レジの不足金はアルバイトが全額を割り勘負担・補填。ノルマ未達でケーキ・おせち料理自腹買い取り。

私はコンビニで働いていました。
そのコンビニは、お店の商品の予約ノルマがあり、ノルマが達成できないと商品を買い取らなければなりませんでした。年末になると、クリスマスケーキ3個の予約やおせち料理の予約を取らなくてはなりませんでした。せっかく働いて貰ったお給料から毎月1万円前後のお金が出ていきました。
そして、レジのお金が不足していると、その時間帯レジで働いた人が割り勘してレジに入れていました。ある日、私がレジに入ったばかりだった時に2万円の不足が出ていると店長に言われました。店長は何回も私がレジからお金を持ち出してないか事務所でビデオテープを見ていたそうです。しかしお金は取っていないので連帯責任で店長が1万円、私が1万円支払うことになりました。
しかし、その後、店長のパソコンの事務ミスということがわかり支払わなくて済みました。店長は謝罪もせず「あれ、分かったから」と一言いいました。私は怖くなってしまい仕事を辞めたくなってしまいました。
しかし、後輩が体調不良を理由に辞めようとした時に、男性のオーナーが怒り出し事務所の壁ギリギリまで追い詰めて怒鳴っているのを見てしまいました。
見ていた人はみんな「辞めるときにはああなっちゃうんだぁ」とおびえてしまいました。そうです、私も辞めた当日、仕事が終わってから散々な目にあいました。でもこれで終わりと思って言いたいだけ言わせてあげました。
可愛そうな人達に思いました。
みんブラ事務局の所見:レジの違算金を従業員が負担する義務はない。労働基準法16条により、そのルールは無効である。
この職場の何がブラックだったのか
コンビニで働く方に、この2つの慣行はいずれも違法であるということを最初にお伝えしておきます。
ひとつめ。予約ノルマの自腹買い取り。この店には商品の予約ノルマがあり、達成できないと自分で買い取らなければなりませんでした。年末になるとクリスマスケーキ3個の予約と、おせち料理の予約を取らなければならない。
結果どうなったか。「せっかく働いて貰ったお給料から毎月1万円前後のお金が出ていきました」。
アルバイトの月収を仮に8万円とすれば、収入の1割以上が会社へ還流している計算です。働いて得た金で、働いている店の商品を買う。これが毎月続いていました。
ふたつめ。レジ違算金の割り勘負担。「レジのお金が不足していると、その時間帯レジで働いた人が割り勘してレジに入れていました」。
そしてある日、事件が起きます。投稿者がレジに入ったばかりのとき、2万円の不足が出ていると店長に言われました。店長は何度もビデオテープを見返して、投稿者がレジから金を持ち出していないか確認していたそうです。
金を取っていないので、結局連帯責任として店長が1万円、投稿者が1万円を支払うことになりました。
ところが後日、真相が判明します。店長のパソコンの事務ミスでした。支払わずに済んだものの、店長の言葉は「あれ、分かったから」の一言。謝罪はありませんでした。
投稿者はこう書いています。「私は怖くなってしまい仕事を辞めたくなってしまいました」。
そして辞めるときの恐怖です。後輩が体調不良を理由に辞めようとしたとき、男性のオーナーが怒り出し、事務所の壁ギリギリまで追い詰めて怒鳴っているのを目撃してしまいます。見ていた人はみんな「辞めるときにはああなっちゃうんだぁ」とおびえたといいます。
そして投稿者自身も、辞めた当日に散々な目に遭いました。「でもこれで終わりと思って言いたいだけ言わせてあげました」。
法律から見ると、これは何にあたるのか
この店で行われていたことを条文と突き合わせます。いずれも、コンビニ業界に広く残る慣行です。
| 体験談で実際に行われていたこと | 抵触する条文 | 何が問題なのか |
|---|---|---|
| レジの不足金を、その時間帯の担当者で割り勘して補填させていた。 | 労働基準法16条 労働基準法24条 |
あらかじめ損害賠償額を定めることは賠償予定の禁止に反する。賃金から控除する形なら全額払いの原則にも反する。実際に労働者の故意・重過失による損害があっても、使用者は信義則上、相当と認められる範囲でしか請求できないとされている。 |
| 予約ノルマを達成できないと、商品を自腹で買い取らされた。 | 労働基準法16条 労働施策総合推進法30条の2 |
