ベッドが足りず座って寝る31時間勤務…労安衛則616条が定める「寝具を備える義務」

空港職員をしておりました。勤務形態が酷かったです。
泊まり勤務でしたが、形態が酷かった為人が辞めて行くので常に足りていなく、残っているものの負担ばかりでした。
朝6時から次の日の13時まで働き、その間の仮眠は3時間程度。ベッドも不足しており、座って寝ていました。シャワールームもなかったです。
朝9時から15時まで働き、その日の19時からまた出勤して次の日の15時まで働いたことや、6時から24時を2日連続だった事もあります。家が遠い人は帰れませんし、家が近くても帰って夜ご飯を食べ、シャワーを浴びたら寝る時間はほとんどありませんでした。
歯科医院で働いた事もあります。院長が全て、の会社でした。こちらも人が足りておらず、体調を崩しても変わりがいませんでした。蹴られたり、歯を治す機械で水をかけられたこともあります。「辞めちまえ」「バカ」などの暴言もありました。
機械の調子が悪く、うまく動いていなかった時も、私のせいにされ、「患者は予約して交通費使ってここまで来ているのに何もできない。どうするつもりだ」と言われました。謝罪すると述べても「謝ってもなにも解決しない」といわれ、「交通費を私の給料から引いて下さい」と提案しても「お金の問題ではない」と言われ、「ではどうしたらいいのか教えて下さい」と聞いても「自分で考えろ!」と堂々巡りで話が通じませんでした。
みんブラ事務局の所見:仮眠の場所と寝具を備えることは、労働安全衛生規則616条が定める事業者の義務である。
仮眠の場所を用意することは、努力ではなく義務である
この体験談でほとんど知られていない条文から取り上げます。
投稿者はこう書いています。
「ベッドも不足しており、座って寝ていました。シャワールームもなかったです」。
ここで労働安全衛生規則616条をご覧ください。
事業者は、夜間に労働者に睡眠を与える必要のあるとき、または労働者が就業の途中で仮眠することのできる機会があるときは、適当な睡眠または仮眠の場所を男性用と女性用に区別して設けなければならない。
そして同条はこう続きます。
前項の場所には、寝具、蚊帳その他必要な用品を備え、かつ、疾病感染を予防する措置を講じなければならない。
つまり寝具を備えることは義務なのです。
努力目標ではありません。
そして空港の泊まり勤務はまさにこの条文が想定する場面です。
ベッドが足りず座って寝るという状態は、
「適当な仮眠の場所」が設けられていないということです。
そのうえで、全体を確認します。
- 泊まり勤務が中心の勤務形態だった
- 人が辞めていくため常に人員が足りず、残った者の負担ばかりだった
- 朝6時から翌13時まで働き、仮眠は3時間程度だった
- ベッドが不足し、座って寝ていた
- シャワールームがなかった
- 9時〜15時の後、同日19時から翌15時までという行路があった
- 6時〜24時を2日連続という日もあった
- その後勤めた歯科医院では蹴られ、機械で水をかけられ、暴言を受けた
- 機械の不調まで本人のせいにされた
法律から見ると
仮眠設備と勤務間インターバルが中心の論点です。
| 体験談で実際に行われていたこと | 抵触する条文 | 何が問題なのか |
|---|---|---|
| 泊まり勤務で仮眠の寝具が不足し、座って睡眠を取らせていた。 | 労働安全衛生規則616条 | 睡眠・仮眠の場所を男女別に設け、寝具その他必要な用品を備える義務がある。ベッドの不足は設備義務の不履行にあたる。 |
| 宿泊を伴う勤務で洗身の設備が用意されていなかった。 | 労働安全衛生規則625条 事務所衛生基準規則 |
事業者は洗面設備等を設け、清潔に保持する義務を負う。連続31時間の勤務で洗身できない状態は衛生上の配慮を欠く。 |
| 朝6時から翌13時までという連続31時間の拘束が生じていた。 | 労働基準法32条 36条 37条 |
仮眠時間も解放が保障されていなければ労働時間。36協定なしの時間外労働は違法で、深夜帯には25%以上の割増が加わる。 |
| 15時退勤の同日19時から翌15時までという行路が組まれていた。 | 労働時間等設定改善法2条 | 勤務間インターバルの確保は事業主の努力義務。終業から次の始業まで4時間では通勤・食事・入浴で消える。 |
