営業職はやめたほうがいい。成果主義の厳しい仕事と上司の厳しい言葉にノックダウン

私が以前務めていた企業では営業をしていました。営業内容としては電話営業をしてアポイントを取り、営業に行くというスタイルの営業でした。入社して業務を始めてみると営業時間も朝8時から夜の10時近くまででした。
営業職ということで残業代もありませんし、そもそも勤務時間も募集を見たものとは全く異なるものでした。業務内容の電話営業も仕事中の方に電話してアポイントを取ることですが、相手は仕事中なので当然すぐに切られてしまいます。
1週間もすると会社に行くことも憂鬱になり、上司に相談して辞めようと思いましたが留められて、その後2ヵ月程やり再度相談しましたが、「2ヵ月間何もせずに給料だけ貰って辞めれると思うのか」と言われてしまい、翌日は会社に行かずにこのまま辞めてしまおうと思い無断欠勤をしました。
そして、その日は休み外出をして深夜に家に戻ると家の前に上司がいて、「今日は泊まって明日一緒に出社するからな」と言われ、翌日出社して全社員が居る前で怒鳴られました。
私の辞めたいという意思は全く聞いてもらうことはありませんでした。それからは辞めることは出来ないと諦めて働いていましたが、業績が悪ければ1ヵ月休みなく出社になったり、アポイントが取れなければ激辛料理を無理矢理食べさせられたりと会社に行くことが恐怖でした。
そして、2年が経った時に内容証明という形で退職届を出し辞めることは出来ましたが、働いた分の給与は貰うことが出来ませんでした。
みんブラ事務局の所見:雇用契約は労働に従事する契約であって、成果を約束する契約ではない。深夜の自宅待ち伏せは労務管理ではない。
「給料だけ貰って辞める」という言い方は成り立たない
この体験談で最も重要な一言から始めます。
投稿者が2か月で辞めたいと申し出たときの、上司の返答です。
「2ヵ月間何もせずに給料だけ貰って辞めれると思うのか」。
この言い方は、労働契約の性質を取り違えています。
民法623条は、雇用契約をこう定義しています。
当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約する。
「労働に従事すること」を約束する契約です。
「成果を出すこと」を約束する契約ではありません。
成果を約束するのは請負契約であって、雇用契約とは別のものです。
投稿者は朝8時から夜10時近くまで働いていました。
アポが取れなかったのは結果であって、労働に従事していなかったわけではありません。
「何もせずに」というのは事実に反します。
そのうえで、全体を確認します。
- 電話営業でアポイントを取り、営業に行くスタイルの営業職
- 営業時間は朝8時から夜10時近くまで。募集を見たものとは全く異なっていた
- 営業職ということで残業代もなし
- 電話の相手は仕事中なので当然すぐに切られる
- 1週間で憂鬱になり相談したが留められ、2か月後に再度相談すると「2ヵ月間何もせずに給料だけ貰って辞めれると思うのか」と言われた
- 無断欠勤した日、深夜に家に戻ると家の前に上司がいて「今日は泊まって明日一緒に出社するからな」と言われた
- 翌日全社員が居る前で怒鳴られた
- 業績が悪ければ1か月休みなく出社、アポイントが取れなければ激辛料理を無理矢理食べさせられた
- 2年後、内容証明という形で退職届を出し辞めることができたが、働いた分の給与は貰えなかった
法律から見ると
この事例には刑事事件になり得る行為が複数含まれています。
| 体験談で実際に行われていたこと | 抵触する条文 | 何が問題なのか |
|---|---|---|
| 退職の申出を留め、2年間辞められない状態にした。 | 民法627条1項 労働基準法5条 |
期間の定めのない雇用は、申入れから2週間で終了する。会社の承諾は不要で、精神的な圧迫により就労を継続させれば強制労働の禁止にも触れ得る。 |
| 深夜に自宅前で待ち伏せ、「今日は泊まる」と告げた。 | 刑法130条 ストーカー規制法 |
正当な理由なく人の住居に侵入し、または退去の要求を受けて退去しない行為は3年以下の拘禁刑または10万円以下の罰金。住居等への押しかけは「つきまとい等」にも該当し得る。 |
| アポイントが取れなければ、激辛料理を無理矢理食べさせた。 | 刑法223条 204条 208条 |
義務のないことを行わせる行為は強要罪で3年以下の拘禁刑。健康被害が生じれば傷害罪にもあたる。「罰ゲーム」という名目でも違法性は変わらない。 |
| 全社員のいる前で怒鳴りつけた。 | 労働施策総合推進法 30条の2 |
指針は「他の労働者の面前における大声での威圧的な叱責」を「精神的な攻撃」の例として明示している。 |
| 業績が悪ければ1か月休みなく出社させた。 | 労働基準法35条 119条 |
毎週少なくとも1回、または4週を通じ4日以上の休日が必要。1か月連続勤務は明白な違法で、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金。 |
| 営業職であることを理由に、残業代を支払わなかった。 | 労働基準法37条 38条の2 |
「営業職だから残業代なし」という法理は存在しない。事業場外みなし労働時間制も労働時間の算定が困難な場合に限られ、携帯電話等で随時指示を受けていれば適用されない。 |
| 募集内容と実際の勤務時間が全く異なっていた。 | 職業安定法5条の3 65条 労働基準法15条2項 |
虚偽の条件を提示して募集した者は6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金。相違する場合、労働者は即時に契約を解除できる。 |
