定時17時15分、残業がつくのは18時30分から…毎日1時間が消える職場

クライアントから作業を請け負っている会社で、そこの社員としてデータ入力の業務をしていましたが、毎日15分刻みでスケジュールが組まれていました。
作業がスケジュールより遅れたときだけではなく、早く進んだ場合でも、上司に報告と原因説明が必要でした。またそれだけでなく、どんな場合でも毎回、業務の進捗報告の表に入力も必要でした。時には「業務をさっさと進めたいのに、進捗報告の表に入力するという手間があるためにスケジュールがずれる」という矛盾が発生しました。
またデータ入力誤りがあった場合には、翌日の朝礼で報告と、今後の対策を発表することになっていました。確かに仕事なので、データ入力誤りがあってはいけないのですが、人間なので「ただうっかり間違えた」ということはあります。そんな時でも今後の対策を提示しないといけないので、例えば「今までしていなかったが、二重チェックをする」と言えば、その後は作業毎に二重チェックする時間が必要となり、15分刻みで組まれているスケジュールをこなすことが難しくなってくるという、これまた矛盾が発生します。
またこの会社は上司の女性が勝手でした。「分からないことがあったら、時間がもったいないからすぐに聞くようにして」と言っておきながら、聞いたら「前も言ったよね。」と小言が始まる。他にも何を言うにも喧嘩口調。さらに上の女性の上司はヒステリックでした。一般的な常識や価値観ではなく、その日の自分の気分ですぐ怒鳴る。いつも声が大きい。
また、定時が17:15までなのに、17:15から15分休憩で、その後残業は18:30から初めてつけられるようになるというルールも謎でした。「日本の企業ならサービス残業はある程度当たり前」みたいな意識が皆さんありますけど、これはもっとシビアに訴えるべきではないでしょうか。
会社の社員は皆さん目が死んでました。他の会社もいくつか経験しましたが、顔の表情がまったく違いました。それでも皆さん文句も言わずに15分刻みのスケジュールを黙々とこなしていたので、「よくこんな従順な人達を集めることができたな」と感心したものです。
今思えば、面接に行った時から物音一つしない静けさや緊張感が異常でした。すぐに退職しましたが、「あぁ、私はあの会社にいるときに『頑張ろう』と思うような素直な人間じゃなくてよかった」と思いました。
みんブラ事務局の所見:定時と残業の起算時刻の間に空白を作ることはできない。その時間も労働時間である。
定時と残業の起算時刻の間に、空白を作ることはできない
この体験談で最もはっきりした違法から取り上げます。
投稿者はこう書いています。
「定時が17:15までなのに、17:15から15分休憩で、その後残業は18:30から初めてつけられるようになるというルールも謎でした」。
時刻を並べます。
- 17:15 定時
- 17:15〜17:30 休憩(15分)
- 17:30〜18:30 ?
