明細に単価が書かれていない…退職を申し出ても半年辞めさせてもらえなかった

大阪で深夜に個人宅への牛乳配達をしていました。
まず、面接時に聞いていた勤務時間と、実際勤務しだしてからの勤務時間とでは全く異なりました。
完全出来高制でしたが、単価も面接時に聞いていたものとは全く異なり、そうとも知らず自分の給料日に知ることになりました。給与明細も明確な単価は記載されておらず、手書きで金額が書かれているのみで、最初に聞いていたことと違う旨を直接伝えても、納得ができる返答が返ってきたことは、一度もありませんでした。
退職を考え、退職希望を伝えると、人手不足だのの会社の都合で辞めさせてもらえず、結局その後半年間勤務することとなりました。
会社の雰囲気も非常に悪く、社長に気に入られてないものは、皆冷たい態度で接せられて、自分の居場所を見つけることすら困難な職場でした。
無理な勤務を強いられることも多々あり、休日にも関わらず電話があり、急な出勤も毎週のようにありました。そのため、十分な休息が得られず、体調不良も起こしやすかったような気がします。ストレスも関係していたかもしれません。
何より給与がきちんと支払われなかったことが一番我慢できませんでしたし、人間関係に嫌気がさしました。肉体労働でもありましたので、それも合わさって全てが辛かったです。
みんブラ事務局の所見:出来高払制でも賃金台帳への労働時間の記入は義務。退職に会社の承諾は要らない。
給与明細に単価が書かれていないことは、それ自体が問題である
この体験談ですべての土台になっている問題から取り上げます。
投稿者はこう書いています。
「給与明細も明確な単価は記載されておらず、手書きで金額が書かれているのみ」。
ここを整理します。
労働基準法108条は賃金台帳の調製を義務づけています。
そして労働基準法施行規則54条が記入すべき事項を定めています。
- 氏名
- 性別
- 賃金計算期間
- 労働日数
- 労働時間数
- 時間外労働・休日労働・深夜労働の時間数
- 基本給、手当その他賃金の種類ごとの額
- 控除の額
ここで重要なのは労働日数と労働時間数です。
完全出来高制であってもこれらの記入は省けません。
なぜなら労働基準法27条があるからです。
出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない。
つまり労働時間を把握していなければ保障給を計算できません。
そして最低賃金の判定もできません。
そのうえで、全体を確認します。
- 深夜の個人宅への牛乳配達だった
- 面接で聞いた勤務時間と実際が全く違った
- 完全出来高制だった
- 単価も面接で聞いたものと全く違った
- それを給料日に知った
- 給与明細に単価の記載がなく、手書きの金額だけだった
- 違う旨を伝えても納得できる返答は一度もなかった
- 退職を申し出ても人手不足を理由に認められず、半年勤務した
- 社長に気に入られない者は冷たく扱われた
- 休日にも電話があり、急な出勤が毎週のようにあった
法律から見ると
出来高払制と退職の自由が中心の論点です。
| 体験談で実際に行われていたこと | 抵触する条文 | 何が問題なのか |
|---|---|---|
| 給与明細に単価が記載されず、手書きの金額のみが示されていた。 | 労働基準法108条 同施行規則54条 |
賃金台帳には労働日数・労働時間数・賃金の種類ごとの額を記入する義務がある。虚偽の記入や記入漏れは30万円以下の罰金。 |
| 完全出来高制でありながら、労働時間に応じた保障給の定めがない。 | 労働基準法27条 | 出来高払制その他の請負制で使用する労働者については労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない。出来高が少ない月でも保障給は必要。 |
| 面接で説明された勤務時間・単価と実際が全く異なっていた。 | 労働基準法15条 15条2項 職業安定法5条の3 |
労働条件の明示は書面等で行う義務。相違があれば労働者は即時に契約を解除できる。募集時にも的確に示す義務がある。 |
| 退職の申出に対し、人手不足を理由に退職を認めなかった。 | 民法627条1項 労働基準法5条 |
期間の定めのない契約は2週間前の申入れで終了する。会社の承諾は不要。強制労働は1年以上10年以下の拘禁刑等の重い罰則。 |
| 深夜時間帯の配達について、割増賃金の扱いが不明である。 | 労働基準法37条4項 | 午後10時から午前5時は深夜業として25%以上の割増が必要。出来高払制でも深夜割増は別途発生する。 |
| 休日にも連絡があり、急な出勤が毎週のようにあった。 | 労働基準法35条 36条 労働時間等設定改善法2条 |
毎週少なくとも1回の休日が必要で休日労働には36協定と35%以上の割増が要る。勤務時間外の連絡の抑制も求められている。 |
| 社長の意向により、従業員の扱いに差が生じていた。 | 労働施策総合推進法 30条の2 労働契約法3条4項 |
特定の労働者を冷遇し孤立させることは「人間関係からの切り離し」にあたり得る。 |
| 十分な休息が取れず体調不良が生じやすい状態だった。 | 労働契約法5条 労働安全衛生規則45条 |
安全配慮義務。深夜業に常時従事する者には6か月以内ごとに1回の健康診断が必要である。 |
※ 引用した条文は2026年8月時点のものです。実際の判断は個別の事情によります。
この会社を糾弾する
この記事の核心は単価が見えないことです。
順に見ていきます。
完全出来高制は違法ではありません。
配達の件数に応じて賃金が決まる仕組み自体は成立します。
ただし条件があります。
単価がわかっていることです。
単価がわからなければいくらになるか計算できません。
つまり働く前に対価が決まっていないということです。
これは契約として成り立っていません。
そしてこの会社では面接で聞いた単価と実際が違ったのです。
しかもそれを給料日に知った。
つまり1か月働いた後です。
そして明細を見ても確認できません。
「手書きで金額が書かれているのみ」だからです。
