始業1時間半前の「勉強」に残業代なし…「死ね」が日常で半年で大勢が辞めた呉服店

私は約3年ほど、呉服企業に勤めておりました。新卒として入社致しましたので初めの頃は酷いなと感じることがあっても「これが社会というものか」と思っておりました。しかし、大学時代の友人や中途で入社した人の話を聞いていると、徐々に会社に問題があるのだなと感じるようになりました。
そこで私が酷いなと感じたことは大きく分けると3つございます。
まず一つ目が、勤務時間です。所定時間が9:30〜18:30の1時間昼休憩の8時間労働なのですが、勉強する為にと1時間〜1時間半前出勤が社内の暗黙のルールとしてありました。勉強時間とは言うものの8:30に出勤しても特に勉強をするわけでもなく、8:30を過ぎて出勤すると上司から指導が入ります。その上、8:30までに出勤していたとしても残業代は一切付きません。
会社として本格的に新卒採用に力を入れるようになってから、この暗黙のルールは無くすと会社から伝えられましたが、9時過ぎに出勤すると結局指導が入ることに変わりはございませんでした。また、残業も毎日少なくとも1時間半は必ずあり、1日の労働時間は12時間近くあり、酷い時には日付が変わっても働くこともありました。
続いて2つ目が言葉です。特に男性の部下に対して上司が発する言葉があまりにも酷かったです。「死ね」や「出来損ない」は日常茶飯事で、とにかく人としての扱い方ではありませんでした。もちろん仕事上でのミスがあった際に指導をするのは当然ですが、行き過ぎた指導があったのは事実です。また、そんな上司の下で育った部下も結局言葉が酷く、後輩や部下に対してまともな接し方をしておりませんでした。その結果、入社半年以内に退職する新入社員が大勢いました。
最後に3つ目が、異動に対しての会社の対応です。人にもよりますが比較的転勤が多い会社なのですが、その際の引越による手当が数万円で、不動産屋に支払う初期費用の残金は全額自腹となります。引越をするとなると20万円〜30万円程掛かりますが、自腹となると何の為に稼いでいるのかわからなくなります。
金銭的にも精神的にも体力的にも非常に厳しいので、退職率も他社と比べると非常に高くなっております。
みんブラ事務局の所見:遅れれば指導が入るなら「暗黙のルール」でも事実上の強制であり、労働時間である。
「暗黙のルール」でも、遅れて指導が入るなら労働時間である
この体験談で最も争点になりやすい部分から取り上げます。
始業前の1時間〜1時間半です。
投稿者はこう書いています。
「勉強する為にと1時間〜1時間半前出勤が社内の暗黙のルールとしてありました」。
会社はおそらくこう説明するでしょう。
「強制ではない。自主的な勉強だ」と。
ですがこの主張は成り立ちません。
理由は投稿者自身が書いています。
「8:30を過ぎて出勤すると上司から指導が入ります」。
ここが決定的です。
労働時間の判断基準は使用者の指揮命令下に置かれていたかです。
そしてその指示は明示でも黙示でも構いません。
出なければ不利益があるのであれば、
それは事実上の強制です。
さらに重要なのはその後です。
「この暗黙のルールは無くすと会社から伝えられましたが、9時過ぎに出勤すると結局指導が入ることに変わりはございませんでした」。
つまり会社は公式に廃止を宣言したのです。
それでも運用は変わらなかった。
これは会社が問題を認識していたことの証明でもあります。
そのうえで、全体を確認します。
- 所定は9:30〜18:30、昼休憩1時間の8時間労働だった
- 1時間〜1時間半前の出勤が暗黙のルールだった
- 勉強と言いながら実際は勉強していなかった
- 8:30を過ぎると指導が入った
- その分の残業代は一切つかなかった
- 廃止すると伝えられた後も指導は続いた
- 残業は毎日少なくとも1時間半あった
- 1日の労働時間は12時間近く、日付が変わることもあった
- 「死ね」「出来損ない」が日常茶飯事だった
- 入社半年以内に辞める新入社員が大勢いた
- 転勤の引越手当は数万円で、残る20〜30万円は全額自腹だった
法律から見ると
始業前労働と費用負担が中心の論点です。
| 体験談で実際に行われていたこと | 抵触する条文 | 何が問題なのか |
