勤務表に0時以降が入力できない…存在しないクレームで賞与を止められていた

プログラマーをしていた頃の話です。大学4年からその会社でバイトとして入り、そのまま就職。他の会社の給与形態を知らずに入った為、ブラックとは気付きませんでした。
朝9時に出勤し、深夜2時に会社を出る、という生活を送っていましたが、勤務表には0時以降の入力が出来ないようになっていました。会社に相談しても、「他の会社でも同様だから文句を言うな」といった感じ。
定期的に社長と話す機会があり、都度「取引先からクレームが来た」と言われ、昇給は無し。ボーナス時期にも同様に、クレームが入っているからペナルティとしてボーナスは無し、という具合。
でも実際は、派遣先からのクレームは無かったのです。心身共に限界が来た時、会社を辞める旨を取引先に話した際(何度もクレームを出させて申し訳ないとお詫びした)、発覚しました。取引先の上司から「クレームを出すようなことは今までされたことが無い」と言われ、誰から自社の社長にクレームが行ったのか確認するよう言われ確認しましたが、私が聞いても教えてくれず、取引先の上司に連絡してもらったところ、嘘と発覚しました。
自社に辞職をお願いした時に、クレームが沢山きた分の損失を払えだの何だの言われたのに、あれは何だったのか。
退職後に仕事を探していた時、他社のプログラマーと話して、更に驚きました。皆、少なくとも私の倍の金額の給与を貰っていたんです。私は手取りで13万円。家賃・光熱費や交通費で殆どなくなってしまう。
そして退職後数年経った頃。会社の事務員の方から手紙が届きました。退職金の支払いをしなければならなくなった、とのことでした。辞める時、退職金は迷惑料として支払わないと言われました。それが数年経って今更!?という感じでした(といっても、3千円でしたが)。
その手紙の中には、会社の書類とは別に、事務員の方からの手書きのお手紙が入っていました。実は私に対して、取引先から会社に50万円入っていた。それを思うと気の毒で、給与の振り込み手続きをするのが辛かった。何もできなかったことが申し訳なかった、という内容でした。
みんブラ事務局の所見:存在しない事実を根拠にした評価は査定ではない。裁量の範囲を超えた権利の濫用である。
存在しないクレームを理由に賃金を抑えることは、査定ではない
この体験談で最も悪質な部分から取り上げます。
投稿者はこう書いています。
「定期的に社長と話す機会があり、都度「取引先からクレームが来た」と言われ、昇給は無し」。
そしてこう続きます。
「でも実際は、派遣先からのクレームは無かったのです」。
ここをはっきり申し上げます。
これは査定ではありません。
人事評価には使用者の裁量が認められます。
誰をどう評価するかは基本的に会社が決めます。
ですが限界があります。
労働契約法3条4項は権利の濫用があってはならないと定めています。
そして存在しない事実を根拠にする評価は、
裁量の範囲を超えています。
ここで重要なのは反論の機会がなかったことです。
クレームが来たと言われても、
いつ、誰から、どういう内容かが示されていません。
投稿者は「私が聞いても教えてくれず」と書いています。
つまり検証できないのです。
そのうえで、全体を確認します。
- 大学4年からバイトで入り、そのまま就職した
- 他社の給与形態を知らなかった
- 朝9時出勤、深夜2時退社だった
- 勤務表には0時以降を入力できない仕組みだった
- 相談すると「他の会社でも同様だから文句を言うな」と言われた
- 「クレームが来た」を理由に昇給なしだった
- ボーナスも同じ理由でなしだった
- そのクレームは存在しなかった
- 退職時に「損失を払え」と言われた
- 手取りは13万円で他社の半分だった
- 退職金は「迷惑料」として不支給とされた
- 数年後に3千円が支払われた
- 事務員の手紙で取引先から会社に50万円が入っていたと知った
法律から見ると
労働時間の記録と賃金が中心の論点です。
| 体験談で実際に行われていたこと | 抵触する条文 | 何が問題なのか |
|---|---|---|
