広告代理店の就活企業説明会の話は全てウソだった。日々の深夜残業、休めない、ボーナスも退職金も育児休暇もなし。

私の勤めていた会社は小さな広告代理店で、仕事はグラフィックデザインなど広告の制作をしていました。会社には新卒で入社し7年間勤めました。
会社説明会では就業時間は9時〜17時までと記載がありましたが、17時に退社できたことはほとんどありません。大抵深夜をまわる事が多く、家に帰って2〜3時間寝たかと思うと、もう出勤時間だったりして肌荒れもひどいものでした。
社長等の言い分としては「早く終わらせて早く帰るように。残業されると電気代がかかるから、できるだけ残業もしないように」と言い残して先に帰ります。残業代は申告制で、提出すれば受け入れてもらえますが嫌味を言われるため、なかなか申請出来ず、ほぼ残業代もありません。
残業なんてしたくないけれど、出稿や印刷など納期がギリギリの仕事ばかりだったので常に納期に追われ、後回しにすれば間に合わないというようなものばかりでした。
入社前は有給休暇もきちんととれるという説明でしたが、入社してすぐに「冠婚葬祭やよほどの病気が無い限り有給は使わないように」と釘をさされました。ボーナスも年2回という話でしたが、勤めた8年間一度もボーナスなんてもらった事はありません。
それでも新卒で入社したため、「広告代理店に勤めるってこういうものなんだろう。せっかく自分の技術を活かせる仕事に就けたんだから、あともう少し頑張ろう」と自分に言い聞かせてきました。新卒で入った会社なので、きちんとした会社がどういうものなのかも知りません。
最後は結婚のため寿退社…と思っていたら「子供ができるまでは働けるだろう。妊娠したら育児休暇をとれば良い。」と言われ、「確かに、家に居ても暇かもしれないな」となぜかそこで納得してしまい、まだ仕事を続けていました。
その一年後に妊娠し、育児休暇をとりたいと話をしたら「うちの会社も経営が厳しくなってきた。育児休暇をとってもらっている間は誰かを採用しなければいけないし、人数を増やさなければいけないので育児休暇をとってもらうのは難しい。」と言われ辞める事にしました。
もちろん有休消化もさせてもらえず退職金のようなものもありませんでした。今は「あそこは会社ではなく、ただの職業訓練場だったんだ」と考えるようにして自分を納得させています。
ブラック企業は面接の説明でも息を吐くように嘘をつく。「残業が無い」「手当はしっかり支払う」←本当に?

24歳の頃に勤めていた会社のことです。その会社の面接では「残業は今までほとんど無い、あったらきちんと手当を出す」との説明を受け、社長の人柄も良さそうに感じたので「是非働かせていただきたい」と申し上げたところ、その場で採用が決定しました。
職場を見学した際には特に雰囲気が悪そうには思わなかったのですが、いざ出社してみると現場のピリつき方は異常でした。
8時半始業なので30分前くらいに出社して、と言われそのようにしていたのですが、他の社員のタイムカードをちらっと見てみると皆7時前後に出社しています。
戸惑いましたが現場に倣った方が良いと思い、会社まで20分はかかるので6時45分に家を出るようにしました。お昼は1時間の休憩時間が設けられているものの、30分程度で皆現場に戻り作業を始めます。夕方は最低1時間は残業しなければならず、出荷の日には8時まで帰れないこともありました。
というのも、社長が決めた毎日のノルマをこなすまでは絶対に帰れないというルールがあるのです。
朝早く出社してようやく定時で終わらせられるようになった製品があったとしても、次回その製品のノルマが増えているため絶対に定時で帰れないわけです。休日出勤も当然のようにありました。そうして一生懸命働いても時間外や休日の分は一切支払われず、やりきれない思いを抱いていました。
そして、とうとう我慢の限界を迎え社長に訴えたところ、「私は残業しなさいと指示した覚えはないので支払う義務はない。不満があるならチーフに言うべきだ」というような返答。
それでも辞められるのは困るらしく様々な言葉で引き留められましたが、月10万円ではとても生活出来なかったし、こんな人の下で働くのは御免だと思いすっぱり辞めました。
もっと酷い環境で働く人は大勢居ると思いますが、こういった会社を継続させていくことに一体何の意義があるのでしょう。いつか世の中からブラック企業が無くなる日が来ることを切に願います。
みんブラ事務局の所見:育児休業は会社が認めるものではない。辞めようとした人を育休の約束で引き止め、妊娠後に破った。
育児休業は「会社が認めるかどうか」の話ではない
この記事で最も重要な一点から先にお伝えします。
1件目の投稿者は、妊娠して育児休業を申し出たところ、こう言われました。
