コンビニ店長・オーナーになってはいけない!鬱病になるまで止まれないのが、ブラック化したコンビニの悲惨な現状。

私は以前某大手コンビニエンストアで雇われ店長をしていました。そのときのブラックな体験談を書きたいと思います。
まず、コンビニの店長というのは直営店を除けば本社に直接雇われているのではなく、個人事業主であるオーナーが雇用主であることがほとんどです。稀に複数店舗を経営するオーナーが会社を作り法人名義にする場合もありますが、それにもかなりの費用がかかり、ほとんどのオーナーはそもそもそこまで利益を出せるかどうかのラインにすら立てないのが現実だと思います。
私を雇っていたオーナーは個人事業主であり、「近々、事業を法人化したいから店舗数を増やさなければいけないので社員を募集している」というのが私を社員に誘ったときの言葉でした。
結論から言えば、オーナーの法人化という夢は私が五年後に鬱病を患い店を辞めたときも叶う気配はありませんでしたし、恐らく現在も叶っていないと思います。店舗数を増やし、利益を出すということはそれだけ難しいことでした。
失敗の原因は、オーナーとその下で働いていた私自身の『見込みの甘さ』で間違いありません。オーナーもスタッフである私をこれほど酷使するつもりはなかったと思います。しかし、実際にはそうせざるを得ない状況にまでオーナー自身も追い詰められていました。
スタッフの人数が足りず、店長などの一部の社員スタッフが長時間労働・ワンオペをせざるを得ない。
しかし、一方で本社からは一定のペースで店舗数を増やすことを暗に要求される(一度新店舗の話を断れば本社からのそのオーナーの優先順位が下がり、実質的に新店の話は回ってこなくなります)。オーナーが店舗を増やすということは、そういうことを意味しています。
一方で、本社からのブラックな要求は店長である私の仕事にも影響を与えました。
統括店長という役職があります。複数店を経営する場合、各店の店長の他に全ての店を回り、細かい施策や店舗状況の確認をする代表をオーナーとは別に用意しなければいけません。私は半年ほど統括店長を経験し、激務に耐えられず仕事を辞めることになりました。
そもそも統括店長の業務内容というのは、元々は本社の社員であるスーパーバイザーがやっていた仕事です。各店の発注や欠品、クレンリネスや鮮度管理がなされているか、スタッフのフレンドリーは基準を満たしているかなど店舗をチェックしつつ(実際に統括店長には週一で全店舗をチェックする義務がありました)、適宜アドバイスや本部からの連絡を伝え、店長と経営計画を相談するのがその役目になります。
僕の場合はスタッフ不足のため、五店舗あるうちの一店舗の店長をしながら夕方から深夜一時のシフトと、発注担当者が決まっていない別の一店舗の発注を毎日こなし、なおかつさらにそれ以外の店舗での欠員や発注担当者が休んだ時のフォローをしながらそれとは別に統括店長の業務をやらなければいけませんでした。
また、統括店長は月一で本社の会議に、週一で担当店舗の店長会議にも出席しなければいけないなど、扱いとしては本社のスーパーバイザー並みになるのですが、雇っているのは本社ではないので、それがどの程度給与に反映されるかはオーナー次第になります。もちろん、オーナーにはそんな余裕はありません。
さらに言えば、個人事業主であるオーナーの下では福利厚生はアルバイトと大して変わりはなく(だからこそ法人化したい、とオーナーは言っていたのですが)、僕が店長を辞めたときも退職金などは一切ありませんでした。
この話の本当に恐ろしいところは、人づてに他の店の店長の話を聞くと、私の状況でもまだマシだったという点です。
本部に過大な義務を課せられるオーナーと、その下で激務を余儀なくされる店長・社員たち……。根本的なフランチャイズの業態に変化がない限り、コンビニのブラック化はこれからもなくなることはないと思います。
みんブラ事務局の所見:本部の仕事を加盟店に移し、雇用責任だけ負わない。「見込みの甘さ」ではなくコストの転嫁である。
この体験談が、他と決定的に違う点
この記事は、みんブラの中でも「構造」を最も冷静に書き切った一件です。
読んでいただければわかりますが、投稿者は一度も感情的になっていません。それどころか——「オーナーもスタッフである私をこれほど酷使するつもりはなかったと思います」と書いています。
加害者を憎んでいないのです。加害者もまた追い詰められていたことを見抜いているからです。