ここで何件配達したかと単価はいくらかがわからなければ、
正しい額かどうか検算できません。
これがこの会社の設計です。
そして投稿者は抗議しています。
「最初に聞いていたことと違う旨を直接伝えても、納得ができる返答が返ってきたことは、一度もありませんでした」。
一度もです。
説明できないのは説明する根拠がないからでしょう。
次に退職です。
ここが最も重い部分です。
「退職希望を伝えると、人手不足だのの会社の都合で辞めさせてもらえず、結局その後半年間勤務することとなりました」。
半年です。
ここをはっきり申し上げます。
退職に会社の承諾は要りません。
民法627条1項はこう定めています。
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
「終了する」と書いてあります。
「会社が認めれば終了する」ではありません。
そして人手不足は会社の事情です。
採用するのも、要員を確保するのも会社の仕事です。
それを辞めたい人に負わせることはできません。
最後に休日の電話です。
「休日にも関わらず電話があり、急な出勤も毎週のようにありました」。
毎週です。
つまり休日が休日として機能していないのです。
そして深夜の仕事です。
昼夜が逆転した生活で休日にも呼ばれるのですから、
睡眠のリズムが定まりません。
投稿者が「十分な休息が得られず、体調不良も起こしやすかった」と書いたのは当然の帰結です。
そして完全出来高制という仕組みをもう一段整理します。
この仕組みには使う側の利点があります。
働いた時間を数えなくてよいと思われがちだからです。
ですがそれは誤解です。
労働基準法27条の保障給は労働時間に応じと書かれています。
つまり時間を把握していなければ計算できません。
そして深夜割増も同じです。
牛乳配達は深夜から早朝に行われます。
午後10時から午前5時は深夜業ですから、
その時間帯に働いた分には25%以上の割増が必要です。
これは出来高の単価とは別に発生します。
つまり件数×単価だけで終わる仕組みは、
そもそも法律の要求を満たしていないのです。
そして時効は当面3年です。
退職から3年以内であれば、
深夜割増と保障給の不足分を請求する余地があります。
そして賃金台帳は会社に保存義務があります。
手元に明細がなくても諦める必要はありません。
そして半年という期間をもう一度見てください。
退職を申し出てから半年です。
法律上必要なのは2週間です。
つまり5か月半が余計に拘束された計算になります。
その間も単価は不明のままでした。
そして休日にも呼ばれていたのです。
ここで申し上げます。
会社が認めないから辞められないという状況は、
法律上は存在しません。
存在するのは言い出しにくいという事実だけです。
だからこそ書面が効きます。
そして面接での説明に戻ります。
勤務時間も単価も違ったのです。
つまり賃金と労働時間という契約の中心部分が両方とも食い違っています。
ここで労働基準法15条2項が効きます。
明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
つまり2週間すら待つ必要がなかったのです。
そして就業のために住居を変更した場合には、
14日以内に帰郷する労働者に対して使用者は必要な旅費を負担しなければならないとも定められています。
そしてこの方が一番我慢できなかったことを確認します。
「何より給与がきちんと支払われなかったことが一番我慢できませんでした」。
これは金額の多寡だけの話ではありません。
約束が守られなかったことへの怒りです。
そして説明もされなかった。
働くことは信頼を前提にしています。
その前提が崩れれば続ける理由がありません。
そしてその怒りは正当です。
賃金は労働の対価であり、
生活の基盤です。
そこを曖昧にする会社は働く人を軽く見ています。
そして肉体労働であることも忘れないでください。
牛乳のケースは重く、階段の上り下りもあります。
深夜にそれを続ければ腰と膝への負担が蓄積します。
厚生労働省の職場における腰痛予防対策指針は、
重量物の取扱いと作業姿勢についての配慮を求めています。
こういう会社は、今すぐ辞めていい
3つの理由を述べます。
- 1. 単価を説明できない会社とは、交渉が成立しない
一度も納得できる返答がなかったのです。次も同じでしょう。そして明細に根拠が書かれていない以上、検算もできません。 - 2. 退職に承諾は要らない
民法627条1項により申入れから2週間で終了します。人手不足は会社の事情であり、引き留めの法的な根拠にはなりません。 - 3. 深夜勤務で休日も呼ばれるなら、身体が回復しない
昼夜逆転の生活はそれだけで負担です。そこに毎週の呼び出しが加わります。回復する時間がありません。
もし今、同じ状況にいるなら
- 1. 配達件数を、自分で数えて記録する
日付ごとの件数を記録すれば、給与額 ÷ 件数で実際の単価が逆算できます。それを面接で聞いた単価と比べてください。差額が請求の対象です。 - 2. 賃金台帳の記載事項を、確認する
労働基準法108条と施行規則54条により労働日数・労働時間数・賃金の種類ごとの額の記入が義務です。記載のない明細はそれ自体が申告の材料になります。 - 3. 退職届は、内容証明郵便で出す
口頭で断られるのであれば書面にしてください。内容証明郵便ならいつ出したかが記録に残ります。相談先は労働基準監督署(賃金・労働時間、匿名申告も可)です。
この体験談に近いケース
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- 給料未払いで悩まされた体験談。請求方法とどこに相談するか。
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この記事を読んで「うちの会社も同じだ」と感じた方は、ページ上部のブラック度から5段階で投票してください。投稿された体験談とあわせて、職場の実態を可視化していきます。





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