契約書には加入と記載、保険料は天引き…源泉徴収票も離職票も出ない会社

私が働いていた職場は、初めは試用期間として雇用され、その後正社員として雇用してもらいました。正社員として雇用してもらう際に雇用契約書を交わしていました。雇用保険にも加入していると記載されていましたので、安心していました。
ところが、2年勤めて退職した時に分かったのですが、確定申告もしておらず、雇用保険にも加入していませんでした。
源泉徴収票ももらえていなかったので、何回も催促して自分で確定申告をしました。失業保険の手続きも離職票がもらえない為にできませんでした。
こんなにも何もしていない会社は初めてだったので、正直びっくりしました。雇用保険にも入っていないのに給料から天引きされていたので、その分を返してもらいたいくらいです。
妻が子供の保育園の保育料の算定が出来ないと役所から税の申告が来ていると責め立てられ、信用されなくなってしまいました。
もう二度とこのような会社に勤めないように、入る前にはきちんと聞いてから入社しようと思います。お金の管理ができてない会社もあるのだということ、確定申告を自分で申請する事がわかったので、この経験を前向きに考えて次の就職先を探して行きます。
みんブラ事務局の所見:源泉徴収票が出ないなら税務署に不交付の届出書を出せる。雇用保険は原則2年さかのぼって確認できる。
源泉徴収票が出ないなら、税務署に届出書を出せる
この体験談ですぐに使える手続きから取り上げます。
投稿者はこう書いています。
「源泉徴収票ももらえていなかったので、何回も催促して自分で確定申告をしました」。
ここで所得税法226条を確認します。
給与等の支払をする者は、財務省令で定めるところにより、その年において支払の確定した給与等について、その給与等の支払を受ける者の各人別に源泉徴収票二通を作成し、その年の翌年1月31日までに、一通を税務署長に提出し、他の一通を給与等の支払を受ける者に交付しなければならない。
そして退職した場合は、
退職の日以後1か月以内に交付することとされています。
つまり交付は義務です。
そしてここが重要です。
出してもらえない場合の手続きが用意されています。
源泉徴収票不交付の届出書です。
これを税務署に提出すると、
税務署から会社に行政指導が行われます。
用紙は国税庁のウェブサイトから入手できます。
何度も催促する必要はありません。
そのうえで、全体を確認します。
- 試用期間の後正社員となった
- 雇用契約書に雇用保険加入と記載されていた
- 2年勤めて退職時に未加入と判明した
- 雇用保険料は給料から天引きされていた
- 確定申告もされていなかった
- 源泉徴収票が交付されなかった
- 離職票がもらえず失業給付の手続きができなかった
- 保育料の算定ができず役所から通知が来た
- 家族との信頼にも影響した
法律から見ると
社会保険の手続と賃金控除が中心の論点です。
| 体験談で実際に行われていたこと | 抵触する条文 | 何が問題なのか |
|---|---|---|
| 雇用保険に加入させないまま2年間就労させていた。 | 雇用保険法7条 同施行規則6条 |
事業主は被保険者資格の取得届を提出する義務を負う。原則2年さかのぼって資格取得の確認を受けられ、本人からの申出も可能である。 |
| 加入していない雇用保険料を賃金から控除していた。 | 労働基準法24条 刑法252条 |
賃金は全額を支払わなければならない。納付されていない保険料名目の控除は返還を請求できる。 |
| 源泉徴収票が交付されていなかった。 | 所得税法226条 同施行規則93条 |
退職の日以後1か月以内に交付する義務がある。交付されない場合は税務署に源泉徴収票不交付の届出書を提出できる。 |
| 離職票が交付されなかった。 | 雇用保険法施行規則7条 | 離職証明書の提出と離職票の交付は事業主の義務。会社が応じない場合はハローワークが職権で資格喪失の確認を行う手続がある。 |
| 雇用契約書の記載と実際の手続が異なっていた。 | 労働基準法15条 15条2項 |
労働条件の明示は書面等で行う義務。明示された条件と事実が相違すれば労働者は即時に契約を解除できる。 |
| 年末調整が行われず、所得の証明ができない状態が生じた。 | 所得税法190条 地方税法317条の6 |
年末調整は給与の支払者が行うもの。給与支払報告書を市区町村へ提出する義務もあり、これが保育料等の算定の基礎となる。 |
| 健康保険・厚生年金の加入状況も確認が必要となる。 | 健康保険法3条 厚生年金保険法9条 27条 |
法人は業種を問わず強制適用。資格取得届の提出は事業主の義務で、年金記録は2年さかのぼって訂正できる場合がある。 |
| 労働者本人が知らないまま、各種手続が放置されていた。 | 労働基準法106条 労働契約法4条 |
就業規則等の周知義務。使用者は労働条件について労働者の理解を深めるようにするものとされ、説明を怠ることは信義則上の問題となる。 |
※ 引用した条文は2026年8月時点のものです。実際の判断は個別の事情によります。
この会社を糾弾する
この記事は暴言も長時間労働も出てきません。
投稿者自身がこう書いています。
「お金の管理ができてない会社もあるのだ」。
ここを整理します。
管理の問題ではありません。
順に見てください。
まず雇用保険料の天引きです。
「雇用保険にも入っていないのに給料から天引きされていた」。
ここが決定的です。
天引きするには計算が必要です。
賃金額に保険料率をかけ、
明細に記載します。
つまり意図的に行ったのです。
そして納付はしていない。
これはうっかりではありません。
次に契約書です。
「雇用保険にも加入していると記載されていました」。
書面に書いてあったのです。
労働基準法15条は労働条件の明示を義務づけています。
そして明示された条件と事実が相違する場合、労働者は即時に契約を解除できる(15条2項)。
つまり知っていればすぐに辞められたのです。
ですが知る機会がありませんでした。
