作業日は社長の来客で消える…2人で回すスタジオと終電の日々

貸衣装とフォトスタジオを運営する企業にて勤めておりました。少人数の会社でしたので、アットホームな雰囲気でしたが社員の仲は悪く、いつも険悪なムードでした。
特に上司である社長が、自分勝手で、仕事の都合を自身で決めて、決まったことを伝えた後はノータッチ。接客や様々な対応はスタッフ任せ。うまくいけば自分の手柄で、何かミスがあれば下の人間のせいにするタイプの人でした。
フォトスタジオを回していたのは、私とカメラマンの女性2人で、貸衣裳の部門を担当する人間は、全て我関せずといった態度でした。
繁忙期になると毎日のように撮影があり、写真の修正やレイアウトして写真集にする業務が立て込んできて毎日のように終電、もちろん残業代もありません。
たまっている写真の調整作業を行う日と決めていても、社長の知り合いや親族がやってくれば、そちらの対応をしなければなりません。
社長に仕事の流れとしておかしいところや不明な点を質問しても、自分で考えるのが面倒になったことやわからなくなったことは、こちらに自分で考えるようにと丸投げ。そのくせ、必要な情報はもらえないというどうしたら良いかわからなくなる状況でした。
割とはっきりと物を言う方だった私は、辞める直前には社長から無視される始末。間に立っていたカメラマンの方はうつ病になり、入社から半年ほどで退職されました。何度か転職しましたが、この企業が一番ひどい勤め先でした。
みんブラ事務局の所見:従業員が10人未満でも労働基準法は全面適用される。人数で変わるのは就業規則の作成義務だけである。
従業員が10人未満でも、労働基準法はすべて適用される
この体験談を読むときに先に押さえておきたい誤解があります。
「小さい会社だから仕方ない」という考え方です。
投稿者は「少人数の会社でしたので」と書いています。
スタジオを回していたのは2人でした。
ここをはっきり申し上げます。
人数によって労働基準法の適用は変わりません。
労働者を1人でも雇っていれば、
労働時間も、休憩も、休日も、割増賃金も、年次有給休暇も、
すべて適用されます。
では人数で変わるものは何か。
就業規則の作成・届出義務です。
労働基準法89条は常時10人以上の労働者を使用する使用者にこれを課しています。
つまり10人未満なら就業規則がなくてもよいのです。
ですがここが重要です。
就業規則がなくても法律は守らなければなりません。
むしろ規則がないぶん労働条件通知書が重要になります。
そのうえで、全体を確認します。
- 貸衣装とフォトスタジオを運営する少人数の会社だった
- 社員の仲は悪く、いつも険悪なムードだった
- 社長は決めたことを伝えた後はノータッチだった
- うまくいけば自分の手柄、ミスは下のせいというタイプだった
- スタジオは投稿者とカメラマンの2人で回していた
- 繁忙期は毎日のように終電だった
- 残業代はなかった
- 作業日と決めていても社長の知り合いや親族が来ればそちらを優先させられた
- 質問しても「自分で考えろ」と丸投げされた
- 必要な情報はもらえなかった
- 辞める直前には社長から無視された
- カメラマンは半年でうつ病になり退職した
法律から見ると
割増賃金と公私混同が中心の論点です。
| 体験談で実際に行われていたこと | 抵触する条文 | 何が問題なのか |
|---|---|---|
| 繁忙期に毎日のように終電まで働かせながら残業代を支払っていなかった。 | 労働基準法37条 24条 |
1日8時間・週40時間超は25%以上の割増。従業員数にかかわらず適用される。不払いは30万円以下の罰金。 |
| 終電での帰宅が続き、深夜時間帯の割増の扱いが不明である。 | 労働基準法37条4項 | 午後10時から午前5時は深夜業として25%以上の割増が加算される。時間外と重なれば5割増となる。 |
| 社長の知人・親族の来訪により、予定していた業務を中断させていた。 | 労働契約法3条4項 5条 |
業務命令は業務上の必要性に基づくべきもの。私的な関係を理由とする優先順位の変更は権利の濫用が問題となる。 |
| 必要な情報を与えないまま「自分で考えろ」と業務を丸投げしていた。 | 労働施策総合推進法30条の2 労働契約法5条 |
