1人前の介護士を目指すも、劣悪な就労環境と介護業界の実態を知り、挫折して辞めた。

私が以前勤めていた介護施設のひどい体験談です。9人ワンユニットのグループホームで働いていました。
介護業界は始めての経験で、1から介護の勉強をして、立派な介護士を目指そうといきまいていました。
しかし、介護未経験な私は、何もかもが初めてで、戸惑いながらも、教えてくれる先輩介護士の方々に必死でついていこうとしたのですが、人が変わる度に言うことが違っていたり、入浴介助のときも1人1人違っていて、上司に相談したら、「介護の事は私に聞いて」と言われました。
しかし、その上司は、殆ど現場には来ないで、教わることも出来ずにいました。
それから、ようやく、その上司に入浴介助を教えてもらった時に、私が前に習ったようにしていたら、「私、そんなやり方教えてないんだけど」ときつめに言われました。そもそも、私は「あなたに習うの初めてですけど…..」と言いたいとこでした。
そして、待遇面で不満がありました。
求人票には、休憩2時間と書いてありましたが、昼食は、利用者さんと、同じ時間同じメニューを食べて、食事の最中も、利用者さんが、トイレに立ったり、食事介助をしながら、自分も食べたりと、どこが、休憩中なんだと疑問に思ったりもしました。
根本的に、休憩室もなければ、お昼休みに携帯をチェックしたり、私は喫煙者ですが、上司はユニットを抜け出して、どこかでタバコを吸ってくるのに、一服さえできず、色々不満が溜まっていきました。
そして、時間内には仕事も上がれず、残業手当はつかない、毎日サービス残業をさせられ、勤務が終わった後に、会議だなんだで、家に着くのは夜9時を過ぎることもしばしばでした。
朝7時に出勤して、帰るのは、21時過ぎとか、拘束時間が長すぎで、休みの日にケア会議があるから、職場にいかないといけないことも多々ありました。
それから、1部のスタッフが、利用者さんに対して暴言を吐いたり、軽い虐待めいたことをしていても、他のスタッフもちろん私も含め注意することも出来ず、見てみぬふりをしなくてはならない場面もあり、心が痛むこともありました。
私は、これが介護業界の実態なんだと思い、自分の親がこんな施設や、こういうスタッフに介護をされるのは、絶対に嫌だと思いました。
それから、好き嫌いの多い私は、お昼ご飯が出るのが本当に苦痛でした。断れないし、半ば強制的な感じで、好きでもないおかずに、残したら色々言われるし、おまけにお金まで取られるので、本当に嫌でした。
お昼ごはんについて、他のスタッフが意見を言ったそうです。
そしたら、上司は、「そんなことを言う人が居るなんて凄くショック」と言っていました。私は、自己主張が苦手なタイプだったので、何も言えませんでしたが、結構ご飯が出るのに不満を持っているスタッフは多くて、何人か辞めた新人さんもいました。
とにかく、自分は、1人前の介護士になりたいし、凄く、高齢の利用者さんと接することが好きだったので、不満は言わず、黙々と仕事をしていました。
ところが、ある日、男性の利用者さんが、ユニットには、女性のスタッフしかいないのですが、女性のなかで、私が「1番綺麗」と言い始めて、それが上司の逆鱗に触れたのか、私は、上司から、陰湿ないじめを受けるようになり、心が折れて、半年も経たないうちに、辞めてしまいました。
みんブラ事務局の所見:高齢者虐待の通報は義務であり、通報者は法律で保護される。これは介護業界の実態ではなく、この施設の実態である。
高齢者への虐待を見つけたら、通報は「義務」である
この体験談で最も重い一節から始めます。
「1部のスタッフが、利用者さんに対して暴言を吐いたり、軽い虐待めいたことをしていても、他のスタッフもちろん私も含め注意することも出来ず、見てみぬふりをしなくてはならない場面もあり、心が痛むこともありました」。
ここではっきりさせます。
高齢者虐待防止法21条は、養介護施設従事者等による虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者に、速やかに市町村へ通報することを義務づけています。
努力義務ではありません。
そして通報したことを理由に解雇その他不利益な取扱いをすることは禁止されています。
投稿者は「注意することも出来ず」と書いています。
その場で注意するのが難しいのは、事実でしょう。
ですが市町村への通報は、職場の外に向けて行うものです。