- 18:30〜 残業として計上
ここに1時間の空白があります。
ここをはっきり申し上げます。
この1時間も労働時間です。
労働時間とは使用者の指揮命令下に置かれている時間をいいます。
17:30から18:30の間、
社員は働いているのです。
会社が計上しないと決めただけです。
ですが労働基準法37条の支払義務は法律から直接生じます。
会社の内部ルールは法律の上に立てません。
そして労働基準法13条があります。
この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。
そのうえで、全体を確認します。
- 毎日15分刻みでスケジュールが組まれていた
- 遅れても早く終わっても報告と原因説明が必要だった
- 進捗報告の表への入力も毎回必要だった
- その入力の手間でスケジュールがずれるという矛盾が生じた
- 入力誤りは翌日の朝礼で報告と対策を発表させられた
- 対策を実行するとスケジュールがこなせなくなるという矛盾もあった
- 「すぐ聞いて」と言われて聞くと「前も言ったよね」と言われた
- その上の上司は気分で怒鳴った
- 定時17:15、残業計上は18:30からだった
- 社員は皆目が死んでいた
法律から見ると
労働時間の切り捨てと過剰な管理が中心の論点です。
| 体験談で実際に行われていたこと | 抵触する条文 | 何が問題なのか |
|---|---|---|
| 定時から残業の起算時刻までの1時間を無給としていた。 | 労働基準法32条 37条 13条 |
指揮命令下にある時間はすべて労働時間。計上しないという社内ルールは法律の基準に達しない部分が無効。不払いは30万円以下の罰金。 |
| 労働時間が客観的に把握されていない可能性がある。 | 労働安全衛生法66条の8の3 労働基準法108条 |
客観的方法による労働時間の状況の把握が事業者の義務。賃金台帳には労働時間数の記入義務があり、実態と乖離した記録は虚偽記入となり得る。 |
| 定時直後の15分を休憩として一律に設定していた。 | 労働基準法34条 | 休憩は労働時間の途中に与える必要がある。8時間を超える場合は1時間以上で、自由に利用させなければならない。 |
| 15分刻みの工程管理と進捗入力が同時に求められていた。 | 労働契約法5条 労働施策総合推進法30条の2 |
遂行不可能な業務量の付与は「過大な要求」にあたり得る。管理のための作業が本来業務を圧迫する設計は合理性を欠く。 |
| 入力誤りについて、朝礼で報告と対策の発表を求めていた。 | 労働施策総合推進法 30条の2 |
他の労働者の面前での反復的な指摘は「精神的な攻撃」にあたり得る。誤りの分析は個別の面談でも可能である。 |
| 「すぐ聞いて」と言いながら、質問すると小言を述べていた。 | 労働施策総合推進法30条の2 労働契約法5条 |
どちらを選んでも責められる状態は改善の余地がない叱責であり、就業環境を害するものと評価され得る。 |
| 上位者がその日の気分で怒鳴る状態が続いていた。 | 労働施策総合推進法 30条の2 (措置義務) |
事業主には防止措置と相談体制整備の義務。放置は措置義務の不履行にあたる。 |
| 職員の心理的負荷が高い状態が常態化していた。 | 労働安全衛生法66条の10 労働契約法5条 |
常時50人以上の事業場ではストレスチェックが義務。心の健康の保持増進のための指針に基づく4つのケアが求められる。 |
※ 引用した条文は2026年8月時点のものです。実際の判断は個別の事情によります。
この会社を糾弾する
この記事の核心は矛盾です。
投稿者は二つの矛盾を指摘しています。
順に見ていきます。
一つ目です。
「業務をさっさと進めたいのに、進捗報告の表に入力するという手間があるためにスケジュールがずれる」。
ここを整理します。
進捗管理は作業を円滑に進めるための手段です。
ところがここでは管理そのものが作業を妨げているのです。
15分刻みのスケジュールに対して、
15分ごとに入力すれば、
その入力の時間が15分の中に含まれることになります。
二つ目です。
入力誤りの対策として二重チェックを挙げると、
その時間でスケジュールがこなせなくなる。
つまり誤りを減らす対策が、別の未達を生むのです。
ここまで整理すれば見えてきます。
この管理は成立していません。
そしてこの状態で朝礼で発表させられるのです。
投稿者の観察が鋭い。
「人間なので『ただうっかり間違えた』ということはあります」。
そのとおりです。
そしてうっかりに対策はありません。
ですから何かを言わなければならないのです。
そして言った対策が自分の首を絞める。
次に質問です。
「分からないことがあったら、時間がもったいないからすぐに聞くようにして」。
そして聞くとこうです。
「前も言ったよね」。
ここも逃げ道がありません。
