画像編集のはずが10種類の仕事に…接客のミスを全員の前で晒された

4年前、2年生の子供一人を連れてシングルマザーになったばかりのころ、マザーズハローワークの存在を知り、「子供がいるお母さんのライフスタイルに合わせて働けますよ」という職場を紹介してもらいました。夏休みは閑散期で、子供を自宅で一人にしなくて良いのも魅力でした。
パソコンで画像編集をする人員としてパートとして働くようになったのですが、そこの社長はパートにかなりの仕事量を要求してくる方だったのです。
「やってもらうから!」と言われた仕事は、店舗接客・電話応対・商品在庫管理・縫製作業・配達・ビラ配り・営業業務・出張販売・イベントでのプレゼン・事務一般でした。
教えてもらう仕事が毎日違うので、いつまでたっても「覚えた!仕事に慣れた!」という実感がわかず、担当のはずの画像編集の仕事はごくわずか…。
店舗接客は、店員がお客様のご注文を聞いて商品をお出しするお店だったので、商品の場所がわからず、しかも似たような商品だらけで間違えたりもしました。もともと、接客は苦手だったのでタジタジしていたら、社長がスタッフ全員を呼び出し、「私のひどい接客ぶりを全員にも知ってもらいたい、みんなも気を付けるように!」と晒されました。
仕事内容が思っていたものと違い過ぎたのと、覚えることが多すぎたことに加え、この一件で退職することにしました。ここまで居にくい職場は初めてでした。
みんブラ事務局の所見:従事すべき業務の内容は明示すべき労働条件である。令和6年4月からは変更の範囲まで示す必要がある。
従事すべき業務の内容は、明示しなければならない
この体験談で最もはっきりした問題から取り上げます。
投稿者は「パソコンで画像編集をする人員としてパート」で採用されました。
そして実際に求められたのがこれです。
- 店舗接客
- 電話応対
- 商品在庫管理
- 縫製作業
- 配達
- ビラ配り
- 営業業務
- 出張販売
- イベントでのプレゼン
- 事務一般
10種類です。
そして「担当のはずの画像編集の仕事はごくわずか」と書かれています。
ここで労働基準法15条を確認します。
使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。
そして従事すべき業務に関する事項は書面等で明示すべき事項です。
さらに令和6年4月からは、
就業の場所及び従事すべき業務の変更の範囲も明示の対象となりました。
つまり将来変わり得る範囲まで示すことが求められているのです。
そのうえで、全体を確認します。
- シングルマザーになったばかりだった
- マザーズハローワークの紹介だった
- 「子供がいるお母さんのライフスタイルに合わせて働けます」と説明された
- 夏休みが閑散期という点も魅力だった
- 画像編集の人員としてパート採用された
- 実際は10種類の業務を求められた
- 教わる仕事が毎日違い、慣れる実感がなかった
- 画像編集はごくわずかだった
- 接客で商品を間違えた
- 社長がスタッフ全員を呼び出し晒した
法律から見ると
業務内容の明示と精神的な攻撃が中心の論点です。
| 体験談で実際に行われていたこと | 抵触する条文 | 何が問題なのか |
|---|---|---|
| 画像編集として採用しながら、10種類の異なる業務に従事させていた。 | 労働基準法15条 同施行規則5条 |
従事すべき業務の内容は書面等で明示すべき労働条件。令和6年4月からは業務の変更の範囲の明示も義務。相違があれば即時に契約を解除できる(15条2項)。 |
| 職業紹介の際の説明と実際の業務が大きく異なっていた。 | 職業安定法5条の3 65条8号 |
求人者は労働条件を的確に表示する義務を負う。虚偽の条件による求人申込みは6月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金。 |
| 接客のミスをスタッフ全員の前で公表していた。 | 労働施策総合推進法 30条の2 |
他の労働者の面前での威圧的な叱責は指針が挙げる「精神的な攻撃」の例。見せしめの目的が明示されている点で悪質性が高い。 |
| 必要な教育を行わないまま、次々と異なる業務を担当させていた。 | 労働安全衛生法59条 労働契約法5条 |
雇入れ時および作業内容変更時の教育は事業者の義務。縫製・配達など安全に関わる業務では特に必要となる。 |
