一番下は23時退勤、その後に自宅でミシン…朝は7時に鍵を開けに行く

私立幼稚園に勤めていました。16時終礼で、残業代はでません。ですが、週に1度の会議(平均で2時間)は16:30以降に行われます。
また、発表会で子どもが着る衣装は全て担任の手作りで1人で作ります。ミシンを使わなければ作れませんが、幼稚園にミシンはなく、自宅で作業するしかありません(ミシンが無ければ実費)。
担任は20人弱いましたが、ほぼ完全に入職した順番で帰ります。つまり、1番のお局が帰って、その次は2番目、3番目…となるので、必然的に1番下は23時頃に帰ります。そして、そのあとで、ミシンなど自宅でなければ出来ない仕事をします。
朝は鍵や、シャッターを先輩が来る前に開けなければいけないので、7時に幼稚園に行きます(8時朝礼なので、それまでに行けば良い)。朝礼までの時間は、その日の保育準備などをしますが、前日23時までの間に終わっているので、はっきり言って暇です。
職員室の掃除当番と終礼の時に日誌をつける当番が、2人1組で1週間ずつ回ってきます。先輩と後輩で組むのですが、先輩は日誌を週の半分つけるだけです。終礼は、園長、副園長含め、全員いるので、自分も当番やってるアピールでしょう。しかし、職員室の掃除は朝礼前にすることになっています。
「先輩が出勤した時には、掃除は終わらせておくべき」という風潮があるからです。そこまで言うなら、もう「掃除は後輩がするもの」として、後輩のリズムで掃除をすればいいのですが、何故か融通が利きません。
自分より後輩には、「鍵は先輩も持ってるし、仕事が終わらなくて朝早く来るときあるけど、マジで気にしないで!」としていました。自分が退職する少し前から、謎の風潮がバカらしいので、気にしないというスタンスを作り、少しずつ緩和されてきたかな?と思います。
みんブラ事務局の所見:持ち帰りの作業も指示があれば労働時間である。ミシンは作業用品であり、園が用意すべきものである。
持ち帰りの作業も、指示があれば労働時間である
この体験談で最も見過ごされやすい問題から取り上げます。
投稿者はこう書いています。
「発表会で子どもが着る衣装は全て担任の手作りで1人で作ります。ミシンを使わなければ作れませんが、幼稚園にミシンはなく、自宅で作業するしかありません」。
そしてこう添えられています。
「(ミシンが無ければ実費)」。
ここには二つの問題があります。
第一に、労働時間です。
衣装の製作は園の行事のための作業です。
そして担任が作ることが決まっています。
つまり業務です。
労働時間かどうかは場所ではなく指揮命令下にあるかで決まります。
やらなければ行事が成立しないのであれば、
事実上の強制です。
第二に、費用です。
ミシンがなければ実費という運用です。
ここで労働基準法89条5号を確認します。
労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項を就業規則に記載しなければならない。
つまり負担させるなら書けということです。
そしてミシンは作業用品です。
本来は園が用意するべきものです。
そのうえで、全体を確認します。
- 16時終礼で残業代は出ない
- 週1回の会議(平均2時間)は16時30分以降だった
- 発表会の衣装は担任が1人で手作りした
- 園にミシンがなく自宅で作業した
- ミシンがなければ実費だった
- 入職した順番で帰る慣行があった
- 一番下は23時頃に帰った
- その後自宅でミシンの作業をした
- 朝は7時に出勤して鍵とシャッターを開けた
- 朝礼は8時でそれまでの時間は暇だった
- 掃除当番は実質後輩が担っていた
法律から見ると
始業前・終業後の労働が中心の論点です。
| 体験談で実際に行われていたこと | 抵触する条文 | 何が問題なのか |
|---|---|---|
| 終礼後に週1回2時間の会議を行い、残業代を支払っていない。 | 労働基準法32条 37条 24条 |
会議への出席は業務であり労働時間。1日8時間・週40時間超は25%以上の割増が必要で、不払いは30万円以下の罰金。 |