いわゆる自爆営業。厚生労働省は自爆営業をパワハラ指針に明記する改正を進めており、2026年10月1日からの施行が予定されている。 |
| 毎月1万円前後が、給料から実質的に失われていた。 | 最低賃金法4条 | 商品購入の負担によって実質的な賃金が最低賃金を下回る場合、最低賃金法違反の問題が生じ得る。最低賃金を下回る定めはその部分が無効となる。 |
| 店長が防犯ビデオを何度も確認し、窃盗を疑って調べていた。 | 労働施策総合推進法 30条の2 |
根拠なく従業員を犯罪者として扱う調査は、「精神的な攻撃」にあたり得る。しかも原因は店長自身の事務ミスであり、疑いには何の根拠もなかった。 |
| 原因が店長の事務ミスと判明しても、謝罪がなかった。 | 労働契約法3条4項 | 労働契約は信義に従い誠実に権利を行使し義務を履行すべきもの。誤った疑いをかけて金銭を負担させかけた以上、説明と謝罪は当然の対応。 |
| 辞めようとした後輩を、オーナーが壁際まで追い詰めて怒鳴った。 | 民法627条1項 刑法208条 |
期間の定めのない雇用は申し入れから2週間で終了する。退職を妨げる行為に法的根拠はなく、壁際に追い詰める行為は暴行罪に問われ得る。 |
| 退職者に対して威圧的な言動が繰り返され、周囲もそれを恐れていた。 | 労働施策総合推進法 30条の2 |
退職の申し出に対する威圧は「精神的な攻撃」であり、他の従業員の就業環境も害している。 |
※ 引用した条文は2026年8月時点のものです。実際の判断は個別の事情によります。
コンビニで働く方に、最も重要な知識をお伝えします。レジの違算金を、従業員が負担する義務はありません。
理由を3つの段階で説明します。
第一に、あらかじめ決めておくことが違法です。労働基準法16条は、「労働契約の不履行について違約金を定め、または損害賠償額を予定する契約」を禁じています。「レジが合わなかったら担当者が補填する」というルールは、まさに損害賠償額をあらかじめ定めるものです。額の多寡にかかわらず、この時点で違法です。
第二に、賃金から差し引くことも違法です。労働基準法24条の全額払いの原則により、法令の定めか労使協定がなければ控除はできません。「レジに自分の財布から入れる」という形でも、実質は同じことです。
第三に、実際に損害があった場合でも全額は請求できません。これは重要です。仮に従業員のミスで本当に損害が生じたとしても、使用者が労働者に請求できる範囲は信義則上相当と認められる限度に制限されると裁判例で確立しています。事業を営めば一定の損失が生じることは避けられず、その危険は事業から利益を得ている側が負うべきだという考え方です(報償責任の原則)。
ましてこの事例では、原因は店長のパソコンの事務ミスでした。投稿者には何の落ち度もありません。それでも一度は「連帯責任」として1万円を負担させられそうになった。「連帯責任」という言葉に、労働法上の根拠はありません。
そして予約ノルマの自腹買い取り、いわゆる自爆営業について。厚生労働省は2025年11月の労働政策審議会でこれをパワハラ指針に明記する改正案を示し、2026年10月1日からの施行が予定されています。「コンビニだから当たり前」という慣行は、まもなく国の指針で名指しされます。
従業員に損失を肩代わりさせる商売を糾弾する
ここからは、事務局として率直に書きます。
この体験談には、コンビニという業態が抱える構造が凝縮されています。
クリスマスケーキ、おせち、恵方巻き。これらの季節商品には、本部から店舗へ発注の推奨がなされ、店舗はそれをアルバイトのノルマに落とし込むという流れがしばしば見られます。そして売れ残りは、最終的に現場の従業員が買い取る。
この仕組みの何が問題か。需要予測の失敗が、一度も市場に問われないまま処理されることです。本当に売れる数を発注していれば、買い取りは発生しません。売れない数を発注したから、余る。その判断ミスの代金を、時給900円台の従業員が毎月1万円ずつ払っている。
そしてレジの違算金です。レジの過不足は、どれだけ注意しても一定の確率で発生します。釣り銭の渡し間違い、レジ操作の誤り、そしてこの事例のようにシステム側の処理ミス。つまり事業を営むうえで避けられないコストです。
それを従業員に負担させるということは、事業リスクを、利益を得ていない人間に転嫁しているということです。店の売上が伸びてもアルバイトの時給は上がりませんが、レジが合わなければ財布から出す。この非対称に、正当化の余地はありません。