だからこそ、この体験談は重い。誰も悪意を持っていないのに、人が壊れる仕組みが実在することの証言だからです。
事実を整理します。
- 投稿者は大手コンビニの雇われ店長。雇用主は本部ではなく、個人事業主のオーナー
- オーナーの目標は法人化。そのために店舗数を増やす必要があった
- 本部は一定ペースで店舗を増やすことを暗に要求。一度断れば優先順位が下がり、新店の話が実質的に回ってこなくなる
- 結果、スタッフが足りないまま店舗だけが増える
- 投稿者は5店舗のうち1店の店長をしながら夕方〜深夜1時のシフトに入り、別の1店舗の発注を毎日こなし、他店の欠員フォローもし、さらに統括店長として週1で全店舗をチェックしていた
- 月1で本部会議、週1で店長会議にも出席
- 5年で鬱病を発症し退職。退職金は一切なし
そして最後の一文が、この体験談を決定づけます。
「この話の本当に恐ろしいところは、人づてに他の店の店長の話を聞くと、私の状況でもまだマシだったという点です」。
法律から見ると
この事例は労働法だけでは説明がつきません。独占禁止法の領域まで含めて整理する必要があります。
| 体験談で実際に行われていたこと | 抵触する条文 | 何が問題なのか |
|---|---|---|
| 店長業務・深夜シフト・他店の発注・欠員フォロー・統括店長業務を1人に集約した。 | 労働基準法32条 36条 |
この業務量で法定労働時間(1日8時間・週40時間)に収まることはあり得ない。36協定なしの時間外労働は違法で、協定があっても原則月45時間・年360時間が上限。 |
| 統括店長は本部のスーパーバイザー並みの業務だが、給与への反映はオーナー次第だった。 | 労働基準法37条 41条2号 |
肩書きだけの「店長」「統括店長」は管理監督者ではない。経営への関与・部下の人事権・自身の勤務時間の裁量・地位にふさわしい待遇の4要件を満たさない限り、残業代・深夜割増の支払い義務は消えない。 |
| 夕方から深夜1時までのシフトに常態的に入っていた。 | 労働基準法37条4項 | 午後10時〜午前5時の労働には25%以上の深夜割増が必要。深夜割増は管理監督者であっても支払い義務があるため、「店長だから」という言い訳は通用しない。 |
| 人手不足を理由に、店長が長時間労働とワンオペを続けた。 | 労働契約法5条 労働安全衛生法66条の8 |
時間外・休日労働が月80時間を超え、疲労の蓄積が認められる労働者から申出があれば、医師による面接指導を行う義務がある。長時間労働による健康障害は安全配慮義務違反として損害賠償の対象になる。 |
| 5年勤務して鬱病を発症したが、労災の話は一度も出ていない。 | 労働者災害補償保険法 (精神障害の認定基準) |
発病直前1か月におおむね160時間、または2か月連続で月120時間以上の時間外労働があれば心理的負荷は「強」と評価され得る。雇われ店長は労働者なので労災の対象である。 |
| 本部が、断れば不利益になる形でオーナーに店舗増加を求めた。 | 独占禁止法2条9項5号 19条 |
取引上の地位が優越している事業者が相手方に不利益を与える行為は「優越的地位の濫用」。公正取引委員会のフランチャイズ・ガイドラインがこの類型を明示している。 |
| 退職時に退職金が一切支払われなかった。 | 労働基準法89条3の2号 | 退職金は法律上の義務ではないが、制度を設けるなら就業規則への記載が必須。規定があるのに払わなければ賃金未払いとなり、退職日から5年(当分の間3年)は請求できる。 |
※ 引用した条文は2026年8月時点のものです。実際の判断は個別の事情によります。
この構造を糾弾する
投稿者は「失敗の原因は、オーナーと私自身の『見込みの甘さ』」と書いています。
みんブラ事務局は、この自己評価に同意しません。
理由を述べます。
投稿者自身が、答えをすでに書いているからです。
「一度新店舗の話を断れば本社からのそのオーナーの優先順位が下がり、実質的に新店の話は回ってこなくなります」。
これを日本語に訳し直します。
「断る」という選択肢が、事実上存在しない。
選択肢のないところに「見込みの甘さ」という言葉は使えません。見込みとは、選べる人が使う言葉だからです。
この構造を、もう一段はっきりさせます。
- 本部は、店舗を増やせばロイヤリティ収入が増える
- オーナーは、断れば次の機会を失うので断れない