| 行事の衣装製作を自宅で行わせ、労働時間に算入していない。 | 労働基準法32条 労働安全衛生法66条の8の3 |
やらなければ行事が成立しない業務は事実上の強制であり労働時間と評価され得る。客観的方法による把握が事業者の義務である。 |
| ミシンがない場合は実費負担とする運用があった。 | 労働基準法89条5号 16条 |
労働者に費用を負担させる定めをする場合は就業規則への記載が必要。作業用品は本来事業者が用意するものである。 |
| 入職順に退勤するという慣行により、退勤が23時頃になっていた。 | 労働基準法32条 労働契約法3条4項 |
業務上の必要性なく在館を強いる慣行は権利の濫用にあたり得る。待機している時間も労働時間と評価される。 |
| 朝礼の1時間前に出勤して施錠の解除を行っていた。 | 労働基準法32条 37条 |
鍵の開錠と開園準備は業務。先輩より先に出勤するという慣行により毎日1時間の始業前労働が生じている。 |
| 23時退勤から翌7時出勤という勤務間隔が生じていた。 | 労働時間等設定改善法2条 労働契約法5条 |
勤務間インターバルの確保は事業主の努力義務。8時間の間隔では通勤と生活で消え、そこから自宅作業が加わる。 |
| 当番の分担が、先輩と後輩で不均衡になっていた。 | 労働契約法3条4項 労働施策総合推進法30条の2 |
業務の配分は業務上の必要性に基づくべきもの。年次のみを理由とする負担の偏りは「過大な要求」にあたり得る。 |
| 私立幼稚園の教職員として労働基準法の適用を受ける。 | 労働基準法9条 89条 106条 |
私立学校の教職員は労働基準法が全面的に適用される。常時10人以上なら就業規則の作成・届出義務があり、周知義務も生じる。 |
※ 引用した条文は2026年8月時点のものです。実際の判断は個別の事情によります。
この幼稚園を糾弾する
この記事の核心は慣行です。
順に見ていきます。
まず帰る順番です。
「担任は20人弱いましたが、ほぼ完全に入職した順番で帰ります」。
つまり仕事が終わっても帰れないのです。
そして「必然的に1番下は23時頃に帰ります」。
ここをはっきり申し上げます。
この時間は労働時間です。
理由を述べます。
労働時間とは使用者の指揮命令下に置かれている時間をいいます。
そしてその場を離れる自由がなければ、
作業をしていなくても労働時間と評価されます。
これを手待時間といいます。
そしてこの幼稚園では先輩が帰るまで帰れないのです。
次に朝です。
朝礼は8時です。
それなのに7時に出勤します。
理由はこうです。
「鍵や、シャッターを先輩が来る前に開けなければいけないので」。
ここで投稿者は矛盾を指摘しています。
「朝礼までの時間は、その日の保育準備などをしますが、前日23時までの間に終わっているので、はっきり言って暇です」。
つまりやることがないのです。
それでも1時間早く来る。
ここにこの職場の本質があります。
業務ではなく序列が時間を決めているのです。
そして当番です。
「先輩と後輩で組むのですが、先輩は日誌を週の半分つけるだけです」。
そして投稿者の観察が鋭い。
「終礼は、園長、副園長含め、全員いるので、自分も当番やってるアピールでしょう」。
つまり見えるところだけやるのです。
そして掃除は朝礼前です。
誰も見ていない時間です。
ここまで整理すれば見えてきます。
負担は下に寄せられ、評価は上が受けるという構造です。
そして最後に衣装です。
ここが最も深刻です。
時系列を追ってください。
- 7:00 出勤
- 8:00 朝礼
- 16:00 終礼
- 16:30〜 週1回2時間の会議
- 23:00 退勤
- その後 自宅でミシン
16時間の拘束の後に、
自宅で作業が待っているのです。
そして翌朝は7時です。
睡眠時間がありません。
ここで子どもの安全を考えてください。
幼稚園の仕事は幼い子どもを預かる仕事です。
プール、遊具、調理、園外保育。
一瞬の判断が命に関わります。
睡眠を削った状態でそれを担うのは、
職員だけの問題ではありません。