業務に必要な情報の遮断は「過大な要求」にあたり得る。指揮命令は使用者の責任であり放棄できない。 |
| 意見を述べる労働者を無視するようになった。 | 労働施策総合推進法 30条の2 |
無視・仲間外しは「人間関係からの切り離し」の典型例として指針に挙げられている。退職に追い込む目的があれば退職勧奨の問題にもなる。 |
| 従業員がうつ病を発症し、半年で退職に至っている。 | 労働契約法5条 労働安全衛生法66条の10 |
使用者には安全配慮義務がある。長時間労働と対人関係の負荷は精神障害の労災認定基準における評価対象。 |
| 労働条件を書面で明示した形跡が確認できない。 | 労働基準法15条 89条 |
労働条件の明示は人数にかかわらず義務。就業規則の作成義務は常時10人以上だが、法令の適用自体は1人でも生じる。 |
| 2人体制で繁忙期の業務量を処理させていた。 | 労働契約法5条 労働基準法32条 |
要員の確保は使用者の責任。業務量に見合わない人員配置は恒常的な長時間労働を生む。 |
※ 引用した条文は2026年8月時点のものです。実際の判断は個別の事情によります。
この会社を糾弾する
この記事の要点を順に述べます。
まず2人体制です。
投稿者はこう書いています。
「フォトスタジオを回していたのは、私とカメラマンの女性2人」。
そして「貸衣裳の部門を担当する人間は、全て我関せずといった態度」。
ここに組織の問題があります。
同じ会社にいながら部門が断絶しているのです。
そしてそれをつなぐのが経営の仕事です。
ところが社長は「決まったことを伝えた後はノータッチ」でした。
つまり調整する人がいないのです。
次に予定の崩され方です。
ここがこの記事の核心です。
「たまっている写真の調整作業を行う日と決めていても、社長の知り合いや親族がやってくれば、そちらの対応をしなければなりません」。
ここを分解します。
作業日は決めていたのです。
つまり計画はあった。
そしてそれを崩したのは業務上の緊急事態ではありません。
社長の知り合いと親族です。
ここで押さえるべきは写真の納期は動かないということです。
七五三も成人式も結婚式も、
お客様には渡す日があります。
作業日が潰れても納期はそのままです。
だから終電になるのです。
つまり長時間労働の原因は仕事量ではありません。
予定を守らないことです。
そして質問への対応です。
投稿者の記述は極めて的確です。
「自分で考えるのが面倒になったことやわからなくなったことは、こちらに自分で考えるようにと丸投げ」。
「そのくせ、必要な情報はもらえない」。
ここに二つの問題があります。
第一に、判断の委譲ではないことです。
権限を渡して任せるなら成長の機会になります。
ですがここでは情報が渡されていません。
判断材料がないのに判断しろ、ということです。
第二に、結果の扱いです。
投稿者はこう書いていました。
「うまくいけば自分の手柄で、何かミスがあれば下の人間のせいにする」。
つまり丸投げと責任転嫁がセットなのです。
この構造では働く側に一切の利益がありません。
そして最後に無視です。
「割とはっきりと物を言う方だった私は、辞める直前には社長から無視される始末」。
厚生労働省の指針は「人間関係からの切り離し」をパワーハラスメントの類型として挙げています。
そして該当する例として一人の労働者に対して同僚が集団で無視をし、職場で孤立させることを示しています。
この件では社長本人がそれをしたのです。
そして2人しかいない部署でこれが起きます。
逃げ場がありません。
その結果カメラマンが半年でうつ病になりました。
そして「アットホーム」という言葉に触れておきます。
投稿者は「アットホームな雰囲気でしたが社員の仲は悪くいつも険悪なムードでした」と書いていました。
このねじれが重要です。
少人数の職場は距離が近いのです。
それが良い方向に働けば助け合いになります。
悪い方向に働けば逃げ場のなさになります。
そしてアットホームという言葉は、
しばしば制度の不在を覆うために使われます。
- 就業規則がない → 「うちはそういう堅苦しいのはない」
- 残業代が出ない → 「家族みたいなものだから」
- 役割が曖昧 → 「みんなで助け合って」
