社員でも有休使うとボーナス減るから使えない。パートに至っては10年以上勤めて一度も休めない。

私が以前、勤めていた職場は販売業でした。
そこで私は社会保険完備のパートとして、だいたい月に6~7回休みの7時間労働で働いていたのですが、有給休暇が全くありませんでした。10年以上勤めていたのに1度も有給休暇を取れませんでした。一緒に勤めていた同僚とも「おかしいよね」と話し、私達の直属の上司に相談したところ、上司も「わからない」と言って、「自分達は社員で、一応有給はあるけど有給を使うとボーナスが減らされるから使えない」と言うのです。
社員でそれなら、私達パートは絶対もらえないと諦めましたが、友人に言うと、そんなのおかしいとそれはブラック企業だと言われました。10年も働けばかなり有給もたまっていただろうし、むしろ何日も流れてしまっているでしょう・・。
それでも私にはどうする事もできず結婚を機に退職しましたが、今でもどうにかしてほしかったと後悔してます。社員の方も有給を使えばボーナスが減らされるだなんて可哀想な話です。会社自体は地元では有名で店舗もいくつもある会社で、従業員も500人近くいるんですが、家族経営の為か従業員に対してはひどいです。
本社の方はサービス残業は当たり前らしく、1回監査が入り注意されて残業に関してはサービス残業はなくなったらしいのですが有給に対しての改善はありませんでした。もう一回働かないかと言われていますが、あんなブラック企業は二度と働きたくありません。
みんブラ事務局の所見:パートにも有給はある。「使うとボーナスが減る」は労働基準法附則136条が禁じる不利益取扱いだ。
「10年以上勤めて一度も有給を取れなかった」という異常
この体験談の判定は3.8です。長時間労働も暴言も出てきません。それでも休暇と法令違反リスクを5としました。理由を説明します。
投稿者は販売業で、社会保険完備のパートとして月に6〜7回の休みで7時間労働。週30時間前後の勤務です。そして——
「10年以上勤めていたのに1度も有給休暇を取れませんでした」。
同僚と「おかしいよね」と話し、直属の上司に相談したところ、返ってきた答えがこれです。
「わからない」。そして「自分達は社員で、一応有給はあるけど有給を使うとボーナスが減らされるから使えない」。
つまり上司自身も有給を使えていなかった。そして使えない理由を、はっきり言葉にできた。「ボーナスが減らされるから」——これは会社が意図的に作った仕組みだということです。
投稿者は「社員でそれなら、私達パートは絶対もらえないと諦めました」と書いています。当然の反応でしょう。上司ですら使えないものを、パートが求められるはずがない。
そして会社の規模。地元では有名で店舗もいくつもあり、従業員は500人近く。それでいて「家族経営の為か従業員に対してはひどい」。
さらに注目すべき事実が書かれています。「本社の方はサービス残業は当たり前らしく、1回監査が入り注意されて残業に関してはサービス残業はなくなったらしいのですが有給に対しての改善はありませんでした」。
指摘された部分だけ直して、指摘されなかった部分は放置した。この会社の姿勢が、ここに表れています。
投稿者は結婚を機に退職しましたが、「今でもどうにかしてほしかったと後悔してます」と書いています。10年分の有給——本来なら100日を優に超える日数が、請求されないまま消えていきました。
法律から見ると、これは何にあたるのか
この会社で行われていたことを条文と突き合わせます。有給休暇のルールは、極めて明快です。
| 体験談で実際に行われていたこと | 抵触する条文 | 何が問題なのか |
|---|---|---|
| 社会保険完備のパートに、10年以上一度も有給休暇を与えなかった。 | 労働基準法39条 | 年次有給休暇はパート・アルバイトにも労働日数に応じて比例付与される。週5日相当の勤務なら6か月経過時点で10日、6年6か月以降は年20日が付与される。「パートだから有給はない」は完全な誤り。 |
| 「有給を使うとボーナスが減らされる」という運用がなされていた。 | 労働基準法 附則136条 |
使用者は年次有給休暇を取得した労働者に対し、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない。賞与の算定で有給取得日を欠勤扱いにする運用は、取得を抑制するものとして公序に反し無効と判断された裁判例がある。 |