| 退職後、働いた分の給与を支払わなかった。 | 労働基準法23条 24条 |
労働者の請求があった場合、7日以内に賃金を支払わなければならない。退職の経緯を理由に賃金を留保することはできず、時効は3年である。 |
※ 引用した条文は2026年8月時点のものです。実際の判断は個別の事情によります。
この会社を糾弾する
この記事で最も異常な場面を取り上げます。
深夜、家の前に上司がいた。
この状況を、落ち着いて想像してください。
投稿者は無断欠勤した日、外出して深夜に帰宅しました。
つまり上司はいつ帰ってくるかわからない相手を、住所を調べて、深夜まで待っていたのです。
そして告げた言葉が「今日は泊まって明日一緒に出社するからな」。
これは説得ではありません。
逃げられない状態を物理的に作る行為です。
会社に来ない相手に対して、まともな会社が取る対応は電話をする、書面を送る、面談の日程を提案することです。
自宅で待ち伏せて泊まり込むのは、労務管理ではありません。
そして翌日、全社員の前で怒鳴られた。
ここにも意図があります。
他の社員に見せるためです。
「辞めようとするとこうなる」という光景を全員に共有させた。
次に、激辛料理です。
「アポイントが取れなければ激辛料理を無理矢理食べさせられたり」。
これを「罰ゲーム」や「社風」という言葉で扱ってはいけません。
義務のないことを、暴行または脅迫を用いて行わせる行為には名前があります。強要罪です。
そして、食べ物を使う点が特に悪質です。
身体に直接影響します。体質によっては健康被害が生じます。
それでいて証拠が残りません。傷跡がつかない暴力です。
そして最後、賃金の不払いです。
投稿者は2年間働き、内容証明で退職届を出して辞めることができました。
ですが——「働いた分の給与は貰うことが出来ませんでした」。
これは明確な違法です。
労基法23条は労働者の請求があった場合、7日以内に賃金を支払わなければならないと定めています。
辞め方が気に入らないから、という理由で賃金を留保することはできません。
そして重要なのは、この賃金の時効は3年だということです。
退職後でも請求できます。
最後に、この会社の採用の仕方にも触れておきます。
募集内容と実際の勤務時間が全く異なっていた。
朝8時から夜10時近くまで、1日14時間です。
この条件を正直に書いたら、誰も応募しません。
だから書かなかった。そして入社してから、辞めさせない。
入口で嘘をつき、出口を塞ぐ。これがこの会社の設計です。
そして、この設計を支えていたのが「営業職だから残業代はない」という説明でした。
これも誤りです。
「営業職だから残業代なし」という法理は、労働基準法に存在しません。
会社が持ち出しがちなのは事業場外みなし労働時間制という制度です。
ですがこれは労働時間の算定が困難な場合に限られます。
携帯電話で随時指示を受けている、訪問先や帰社時刻が決められている、日報で行動を報告している。
こうした場合は「算定が困難」とはいえず、適用されません。
この会社は電話でアポを取り、営業に行くスタイルでした。朝8時から夜10時まで、勤務時間も把握されています。
みなし労働時間制が成り立つ余地はありません。
つまりこの会社は2年間、1日6時間分の時間外労働を無償で受け取り続けていたことになります。
所定を1日8時間とすれば、朝8時から夜10時までのうち6時間近くが時間外です。
月20日勤務なら月120時間。過労死ラインの1.5倍にあたります。
この会社は、今すぐ辞めていい
投稿者は2年かかりましたが、内容証明で辞めることができました。3点補足します。
- 1. 内容証明は、最初から使ってよい
この方は2年目にようやく内容証明を使いました。1週間目に使ってもよかったのです。内容証明郵便は、「いつ・誰が・どんな内容を送ったか」を郵便局が証明する制度です。会社が受け取りを拒んでも、発送した記録は残ります。 - 2. 「成果が出ていない」は、辞められない理由にならない
雇用契約は労働に従事することを約束する契約です。成果を出すまで辞められないという法理は存在しません。「給料泥棒」といった言葉は、罪悪感を利用して退職を止めるための道具です。応じる必要はありません。 - 3. 未払い賃金は、辞めた後でも取り戻せる
賃金請求権の時効は3年です。この方の未払い分も、請求できた可能性があります。給与明細・タイムカード・営業日報・勤怠の記録を手元に残しておいてください。辞めた後のほうが、報復を恐れずに請求できます。
もし今、同じ状況にいるなら
- 1. 自宅に来られたら、警察に相談してよい
職場の人間関係であっても、住居への押しかけは別の問題です。「帰ってください」と伝えた記録を残してください。拒否したのに居座れば不退去罪、反復すればストーカー規制法の対象にもなり得ます。警察の生活安全課に相談できます。 - 2. 退職は、書面が届いた時点で効力が生じる
内容証明郵便で退職届を送れば、2週間後に雇用契約は終了します(民法627条)。会社の承諾も、出社しての説明も不要です。無断欠勤より、書面のほうが確実で安全です。書面には退職日と、未払い賃金の振込先も明記してください。 - 3. 「罰ゲーム」は、記録すれば証拠になる
いつ・誰に・何をさせられたかをその日のうちにメモしてください。目撃者がいるはずです。会話の当事者であれば録音は適法です。相談先は各都道府県労働局の総合労働相談コーナー(無料・予約不要)、賃金の不払いは労働基準監督署へ。
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この記事を読んで「うちの会社も同じだ」と感じた方は、ページ上部のブラック度から5段階で投票してください。投稿された体験談とあわせて、職場の実態を可視化していきます。





