未達で15万円が消える…基本給8万円の人もいた薬品会社の営業職

某有名薬品会社の営業をやっていた時の話です。「ノルマではないけど目標はあるよ」と入社日に言われ、月に百万円以上の売上、キャンペーン商品を◯個以上売ってくるというのがありました。売上だけ達成してもダメ、キャンペーン商品だけ達成してもダメ。両方達成して初めて目標達成となりました。
面接で基本給は230,000円と言われましたが、目標金額に行かないと100,000円基本給から引かれ、キャンペーン商品の売上を達成しないと50,000円引かれました。
両方の目標を達成している人は全体の約20%未満で、キャンペーン商品を自分で買って売上にしてる人もかなりいました。150,000円引かれて基本給が80,000円の人もいっぱいおり、入社した人の半数が3ヶ月持たず辞めて行きました。残っている人は、目標を達成出来る人か、『他に行くところがない人』でした。
更に毎月、社用車レンタル料、iPad使用料、掃除用具代など色々な天引きがあり、毎月約1万円の天引きがありました。求人票に書いてあったボーナスや交通費も無し。
土日祝日は全て休み、と面接時に言われましたが、売上が達成出来なそうだと『売上悪いのに休むの?』、売上をクリアしてると『みんな出社してるのに自分だけ休むの?』などというメールが休みのたびに来ました。みんな月に2日前後くらいしか休んでいなかったようで連休というのは夢のまた夢でした。
辞めたくても朝早くから夜遅くまで営業でまわっていたので他の仕事を探すこともできずにずるずる半年勤めていましたが、ついに体調を崩して辞めざるを得なくなりました。
辞める時も、『急に辞められたら誰がこの地域をまわるんだ?その責任、お前がとれるのか?』など理不尽なことのオンパレードで、もう我慢できず労働基準監督署を通して辞めました。ちなみに自分の平均月収は手取りで10万円前後でした。
みんブラ事務局の所見:減給の制裁は賃金総額の10分の1が上限。基本給23万円から15万円を引くことは6倍以上の超過である。
基本給から15万円を引くことは、減給の制限を大きく超えている
この体験談で最もはっきり違法と言える部分から取り上げます。
投稿者はこう書いています。
「面接で基本給は230,000円と言われましたが、目標金額に行かないと100,000円基本給から引かれ、キャンペーン商品の売上を達成しないと50,000円引かれました」。
ここで労働基準法91条をご覧ください。
就業規則で労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。
数字で確認します。
基本給が23万円とすれば、
減給の総額の上限は2万3千円です。
実際に引かれたのは15万円でした。
6倍を超えています。
ここで会社はおそらくこう反論するでしょう。
「これは制裁ではなく業績連動の賃金だ」。
ですがこの主張にも無理があります。
理由は「基本給から引かれる」と説明されていることです。
基本給とは成果にかかわらず支払われる固定的な賃金を指すのが通常の用法です。
それが成果で増減するなら、
そもそも基本給と呼べません。
そして労働基準法15条は賃金の決定、計算及び支払の方法を書面等で明示すべき労働条件としています。
面接で「基本給23万円」としか説明されていないのであれば、
明示義務にも反しています。
そのうえで、全体を確認します。
- 月100万円以上の売上とキャンペーン商品◯個の両方が目標だった
- 片方だけでは達成とされなかった
- 目標未達で10万円、キャンペーン未達でさらに5万円が引かれた
- 両方達成できる人は全体の20%未満だった
- キャンペーン商品を自分で買う人もかなりいた
- 基本給8万円の人も多かった
- 入社した人の半数が3ヶ月持たなかった
- 社用車レンタル料・タブレット使用料・掃除用具代で月約1万円の天引き
- 求人票のボーナスも交通費もなかった
- 土日祝休みと言われたが休みは月2日前後だった
- 休むたびに嫌味のメールが来た
- 体調を崩して退職した
- 退職時に「誰がこの地域をまわるんだ」と言われた
- 平均月収は手取り10万円前後だった
法律から見ると
減給の制限と賃金控除が中心の論点です。
| 体験談で実際に行われていたこと | 抵触する条文 | 何が問題なのか |
|---|---|---|
| 目標未達を理由に基本給から最大15万円を差し引いていた。 | 労働基準法91条 | 減給の制裁は1回の額が平均賃金の1日分の半額以下、総額が一賃金支払期の賃金総額の10分の1以下。基本給23万円なら上限は約2万3千円である。 |
| 成果により基本給が変動する仕組みが明示されていない。 | 労働基準法15条 89条2号 |
賃金の決定・計算・支払の方法は明示すべき労働条件であり就業規則の絶対的必要記載事項。「基本給23万円」との説明と実態が異なる。 |
| 社用車レンタル料・タブレット使用料・掃除用具代を賃金から控除していた。 | 労働基準法24条1項 89条5号 |
控除には法令の定めか労使協定が必要。労働者に費用を負担させる定めをする場合は就業規則への記載が要る。 |
| 求人票に記載されたボーナスと交通費が支給されなかった。 | 労働基準法15条2項 職業安定法65条8号 |
明示された条件と事実が相違すれば即時解除できる。虚偽の条件による募集は6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金。 |
| キャンペーン商品を従業員自身が購入して売上にしていた。 | 労働施策総合推進法30条の2 (令和6年12月指針改正) |
いわゆる自爆営業はパワーハラスメントの例として指針に明記された。達成できなければ減給という設計が購入を強いる構造にある。 |
| 土日祝休みとしながら、休むたびに嫌味の連絡を送っていた。 | 労働基準法35条 労働施策総合推進法30条の2 |
休日は使用者が与えるもの。取得を萎縮させる働きかけは就業環境を害するものと評価され得る。 |