聞けば責められ、
聞かなければ誤るのです。
そして誤れば朝礼で発表です。
そしてこの記事の最も明快な違法に戻ります。
17:30から18:30です。
この1時間が毎日消えています。
月20日で20時間。
年間で240時間です。
そして全社員に同じルールが適用されているのです。
投稿者はこう書いています。
「『日本の企業ならサービス残業はある程度当たり前』みたいな意識が皆さんありますけど、これはもっとシビアに訴えるべきではないでしょうか」。
この指摘は正しいです。
そして訴える窓口もあります。
労働基準監督署です。
最後に社員の様子です。
「会社の社員は皆さん目が死んでました」。
そしてこう続きます。
「他の会社もいくつか経験しましたが、顔の表情がまったく違いました」。
ここが重要です。
比べられたのです。
そして異常だと気づけた。
投稿者はこうも書いています。
「面接に行った時から物音一つしない静けさや緊張感が異常でした」。
職場の静けさは集中の表れであることもあります。
ですが緊張による静けさは別です。
そして質問できない職場では、
会話が起きません。
そして「従順な人達」という一文に触れます。
投稿者はこう書いています。
「よくこんな従順な人達を集めることができたな」と感心したものです」。
ここは見方を変えてみましょう。
集めたのではないかもしれません。
残ったのかもしれないのです。
投稿者自身はすぐに退職しています。
つまりおかしいと感じた人は出ていくのです。
そして感じなかった人、あるいは出ていけない人が残ります。
これを繰り返せば、
従順な人だけの職場になります。
そして誰も声を上げないので、
運用は固定されます。
17:30から18:30の空白も、
誰も言わないから続いているのです。
ここで申し上げます。
労働基準監督署への申告は匿名でもできます。
そして労働基準法104条2項は、
申告を理由とする解雇その他不利益な取扱いを禁止しています。
つまり一人が動けば全員に及ぶのです。
そして15分刻みという管理の手法自体にも触れておきます。
作業を細かく区切ること自体は否定しません。
データ入力のような定型業務では標準時間を置くことに意味があります。
問題は使い方です。
標準時間は本来工程を設計するための道具です。
ところがこの職場では個人を追い立てるために使われています。
証拠はこの一文です。
「早く進んだ場合でも、上司に報告と原因説明が必要でした」。
ここを読んでください。
早く終わっても説明なのです。
工程の改善が目的なら歓迎すべきことです。
それが説明を求める対象になる。
つまり予定どおりでないことが問題視されているのです。
これでは改善しようという気が起きません。
早く終わっても面倒なら、
ちょうどに合わせるようになります。
そして生産性は上がらなくなります。
こういう会社は、今すぐ辞めていい
3つの理由を述べます。
- 1. 管理が作業を妨げる設計は、努力では解決しない
15分刻みの工程に15分ごとの入力を重ねているのです。誰がやっても間に合いません。設計の問題です。 - 2. 毎日1時間が消えるなら、年間240時間になる
17:30から18:30が計上されないのです。金額にすれば相当な額になります。そして請求できるものです。 - 3. 目が死んでいる職場は、いずれ自分もそうなる
投稿者は「頑張ろう」と思う素直な人間じゃなくてよかったと書いています。順応してしまうことが最も危険だということです。
もし今、同じ状況にいるなら
- 1. 実際の退勤時刻を、毎日記録する
「17:15定時/19:30退社/残業計上1時間」という形で書いてください。この差が未払いの時間です。入退館の記録、パソコンのログが有力です。時効は当面3年です。 - 2. 進捗表そのものが、労働時間の証拠になる
15分刻みで入力しているのですから、何時まで作業していたかが記録に残っています。会社が作った記録ですから否定しにくい資料です。 - 3. 全社員に共通するルールなら、申告の効果も大きい
労働基準監督署への申告は匿名でも可能です。そして社内の運用そのものが対象になりますから、是正されれば全員に及びます。
この体験談に近いケース
この体験談に近いケースとして、あわせて読まれている記事です。
- 社員同士を互いに監視させる評価制度。疑心暗鬼で疲弊する職場。
- 「タイムカード切ってから残業だからな?」記録を残さない手口。
- 指示を求めても答えない上司。放置と謎ルールの職場。
- 固定残業代は上限ではない。みなし残業で実態と乖離した会社。
この記事を読んで「うちの会社も同じだ」と感じた方は、ページ上部のブラック度から5段階で投票してください。投稿された体験談とあわせて、職場の実態を可視化していきます。





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