「うちの会社も経営が厳しくなってきた。育児休暇をとってもらっている間は誰かを採用しなければいけないし、人数を増やさなければいけないので育児休暇をとってもらうのは難しい」。
そして投稿者は辞めました。
ここではっきりさせます。
育児休業は、会社が「認める」ものではありません。労働者が申し出れば、会社は拒むことができません。
育児・介護休業法6条1項の本文は「事業主は、労働者からの育児休業申出があったときは、当該育児休業申出を拒むことができない」と定めています。
「経営が厳しい」は、法律上の拒否理由として存在しません。
この方は取れたはずの権利を、取れないと言われて諦めたのです。
そのうえで、この会社の全体像を確認します。
- 会社説明会では就業時間9時〜17時と記載されていたが、17時に退社できたことはほとんどなく、大抵深夜をまわった
- 社長は「残業されると電気代がかかるからできるだけ残業もしないように」と言い残して先に帰る
- 残業代は申告制だが嫌味を言われるため申請できず、ほぼ支払われていない
- 入社前は有給がきちんと取れるという説明だったが、入社直後に「冠婚葬祭やよほどの病気が無い限り有給は使わないように」と釘を刺された
- ボーナスは年2回という話だったが、8年間で一度もなし
- 退職時は有給消化もさせてもらえず、退職金もなし
2件目も構図は同じです。面接で「残業は今までほとんど無い、あったらきちんと手当を出す」と説明を受けて入社したところ、全社員が7時前後に出社しており、昼休憩は1時間のはずが30分で戻り、夕方は最低1時間の残業、出荷日は20時まで。時間外も休日出勤も一切支払われず、月10万円でした。
法律から見ると
この2社が破っている法律を整理します。採用の段階から退職の段階まで、全工程で違反しています。
| 体験談で実際に行われていたこと | 抵触する条文 | 何が問題なのか |
|---|---|---|
| 育児休業の申出を「経営が厳しい」という理由で拒否した。 | 育児・介護休業法 6条1項・5条 |
事業主は育児休業の申出を拒むことができない。労使協定で除外できるのは入社1年未満などの限られた場合のみで、経営状況は拒否理由にならない。 |
| 育児休業の申出をきっかけに退職に至らせた。 | 育児・介護休業法10条 男女雇用機会均等法9条3項 |
育児休業の申出や取得を理由とする解雇その他不利益な取扱いは禁止。妊娠・出産を理由とする不利益取扱いも同様で、退職の強要はこれに該当する。 |
| 説明会・面接では9時〜17時/残業ほぼなしと説明し、実態は深夜勤務だった。 | 職業安定法5条の3 65条 労働基準法15条 |
労働条件は募集・採用の時点で明示する義務があり、虚偽の条件を提示した募集は6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金。実際と相違する場合、労働者は即時に契約を解除できる。 |
| 残業代を申告制にし、申請すると嫌味を言って抑制していた。 | 労働基準法37条 労働安全衛生法 66条の8の3 |
申告制であっても、使用者は労働時間を客観的な方法で把握する義務がある。申請しにくい空気を作って支払いを免れる運用は賃金不払いそのものである。 |
| 「冠婚葬祭やよほどの病気が無い限り有給は使うな」と釘を刺した。 | 労働基準法39条 39条7項 |
年次有給休暇の取得に理由は不要で、使用者は原則として労働者が請求する時季に与えなければならない。年10日以上付与される者には年5日を取得させる義務があり、違反には罰金がある。 |
| 始業30分前と言われたが、実際は全員が1時間半前に出社していた。 | 労働基準法32条 (黙示の指示) |
使用者の明示の指示がなくても、業務上必要で、黙認されている時間は労働時間と評価される。「早く来いとは言っていない」は通用しない。 |
| 社長が「残業しなさいと指示した覚えはないので支払う義務はない」と述べた。 | 労働基準法37条 (判例法理) |
ノルマを達成しなければ帰れないルールがある以上、残業は業務上必要なものとして黙示に命じられている。指示の有無ではなく、使用者の指揮命令下にあったかで判断される。 |
| 退職時に有給を消化させなかった。 | 労働基準法39条5項 | 退職日が確定した後の有給消化に対して時季変更権は行使できない。変更させる先の労働日が存在しないためである。 |
※ 引用した条文は2026年8月時点のものです。実際の判断は個別の事情によります。
この会社を糾弾する
この記事のタイトルは「嘘つき企業」です。この言葉を、正確に定義しておきます。
嘘つき企業とは、入社しなければ嘘だとわからない嘘をつく企業です。
