のものです。実際の判断は個別の事情によります。
この教室を糾弾する
この記事の問題は2つの層に分かれます。
インストラクターの被害と受講生の被害です。
まず、毎日45分という数字から。
内訳はこうです。
- 始業15分前の出勤
- 昼休憩を15分早く切り上げ
- 終業後の業務日報15分
1日45分は短く見えます。
ですが月20日勤務なら月15時間。
年間180時間です。
時給950円で計算すれば年間17万1千円。
これが毎年、支払われていなかったことになります。
そして、この45分はいずれも業務です。
始業前の準備も、終業後の日報も、義務づけられていれば労働時間です。
特に休憩の切り上げは悪質です。
休憩時間は労働者が自由に利用できなければなりません。
15分前に戻ることが決められているなら、その15分は休憩ではありません。
次に、受講生の被害です。
ここが、この記事の本当に重い部分です。
「受講生(主に年配の方)に営業トークをさせられ、教材などを無理やり売らされました」。
そして——
「明らかに嫌な顔をされる方もいるのにかかわらず、担当した生徒全員に声かけ、教室長がそれを常に監視してきます」。
この構造をはっきりさせます。
インストラクターは、受講生に信頼されている立場です。
パソコンがわからない年配の方にとって、教えてくれる人は頼れる存在です。
その信頼関係を、販売に使わせているのです。
断りにくいのは当然です。次もこの人に教わるのですから。
ここで、受講生の側の権利も書いておきます。
パソコン教室は、特定商取引法の「特定継続的役務」に含まれます。
一定の期間と金額を超える契約にはクーリング・オフや中途解約の制度が適用されます。
強引な勧誘で契約させられた場合、解約できる可能性があるのです。
そして、この構造の最も歪んだ点を指摘します。
投稿者はこう書いています。
「社員は売り上げが上がれば給料にプラスされるため、時給の業務委託をこき使って売り上げを上げるのに必死でした」。
整理します。
- 売る人:時給950円の業務委託。売っても報酬は増えない
- 得をする人:社員。売上が給料に反映される
- 断りにくい人:年配の受講生
嫌な役割を負うのは、得をしない人でした。
投稿者は嫌な顔をされることに耐えながら、その売上で他人の給料が上がるのを見ていたのです。
そして、この構造には逃げ場がありません。
投稿者は業務委託です。
売上を上げても報酬は時給950円のまま。
売らなければ教室長に監視される。
つまり頑張る理由も、サボる余地もないのです。
そして、この立場に置かれると受講生への申し訳なさだけが積み重なります。
投稿者が「客のことは一切考えない徹底した成果主義と拝金主義」と感じたのは当然でした。
もう一点、朝礼についても触れておきます。
「毎朝行う朝礼でもお金の話ばかり」と書かれています。
パソコン教室の朝礼で本来共有すべきことは受講生の進捗、つまずきやすい単元、教え方の工夫のはずです。
売上の話しか出ないなら、この教室が何を事業の中心に置いていたかは明らかです。
そしてエリアマネージャーも売上の話ばかりで、口ばかりで自分は何もしないと書かれています。
売る負担は現場に、成果は上にという構造が一貫しています。
最後に、受講生の側から見た問題をもう一段掘り下げます。
この教室では1コマ50分の授業を1日2コマ受講する方がほとんどでした。
そして帰り際に「延長しませんか?」と勧誘される。
この場面を想像してください。
100分の授業を終えた直後です。
年配の方にとって、慣れない操作を100分続けた後は判断力が落ちている時間帯です。
そのタイミングで契約の追加を持ちかけているのです。
特定商取引法が特定継続的役務にクーリング・オフや中途解約権を設けているのは、まさにこうした場面を想定しているからです。
その場で断れなくても、後から解約できる余地を法律が残しているのです。
そして、それを受講生に伝える立場にいたのがインストラクターでした。
ですが、この教室では売ることだけが求められ、解約の権利を伝える余地はなかったでしょう。
この教室は、今すぐ辞めていい
3つの理由を述べます。
- 1. 「業務委託」の壁は、実態で崩せる
時給制、勤務時間の拘束、業務内容への指示、監視。これらがそろっていれば労働者性は強く推認されます。労働者と認められれば、毎日45分の未払い分も3年分請求できます。「業務委託だから」と諦める必要はありません。 - 2. 加担した記憶は、あとから重くなる
嫌がる年配の方に教材を売った記憶は、辞めた後も本人の中に残ります。在籍が長いほど、その件数は増えます。早く離れることは、自分の心を守る行為でもあります。 - 3. インストラクターの技能は、他でも活きる
パソコンを人に教える技能は、企業内研修、公共施設の講座、職業訓練など幅広く需要があります。売上のためではなく、教えるために教えられる職場は存在します。
もし今、同じ状況にいるなら
- 1. 契約書と、実際の働き方を並べる
業務委託契約書・報酬の計算方法・シフト表・日報の控え・出退勤の記録をそろえてください。「時給で計算されている」という事実は、労働者性を示す最も分かりやすい要素です。労働基準監督署は労働者性の判断も含めて相談に応じます。 - 2. 45分は、記録すれば取り戻せる
毎日の出勤時刻・休憩の実態・日報を書き終えた時刻をメモしてください。教室のパソコンのログイン記録も客観的な資料になります。「15分前に来るよう指示された」という記録があれば、自主的な行動ではないことが示せます。 - 3. 相談先は、労働と消費者で分かれる
サービス残業・休憩・労働者性は労働基準監督署(匿名申告も可)。強引な勧誘・過大な要求は各都道府県労働局の総合労働相談コーナー。受講生の被害については消費者ホットライン「188」で相談できます。
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