| 人員不足が常態化し、残る労働者に負担が集中していた。 | 労働契約法5条 労働安全衛生法66条の8 |
使用者には安全配慮義務がある。時間外・休日労働が月80時間を超える場合の医師による面接指導も定められている。 |
| 深夜業を含む交替制勤務が継続していた。 | 労働安全衛生規則45条 | 深夜業を含む業務に常時従事する労働者には6か月以内ごとに1回の健康診断が必要。特定業務従事者の健康診断にあたる。 |
| 歯科医院で、労働者を蹴る・機械で水をかけるという行為があった。 | 刑法208条 労働施策総合推進法30条の2 |
暴行は2年以下の拘禁刑等。指針の「身体的な攻撃」にあたり、業務上の適正な範囲に含まれる余地はない。 |
| 患者の交通費を労働者の給与から差し引くことが話題になっていた。 | 労働基準法16条 24条 |
損害賠償額をあらかじめ定めることは禁止。賃金は全額を支払わなければならず、一方的な相殺は許されない。 |
※ 引用した条文は2026年8月時点のものです。実際の判断は個別の事情によります。
この職場を糾弾する
この記事は二つの職場を扱います。
まず空港からです。
行路を時刻で並べます。
- 6:00 出勤
- 途中仮眠3時間程度
- 翌13:00 勤務終了
31時間です。
そのうち休息は3時間。
そしてその3時間を座って過ごしたのです。
ここがこの記事の中心です。
横になれないということの意味を考えてください。
座位での睡眠は深い眠りに入れません。
そして下肢に血液がたまります。
長時間の座位は静脈血栓のリスク要因として知られています。
皮肉なことにそれが広く知られたのは航空機の座席を通じてでした。
その空港で職員が座って寝ているのです。
そしてシャワーがない。
31時間同じ制服で過ごすことになります。
接客の仕事です。
つまり本人の尊厳の問題であると同時に、サービスの品質の問題でもあります。
次に行路の組み方です。
「朝9時から15時まで働き、その日の19時からまた出勤して次の日の15時まで」。
この間隔は4時間です。
通勤に往復1時間かかるとすれば、
自宅にいられるのは3時間。
食事と入浴でほぼ消えます。
投稿者が書いたとおりです。
「帰って夜ご飯を食べ、シャワーを浴びたら寝る時間はほとんどありませんでした」。
ここで勤務間インターバルを確認します。
労働時間等設定改善法は終業から次の始業までの間に一定時間の休息を確保することを事業主の努力義務としています。
努力義務ですから直ちに違法とは言えません。
ですが4時間という数字は、
制度の趣旨から大きく外れています。
そして原因です。
投稿者は「人が辞めて行くので常に足りていなく」と書いています。
これは循環です。
- 行路がきつい
- 人が辞める
- 残った人の行路がさらにきつくなる
そして1に戻ります。
次に歯科医院です。
ここは短く、ですがはっきりと述べます。
蹴ることは暴行罪です。
機械で水をかけることも同じです。
そして機械の不調を本人のせいにした点です。
機械の保守は事業者の責任です。
それを従業員の責任にしたのです。
そしてこのやり取りに注目してください。
投稿者は「交通費を私の給料から引いて下さい」と提案しました。
ここをはっきり申し上げます。
その必要はありません。
労働基準法16条は労働契約の不履行について違約金を定め、または損害賠償額を予定する契約をしてはならないと定めています。
そして24条の全額払いの原則により、
賃金から一方的に差し引くことはできません。
この提案が出てきたこと自体が、
追い詰められていたことの証拠です。
そして6時から24時を2日連続という行路にも触れます。
18時間の拘束です。
それが2日続きます。
間の休息は6時間。
通勤を引けば睡眠は4時間前後でしょう。
ここで深夜業が効いてきます。
22時から24時は深夜時間帯ですから、
時間外の25%に深夜の25%が加わり5割増になります。
そして深夜業を含む業務に常時従事する労働者には、
6か月以内ごとに1回の健康診断が必要です。
これを特定業務従事者の健康診断といいます。
年1回ではなく年2回です。