| 上司に相談したところ「わからない」と答えられた。 | 労働基準法106条 | 使用者には就業規則や労使協定を常時各作業場の見やすい場所に掲示する等の方法で周知する義務がある。管理職が制度を把握していない状態は、周知義務が果たされていないことを示す。 |
| 年10日以上付与される労働者に、年5日を取得させていなかった。 | 労働基準法39条7項 | 2019年4月から、年10日以上の有給が付与される労働者について年5日を確実に取得させることが使用者の義務。違反した使用者には労働者1人につき30万円以下の罰金。 |
| 本社ではサービス残業が常態化し、監査で指摘されるまで是正されなかった。 | 労働基準法37条 労働基準法24条 |
時間外労働には割増賃金が必要で、賃金は全額を支払わなければならない。指摘されるまで是正しない姿勢は、他の違反も同様に放置されていることを示唆する。 |
| 500人規模の会社で、家族経営を理由に労務管理が行われていなかった。 | 労働基準法89条 労働基準法101条 |
常時10人以上を使用する事業場には就業規則の作成・届出義務がある。労働基準監督官には臨検・尋問の権限があり、会社の規模や経営形態は法適用の例外理由にならない。 |
※ 引用した条文は2026年8月時点のものです。実際の判断は個別の事情によります。
この記事で、まず明確にすべき誤解があります。パートにも有給休暇はあります。
労働基準法39条は、雇入れの日から6か月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に年次有給休暇を与えなければならないと定めています。そして週の所定労働日数が少ない労働者には、日数に応じて比例付与されます。
この投稿者は月6〜7回の休みで7時間労働——つまり週5日前後の勤務です。この場合、比例付与ではなく通常の労働者と同じ日数が付与されます。
- 6か月経過時点で10日
- 1年6か月で11日、2年6か月で12日
- 3年6か月で14日、4年6か月で16日、5年6か月で18日
- 6年6か月以降は毎年20日
10年勤務したなら、累計で150日を超える有給が発生していた計算になります。(有給の時効は2年なので、使わなかった分は毎年消えていきます。投稿者が「何日も流れてしまっているでしょう」と書いているとおりです。)
次に、「有給を使うとボーナスが減る」という運用について。これは労働基準法附則136条が正面から禁じているものです。
条文はこう定めています。「使用者は、年次有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない」。
そして裁判例でも、賞与や皆勤手当の算定にあたって有給取得日を欠勤として扱う運用は、有給休暇の取得を抑制し、労働基準法39条が労働者に権利を保障した趣旨を実質的に失わせるものとして、公序に反し無効と判断されたものがあります。
つまり、この上司の説明は「うちの会社は違法なことをしています」と言っているのと同じなのです。そして本人は、それに気づいていない。
最後に、2019年4月からの年5日取得義務。これが決定的です。年10日以上の有給が付与される労働者について、使用者は年5日を確実に取得させなければならず、違反すれば労働者1人につき30万円以下の罰金です。
いまや、有給を取らせないことは会社にとってのリスクです。500人規模の会社なら、対象者が仮に300人いて全員未取得なら理論上9,000万円規模の罰金に相当します。この改正を、会社の人事部門が知らないはずがありません。
管理職すら制度を知らない会社を糾弾する
ここからは、事務局として率直に書きます。
この体験談で最も重い一言は、上司の「わからない」です。
パートの有給休暇について尋ねられた直属の上司が、制度を把握していなかった。そして自分自身も「使うとボーナスが減らされるから使えない」状態にあった。
ここから読み取れるのは、この会社では有給休暇という制度が実質的に存在していなかったということです。規則の上ではあるのでしょう。しかし誰も使わず、誰も説明できず、使おうとすれば不利益を受ける。それは制度が「ない」のと同じです。