|---|---|---|
| 始業前1時間〜1時間半の出勤を、遅れれば指導するという形で求めていた。 | 労働基準法32条 37条 |
不参加に不利益が伴うなら事実上の強制であり労働時間。1日8時間を超えれば25%以上の割増賃金が必要で、不払いは30万円以下の罰金。 |
| 暗黙のルールの廃止を伝えた後も、遅れた者への指導が続いていた。 | 労働基準法106条 労働契約法7条 |
周知された就業規則が労働条件を定める。公式の説明と実際の運用が異なる状態は労働条件の不明確さそのものである。 |
| 1日の労働時間が12時間近く、日付が変わることもあった。 | 労働基準法36条 36条6項 |
36協定なしの時間外労働は違法。協定があっても原則月45時間・年360時間、特別条項でも単月100時間未満が上限。 |
| 上司が部下に「死ね」「出来損ない」と述べることが日常化していた。 | 労働施策総合推進法30条の2 刑法231条 |
人格を否定する言動は「精神的な攻撃」の典型例。侮辱罪は令和4年の改正で法定刑が引き上げられ1年以下の拘禁刑等となった。 |
| 上司の言動が部下に引き継がれ、後輩への接し方に及んでいた。 | 労働施策総合推進法 30条の2 (措置義務) |
事業主には防止措置と再発防止措置の義務がある。放置により行為が再生産される状態は措置義務の不履行を示す。 |
| 転勤に伴う引越費用の大半を労働者に負担させていた。 | 労働基準法89条5号 労働契約法3条4項 |
労働者に費用を負担させる定めをする場合は就業規則に記載しなければならない。会社都合の異動で20〜30万円を自己負担させる運用は権利濫用が問題となる。 |
| 転勤が頻繁でありながら、費用の取扱いが明確でない。 | 労働基準法15条 労働契約法7条 |
就業の場所は明示すべき労働条件。転勤の可能性と費用の取扱いは採用時に説明されるべき事項である。 |
| 入社半年以内の離職が大勢という状態が続いていた。 | 労働契約法5条 労働安全衛生法59条 |
職場環境への配慮義務。雇入れ時の安全衛生教育は事業者の義務であり、大量離職は把握すべき兆候である。 |
※ 引用した条文は2026年8月時点のものです。実際の判断は個別の事情によります。
この会社を糾弾する
この記事は三つの問題を扱います。
順に見ていきます。
まず始業前の1時間半です。
投稿者の記述で最も重要なのはここです。
「勉強時間とは言うものの8:30に出勤しても特に勉強をするわけでもなく」。
つまり名目すら実体がないのです。
では何をしていたのか。
書かれていませんが、
掃除、開店準備、朝礼あたりでしょう。
いずれも業務です。
そして1日1時間半を月20日続ければ、
月30時間です。
これが3年間ですから、
1000時間を超える計算になります。
ここに毎日1時間半の残業が加わります。
つまり1日あたり3時間が所定外です。
投稿者が「1日の労働時間は12時間近く」と書いたとおりです。
次に言葉です。
「死ね」と「出来損ない」。
ここをはっきり申し上げます。
これは指導ではありません。
指導とは次にどうすべきかを伝えることです。
この二語には情報がありません。
そして令和4年、
侮辱罪の法定刑が引き上げられました。
従来は拘留または科料でしたが、
現在は1年以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金または拘留もしくは科料です。
公然性があれば刑事の問題にもなり得ます。
そして連鎖です。
投稿者はこう書いています。
「そんな上司の下で育った部下も結局言葉が酷く」。
これが放置の本当の代償です。
一人を止めなかったことで、
次の世代に引き継がれたのです。
そして結果が「入社半年以内に退職する新入社員が大勢」でした。
最後に引越費用です。
ここは見過ごされやすいので丁寧に述べます。
転勤は会社の都合です。
本人が望んだ引越ではありません。
それなのに20〜30万円のうち数万円しか出ないのです。
ここで労働基準法89条5号を確認します。
労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項を就業規則に記載しなければならない、とあります。
