打刻してから1時間のミーティング…有休が誰も取れずに消えていった職場

料理教室の営業スタッフとして勤めていたのですが、土日祝は必ず仕事で、有休はあって無いようなもので、みんな取得できずに消えていっていました。
授業を担当する講師が急遽休みになった場合は、休みの日であっても出勤できないか連絡がきていました。
LINEが連絡手段として活用されていたのですが、営業数字や営業目標に関してのLINEが毎日きていて気が休まるときがありませんでした。個人成績が悪いときには対策と目標を教えてほしいとLINEがきていて、ストレスが溜まる一方でした。
生徒が帰らないと料理教室自体を閉めることができないので22時閉店でしたが、22時に生徒が帰ったらそこから片付けをするので、定時に上がることができるわけもなく毎日残業していました。
でも残業代はつかず、店長が認めなければ残業代は一切ありませんでした。それどころかタイムカードを切ってからミーティングをすると言われたこともあり、そのミーティングは一時間近く続きました。
授業に立つためには授業で行うメニューの勉強会に出なければいけないのですが、休みの日に行かなければならず、しかも無償でした。
冠婚葬祭で休みたくても営業成績が良くないとダメなど、めちゃくちゃで、ストレスで胃腸炎にもなりました。
みんブラ事務局の所見:年5日の有給取得は平成31年4月から使用者の義務。消えるまで放置することは違法である。
有給休暇を「消えるまで放置」することは、いまや違法である
この体験談で最もはっきり違法と言える部分から取り上げます。
投稿者はこう書いています。
「有休はあって無いようなもので、みんな取得できずに消えていっていました」。
ここで労働基準法39条7項を確認します。
使用者は、年次有給休暇の日数が10労働日以上である労働者に対し、そのうち5日について、基準日から1年以内の期間に、時季を定めることにより与えなければならない。
これは平成31年4月から施行されている規定です。
つまり労働者が申し出なくても、会社が5日は取らせなければならないのです。
ここが重要な転換でした。
従来は労働者が請求して初めて取れるものでした。
ですから言い出しにくい職場では取れなかったのです。
その状況を変えるために使用者の義務にしたのです。
そして違反には罰則があります。
対象の労働者一人につき30万円以下の罰金です。
つまり「みんな消えていった」という状態は、
人数分の違反ということになります。
そのうえで、全体を確認します。
- 土日祝は必ず出勤だった
- 有休は誰も取得できずに消えていった
- 講師が休むと休日でも出勤要請の連絡が来た
- 営業数字や目標の連絡が毎日届いた
- 成績が悪いと対策と目標を求める連絡が来た
- 22時閉店だが生徒が帰ってから片付けだった
- 毎日残業していた
- 店長が認めなければ残業代は一切なしだった
- タイムカードを切ってから1時間近いミーティングがあった
- 休日のメニュー勉強会は無償だった
- 冠婚葬祭で休むにも営業成績が求められた
法律から見ると
年次有給休暇と労働時間が中心の論点です。
| 体験談で実際に行われていたこと | 抵触する条文 | 何が問題なのか |
|---|---|---|
| 年次有給休暇が誰も取得できないまま消滅していた。 | 労働基準法39条7項 120条 |
年10日以上付与される労働者には年5日を確実に取得させることが使用者の義務。違反は対象労働者1人につき30万円以下の罰金。 |
| タイムカードを打刻した後にミーティングを行っていた。 | 労働基準法32条 37条 労働安全衛生法66条の8の3 |
打刻後でも指示による参加は労働時間。客観的方法による労働時間の把握は事業者の義務であり、実態と乖離した記録は把握を欠く。 |
| 店長が認めなければ残業代が支払われない運用だった。 | 労働基準法37条 24条 |
承認の有無は割増賃金の支払義務を左右しない。黙示の指示による就労も労働時間であり、不払いは30万円以下の罰金。 |
| 休日に行われるメニューの勉強会が無償だった。 | 労働基準法32条 35条 |