- 店長は、増えた店舗の穴を自分の身体で埋めるしかない
この3層のうち、リスクを負っているのは下の2層だけです。
店舗が増えれば本部は儲かる。店舗が潰れても、損をするのはオーナーです。本部は次のオーナーを募集すればいい。
そして——店長が壊れても、本部の帳簿には何も現れません。投稿者は本部に雇われていないからです。
ここが最も悪質な点です。
本部は、店長を働かせておきながら、雇用主としての責任を一切負わない。
統括店長の業務内容を思い出してください。投稿者はこう書いています。
「そもそも統括店長の業務内容というのは、元々は本社の社員であるスーパーバイザーがやっていた仕事です」。
つまり本部が自社の人件費でやっていた仕事を、加盟店側に移した。本部のコストは下がり、店長の負荷だけが上がった。
これを「見込みの甘さ」とは呼びません。コストの転嫁と呼びます。
そして、この転嫁にはもう一つの効果があります。
本部のスーパーバイザーがやっていた頃、その人は本部の社員でした。働きすぎれば本部が労務管理の責任を負う。過労で倒れれば本部の労災になります。
同じ仕事を統括店長に移した瞬間、その責任も本部の外へ出ました。
投稿者が5年で鬱病になっても、本部の統計には何も残りません。雇用主はオーナーだからです。
業務は移し、責任は残さない。これが加盟店方式のもとで実際に起きていることです。
個人事業主であるオーナーの下では福利厚生はアルバイトと大差なく、退職金も一切なかった。5年働いて鬱病になった対価がゼロです。
そして「私の状況でもまだマシだった」。
これは個々のオーナーの資質の問題ではありません。同じことが各地で同時に起きているなら、それは仕組みの問題です。
この業態からは、早く降りたほうがいい
投稿者は鬱病になるまで辞められませんでした。なぜか。責任感があったからです。
それが最も危険です。3つの理由を挙げます。
- 1. 人手不足は、あなたが頑張るほど解決しない
ワンオペで店が回ってしまうと、「その人数で回る店」として本部にも記録されます。あなたが埋めた穴は、穴として認識されなくなる。頑張るほど増員の根拠が消えていくという、逆向きの仕組みが働いています。 - 2. 鬱病は「治ったら元通り」ではない
投稿者は5年で発症しました。精神疾患は再発率が高く、回復にも年単位の時間がかかることがあります。失われるのは在職中の5年だけではありません。辞めた後の年月も削られる。限界の手前で降りた人だけが、その後の人生を丸ごと使えます。 - 3. 「まだマシ」は、判断基準として壊れている
投稿者は他店の店長と比べて「まだマシ」だと考えていました。ですが比較対象が全員おかしい環境では、比較は意味を持ちません。基準にすべきは同業他店ではなく、労働基準法です。週40時間、月45時間の残業上限、深夜割増、有給、退職金規定。この物差しを当てれば、答えは一瞬で出ます。
もし今、同じ状況にいるなら
- 1. 「雇われ店長」は労働者である
オーナーに雇われている店長は、労働基準法が全面的に適用される労働者です。個人事業主なのはオーナーであって、あなたではありません。残業代も深夜割増も有給も労災も、すべて対象です。「店長だから残業代は出ない」は、4要件を満たさない限り通りません。 - 2. 労働時間の記録を、自分の手元に残す
シフト表・勤怠打刻・レジの開閉時刻・発注システムのログイン履歴・店舗の防犯カメラの記録時刻・自分のスマホの位置情報履歴。コンビニは客観的な時刻記録が大量に残る業態です。残業代は3年分さかのぼって請求できます。 - 3. 心身に来ているなら、医療と労災を先に
眠れない、食欲がない、出勤前に動悸がする。この段階で医療機関へ。診断書は退職交渉でも労災申請でも最強の書類です。労災申請は会社の同意がなくても本人ができます(事業主証明が得られなくても受理されます)。長時間労働と未払い残業代は労働基準監督署、本部との関係については公正取引委員会の相談窓口へ。
この体験談に近いケース
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この記事を読んで「うちの会社も同じだ」と感じた方は、ページ上部のブラック度から5段階で投票してください。投稿された体験談とあわせて、職場の実態を可視化していきます。





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