つまり負担させるなら書けということです。
そして書いてあれば入社前に確認できるはずです。
投稿者が「何の為に稼いでいるのかわからなくなります」と書いたのは、
想定していなかったからでしょう。
そして始業前の時間の請求について補足します。
この種の請求で会社が持ち出すのは「自主的だった」という主張です。
これを崩す材料は三つあります。
- 遅れた人に指導が入っていたという事実
- 全員が同じ時刻に出勤していたという事実
- その時間に業務をしていたという事実
この体験談には一つ目と二つ目があります。
そして三つ目についても「特に勉強をするわけでもなく」と書かれています。
勉強でないのであれば何かをしていたのです。
そこを具体的に書き出すことが請求の土台になります。
そして転勤という制度にも触れておきます。
転勤命令は就業規則に定めがあり、労働契約で勤務地が限定されていない場合、
原則として有効とされます。
ただし権利の濫用にあたる場合は無効です。
判例は業務上の必要性が存在しない場合、
不当な動機・目的がある場合、
労働者に通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせる場合に濫用となるとしています。
ここで費用が効いてきます。
会社都合の異動で20〜30万円を自己負担させることは、
「通常甘受すべき程度」を超えるかどうかの判断材料になり得ます。
そして若手ほどその金額の重みは大きいのです。
そして3年という期間についても述べます。
投稿者は新卒で入り、約3年勤めました。
その間「これが社会というものか」と思っていたと書いています。
そして友人や中途入社の人の話で気づきました。
ここが重要です。
比べる相手がいなければ気づけないのです。
特に新卒は最初の職場が基準になります。
そして始業前の1時間半も、「死ね」という言葉も、引越費用の自己負担も、
これが普通だと思い込みます。
ですからはっきり申し上げます。
普通ではありません。
労働基準法32条、37条、89条5号、そしてハラスメント防止の措置義務に関わる話です。
こういう会社は、今すぐ辞めていい
3つの理由を述べます。
- 1. 廃止すると言っても運用が変わらない会社は、変わらない
会社は公式に「無くす」と言ったのです。それでも指導は続きました。宣言と実態が一致しないのであれば、今後の宣言も信用できません。 - 2. 「死ね」が日常の職場では、次の世代も同じになる
言われた側が上になれば同じことをします。投稿者自身がそれを観察しています。個人の資質ではなく文化ですから、抜けるまで終わりません。 - 3. 転勤のたびに20万円を失うなら、働くほど貧しくなる
転勤が比較的多い会社だと書かれています。数年に一度20〜30万円を負担するのであれば、昇給分が消えます。
もし今、同じ状況にいるなら
- 1. 実際の出勤時刻を、毎日記録する
タイムカードが9:30打刻になっていても、実際に何時に入館したかを残してください。入館記録、パソコンの起動時刻、交通系ICの利用履歴が有力です。時効は当面3年です。 - 2. 暴言は、日付と発言をそのまま書く
「◯月◯日◯時、△△部長から『死ね』と言われた。その場に□□さんがいた」という形です。目撃者の有無が重要になります。 - 3. 引越費用は、就業規則を確認する
転勤に伴う費用の取扱いが就業規則や賃金規程にどう書かれているかを確認してください。労働基準法106条により就業規則は周知されるべきものです。相談先は労働基準監督署と総合労働相談コーナーです。
この体験談に近いケース
この体験談に近いケースとして、あわせて読まれている記事です。
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この記事を読んで「うちの会社も同じだ」と感じた方は、ページ上部のブラック度から5段階で投票してください。投稿された体験談とあわせて、職場の実態を可視化していきます。





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