| 手取り10万円前後という賃金水準が生じていた。 | 最低賃金法4条 労働基準法27条 |
最低賃金に達しない定めは無効となり計算し直される。出来高的な要素があっても労働時間に応じた保障給が必要。 |
| 退職の申出に対し、地域の担当を理由に責任を問うていた。 | 民法627条1項 労働基準法5条 |
期間の定めのない契約は2週間前の申入れで終了。要員の確保は使用者の責任であり、強制労働は最も重い罰則が定められている。 |
※ 引用した条文は2026年8月時点のものです。実際の判断は個別の事情によります。
この会社を糾弾する
この記事の構造をはっきりさせます。
達成できない目標を置いて、未達を賃金で罰するという仕組みです。
順に見ていきます。
まず目標の設計です。
売上100万円とキャンペーン商品◯個の両方でした。
そして片方だけではダメです。
ここが巧妙です。
売上を追えば売れる商品を売ります。
キャンペーン商品を追えば売れにくい商品を押します。
この二つはしばしば両立しません。
結果達成率は20%未満でした。
つまり8割の人が毎月減給されるのです。
ここで重要な見方を示します。
8割が未達なら、目標の設定が誤っているのです。
目標とは努力すれば届く水準に置くものです。
誰も届かない水準は目標ではなく口実です。
次に金額です。
23万円が8万円になります。
これは3分の1です。
ここで労働基準法91条の趣旨を考えてください。
この条文が減給に上限を置いている理由は明確です。
賃金は生活の基盤だからです。
制裁として減らすことが認められるとしても、
生活が成り立たなくなるほどは減らせないという線引きです。
そして10分の1という数字が置かれています。
この会社はその6倍以上を引いていました。
そして天引きが重なります。
社用車レンタル料、タブレット使用料、掃除用具代で月1万円。
ここもはっきり申し上げます。
これらは会社の経費です。
社用車は会社の業務のために使うものです。
タブレットも業務端末でしょう。
掃除用具にいたっては職場の維持費です。
労働基準法24条は賃金の全額払いを定めており、
控除できるのは法令に定めがある場合か労使協定がある場合だけです。
そして労働基準法89条5号は、
労働者に負担をさせる定めをする場合には就業規則に記載せよとしています。
次に休日です。
「土日祝日は全て休み」と言われていました。
実際は月2日前後です。
そして休むたびにメールが来ます。
ここでその文面を見てください。
- 売上が悪い → 「売上悪いのに休むの?」
- 売上が良い → 「みんな出社してるのに自分だけ休むの?」
どちらでも休めません。
これは理由を後づけしているのです。
目的は一つです。
休ませないこと。
そして最後に退職です。
「急に辞められたら誰がこの地域をまわるんだ?その責任、お前がとれるのか?」。
ここをはっきり申し上げます。
その責任は会社が取るものです。
担当者が抜けたときの手当ては経営の仕事です。
そしてこの会社は入社した人の半数が3ヶ月で辞めているのです。
つまり人が抜けることは日常だったはずです。
備えていなかったのは会社です。
そしてこの方は労働基準監督署を通して辞めました。
これは正しい選択でした。
そして「他に行くところがない人」という一文に触れます。
投稿者は残った人をこう分類しました。
- 目標を達成できる人
- 他に行くところがない人
この二つ目がこの会社の前提です。
辞められない人が残ることを見込んで設計されている。
だから半数が3ヶ月で辞めても成り立つのです。
ここが最も悪質な部分です。
そして申し上げます。
他に行くところがない人にも、労働基準法は適用されます。
減給の上限も、
全額払いの原則も、
最低賃金も、
誰にでも同じように効きます。
そして辞めた後でも請求できます。
賃金請求権の時効は当面3年ですから、
減給された分も天引きされた分も対象になり得ます。
こういう会社は、今すぐ辞めていい
3つの理由を述べます。
- 1. 8割が未達の目標は、達成できない設計になっている
努力の問題ではありません。売れる商品とキャンペーン商品を同時に追わせる設計に無理があります。誰がやっても同じ結果です。 - 2. 手取り10万円では、生活が成り立たない
減給15万円に天引き1万円が重なります。そしてボーナスも交通費もありません。働くほど生活が苦しくなるのです。 - 3. 休みを探す時間がなければ、抜け出せない
投稿者自身が「他の仕事を探すこともできずにずるずる半年」と書いています。時間がないことが転職を妨げるのです。早いほど有利です。
もし今、同じ状況にいるなら
- 1. 給与明細をすべて保管する
基本給の額、減額の額、控除の項目と額が書かれた明細はそのまま証拠です。労働基準法91条の上限を超えているかは計算で確認できます。時効は当面3年です。 - 2. 求人票と労働条件通知書を、突き合わせる
ボーナス、交通費、休日の記載を確認してください。労働基準法15条2項により相違があれば即時に契約を解除できます。2週間待つ必要はありません。 - 3. 労基署は、退職の場面でも使える
この方は労働基準監督署を通して辞めています。賃金・減給・控除・休日はすべてこの窓口の管轄です。匿名での申告も可能で、申告を理由とする不利益取扱いは104条2項で禁止されています。
この体験談に近いケース
この体験談に近いケースとして、あわせて読まれている記事です。
- 自爆営業は違法。行き過ぎたノルマで新人が半数に減った職場。
- 銀行の渉外係。保険という保険を自分で契約させられた話。
- 従業員に課す罰金・ペナルティは違法。賃金から引くことはできません。
- 求人詐欺!募集要項は嘘だらけ。残業時間も給料も全部ウソ。
この記事を読んで「うちの会社も同じだ」と感じた方は、ページ上部のブラック度から5段階で投票してください。投稿された体験談とあわせて、職場の実態を可視化していきます。





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