そして、この事例で最も許しがたいのが店長の対応です。
2万円の不足を発見したとき、店長がまず何をしたか。「何回も私がレジからお金を持ち出してないか事務所でビデオテープを見ていた」。——最初に疑ったのは、従業員の窃盗でした。自分の入力を確認するより先に、です。
そして本当の原因が自分の事務ミスだと分かったときの言葉が「あれ、分かったから」。
この一言のなかに、謝罪も、説明も、疑ってしまったことへの反省もありません。人を窃盗犯として録画を見返し、1万円を負担させようとしておいて、「分かったから」で終わらせる。投稿者が「怖くなってしまい仕事を辞めたくなってしまいました」と書いているのは、金額の問題ではなく、この人の下では次に何を疑われるか分からないという恐怖でしょう。
そしてオーナーの退職妨害。体調不良を理由に辞めようとした後輩を、事務所の壁ギリギリまで追い詰めて怒鳴る。周囲の従業員は「辞めるときにはああなっちゃうんだぁ」とおびえた——つまり一人を怒鳴ることで、全員に「辞めるな」と伝えているわけです。これは極めて効率のよい統制です。
ただし、投稿者は最後にこう書いています。「でもこれで終わりと思って言いたいだけ言わせてあげました」。そして「可愛そうな人達に思いました」。
怒鳴られながら、相手を「可哀想」と見ている。この距離の取り方は、辞める人にとって最良の護身術かもしれません。怒鳴っている側は、もうその人に何の影響も与えられていないのですから。
なぜ、この店は今すぐ辞めるべきなのか
第一に、働くほど貧しくなるからです。毎月1万円前後の自腹購入は、時給に換算すれば数十時間分の労働にあたります。そこにレジの違算金負担が加われば、何のために働いているのか分からなくなります。
第二に、疑われる恐怖が続くからです。この店では、レジが合わなければまず従業員の窃盗が疑われ、防犯カメラが確認されます。そして誤りだったとしても謝罪はありません。この環境で働き続けることは、常に嫌疑の下に置かれ続けることを意味します。
第三に、辞めるときの威圧に法的根拠はないからです。期間の定めのない雇用なら、民法627条1項により申し入れから2週間で退職できます。オーナーが怒鳴ろうと、壁際に追い詰めようと、退職の効力には一切影響しません。そして壁際に追い詰める行為自体が、暴行罪に問われ得る行為です。
いま同じ状況にいる人が、今日のうちにやるべき3つのこと
- 1. レジの違算金は、支払う義務がないと知っておく
「レジが合わなければ負担する」というルールは、労働基準法16条により無効です。賃金から引く形も、自分の財布から入れる形も、法的な根拠はありません。実際に負担してしまった分は、未払い賃金として返還を求められます。いつ、いくら負担したかを記録し、可能ならその場のやりとりを記録してください。すでに支払った分も、時効の3年以内なら請求の対象です。 - 2. 自腹購入の記録を、レシートで残す
ノルマ未達で買い取った商品のレシートを必ず保管してください。そして「いつ、誰に、どう言われて買ったか」を記録します。ノルマの掲示や、達成状況が貼り出された表の写真、店長からの督促のメッセージも重要です。自爆営業は2026年10月1日からパワハラ指針に明記される予定です。実質的な収入が最低賃金を下回るなら、最低賃金法違反としても問題になります。 - 3. 辞めるときは、対面でなくてよい
退職の意思表示は書面でも有効です。怒鳴られるのが怖いなら、内容証明郵便で退職届を送れば、提出した事実と日付が公的に記録されます。2週間経てば、出勤する義務はなくなります。威圧されたり壁際に追い詰められたりした場合は、その状況を記録し、必要なら警察に相談してください。レジ違算金や自腹購入については労働基準監督署が窓口です。アルバイトでも、まったく同じように申告できます。
この体験談に近いケース
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この記事を読んで「うちの会社も同じだ」と感じた方は、ページ上部のブラック度から5段階で投票してください。投稿された体験談とあわせて、職場の実態を可視化していきます。





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