職場の力関係に左右されません。
そのうえで、全体を確認します。
- 9人ワンユニットのグループホーム。介護は未経験からのスタートだった
- 先輩ごとに言うことが違い、入浴介助も1人1人違っていた
- 上司に相談すると「介護の事は私に聞いて」と言われたが、その上司は殆ど現場に来なかった
- ようやく教わったとき、前に習ったとおりにしていたら「私、そんなやり方教えてないんだけど」ときつめに言われた
- 求人票には休憩2時間とあったが、実際は利用者と同じ時間・同じメニューを、トイレ介助や食事介助をしながら食べるだけだった
- 休憩室もなく、携帯のチェックも一服もできなかった。一方上司はユニットを抜け出してタバコを吸いに行っていた
- 時間内に上がれず、残業手当はつかず、毎日サービス残業。朝7時出勤で帰宅は21時過ぎのことも
- 休みの日にもケア会議で出勤することが多々あった
- 昼食は半ば強制で、残すと色々言われ、おまけにお金も取られた
- 男性利用者が投稿者を「1番綺麗」と言い始めたことが上司の逆鱗に触れ、陰湿ないじめを受けるようになった
法律から見ると
介護施設には労働法に加えて高齢者虐待防止法と介護保険法が関わります。
| 体験談で実際に行われていたこと | 抵触する条文 | 何が問題なのか |
|---|---|---|
| スタッフによる利用者への暴言や虐待めいた行為を、誰も通報しなかった。 | 高齢者虐待防止法 21条・21条7項 |
養介護施設従事者等による虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、速やかに市町村に通報しなければならない。通報を理由とする解雇その他不利益な取扱いは禁止。 |
| 休憩時間中も食事介助やトイレ介助を行わせていた。 | 労働基準法34条3項 119条 |
休憩時間は労働者が自由に利用できなければならない。介助をしている時間は労働時間であり、休憩を与えたことにならない。6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金。 |
| 求人票に休憩2時間と記載しながら、実際には休憩がなかった。 | 職業安定法5条の3 65条 労働基準法15条2項 |
休憩時間は明示すべき労働条件であり、虚偽の条件を提示した募集は罰則の対象。相違する場合、労働者は即時に契約を解除できる。 |
| 昼食を事実上強制し、その費用を賃金から徴収していた。 | 労働基準法24条 (全額払いの原則) |
賃金から控除できるのは、法令に定めがある場合か労使協定がある場合に限られる。食事の提供が労働協約に基づかない現物給与であればその点も問題となる。 |
| 朝7時出勤・21時過ぎ帰宅で、残業手当を支払わなかった。 | 労働基準法32条 37条 |
休憩を除いても1日13時間となり、1日5時間の時間外労働が生じている。25%以上の割増賃金が必要で、時効は3年。 |
| 休日にケア会議への出席を求めていた。 | 労働基準法35条 37条 |
参加が事実上強制されている会議は労働時間。法定休日の労働には35%以上の割増賃金が必要で、休日そのものが確保されていないことにもなる。 |
| 教育担当が現場に来ず、指導方法も統一されていなかった。 | 労働安全衛生法59条 介護保険法 (運営基準) |
事業者は雇入れ時等の安全衛生教育を行う義務を負う。介護保険の運営基準でも従業者への研修の実施が求められている。 |
| 利用者からの発言を理由に、上司が陰湿ないじめを行った。 | 労働施策総合推進法 30条の2 |
業務と無関係な事情を理由とする継続的な嫌がらせは「精神的な攻撃」「人間関係からの切り離し」にあたる。事業主には防止措置義務がある。 |
※ 引用した条文は2026年8月時点のものです。実際の判断は個別の事情によります。
この施設を糾弾する
この記事には2つの層の被害があります。
職員の被害と利用者の被害です。
そして、この2つはつながっています。
まず、職員の側から。
休憩2時間という求人票の記載を見てください。
実際は利用者と同じ時間に、同じメニューを、介助をしながら食べるだけでした。
投稿者の言葉です。「どこが、休憩中なんだと疑問に思ったりもしました」。
正確な疑問です。
休憩時間とは労働者が自由に利用できる時間をいいます。
利用者から目を離せない状態は、自由な利用ではありません。
そして休憩室がない。