| パートタイム労働者に広範な業務を担当させていた。 | パートタイム・有期雇用 労働法6条 8条 |
特定事項を文書で明示する義務がある。職務の内容が通常の労働者と同様であれば不合理な待遇差の禁止が問題となる。 |
| 配達業務における車両運転の安全管理が確認できない。 | 労働安全衛生法59条 道路交通法74条の3 |
一定台数以上を使用する事業所には安全運転管理者の選任が義務づけられる。アルコール検知器による確認も求められている。 |
| 育児との両立を前提に紹介されながら、業務範囲が拡大していた。 | 職業安定法5条の3 労働契約法3条3項 |
労働契約は仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結・変更すべきとされている。出張販売等は生活時間に直接影響する。 |
| 公共職業安定所の紹介による就職であった。 | 職業安定法5条の6 (求人不受理) |
労働関係法令違反等がある求人者の求人は受理しないことができるとされている。紹介後のトラブルは安定所に申し出られる。 |
※ 引用した条文は2026年8月時点のものです。実際の判断は個別の事情によります。
この会社を糾弾する
この記事の要点を順に述べます。
まず10種類の業務です。
もう一度並べてください。
接客、電話、在庫、縫製、配達、ビラ配り、営業、出張販売、プレゼン、事務。
これは複数の職種です。
販売職、製造職、ドライバー、営業職、事務職。
それぞれ別々の求人になる内容です。
そして投稿者が応募したのは画像編集でした。
ここで重要な指摘があります。
「教えてもらう仕事が毎日違うので、いつまでたっても『覚えた!仕事に慣れた!』という実感がわかず」。
これは本質を突いています。
技能は繰り返しで身につきます。
毎日違う仕事をすれば、
どれも中途半端になります。
そしてミスが増える。
実際にこう書かれています。
「商品の場所がわからず、しかも似たような商品だらけで間違えたりもしました」。
ここをはっきり申し上げます。
これは本人の問題ではありません。
画像編集の担当者に商品の配置を覚える機会はありません。
そして教えられていないのです。
労働安全衛生法59条は雇入れ時だけでなく作業内容を変更したときも教育を義務づけています。
10種類の業務があるなら10回の教育が必要です。
そしてこの記事の核心に入ります。
晒されたことです。
「社長がスタッフ全員を呼び出し、私のひどい接客ぶりを全員にも知ってもらいたい、みんなも気を付けるように!と晒されました」。
ここを分解します。
まず全員を呼び出したのです。
つまり公開の場をわざわざ作りました。
そして目的を明言しています。
「全員にも知ってもらいたい」。
これは指導ではありません。
指導なら本人に伝えれば足ります。
全員の前でやる理由は一つです。
見せしめです。
厚生労働省の指針は「精神的な攻撃」の例として、
他の労働者の面前における威圧的な叱責を繰り返し行うことを挙げています。
そしてこの件では目的が本人の口から説明されているのです。
つまり意図が明確です。
そしてこの方の立場を考えてください。
シングルマザーになったばかりでした。
小学2年生の子どもがいます。
そしてマザーズハローワークの紹介で入ったのです。
この状況で簡単に辞められるでしょうか。
会社の側から見れば辞めにくい人です。
だからこそ10種類の仕事を振れたとも言えます。
そしてマザーズハローワークという窓口について説明します。
これは子育てをしながら働きたい方のための専門の窓口です。
特徴を挙げます。
- キッズコーナーがあり子連れで相談できる
- 担当者制で継続的に相談できる
- 保育所等の情報も提供される
- 両立しやすい求人が集められている
つまり安心して使える仕組みとして作られています。
だからこそ紹介された求人の内容が違ったことは重い。
そしてここが重要です。
紹介したのは公的機関です。
つまり苦情を申し出る先があるのです。
ハローワーク求人ホットラインがそれです。
そして職業安定法5条の6は、
一定の労働関係法令違反等がある求人者の求人申込みは受理しないことができると定めています。
つまり申し出は次の人を守ります。
そしてもう一点。
投稿者は「夏休みは閑散期」という点に魅力を感じていました。