ですが家族には給料を払いません。
会社は給料を払います。
つまり家族ではありません。
そして会社である以上、労働基準法が適用されます。
そして写真という仕事の性質にも触れます。
撮影はその日しかありません。
七五三も成人式も一度きりです。
ですから撮影の予定は動かせません。
動かせるのは編集の時間だけです。
そしてその編集の時間が来客対応で削られるのです。
削れる場所が一つしかないから、
そこにすべてのしわ寄せが集まるのです。
そしてその場所を担当していたのが2人でした。
一人がうつ病で抜ければ、
残るのは一人です。
そしてこの会社に必要だったものを一つ挙げます。
来客対応の担当を決めることです。
社長の知り合いが来ること自体は避けられません。
ですが誰が対応するかは決められます。
そして編集の担当者を外すと決めることもできます。
それをしなかったのは編集の納期を軽く見ていたからでしょう。
そしてその軽視の代償を払ったのは2人のスタッフでした。
そして一番ひどい勤め先という評価について述べます。
投稿者は何度か転職していると書いています。
つまり比べる相手がいるのです。
その方が「この企業が一番ひどい」と言い切っています。
この判断は重いと受け止めるべきでしょう。
そして辞めた後にできることも申し添えます。
残業代の請求は在職中でなくてもできます。
賃金請求権の時効は当面3年ですから、
退職から3年以内であれば請求の余地があります。
そして会社には賃金台帳と労働時間の記録を保存する義務があります。
手元に資料がなくても諦める必要はありません。
こういう会社は、今すぐ辞めていい
3つの理由を述べます。
- 1. 予定を守らない経営では、残業は永久に減らない
作業日を潰すのは社長です。そして納期は動きません。差はすべて夜に寄せられます。本人が効率を上げても解決しません。 - 2. 情報を渡さずに判断させる相手とは、仕事が成立しない
判断材料がないのですから、当たるか外れるかの賭けになります。そして外れれば責任はこちらです。実績が積み上がりません。 - 3. 2人の部署で無視が始まれば、逃げ場がない
相談できる同僚も上位者もいません。そしてもう一人はうつ病になりました。次に倒れるのは自分だと考えるべき状況です。
もし今、同じ状況にいるなら
- 1. 小さい会社でも、労働条件通知書は必ずある
労働基準法15条により賃金・労働時間・休日等の明示は義務です。就業規則がない会社でもこの書面は交付されているはずです。手元にない場合は請求できます。 - 2. 終電での退社を、記録に残す
最終電車の時刻は公開されていますから、「◯月◯日終電で帰宅」と書くだけでも資料になります。交通系ICの履歴、写真データの更新時刻も有力です。時効は当面3年です。 - 3. 無視が始まったら、外部に相談する
社内に相談先がない規模ですから、各都道府県労働局の総合労働相談コーナー(無料・予約不要・匿名可)を使ってください。賃金の不払いは労働基準監督署です。
この体験談に近いケース
この体験談に近いケースとして、あわせて読まれている記事です。
- 個人経営の医院。経営者の私的な事情が労働環境になる構造。
- 公私混同かよ!アットホームな職場がブラックになっていく瞬間。
- 放置・監視・謎ルール。指示を求めても答えない上司。
- 適当な会社のいい加減な経営者。ダメな社長に共通する3つの特徴。
この記事を読んで「うちの会社も同じだ」と感じた方は、ページ上部のブラック度から5段階で投票してください。投稿された体験談とあわせて、職場の実態を可視化していきます。





・広告、犯罪に関する内容、他人が不快になる誹謗中傷コメントは、書き込みは禁止です(削除させていただきます)。
・投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権、(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利も含む)その他の権利につき(第三者に対して再許諾する権利を含みます。)、サイト運営者に対し、無償で譲渡することを承諾します。
・投稿者は、サイト運営者に対して、著作者人格権を一切行使しないことを承諾します。