ここがこの種の被害の特徴です。
退職するまでわからないのです。
そしてこの記事の核心に入ります。
被害の広がりです。
投稿者はこう書いています。
「妻が子供の保育園の保育料の算定が出来ないと役所から税の申告が来ていると責め立てられ、信用されなくなってしまいました」。
ここをよく読んでください。
被害は本人だけではありません。
順に追います。
- 会社が年末調整をしない
- 給与支払報告書が市区町村に出ない
- 所得が把握されない
- 保育料が算定できない
- 役所から通知が来る
- 家族から責められる
つまり会社の手続きの不履行が、家庭の信頼まで壊したのです。
そして失業給付です。
「失業保険の手続きも離職票がもらえない為にできませんでした」。
ここも重要です。
退職直後は収入がゼロになります。
そのための失業給付です。
それが受けられないのです。
そして離職票の交付は事業主の義務です。
雇用保険法施行規則7条は被保険者でなくなった事実のあった日の翌日から起算して10日以内に届け出ることとしています。
ですがこの件ではそもそも加入していなかったのです。
ここで重要な救済を申し上げます。
雇用保険はさかのぼって資格を確認できます。
原則2年です。
そして給与から雇用保険料が天引きされていたことが明らかな期間については、
2年を超えてさかのぼれる場合があります。
この方は天引きされていたのです。
つまり給与明細が決定的な証拠になります。
そして年金についても確認が必要です。
この会社は雇用保険の手続きをしていませんでした。
であれば厚生年金も疑うべきです。
厚生年金保険法9条は適用事業所に使用される70歳未満の者は被保険者とすると定めています。
そして法人であれば業種を問わず強制適用です。
加入していなければどうなるか。
その期間の年金記録が空白になります。
つまり将来受け取る年金額が減るのです。
そして障害年金や遺族年金の要件にも影響します。
確認は年金事務所またはねんきんネットでできます。
そして保険料が天引きされていたのであれば、
2年を超えてさかのぼって記録を訂正できる場合があります。
ここでも給与明細が鍵です。
ですから申し上げます。
給与明細は捨てないでください。
この方が天引きされていたと言えるのも、
明細を見ていたからです。
そしてこの方の締めくくりに触れます。
「もう二度とこのような会社に勤めないように、入る前にはきちんと聞いてから入社しようと思います」。
ここは補わせてください。
この方は聞いていたのです。
そして雇用契約書に書いてあった。
つまり入る前にできることはしていたのです。
それでも防げませんでした。
ですから本当に必要なのは入った後の確認です。
具体的には次のようなことです。
- 入社後数か月で雇用保険の加入をハローワークで確認する
- 年金記録をねんきんネットで確認する
- 健康保険証が交付されたか確認する
- 年末調整の書類を出したか覚えておく
- 翌年源泉徴収票を受け取ったか確認する
いずれも数分でできることです。
そして2年以内に気づけばさかのぼれるのです。
この方が気づいたのは2年後でした。
ぎりぎりです。
そして失業給付の意味を確認しておきます。
雇用保険の基本手当は次の仕事が決まるまでの生活を支えるものです。
そして被保険者であった期間に応じて所定給付日数が決まります。
2年働いていれば要件を満たしていたはずです。
それが受けられなかったのです。
金額にすれば数十万円になることもあります。
これは会社の手続き一つで失われた損害です。
そして次の職場でも同じことが起こり得ます。
ですから確認は習慣にしてください。
年に一度ねんきん定期便が届きます。
その記録に空白がないかを見るだけでも違います。
そしておかしいと思ったら年金事務所へ。
相談は無料です。
そしてこの会社の規模についても一言。
投稿者は「こんなにも何もしていない会社は初めて」と書いています。
つまり他社では普通に行われていたのです。
これらの手続きは特別なものではありません。
社会保険労務士に依頼するか、
あるいは事務担当者が一人いれば回ります。
つまりできなかったのではなくやらなかったと見るべきです。
そして保険料を天引きしていたのですから、
制度を知らなかったわけでもありません。
こういう会社は、今すぐ辞めていい
3つの理由を述べます。
- 1. 手続きをしない会社は、他も同じである
雇用保険、年末調整、源泉徴収票、離職票のすべてが出ていません。健康保険や厚生年金も確認が必要です。 - 2. 気づくのが遅れるほど、取り返せる範囲が狭まる
雇用保険のさかのぼりは原則2年です。年金記録の訂正も期間の制約があります。早く確認するほど有利です。 - 3. 被害が家族に及ぶ
保育料、住民税、各種の証明は所得の把握が前提です。それがなければ生活の手続きが止まります。
もし今、同じ状況にいるなら
- 1. 給与明細の控除欄で、加入状況を確認する
雇用保険料、健康保険料、厚生年金保険料が引かれているかを見てください。そして実際に加入しているかはハローワークと年金事務所で確認できます。 - 2. 源泉徴収票が出ないなら、税務署へ
源泉徴収票不交付の届出書を提出すれば税務署から会社に指導が行われます。給与明細の写しを添えて提出します。催促を続ける必要はありません。 - 3. 離職票がなくても、手続きは進められる
会社が応じない場合、ハローワークが職権で資格喪失の確認を行う手続があります。給与明細、雇用契約書、タイムカードの写しを持って相談してください。
この体験談に近いケース
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この記事を読んで「うちの会社も同じだ」と感じた方は、ページ上部のブラック度から5段階で投票してください。投稿された体験談とあわせて、職場の実態を可視化していきます。





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