非常識な節約、パワハラ、罵倒…。残業代不払いを訴えたら「お前は金がもらえればそれでいいのか」

株式会社交通新聞社に勤務していました。2016年に九州支社へ異動となったのですが、そこがブラックでした。
関連会社からの天下りの支社長と、その腰巾着のような、同じく天下りの営業課長が好き放題にしていました。
支社長は「経費節減による収支改善」を方針に掲げており、以下のような「節約」が強行されていました。
・蛍光灯を半分に減らされました。社内は薄暗くなり書類を見るのに苦労しました。
・来客があった時以外、エアコンは使用禁止でした。当然ながら夏は暑く冬は寒いです。それだけなら何とか我慢できますが、夏はどうしても窓を開けざるを得ず、風が吹き込んできて書類が飛ばされるトラブルが頻発しました。機密書類が外に飛ばされないかヒヤヒヤしながら勤務していました。
・シュレダーが老朽化して故障したにも関わらず、経費を惜しんで買い替えず、機密情報が載った書類をそのまま捨てていました。
・始業は9:00で、電気代節約のため、8:55にならないとPCの電源を入れる事が許されません。それ自体は良いのですが、例え数分でも早くPCを立ち上げると、営業課長に強制シャッドダウンされました。
また営業課長が非常の問題の多い人物で、
・「ションベン行きて―」「俺は靴下は嫁に履かせるたい」「広告が取れるまで地に頭をこすりつけて土下座してお願いするたい」などと品性の欠けたセクハラ・パワハラ発言を日常的に行っていました。
・取引先との打ち合わせを無断キャンセルしました。
・口約束だけで「契約を取ってきた」と称し、結局部下が契約の確認や手配をやり直すことがありました。
決定的にブラックだったのは、月平均110時間の残業があるにもかかわらず、定時の18:00にタイムカードを打刻するよう指示され、一切残業代が支払われなかった事です。
営業課長からは「最繁忙期だけはつけてやるから今は我慢してくれ」と言われましたが、結局1年を通じて残業代は全く支払われませんでした。
流石にこれはおかしいと思い、独自に勤務記録をつけて本社総務に訴えたところ、残業代は支払われました。
しかし本社総務を通じて九州支社長・営業課長にも訴えたことが暴露され、営業課長からは「お前は金がもらえればそれでいいのか」「若い頃の仕事は修行のためと思わないのか」と罵倒されました。
九州支社長と本社の総務部長からは「残業しろと指示はしてない。君が能力不足で定時内に仕事を片付けられなかったのに残業代を請求する神経が理解できない、もう君を信用できないし仕事を任せられない」と言い渡され、限界だと感じて退職しました。
残った同僚から聞いた情報では、残業代不払いが露見したにも関わらず、九州支社長・営業課長には一切の処分は無かったとのことです。
みんブラ事務局の所見:自分でつけた記録で残業代を支払わせた事例。違法行為をした側は処分なし、申告した側は退職した。
自分で記録をつけて、実際に支払わせた事例
この体験談はみんブラの中でも特に実践的な価値があります。
理由は一つです。
投稿者が独自に勤務記録をつけ、本社に訴え、実際に残業代を支払わせているからです。
本人の記述を引きます。
「流石にこれはおかしいと思い、独自に勤務記録をつけて本社総務に訴えたところ、残業代は支払われました」。
会社の記録は定時打刻でした。
それでも自分でつけた記録で支払わせています。
これは他の方にも使える方法です。
そのうえで、この職場の状況を確認します。
【経費節減の名のもとに行われたこと】
- 蛍光灯を半分に減らされ、社内が薄暗く書類を見るのに苦労した
- 来客時以外はエアコン使用禁止。夏は窓を開けざるを得ず書類が飛ばされるトラブルが頻発し、機密書類が外に飛ばされないかヒヤヒヤしていた
- シュレッダーが故障しても買い替えず、機密情報が載った書類をそのまま捨てていた
- 始業9時に対し、8時55分にならないとPCの電源を入れることが許されず、数分でも早く立ち上げると営業課長に強制シャットダウンされた
【営業課長の言動】
- 品性の欠けたセクハラ・パワハラ発言を日常的に行っていた
- 取引先との打ち合わせを無断キャンセルした
- 口約束だけで「契約を取ってきた」と称し、部下が確認や手配をやり直すことがあった
そして決定的だったのが月平均110時間の残業に対する定時打刻の指示でした。
法律から見ると
労働時間の記録と申告後の報復が中心の論点です。
| 体験談で実際に行われていたこと | 抵触する条文 | 何が問題なのか |
|---|---|---|
| 月平均110時間の残業がありながら、定時18時での打刻を指示していた。 | 労働基準法108条 109条 労働安全衛生法66条の8の3 |
賃金台帳に労働時間数を記入する義務と客観的な方法による労働時間の把握義務がある。虚偽の記録の作成を指示する行為はこれらに正面から反する。 |
| 月平均110時間の時間外労働が常態化していた。 | 労働基準法36条 37条 119条 |
時間外労働は単月100時間未満・複数月平均80時間以内が絶対的上限。月110時間はこれを超えており、割増賃金の不払いは罰則の対象。 |
| 残業代の支払いを申告した労働者を、支社長・課長が罵倒した。 | 労働基準法104条2項 労働施策総合推進法 30条の2 |
労働基準法違反を申告したことを理由とする不利益取扱いは明確に禁止されている。「もう君を信用できない」等の言動は「精神的な攻撃」にあたる。 |
| 本社総務を通じて、申告した事実が支社側に伝わった。 | 公益通報者保護法 11条 労働施策総合推進法30条の2 |
常時使用する労働者が300人を超える事業者には内部通報体制の整備が義務。通報者の情報を漏らさないことは体制整備の中核である。 |
| 始業前のPC起動を禁じ、数分早く立ち上げると強制的に電源を落としていた。 | 労働基準法32条 労働安全衛生法22条 |