参加しなければ授業に立てないなら事実上の強制であり労働時間。休日に行えば休日労働として35%以上の割増が必要。 |
| 休日にも営業数字や目標に関する連絡が毎日届いていた。 | 労働時間等設定改善法2条 労働施策総合推進法30条の2 |
勤務時間外の連絡の抑制は労働時間等の設定改善の観点から求められている。対応が義務づけられていれば労働時間となる。 |
| 冠婚葬祭による休みに営業成績を条件としていた。 | 労働基準法39条 附則136条 |
年次有給休暇の取得に理由は不要で使用者が理由により拒むことはできない。取得を理由とする不利益取扱いも禁止されている。 |
| 土日祝が必ず出勤となる勤務体系だった。 | 労働基準法35条 89条1号 |
毎週少なくとも1回、または4週4日以上の休日が必要。休日は就業規則の絶対的必要記載事項である。 |
| 業務によるストレスで胃腸炎を発症している。 | 労働安全衛生法66条の10 労働契約法5条 |
心の健康の保持増進のための指針に基づく対応が求められる。業務による疾病は労災保険の対象となり得る。 |
※ 引用した条文は2026年8月時点のものです。実際の判断は個別の事情によります。
この会社を糾弾する
この記事の要点を順に述べます。
まず閉店後の片付けです。
投稿者はこう書いています。
「生徒が帰らないと料理教室自体を閉めることができないので22時閉店でしたが、22時に生徒が帰ったらそこから片付けをするので、定時に上がることができるわけもなく」。
ここに設計の誤りがあります。
料理教室の片付けは調理器具の洗浄、食材の処理、清掃です。
これは必ず発生する業務です。
つまり予見可能なのです。
それなのに定時が22時に設定されている。
これは毎日残業になることを前提にした設計です。
本来なら片付けの時間を所定労働時間に含めるべきです。
次に残業代の承認制です。
「店長が認めなければ残業代は一切ありませんでした」。
ここをはっきり申し上げます。
承認は支払義務の要件ではありません。
割増賃金の支払義務は労働基準法37条から直接生じます。
会社の内部手続きは法律の上に立てません。
そしてこの記事で最も露骨な部分です。
「タイムカードを切ってからミーティングをすると言われた」。
そして「そのミーティングは一時間近く続きました」。
これは意図的です。
打刻を先にさせる目的は一つしかありません。
記録に残さないためです。
ここで労働安全衛生法66条の8の3を思い出してください。
客観的な方法による労働時間の状況の把握が事業者の義務です。
タイムカードを導入していながら実態とずらして使うのは、
把握していないのと同じです。
そして休日の勉強会です。
「授業に立つためには授業で行うメニューの勉強会に出なければいけない」。
ここが判断の鍵です。
出なければ授業に立てないのです。
授業に立てなければ仕事ができません。
つまり事実上の強制です。
研修や勉強会が労働時間にあたるかは、
参加が義務づけられているかで判断されます。
この件は明確に労働時間です。
そして休日に行われているのですから、
休日労働として35%以上の割増が必要になります。
最後に連絡です。
「営業数字や営業目標に関しての連絡が毎日きていて気が休まるときがありませんでした」。
ここは労働時間と言い切りにくい部分です。
読むだけなら数秒かもしれません。
ですが「個人成績が悪いときには対策と目標を教えてほしい」と来るのです。
これは返答を求める業務指示です。
休日に対策を考えて返す。
それは仕事です。
そして年次有給休暇の基本を整理しておきます。
年休は労働基準法39条による法律上の権利です。
雇入れの日から6か月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤すれば10日が付与されます。
そして勤続年数に応じて増え、6年6か月で20日になります。
時効は2年です。
つまり付与された年に使わなくても翌年に繰り越せます。
ですが2年で消えます。
