毎月100時間超え残業+土日も殆どない。だけど年収・ボーナスはめちゃ高い。入社したい?

私が以前、派遣で務めていた会社なのですが正社員の若手の人たちが残業時間が異常でした。しかし正確には残業として記録されていませんでした。この会社は業界では有名なブラック企業らしく昔から社員を使い捨てしたいたそうです。
しかし、この会社の実情を知ったうえで入社したいという人はたくさんいるそうなのです。
その理由は給料が非常に高いらしく若い社員でも平均年収から100万円近くも高いそうです。しかし、月の残業は毎月100時間を超えていて土日も殆どないそうですが、そのままでは三六協定に引っかかってしまうので残業は表向き毎月40時間ほどで提出しているそうです。それでも40時間の残業では平均年収から100万円もこえないのですがボーナスに残業分を入れて社員を黙らせていようです。なので月々の給料はあまり残業をしていなかった私とあまり変わりませんでしたがボーナスが私の倍以上もありました。金額だけをみれば羨ましく見えるのですが毎日の仕事を見てきるいるので、私はその会社に入りたいとはおもいませんでした。
その会社は客先に出るたびにそこにいた派遣社員であったり客先の社員を引き抜いたりしていて、私も何度か声をかけられたのですが、実際の給料形態と提示されたものが大きく違ったのでブラック企業なのだとここで確信しました。
みんブラ事務局の所見:残業代をボーナスに回すと割増賃金の単価が上がらない。高給に見せて、実は労働者が損をする設計である。
高給に見えて、実は損をしている
この体験談は他の記事とは少し性格が違います。
投稿者は派遣社員として、外から正社員の働き方を観察した立場で書いています。
読者投票の平均も他の記事より低めに出ています。「給料が高いならいいのでは」と思う方がいるからでしょう。
この記事の判定を「今すぐ労基署へ」とした理由を、これから説明します。
まず事実を整理します。
- この会社は業界では有名なブラック企業で、昔から社員を使い捨てにしていた
- 月の残業は毎月100時間を超え、土日もほとんどない
- そのままでは36協定に引っかかるので、残業は表向き毎月40時間ほどで提出していた
- 40時間の残業では平均年収を100万円も超えないため、ボーナスに残業分を入れて社員を黙らせていた
- 結果、月々の給料はあまり残業をしていない投稿者とあまり変わらず、ボーナスだけが投稿者の倍以上だった
- 若い社員でも平均年収から100万円近く高いため、実情を知ったうえで入社したいという人がたくさんいる
- この会社は客先の派遣社員や社員を引き抜いていた。投稿者も声をかけられたが実際の給与形態と提示されたものが大きく違った
ここに重大な問題が隠れています。
残業代をボーナスで払うと、労働者は必ず損をします。
法律から見ると
この会社の手口は「残業代を払っているように見せて、実は減らしている」という点にあります。
| 体験談で実際に行われていたこと | 抵触する条文 | 何が問題なのか |
|---|---|---|
| 月100時間超の残業を、表向き40時間として記録・提出していた。 | 労働基準法108条 109条 120条 |
賃金台帳に労働時間数を記入する義務があり、虚偽の記入は違反。関係書類の3年間保存義務にも反する。30万円以下の罰金。 |
| 36協定の上限を超える実態を、記録上は上限内に見せかけていた。 | 労働基準法36条 119条 |
時間外労働は単月100時間未満、複数月平均80時間以内、年720時間以内が特別条項付きでも絶対的な上限。記録の操作は違反を隠すもので、違反の事実自体は消えない。 |
| 時間外労働の対価を、賞与に含めて支払っていた。 | 労働基準法24条 37条 |
割増賃金は所定の計算方法で算定した額を毎月の賃金として支払う必要がある。賞与に含める形は、何時間分がいくらかを特定できず、割増賃金の支払いとして認められない。 |
| 残業分を賞与に回すことで、割増賃金の単価が下がっていた。 | 労働基準法施行規則 21条5号 |
1か月を超える期間ごとに支払われる賃金は、割増賃金の基礎となる賃金から除外される。賞与に回した分は時間単価を上げないため、残業代の計算上、労働者が不利になる。 |
| 月100時間超の残業が常態化していた。 | 労働安全衛生法 66条の8 66条の8の3 |
時間外・休日労働が月80時間を超えた労働者にはその旨を通知する義務があり、申出があれば医師による面接指導が必要。労働時間の客観的把握義務もある。 |
| 土日もほとんど休みがない状態が続いていた。 | 労働基準法35条 | 毎週少なくとも1回、または4週を通じ4日以上の休日を与えなければならない。法定休日の労働には35%以上の割増賃金が必要。 |
| 客先で引き抜きを行い、提示した給与形態が実際と大きく違っていた。 | 労働基準法15条 職業安定法5条の3 |
労働条件の明示は書面等で行う義務があり、相違する場合、労働者は即時に契約を解除できる。虚偽の条件による勧誘は職業安定法上も問題となる。 |
※ 引用した条文は2026年8月時点のものです。実際の判断は個別の事情によります。
この仕組みを糾弾する
この会社の手口は巧妙です。だから分解して説明します。
ボーナスで残業代を払うと、会社が二重に得をします。
一つ目の得は記録です。
毎月の賃金台帳には残業40時間と記載されます。
36協定の範囲内に見えます。労基署が台帳を見ても、一見して問題は見つかりません。
実際には100時間超働いているのに、60時間分が記録から消えている。
そして二つ目の得。これが本題です。
割増賃金の単価が上がらないのです。
説明します。
残業代は「1時間あたりの賃金 × 1.25 × 残業時間」で計算されます。