| 勤務表に0時以降の時刻を入力できない仕組みにしていた。 | 労働安全衛生法66条の8の3 労働基準法108条 |
客観的方法による労働時間の状況の把握が事業者の義務。入力できない設計は把握の放棄であり、賃金台帳への労働時間数の記入義務も果たせない。 |
| 深夜2時までの勤務に対する割増賃金が支払われていない。 | 労働基準法37条 37条4項 24条 |
8時間超は25%以上、午後10時から午前5時はさらに25%以上。時間外と深夜が重なれば5割増となる。不払いは30万円以下の罰金。 |
| 存在しないクレームを理由に昇給と賞与を見送っていた。 | 労働契約法3条4項 民法709条 |
虚偽の事実に基づく評価は裁量の範囲を超える。賃金を不当に抑える目的があれば不法行為として損害賠償の対象となり得る。 |
| 評価の根拠を求めても具体的な内容が示されなかった。 | 労働契約法4条 個人情報保護法33条 |
使用者は労働条件について労働者の理解を深めるようにするものとされる。本人に関する保有個人データの開示請求も可能である。 |
| 退職の申出に対し、損失の支払いを求める発言をしていた。 | 労働基準法16条 民法627条1項 |
違約金や損害賠償額をあらかじめ定めることは禁止。退職は申入れから2週間で成立し、会社の承諾は不要である。 |
| 退職金を「迷惑料」として支払わないと述べていた。 | 労働基準法11条 89条3号の2 24条 |
就業規則等に定めがあれば退職金は賃金である。支給条件は就業規則の相対的必要記載事項であり、一方的な不支給はできない。 |
| 取引先からの入金額と本人の賃金に大きな差があった。 | 労働基準法15条 最低賃金法4条 |
受注額と賃金が一致する必要はないが、実労働時間で割った額が最低賃金を下回れば無効。深夜2時までの実態で計算し直す必要がある。 |
| 長時間労働が継続し、心身の限界に至っていた。 | 労働契約法5条 労働安全衛生法66条の8 |
安全配慮義務。時間外・休日労働が月80時間を超える場合の医師による面接指導が定められている。 |
※ 引用した条文は2026年8月時点のものです。実際の判断は個別の事情によります。
この会社を糾弾する
この記事の構造をはっきりさせます。
三重の仕掛けがあります。
- 記録を取らせない
- 比べさせない
- 嘘の理由で賃金を抑える
順に見ていきます。
まず記録です。
「勤務表には0時以降の入力が出来ないようになっていました」。
ここを読んでください。
設計なのです。
うっかり記録し忘れたのではありません。
入力できないようにしてあるのです。
つまり0時以降の労働があることを会社は知っていたことになります。
知らなければ制限をかける必要がありません。
そして相談した時の答えがこれでした。
「他の会社でも同様だから文句を言うな」。
これが二つ目の仕掛けです。
比べさせないのです。
投稿者は「他の会社の給与形態を知らずに入った」と書いています。
大学4年からバイトで入り、そのまま就職したのですから、
比べる相手がいないのです。
そこに「他社も同じだ」と言われれば、
そういうものだと思います。
そして実際はどうだったか。
「皆、少なくとも私の倍の金額の給与を貰っていたんです」。
倍です。
そして三つ目です。
ここがこの記事の核心です。
存在しないクレームです。
手口を分解します。
- 定期的に面談を設ける
- 「クレームが来た」と告げる
- 内容は明かさない
- それを理由に昇給と賞与を止める
ここで面談という形式が効いています。
面談をすれば評価の手続きを踏んでいるように見えます。
そして本人が納得したという外形も作れます。
ですが中身が虚偽でした。
そしてこの方はそれを信じていたのです。
証拠はこの一文です。
「何度もクレームを出させて申し訳ないとお詫びした」。
辞めるときに取引先に謝ったのです。
そしてそこで嘘が発覚しました。
取引先の上司はこう答えています。
「クレームを出すようなことは今までされたことが無い」。
ここで失われたものを考えてください。
賃金だけではありません。
何年もの間、自分は仕事ができないと思わされていたのです。
これは取り返しがつきません。
