一族経営では会長は絶対的存在。ストレスと喧嘩で辞める社員が続出。職員同士の結婚すら許してもらえず退職。

ある法人団体での体験談です。そこはトップが家族で占められており、会長に父、副会長に母、社長に息子が就任していました。
私はそこで他の新卒職員と一緒に受付をしていたのですが、会長一家とお客様、そして職員との間のトラブルを様々見ることになりました。
お客様とのトラブルで印象に残っているのが、その法人の対応(会長の発言)に対して恨みを持たれた方が、毎日のようにいたずら電話をかけてくるようになりました。受付の私達が一次対応をするのですが、暴言を浴びせられます。
こちらはだんだん慣れてきますが、相手はさらにエスカレートして脅迫をはじめました。
「●●すぞ!(汚い表現のため自粛しています)」という言葉が入るようになった所で、会長が電話を取るようになり、「●●せるものなら●●してみろ!(汚い表現のため自粛しています)」と怒鳴りつけ、相手が電話口でギャーギャー言っていたのが今も忘れられません。
しばらく警備会社の人が会社の前で待機していました。あとで聞いたのですが、私達が入社する前にも、こういったことは良くあったそうです。
また、職員は、会長一家に「お仕えする」存在でした。調理師資格を持っていた職員がいたので、その人が他の業務の合間に、あるいは業務をしながら、会長一家の昼食を作り、お夕飯のおかずも作り、お持たせしていました。
材料費は受け取っていたそうなのですが、手間賃は「給与のうち」ということで特に手当はなかったそうです。
さらに、お客様への対応の方針の違いから、会長一家と職員が言い争いになることもありました。会長一家は絶対的存在です。会長一家の対応の仕方に問題があったとしても、職員が引き下がるしかありませんでした。
ある職員はお客様を守ろうと会長室で会長と大ゲンカをし、「もう辞める!」とオフィスへ戻ってきて、自分の私物以外の荷物をゴミ袋に突っ込んで、机の上に置き、「じゃ!」と去っていきました。
二度と戻ってきませんでした。
また、職員同士での交流を会長一家は嫌いました。自分たちの悪口大会になるというのが予測できたのでしょうか。別の職員が職員同士で結婚を考えるようになり、報告したところ、会長一家がそれを認めず断固反対。職員が駆け落ち同然に辞めていったこともありました。
日々来られるお客様に、社内のゴタゴタを悟られないように残された職員は行動するのですが、お客様も敏感です。ある日突然いなくなる職員に異常を感じておられたのでしょう。「大変だね」と慰められることがよくありました。
職員同士でも、こっそりと職員の家で飲み会をし、慰め合いました。お店ですると、狭い地域ですので、どこからバレるかわからないからです。
「私たちは使用人だからね。修行だよ」。それが口癖でした。
休日出勤に対する手当も残業代も勿論なく、帰省したときは会長一家専用土産を職員本人からだけでなく、職員の親からもということで購入し、持参するという習慣もありました。
今思えば、本当に一家の使用人でした。「会長一家>お客様」の図式で生きなくてはならず、とても窮屈な環境でした。
みんブラ事務局の所見:職員の親にまで土産を出させ、結婚に許可を求めさせる。これは雇用ではなく身分関係である。
「私たちは使用人だからね。修行だよ」
この体験談の中心にあるのは、職員たちの口癖として記録されたこの一言です。
「私たちは使用人だからね。修行だよ」。
この言葉が出てくるまでに、何が起きていたか。事実を並べます。
- トップが家族で占められ、会長に父、副会長に母、社長に息子が就任
- 団体の対応に恨みを持った相手から毎日のようにいたずら電話があり、受付の職員が一次対応で暴言を浴びた
- 相手はエスカレートし脅迫の言葉を使うようになった。警備会社が会社前に待機する事態にまでなった
- 調理師資格を持つ職員が、他の業務の合間に、あるいは業務をしながら会長一家の昼食を作り、夕飯のおかずも作って持たせていた。材料費は受け取っていたが手間賃は「給与のうち」で手当なし