この「1時間あたりの賃金」を出すとき、月々の賃金が基礎になります。
ところが労働基準法施行規則21条は、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金をこの基礎から除外しています。
賞与は、これに該当します。
つまり——
- 同じ100万円を月給に上乗せすれば、時間単価が上がり、残業代も増える
- 同じ100万円を賞与で払うと、時間単価は上がらず、残業代も増えない
会社は、安いほうを選んだのです。
投稿者の観察が、それを裏づけています。
「月々の給料はあまり残業をしていなかった私とあまり変わりませんでしたがボーナスが私の倍以上もありました」。
毎月100時間超働いている人と、ほとんど残業していない派遣社員の月給が同じ。
これが、この会社の設計の結果です。
そして、賞与は労働者にとってさらに不利です。
賞与には支給日在籍要件が付けられることがあります。支給日の前に辞めれば、働いた分の残業代がまるごと消える可能性があるのです。
毎月の賃金なら、辞めても請求できます。賞与に回されると、会社を辞めにくくなる。
残業代が、引き止めの道具になっているのです。
もう一点、健康面について。
記録上月40時間にされているということは、何を意味するか。
月80時間超の通知も、医師の面接指導も、対象外になります。
実際は100時間超働いているのに、健康を守るための仕組みが一つも作動しない。
そして万が一のときです。
過労で倒れた場合、労災の判断では実労働時間が問われます。
ですが会社の記録は40時間です。本人が実態を証明しなければならなくなる。
記録の改ざんは、倒れたときに最も重くのしかかります。
最後に、この会社の採用手法にも触れておきます。
投稿者はこう書いています。
「客先に出るたびにそこにいた派遣社員であったり客先の社員を引き抜いたりしていて、私も何度か声をかけられたのですが、実際の給料形態と提示されたものが大きく違ったのでブラック企業なのだとここで確信しました」。
この一文は重要です。
引き抜きの場で提示された条件が、社内の実態と違っていた。
つまりこの会社は外に向けては「年収が高い会社」として振る舞っていたのです。
年収の数字だけを示せば、労働時間は見えません。
そしてその年収の内訳がボーナスに偏っていることも、入社するまでわかりません。
投稿者が「毎日の仕事を見てきている」から断れたのは、たまたま内部を観察できる立場にいたからです。
外から誘われた人には、その情報がありません。
だからこの会社には「実情を知ったうえで入社したいという人がたくさんいる」一方で、使い捨てが続いているのです。
そして年収の数字だけは本当なので、嘘にはなりません。
時間あたりで見れば割に合わないという事実だけが伏せられているのです。
求人票に書かれるのは「年収」という一つの数字だけです。その裏にある年間の総労働時間はどこにも書かれていません。
ですがこの2つを並べなければ、待遇の良し悪しは判断できません。
年収600万円で年2,000時間なら時給3,000円。年収700万円で年3,000時間なら時給約2,333円です。
年収が100万円高いほうが、時間あたりでは3割以上安い。これがこの会社で起きていることです。
そして、その使い捨てを外から補充し続ける仕組みがこの引き抜きです。
辞めた人数と、引き抜く人数が釣り合っていれば、会社は回り続けます。
働き方を改める必要はどこにも生じません。
この会社は、高給でも辞めていい
投稿者は「金額だけをみれば羨ましく見えるのですが毎日の仕事を見てきているので、私はその会社に入りたいとはおもいませんでした」と書いています。
この判断を支持します。3つの理由を挙げます。
- 1. 時給に直すと、高給ではない
年収が100万円高くても、毎月60時間余計に働いていれば年間720時間です。100万円 ÷ 720時間 = 時給約1,389円。そこから本来もらえるはずの割増分が引かれています。高給なのではなく、労働時間が長いだけです。 - 2. 「使い捨て」は、この会社自身が実践している
投稿者は「昔から社員を使い捨てにしていた」と書いています。この働き方を10年20年続けられる人はほとんどいません。高い給料は、短期間で消耗する前提の値段です。体を壊した後の人生は、この年収に含まれていません。 - 3. 記録がないと、労災でも未払い請求でも不利になる
会社の記録が月40時間である以上、実態を証明するのは労働者の側です。倒れてから集めるのは極めて困難です。在職中に、自分で記録を作っておくしかありません。
もし今、同じ状況にいるなら
- 1. 自分の労働時間を、自分で記録する
会社の記録があてにならないなら、自分の記録が唯一の証拠です。出退勤時刻の毎日のメモ・スマホの位置情報履歴・交通系ICカードの履歴・パソコンのログオン/ログオフ時刻・業務メールの送信時刻。手書きのメモでも、継続的につけていれば証拠力が認められます。 - 2. 「賞与に残業代」は、計算し直せる
割増賃金は毎月の賃金として支払われるべきものです。賞与に含めた形は、割増賃金の支払いとして認められないことがあります。給与明細と賞与明細をすべて保存してください。3年分さかのぼって請求できます。 - 3. 引き抜きの提示条件は、書面でもらう
「実際の給与形態と提示されたものが大きく違った」というのは、この記事の重要な指摘です。口頭の提示は必ず労働条件通知書で確認してください。相談先は労働基準監督署(労働時間・割増賃金・36協定・賃金台帳)。匿名での申告も受け付けています。
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