そして「ボーナスが減る」という仕組みの巧妙さについて。
「有給は使ってはいけない」と言えば、労働基準法39条違反であることが明白になります。ところが賞与の査定に組み込めば、形式上は「人事評価の問題」になる。そして労働者は、自分の判断で申請を取り下げる。
禁止せずに、断念させる。これが最も安全で、最も効果的な抑圧の形です。そして実際、10年間機能しました。
さらに、この会社の姿勢を決定づけるのが監査後の対応です。
「1回監査が入り注意されて残業に関してはサービス残業はなくなったらしいのですが有給に対しての改善はありませんでした」。
——直せるのです。指摘されれば、直せる。実際にサービス残業はなくなりました。それでも有給は直さなかった。指摘されなかったからです。
これは「知らなかった」でも「できなかった」でもありません。「言われるまでやらない」という選択です。そして500人近い従業員の権利が、その選択の下に置かれていました。
そして「家族経営の為か従業員に対してはひどいです」という投稿者の指摘。500人規模の企業に対して「家族経営」という言葉が出てくるのは、意思決定が一族の裁量に集中していることを示しているのでしょう。当サイトの体験談で繰り返し現れる構図です。
最後に、投稿者の後悔について。「今でもどうにかしてほしかったと後悔してます」。
この方は10年働きました。そして一度も休まず、おかしいと感じながら、上司に相談し、それでも変えられなかった。後悔すべきなのは、この方ではありません。10年間、制度を機能させなかった会社の側です。
なぜ、この職場は今すぐ動くべきなのか
第一に、有給は2年で時効消滅するからです。使わなかった有給は、翌年度に繰り越されますが、それ以降は消えます。10年で150日以上発生していたはずの権利のうち、いま残っているのは直近2年分だけです。1日待つごとに、確実に減っていきます。
第二に、いまは法律が味方になっているからです。2019年4月以降、年5日の取得は使用者の義務になりました。取らせないこと自体が罰則の対象です。10年前とは、状況がまったく違います。人事部門に相談すれば、会社側にも是正する動機があります。
第三に、社会保険完備なら、会社は労務管理をしているはずだからです。この方は社会保険に加入していました。つまり会社は労働時間と日数を把握している。把握しているのに有給を付与していないなら、意図的な不作為です。「わからない」で済む話ではありません。
いま同じ状況にいる人が、今日のうちにやるべき3つのこと
- 1. 有給の残日数を確認する。まず「あるはず」と考える
パート・アルバイトにも有給はあります。週5日勤務なら6か月で10日、6年6か月以降は年20日です。給与明細に残日数が記載されていることが多いので、まず確認してください。記載がなければ、会社に確認を求めてよい情報です。「パートだから」「うちは有給がない」は、いずれも法的に成り立ちません。 - 2. 「ボーナスが減る」は違法だと知っておく
労働基準法附則136条により、有給取得を理由とする不利益取扱いは禁止されています。賞与の算定で有給取得日を欠勤扱いにする運用は、公序に反し無効と判断された裁判例があります。「使うと減らされるから使えない」と言われたら、その発言を日付とともに記録してください。会社が違法な運用を認識していた証拠になります。 - 3. 上司で止まったら、人事へ。それでも駄目なら監督署へ
直属の上司が制度を把握していない場合、人事や本社の管理部門に直接確認してください。2019年4月から年5日の取得は使用者の義務であり、違反には罰則があります。会社にとっても放置できない問題です。それでも改善しない場合は労働基準監督署へ。申告を理由とする不利益な取扱いは労働基準法104条2項で禁止されており、申告者を特定させない形での調査を求めることもできます。
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この記事を読んで「うちの会社も同じだ」と感じた方は、ページ上部のブラック度から5段階で投票してください。投稿された体験談とあわせて、職場の実態を可視化していきます。





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