実施されているか確認する価値があります。
最後に、投稿者が取った行動を見ておきます。
歯科医院でのやり取りです。
「謝罪すると述べても『謝ってもなにも解決しない』」。
「『交通費を私の給料から引いて下さい』と提案しても『お金の問題ではない』」。
「『ではどうしたらいいのか教えて下さい』と聞いても『自分で考えろ!』」。
この方は三度解決を試みています。
謝罪、金銭での補償、指示の要求。
そしてすべて拒まれました。
ここでわかることがあります。
相手は解決を求めていないのです。
求めているのは責めることです。
だからどんな提案も受け入れられません。
この構造に気づいたら議論を続けても意味がありません。
そして機械の保守という本来の論点に戻ります。
診療機器の点検と整備は開設者の責任です。
医療法は医療機器の保守点検に関する計画の策定と適切な実施を求めています。
従業員の責任ではありません。
もう一点、空港という現場の性質を述べます。
空港は24時間動く施設です。
ですから泊まり勤務そのものは避けられません。
問題はその設計です。
泊まり勤務を前提にするなら、
- 人数分の寝具
- 男女別の仮眠室
- 洗身の設備
- 明けの日の休息
これらは最低限の前提です。
そしていずれも設備と要員計画で解決できます。
本人の我慢で埋める問題ではありません。
そして安全にも関わります。
空港の業務は航空機の運航につながっています。
疲労した状態での判断は本人だけの問題では済みません。
こういう職場は、今すぐ辞めていい
3つの理由を述べます。
- 1. 寝具の不足は、設備投資の問題であって本人の忍耐の問題ではない
労働安全衛生規則616条は寝具を備える義務を定めています。ベッドを増やすことは難しくありません。それをしないのは意思の問題です。 - 2. 人手不足の循環は、個人が頑張っても止まらない
行路がきついから辞めるのですから、頑張って穴を埋めるほど行路はきつくなります。止められるのは採用と行路設計を決める会社だけです。 - 3. 蹴る職場に、話し合いの余地はない
暴行は犯罪です。そして「自分で考えろ」で終わる相手とは議論が成立しません。離れることが唯一の安全策です。
もし今、同じ状況にいるなら
- 1. 仮眠の環境を、記録として残す
「ベッド数◯台に対し仮眠者◯名」という形で書き留めてください。労働安全衛生規則616条は労働基準監督署の安全衛生部門が所管する事項です。設備の問題は是正勧告につながりやすい類型です。 - 2. 行路表を保管し、間隔を書き出す
終業時刻と次の始業時刻を並べればインターバルが何時間かが一目でわかります。仮眠中の呼び出しの有無も記録してください。解放されていなければ労働時間です。 - 3. 暴行を受けたら、記録と受診を優先する
日時、場所、行為、目撃者を記録し、痛みがあれば受診してください。業務中の負傷は労災保険の対象です。相談先は労働基準監督署と総合労働相談コーナー(無料・予約不要)、暴行は警察です。
この体験談に近いケース
この体験談に近いケースとして、あわせて読まれている記事です。
- 鉄道アテンダントの泊まり勤務。仮眠3時間で始発に乗る行路。
- 36時間連続勤務の警備会社。何十日も休みがない現場。
- 1日15時間労働&休みなし。人手不足で回らない職場の実態。
- ヤブ歯医者の裏話。消毒しない、歯を間違える、治療費架空請求。
この記事を読んで「うちの会社も同じだ」と感じた方は、ページ上部のブラック度から5段階で投票してください。投稿された体験談とあわせて、職場の実態を可視化していきます。





・広告、犯罪に関する内容、他人が不快になる誹謗中傷コメントは、書き込みは禁止です(削除させていただきます)。
・投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権、(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利も含む)その他の権利につき(第三者に対して再許諾する権利を含みます。)、サイト運営者に対し、無償で譲渡することを承諾します。
・投稿者は、サイト運営者に対して、著作者人格権を一切行使しないことを承諾します。