そして最後に事務員の手紙です。
「実は私に対して、取引先から会社に50万円入っていた。それを思うと気の毒で、給与の振り込み手続きをするのが辛かった」。
ここで整理します。
受注額と賃金が一致する必要はありません。
会社は社会保険料、事務所の費用、営業の費用を負担しています。
ですから差が出ること自体は当然です。
問題はその差の大きさと、
嘘で賃金を抑えていたことです。
そしてこの手紙が示すのはもう一つのことです。
社内の人は知っていたのです。
それでも何もできなかった。
これがこの職場の空気です。
そして退職金の件にも触れます。
「辞める時、退職金は迷惑料として支払わないと言われました」。
ここを整理します。
退職金は法律上必ず払うものではありません。
ですが就業規則や労働協約に定めがあれば賃金になります。
労働基準法89条3号の2は退職手当の定めをする場合には適用される労働者の範囲、決定・計算・支払の方法、支払の時期を就業規則に記載せよとしています。
そして賃金であれば24条の全額払いがかかります。
つまり「迷惑料」として差し引くことはできません。
そして数年後に3千円が支払われました。
この金額の小ささが示すのは、
そもそも争う価値もない額を止めていたということです。
つまり金銭の問題ではなかったのでしょう。
辞める人を罰することが目的だったと見えます。
そして時効に触れます。
賃金請求権は当面3年です。
深夜2時までの記録が残っていれば、
時間外と深夜の割増は相当な額になります。
そして事務員の方の手紙をもう一度読みます。
「何もできなかったことが申し訳なかった」。
この一文が示すのは、
社内で声を上げる手段がなかったことです。
事務員の方は給与の振込を担当していました。
つまり金額を知っていたのです。
そして入金額も知っていた。
それでも言えなかったのです。
ここに小さな会社の難しさがあります。
言えば誰が言ったかすぐにわかります。
そして自分の職も危うくなる。
だからこそ外部の窓口が意味を持ちます。
労働基準監督署への申告は匿名でもできます。
そして申告を理由とする不利益取扱いは労働基準法104条2項で禁止されています。
こういう会社は、今すぐ辞めていい
3つの理由を述べます。
- 1. 記録できない仕組みは、意図的である
0時以降を入力できないのは設定です。知らなかったのではなく、知っていて隠しているのです。指摘しても変わりません。 - 2. 評価の根拠を示さない相手とは、改善できない
何が悪いのかわからないのですから、直しようがありません。そしてそもそも存在しなかったのです。努力が報われる構造ではありません。 - 3. 「他社も同じ」は、確かめれば崩れる
実際に他社のプログラマーは倍の給与でした。比べればわかるのです。比べさせない会社ほど差が大きいと考えてください。
もし今、同じ状況にいるなら
- 1. システムに入らない時間は、自分で記録する
入退館の記録、パソコンの起動と終了、コミット履歴、メールの送信時刻が有力な資料です。勤務表と実態の差がそのまま未払いの時間になります。 - 2. クレームを告げられたら、内容を書面で求める
「いつ、どなたから、どのような内容のご指摘がありましたか」とメールで尋ねてください。答えられないこと自体が資料になります。そしてやり取りが残ります。 - 3. 相場を知ることが、最初の防御である
求人情報、転職サイト、同業の知人で相場は確かめられます。賃金請求権の時効は当面3年ですから、退職後でも割増賃金を請求できます。相談先は労働基準監督署(匿名申告も可)です。
この体験談に近いケース
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- 「タイムカード切ってから残業だからな?」記録を残さない手口。
この記事を読んで「うちの会社も同じだ」と感じた方は、ページ上部のブラック度から5段階で投票してください。投稿された体験談とあわせて、職場の実態を可視化していきます。





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