投稿者が「消えていっていました」と書いたのはこの時効のことでしょう。
そして取得に理由は要りません。
会社ができるのは事業の正常な運営を妨げる場合に他の時季へ変更することだけです。
これを時季変更権といいます。
そして変更であって拒否ではありません。
つまり「取らせない」という選択肢は法律上存在しないのです。
最後に冠婚葬祭の件です。
「冠婚葬祭で休みたくても営業成績が良くないとダメ」。
まず慶弔休暇は法定の休暇ではありません。
会社が就業規則で定めれば契約内容になりますが、
定めなければ義務ではありません。
ですがここが重要です。
年次有給休暇を使えばよいのです。
そして年休の取得に理由は要りません。
営業成績も関係ありません。
つまり「成績が良くないとダメ」という運用は、
年休の制度を知らないか、使わせないようにしているかのどちらかです。
そして取得を理由とする不利益な取扱いは労働基準法附則136条で禁止されています。
そして営業という職種にも触れます。
営業には目標がつきものです。
それ自体は否定しません。
ですがこの職場では目標が休暇の条件になっていました。
これは別の話を混ぜているのです。
成績は評価や賞与で反映するものです。
法律上の権利を人質にするものではありません。
そしてそこまでしても成績は上がりません。
休めない人が良い接客をできるかを考えればわかります。
そして胃腸炎という結果を忘れないでください。
強い緊張が続くと消化器に出ます。
それは身体が先に限界を知らせたということです。
この段階で離れる判断ができたことは正しい。
そして辞めた後でも請求できることを申し添えます。
賃金請求権の時効は当面3年です。
打刻後のミーティングも、
閉店後の片付けも、
休日の勉強会も、
すべて請求の対象になり得ます。
そして年次有給休暇管理簿は3年間の保存義務があります。
取れなかった日数の記録も残っているはずです。
こういう会社は、今すぐ辞めていい
3つの理由を述べます。
- 1. 打刻後にミーティングをする会社は、意図的にやっている
知らずにやっているのではありません。記録に残さないために順序を決めているのです。他の場面でも同じことをしていると考えるべきです。 - 2. 休みが休みにならない働き方は、回復できない
代打の要請と毎日の連絡で休日が侵食されます。身体は休んでも頭が休まりません。そして胃腸炎という結果が出ています。 - 3. 有休を消滅させる会社は、法改正を無視している
年5日の取得は平成31年4月から使用者の義務です。それを守っていないということは、他のルールも同じ扱いでしょう。
もし今、同じ状況にいるなら
- 1. 打刻の時刻と実際の退勤時刻を、両方書く
「21:55打刻/23:00退店」という形で毎日記録してください。この差がそのまま未払いの時間です。店舗の施錠時刻やレジの精算記録も有力な資料になります。 - 2. 年次有給休暇管理簿は、3年間の保存義務がある
労働基準法施行規則24条の7により使用者は時季・日数・基準日を記載した管理簿を作成し3年間保存しなければなりません。自分の取得日数を確認することは正当な求めです。 - 3. 休日の連絡は、スクリーンショットで残す
送信の日時が写る形で保存してください。返答を求める内容であれば労働時間性を主張する材料になります。相談先は労働基準監督署(有休・残業代、匿名申告も可)と総合労働相談コーナーです。
この体験談に近いケース
この体験談に近いケースとして、あわせて読まれている記事です。
- 有給休暇が取れない・拒否する違法ブラック企業の実態。
- 「タイムカード切ってから残業だからな?」記録を残さない手口。
- 冠婚葬祭・慶弔休暇で嫌味を言う上司・会社は最低です。
- 塾講師アルバイトの「見えないブラックな労働」。無償の準備時間。
この記事を読んで「うちの会社も同じだ」と感じた方は、ページ上部のブラック度から5段階で投票してください。投稿された体験談とあわせて、職場の実態を可視化していきます。





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