- 顧客対応の方針で言い争いになっても会長一家は絶対的存在。職員が引き下がるしかなかった
- 職員同士の交流を会長一家が嫌った。職員はこっそり自宅で飲み会をしていた
- 職員同士の結婚を報告したところ断固反対され、駆け落ち同然に辞めていった
- 休日出勤手当も残業代もなし
- 帰省時は会長一家専用の土産を、職員本人からの分に加えて職員の親からの分も購入して持参する習慣
最後の項目を、もう一度読んでください。
職員の親からも、土産を出させていた。
この団体の支配は、雇っている本人を越えて、その家族にまで及んでいたということです。
法律から見ると
「同族経営だから」という説明で片づけられがちですが、ここに並んでいるのは一つひとつが独立した違法行為です。
| 体験談で実際に行われていたこと | 抵触する条文 | 何が問題なのか |
|---|---|---|
| 職員に会長一家の昼食・夕食を作らせ、手当を支払わなかった。 | 労働基準法24条 37条 |
会長一家の食事作りは業務命令で行われた労働であり、労働時間に含まれる。「給与のうち」という説明で対価を払わないのは賃金全額払いの原則に反する。 |
| 職員同士の結婚に会長一家が断固反対し、退職に追い込んだ。 | 憲法24条 民法90条 労働契約法3条5項 |
婚姻は両性の合意のみに基いて成立する。使用者が私生活上の交際・婚姻に介入する規定や運用は公序良俗に反し無効。これを理由とする退職強要は権利濫用である。 |
| 職員同士が交流することを嫌い、社外での飲み会も隠れて行う状況を作った。 | 労働施策総合推進法 30条の2 |
労働者の私的なことに過度に立ち入る行為はパワハラ指針が定める「個の侵害」の類型。職場外の人間関係まで管理しようとする行為が該当する。 |
| 帰省時の土産を、職員本人だけでなく職員の親からの分も購入させた。 | 労働基準法24条 労働施策総合推進法 30条の2 |
私的な金銭的負担の強制は実質的な賃金の返還にあたり、全額払いの原則に反する。家族にまで負担を及ぼす慣行は「個の侵害」そのもの。 |
| 顧客からの脅迫電話を、受付の職員に一次対応させ続けた。 | 労働契約法5条 労働施策総合推進法 30条の2 |
カスタマーハラスメントについて、事業主には相談体制の整備等の措置が求められる。警備会社を呼ぶ事態にまで至りながら受付に一次対応させ続けたのは安全配慮義務違反。 |
| 休日出勤の手当も残業代も一切支払われなかった。 | 労働基準法35条 37条 119条 |
法定休日労働は35%以上、時間外は25%以上の割増賃金が必要。違反は6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金。3年分さかのぼって請求できる。 |
| 職員が会長と言い争っても、常に職員が引き下がるしかない状態だった。 | 労働施策総合推進法 30条の2 |
事業主には相談窓口の設置と、行為者が経営陣であっても機能する仕組みの整備が義務づけられている。トップ一族が加害者だと窓口が機能しない点に同族企業の構造的な問題がある。 |
※ 引用した条文は2026年8月時点のものです。実際の判断は個別の事情によります。
この団体を糾弾する
この団体の異常さは、個々の行為より、その全体像にあります。
整理すると、こうなります。
この団体は、労働契約を結んだのではなく、身分関係を作ろうとしていた。
労働契約とは、決められた時間、決められた仕事をして、その対価を受け取るという交換です。時間外は関係がない。家族は無関係。結婚は本人の自由。これが「契約」というものの形です。
ところがこの団体では——
- 受付の仕事で雇われた人が会長一家の夕飯を作らされる
- 帰省という私生活の行動に土産の義務がついてくる
- その義務が職員の親にまで及ぶ
- 誰と結婚するかまで許可制になる
- 職員同士が仲良くすることすら嫌われる
これは雇用ではありません。職員自身が「使用人」と表現したのは、比喩ではなく、事実の正確な描写でした。
特に指摘しておくべきは、結婚への介入です。