物理的に、休む場所がなかったのです。
一方で上司はユニットを抜け出してタバコを吸いに行っていた。
抜けられる立場と、抜けられない立場が分かれていたということです。
次に、指導について。
この方は介護未経験でした。
そして先輩ごとに言うことが違った。
上司に相談すると「介護の事は私に聞いて」。
ところがその上司は殆ど現場に来ない。
ようやく教わったときの一言がこれです。
「私、そんなやり方教えてないんだけど」。
投稿者の心の声が書かれています。「あなたに習うの初めてですけど…..」。
そのとおりです。
教えていない人が、教えたことになっている前提で責めている。
そして、ここからが利用者の被害につながります。
入浴介助のやり方が1人1人違っていたのです。
これは職員の不便では済みません。
介助の手順が統一されていないということは、安全の手順も統一されていないということです。
入浴は転倒・溺水・ヒートショックのリスクがある場面です。
誰に教わったかでやり方が変わる状態は、事故が起きるまで問題が可視化されません。
そして虐待です。
投稿者はこう書いています。
「これが介護業界の実態なんだと思い、自分の親がこんな施設や、こういうスタッフに介護をされるのは、絶対に嫌だと思いました」。
この感覚は正しいのですが、一つだけ訂正します。
これは「介護業界の実態」ではありません。
この施設の実態です。
教育の仕組みがあり、休憩が取れ、虐待が通報される施設は現に存在します。
最後に、いじめのきっかけについて。
男性の利用者が投稿者を「1番綺麗」と言い始めたことが上司の逆鱗に触れました。
投稿者は何もしていません。
利用者が言ったことです。本人にどうにもできない事柄を理由に、陰湿ないじめが始まった。
これは業務上の必要性が一切ない行為です。
この施設は、今すぐ辞めていい
3つの理由を述べます。
- 1. 教育の仕組みがない職場では、事故の責任を負わされる
手順が統一されていない状態で事故が起きれば、その場にいた職員が責任を問われます。「誰に教わったか」でやり方が変わる職場では、正解が存在しません。自分を守れない環境です。 - 2. 介護福祉士の資格は、職場を選べる力になる
介護職は慢性的に人手が不足しています。経験を積んで介護福祉士の資格を取れば、選択肢はさらに広がります。この方は「高齢の利用者さんと接することが好き」と書いています。その気持ちを守れる職場は、別にあります。 - 3. 辞めても、通報はできる
高齢者虐待の通報は「発見した者」の義務であり、在職中でなくても行えます。自分が辞めても、利用者はそこに残ります。市町村の高齢者福祉担当課が窓口で、匿名でも受け付けられます。
もし今、同じ状況にいるなら
- 1. 虐待は、日時と内容を具体的に記録する
いつ・誰が・どの利用者に・何をしたか(何と言ったか)を記録してください。「暴言があった」ではなく「◯月◯日◯時、◯◯職員が△△さんに『□□』と言った」という形が有効です。通報先は市町村の高齢者福祉担当課。通報者は法律で保護されます。 - 2. 休憩の実態を、記録する
休憩時間中に何をしていたかを書き留めてください。「12:00〜13:00 休憩だが△△さんの食事介助とトイレ誘導」という記録が積み重なれば、休憩が与えられていない証拠になります。その時間は労働時間として賃金請求の対象です。 - 3. 窓口は、内容ごとに分かれている
虐待は市町村の高齢者福祉担当課。運営基準・人員配置は都道府県または市町村の介護保険指定権者。休憩・残業代・労働時間は労働基準監督署。いじめ・ハラスメントは総合労働相談コーナー(無料・予約不要)です。
この体験談に近いケース
この体験談に近いケースとして、あわせて読まれている記事です。
- 医療系職種の体験談5選。患者のため自己犠牲を強いられる病院という異常空間。
- 保育士を辞めた人の本音トーク3本。報告した人が処分される職場。
- マタハラの定義と事例集。福祉現場での利用者への不適切対応は通報義務の対象です。
- お局様が嫌がらせをする心理。職場モンスターの小言にもうヘトヘト…。
この記事を読んで「うちの会社も同じだ」と感じた方は、ページ上部のブラック度から5段階で投票してください。投稿された体験談とあわせて、職場の実態を可視化していきます。





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