ですが実際の業務には出張販売やイベントが含まれています。
これらは土日や長期休暇に集中しやすい業務です。
つまり前提が崩れているのです。
そして「かなりの仕事量」という表現について述べます。
投稿者は「社長はパートにかなりの仕事量を要求してくる方だった」と書いています。
ここでパートという働き方を確認します。
パートタイム労働者とは1週間の所定労働時間が同じ事業所の通常の労働者に比べて短い労働者をいいます。
つまり時間が短いというだけです。
責任が軽いとは限りません。
ですが短い時間で10種類の業務は物理的に無理です。
そしてここでパートタイム・有期雇用労働法8条が効きます。
職務の内容、職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して不合理と認められる相違を設けてはならないとあります。
つまり正社員と同じ仕事をしているなら、待遇の差に説明が必要なのです。
そして説明を求める権利も同法14条にあります。
そしてこの方の判断を確認します。
「仕事内容が思っていたものと違い過ぎたのと、覚えることが多すぎたことに加え、この一件で退職することにしました」。
この判断は正しいです。
そして一件という言葉に注目してください。
晒されたことが決定打になったのです。
仕事の多さは耐えていたのでしょう。
ですが人前で晒されることは別です。
これは職場にいられなくする行為だからです。
投稿者が「ここまで居にくい職場は初めて」と書いたのはそのためでしょう。
そしてこれは個人の感じ方の問題ではありません。
ハラスメントの定義には就業環境が害されることが含まれています。
つまり働き続けられなくなることそのものが要件なのです。
こういう会社は、今すぐ辞めていい
3つの理由を述べます。
- 1. 毎日違う仕事では、技能が積み上がらない
画像編集で入ったのにその仕事がごくわずかです。経歴として残るものがありません。次につながらないのです。 - 2. 見せしめをする経営者は、繰り返す
目的を口に出してやっているのです。悪いことだと思っていません。次も同じことをします。 - 3. 育児との両立が前提だったはずである
配達、出張販売、イベントは時間が読めない業務です。子どもの生活に直接影響します。紹介の前提が崩れています。
もし今、同じ状況にいるなら
- 1. 求人票と労働条件通知書を、突き合わせる
「従事すべき業務の内容」の記載を確認してください。労働基準法15条2項により相違があれば即時に契約を解除できます。2週間待つ必要はありません。 - 2. ハローワークの紹介なら、安定所に申し出られる
ハローワーク求人ホットラインが窓口です。職業安定法5条の6により労働関係法令違反等がある求人者の求人は受理しないことができるとされています。次の人を守ることにもなります。 - 3. 晒された日は、必ず記録する
日付、場所、同席者、発言の内容を書いてください。「全員にも知ってもらいたい」という発言は目的を示す重要な証拠です。相談先は総合労働相談コーナー(無料・予約不要)です。
この体験談に近いケース
この体験談に近いケースとして、あわせて読まれている記事です。
- 全社員の前で叱責される会社。見せしめの説教はパワハラの典型例。
- 求人情報・面接時と話が違うんだが…入社後の仕事内容にビックリ。
- パート使い捨て!都合よく使われ頑張り損という職場の構造。
- ハローワーク経由で地獄に転落。虚偽の求人は職業安定法違反です。
この記事を読んで「うちの会社も同じだ」と感じた方は、ページ上部のブラック度から5段階で投票してください。投稿された体験談とあわせて、職場の実態を可視化していきます。





・広告、犯罪に関する内容、他人が不快になる誹謗中傷コメントは、書き込みは禁止です(削除させていただきます)。
・投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権、(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利も含む)その他の権利につき(第三者に対して再許諾する権利を含みます。)、サイト運営者に対し、無償で譲渡することを承諾します。
・投稿者は、サイト運営者に対して、著作者人格権を一切行使しないことを承諾します。