そしてこの方が最後にしたことを評価します。
投稿者はこう書いています。
「自分より後輩には、『鍵は先輩も持ってるし、仕事が終わらなくて朝早く来るときあるけど、マジで気にしないで!』としていました」。
そしてこう続きます。
「自分が退職する少し前から、謎の風潮がバカらしいので、気にしないというスタンスを作り、少しずつ緩和されてきたかな?と思います」。
ここは重要です。
この方は連鎖を止めたのです。
こうした慣行は受けた人が次の世代に渡すことで続きます。
「自分もやったのだから」という気持ちが働くからです。
それを渡さなかった。
そして少しずつ緩和されたのです。
つまり変えられるのです。
ここまでを踏まえて申し上げます。
慣行は法律ではありません。
就業規則に「入職順に退勤する」と書いてあるわけがありません。
そして7時出勤も定められていないでしょう。
つまり誰も決めていないルールに全員が従っているのです。
ここで労働基準法106条を引きます。
使用者は、この法律及びこれに基づく命令の要旨、就業規則(中略)を、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によつて、労働者に周知させなければならない。
つまり就業規則を見る権利があるのです。
そして書いていないことは義務ではありません。
そして幼児教育の現場という事情にも触れます。
この仕事には行事がつきものです。
発表会、運動会、卒園式。
そして準備に時間がかかります。
ここまでは仕事の性質です。
ですがだから無償で持ち帰るという結論にはなりません。
対処の方法はあります。
- 衣装を外部に発注する
- 既製品を活用する
- 園にミシンを備える
- 製作の時間を勤務時間に組み込む
- 1年単位の変形労働時間制を使う
いずれも園の判断でできます。
そして費用がかかるものもあります。
ですがいまその費用を払っているのは職員です。
ミシン代と深夜の時間という形で。
つまり費用がないのではなく、見えない形で転嫁されているのです。
こういう職場は、今すぐ辞めていい
3つの理由を述べます。
- 1. 序列で退勤時刻が決まるなら、努力しても早く帰れない
仕事が終わっても帰れないのです。効率を上げる意味がありません。そして年次が上がるまで変わりません。 - 2. 持ち帰りと自腹が前提の職場は、際限がない
ミシンも時間も本人持ちです。園の費用がかかっていないのですから、量を減らす動機もありません。 - 3. 睡眠を削った状態で子どもを預かるのは危険
23時退勤、自宅で作業、7時出勤です。判断力が落ちた状態で保育に当たることになります。取り返しのつかない事故が起こり得ます。
もし今、同じ状況にいるなら
- 1. 出退勤の時刻を、毎日記録する
7時に開錠した記録と23時に施錠した記録が残せます。警備システムの記録があれば最も確実です。時効は当面3年です。 - 2. 自宅作業の時間も、書き留める
「◯月◯日23:40〜1:30衣装製作」という形で構いません。作りかけの写真に日時が残ればなお有力です。指示があったことを示す資料もあわせて残してください。 - 3. 私立幼稚園にも労働基準法は全面的に適用される
公立と異なり私立学校の教職員は労働基準法がそのまま適用されます。相談先は労働基準監督署(匿名申告も可)。慣行による負担の偏りは総合労働相談コーナーへ。
この体験談に近いケース
この体験談に近いケースとして、あわせて読まれている記事です。
- 保育士を辞めた人の本音トーク。園の労働環境の実態。
- お局様が嫌がらせをする心理。保育の職場の人間関係。
- 学習塾講師のブラックな実態。「子供のため」に犠牲になる社員。
- 始業1時間半前の「勉強」に残業代なし。暗黙のルールの正体。
この記事を読んで「うちの会社も同じだ」と感じた方は、ページ上部のブラック度から5段階で投票してください。投稿された体験談とあわせて、職場の実態を可視化していきます。





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