始業前の業務準備が禁じられる一方、終業後の残業は記録されないという運用は、労働時間の管理として一貫性を欠く。 |
| 蛍光灯を半減させ、書類を見るのに支障がある明るさで作業させていた。 | 労働安全衛生法23条 事務所衛生基準規則10条 |
事務所の作業面については作業の区分に応じた照度を確保することが定められている。照度の不足は健康障害と誤りの原因となる。 |
| 来客時以外のエアコン使用を禁止していた。 | 労働安全衛生法22条 事務所衛生基準規則5条 (熱中症対策) |
空気調和設備を設けている場合は室温を適切に保つよう努めることとされ、熱中症のおそれがある作業について報告体制と対応手順の整備が事業者に義務づけられている。 |
| 故障したシュレッダーを買い替えず、機密書類をそのまま廃棄していた。 | 個人情報保護法23条 不正競争防止法 |
個人情報取扱事業者には安全管理措置を講じる義務がある。営業秘密の管理を怠れば秘密としての保護も受けられなくなる。 |
※ 引用した条文は2026年8月時点のものです。実際の判断は個別の事情によります。
この会社を糾弾する
この記事の核心は申告した後に何が起きたかです。
投稿者は正しい手順で正しい主張をしました。
そして残業代は支払われました。
ここまでは制度が機能したように見えます。
ところが——
「しかし本社総務を通じて九州支社長・営業課長にも訴えたことが暴露され」。
誰が訴えたかが伝わったのです。
これは内部通報体制の根本的な欠陥です。
通報者の情報を守れない窓口では、誰も二度と使いません。
そして、返ってきた言葉です。
営業課長:「お前は金がもらえればそれでいいのか」「若い頃の仕事は修行のためと思わないのか」。
この2つに答えます。
賃金は、労働の対価です。
働いた時間に対して支払われるものであり、受け取ることに説明は要りません。
そして「修行」という言葉について。
労働基準法に「修行期間は除く」という規定はありません。
次に、支社長と本社総務部長の発言です。
「残業しろと指示はしてない。君が能力不足で定時内に仕事を片付けられなかったのに残業代を請求する神経が理解できない、もう君を信用できないし仕事を任せられない」。
3つに分けて否定します。
第一に、「指示していない」について。
労働時間かどうかは使用者の指揮命令下に置かれていたかで判断されます。
明示の指示がなくても、業務上必要で、会社が黙認していれば労働時間です。
まして定時打刻を指示していたのです。
残業していることを知っていた証拠にほかなりません。
第二に、「能力不足」について。
月110時間の残業が支社全体で発生していたなら、個人の能力の問題ではありません。
そして仮に効率が悪かったとしても、実際に働いた時間に対する割増賃金の支払義務は消えません。
第三に、「もう信用できない」について。
これは労働基準法104条2項が禁じる不利益取扱いの予告にあたります。
申告を理由に仕事を任せないと宣言しているのですから。
そして最後、この記事で最も重い一文です。
「残った同僚から聞いた情報では、残業代不払いが露見したにも関わらず、九州支社長・営業課長には一切の処分は無かった」。
整理します。
- 違法行為をした側:処分なし
- それを申告した側:罵倒され、退職
会社が、どちらを守ったかがはっきり表れています。
そして、この結末を残った社員が見ています。
次に申告する人は、もう出ません。
この会社は、今すぐ辞めていい
投稿者は「限界だと感じて退職」しました。3点補足します。
- 1. 記録があれば、支払わせられる
この事例が示す最大の事実は実際に残業代が支払われたということです。会社の記録が定時打刻でも、自分でつけた記録で通りました。諦める必要はありません。 - 2. 申告後の不利益は、それ自体が違反
労働基準法104条2項は、申告を理由とする不利益取扱いを明確に禁じています。罵倒された内容と日時を記録しておけば、それも申告の対象になります。2つ目の違反として扱えます。 - 3. 月110時間は、命に関わる
過労死ラインは月80時間とされています。月平均110時間はそれを大きく超えています。金銭の問題である前に、健康の問題です。限界だと感じた判断は正しかったのです。
もし今、同じ状況にいるなら
- 1. 会社の記録と別に、自分の記録をつける
この方が実践した方法です。毎日の出退勤時刻をメモし、PCのログオン/ログオフ時刻・業務メールの送信時刻・入退館記録・交通系ICカードの履歴をあわせて保存してください。手書きでも、継続していれば証拠力が認められます。 - 2. 申告先は、社内だけではない
本社に申告すると、支社に伝わることがあります。労働基準監督署への申告は匿名でもできます。申告を理由とする不利益取扱いは法律で禁止されており、それ自体が新たな申告事由になります。 - 3. 職場環境の問題も、同じ窓口で扱える
照度の不足・室温・書類の管理は労働基準監督署の安全衛生課の担当です。個人情報の管理不備は個人情報保護委員会。ハラスメントは各都道府県労働局の総合労働相談コーナーへ。
この体験談に近いケース
この体験談に近いケースとして、あわせて読まれている記事です。
- 50人で月10時間は一人あたり12分。「残業を申請するな」という指示です。
- 80時間で記録を止めるのは、数字の意味を知らなければできない。
- 「残業するのが当たり前」と言う無能な上司・会社で消耗し続けた体験談3選。
- 「出版社は地獄だった…」休日を奪う“アットホームな職場”という名の残酷な罠
この記事を読んで「うちの会社も同じだ」と感じた方は、ページ上部のブラック度から5段階で投票してください。投稿された体験談とあわせて、職場の実態を可視化していきます。





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