「別の職員が職員同士で結婚を考えるようになり、報告したところ、会長一家がそれを認めず断固反対。職員が駆け落ち同然に辞めていったこともありました」。
婚姻は憲法24条が「両性の合意のみに基いて成立する」と定めた事柄です。「のみ」という言葉が使われています。雇用主の同意は、そこに含まれていません。
そして「駆け落ち同然に」という表現。
結婚するために、仕事を捨てて逃げなければならなかったのです。この団体は、2人の人生の一部を実際に奪いました。
もう一点。職員同士の交流を嫌ったことの意味です。
投稿者は「自分たちの悪口大会になるというのが予測できたのでしょうか」と推測しています。
おそらく正しい。ですが、もっと直接的な効果があります。
職員同士が話さなければ、「これはおかしい」という言葉が生まれません。
1人で違和感を抱えていると、人は「自分が甘えているだけかも」と考えるようになります。2人が話せば「やっぱりおかしい」に変わる。3人集まれば相談や申告になる。
交流の禁止は、告発の芽を摘む仕組みです。
もう一つ、指摘しておきます。顧客からの脅迫電話への対応です。
恨みを買ったのは会長の発言でした。それなのに、毎日の暴言を受けたのは受付の職員です。
会長が電話に出たのは、脅迫の言葉が出るようになってから。つまり刑事事件になり得る段階に至るまで、職員に受けさせ続けたということです。
しかも会長の対応は「●●せるものなら●●してみろ」と怒鳴りつけるものでした。事態を収めるどころか、相手をさらに刺激する対応です。
その結果、警備会社が会社の前で待機する事態になった。危険を作ったのは会長で、危険にさらされたのは職員でした。
職員たちが自宅で、こっそり飲み会をしていたのは、それでも言葉を交わそうとしたということです。そこだけが、この体験談の救いです。
こういう職場は、辞めるのが正解である
「辞める!」と言ってゴミ袋に荷物を突っ込み、「じゃ!」と去っていった職員がいたと書かれています。
この方の判断は、正しかった。3つの理由を述べます。
- 1. 同族経営では、相談窓口が構造的に機能しない
パワハラ防止措置は全企業に義務ですが、加害者が会長・副会長・社長のとき、社内の窓口はどこにもありません。通常の会社なら「上に相談する」で解決し得る問題が、ここでは原理的に解決しない。待っていても状況は変わりません。 - 2. 要求は必ずエスカレートする
昼食 → 夕飯のおかず → 帰省土産 → 職員の親からの土産 → 結婚の可否。要求の範囲が年々広がっているのが読み取れます。これは一度も拒否されなかったからです。拒否できない環境では、要求は必ず伸び続けます。 - 3. 「修行」という言葉に、期限も到達点もない
「使用人だからね。修行だよ」は、職員たちが自分を納得させるための言葉でした。ですが修行には本来、習得すべき技能と、終わりがあります。ここにはどちらもない。終わりのない我慢は、修行ではなく消耗です。
もし今、同じ状況にいるなら
- 1. 業務外の「お仕え」も労働時間である
会長一家の食事作り、私邸の用事、土産の買い出し。業務命令で行った以上、すべて労働時間です。いつ・何を・何時間やったかをメモし、レシートや購入履歴も残してください。残業代は3年分請求できます。 - 2. 結婚・交際への介入は、従う義務がない
私生活への介入に法的拘束力はありません。それを理由に退職を迫られたら退職強要です。録音は自分が会話の当事者なら適法に行えます。そのうえで各都道府県労働局の総合労働相談コーナー(無料・予約不要)へ。あっせん制度も使えます。 - 3. 職員同士で、記録を持ち寄る
同族経営の職場ほど、証拠は1人分では足りません。「自分だけが我慢すればいい」と思っている人が複数いるのが、この種の職場の常です。複数人の記録がそろえば、労働基準監督署への申告も、弁護士への相談も一気に前へ進みます。こっそりの飲み会は、そのための場にもなります。
この体験談に近いケース
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