1件目を見てください。
- 説明会:就業時間9時〜17時 → 実態は深夜まで
- 説明会:有給はきちんと取れる → 入社直後に「使うな」
- 説明会:ボーナス年2回 → 8年間ゼロ
- 結婚時:妊娠したら育休を取ればいい → 妊娠したら「難しい」
4回、嘘をついています。
そして、すべての嘘に共通する点があります。
嘘が判明するのは、常に、後戻りできなくなってからです。
就業時間の嘘は入社後に。有給の嘘も入社直後に。ボーナスの嘘は年末に。
そして最悪なのが、最後の一つです。
この方は結婚を機に退職しようとしていました。ところが会社は「子供ができるまでは働けるだろう。妊娠したら育児休暇をとれば良い」と引き止めた。
そして1年後、実際に妊娠して申し出たら断った。
この順番を、よく見てください。
辞めようとしていた人を、育休を約束して引き止め、妊娠してから約束を破っている。
もしあのとき「うちは育休は無理だ」と正直に言っていたら、この方は予定通り退職し、育休のある会社に移る時間があったはずです。
会社はその1年を奪いました。妊娠して、最も転職しにくい状態で放り出したのです。
これは単なる嘘ではありません。相手が動けなくなるまで待ってから約束を破るという行為です。
2件目についても一点。
社長の返答が象徴的です。「私は残業しなさいと指示した覚えはないので支払う義務はない。不満があるならチーフに言うべきだ」。
ノルマを決めたのは社長です。「ノルマをこなすまで帰れない」というルールも社長が作った。しかも定時で終わるようになった製品は、次回からノルマが増やされる。
帰れない仕組みを作った本人が、「帰るなとは言っていない」と言っている。
そして責任はチーフに振る。自分では何も決めていないことにするのが、この社長のやり方です。
この2件目には、もう一つ悪質な仕掛けがあります。
「朝早く出社してようやく定時で終わらせられるようになった製品があったとしても、次回その製品のノルマが増えているため絶対に定時で帰れない」。
努力して早く終わるようになると、その分ノルマが増える。
つまりこの会社では、どれだけ改善しても帰れる日は永久に来ません。
ノルマは生産量の目標ではなく、全員を遅くまで残らせるための装置として使われています。
そして、それでいて月10万円でした。
この会社は、今すぐ辞めていい
1件目の投稿者は7年から8年働きました。そして最後にこう書いています。
「今は『あそこは会社ではなく、ただの職業訓練場だったんだ』と考えるようにして自分を納得させています」。
この納得の仕方は、この方の優しさです。ですが事務局は同意しません。3つの理由を述べます。
- 1. 新卒で入ると、比較の相手がいない
この方は「新卒で入った会社なので、きちんとした会社がどういうものなのかも知りません」と書いています。これが新卒でブラック企業に入る最大の危険です。異常が基準になってしまう。1社しか知らないうちは、判断基準を法律に置いてください。9時〜17時、有給は理由なく取れる、残業には割増賃金。これが標準です。 - 2. 育休の実績がない会社は、次も同じことをする
8年間で誰も育休を取っていない会社には、前例も手続きも存在しません。「経営が厳しい」は今回だけの事情ではなく、制度を作る気がないという意思表示です。面接では「直近3年の育休取得実績は何名ですか」と数字で聞いてください。制度の有無ではなく、実績です。 - 3. 8年分の未払いは、3年分だけ請求できる
賃金請求権の時効は3年。8年働いていても、さかのぼれるのは3年分だけです。迷っている間に、毎月1か月分ずつ権利が消えていきます。辞めるかどうかとは別に、記録の保全だけは今日から始めてください。
もし今、同じ状況にいるなら
- 1. 育休を断られたら、労働局の雇用環境・均等部へ
育児・介護休業法は、労働局が指導・勧告を行い、従わない企業名を公表できる法律です。相談先は各都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)。申出は書面かメールで行い、控えを残してください。口頭だけだと「聞いていない」と言われます。 - 2. 説明会・求人票は、必ず保存する
会社説明会の資料・求人票・メールでのやりとり・労働条件通知書を保存してください。これが職業安定法違反と労基法15条2項による即時解除の根拠になります。ハローワーク求人なら「ハローワーク求人ホットライン」へ申告できます。 - 3. 労働時間は、会社の記録がなくても証明できる
タイムカードの写真・入退館記録・パソコンのログオン/ログオフ時刻・入稿データの保存時刻・メールやチャットの送信時刻・交通系ICカードの履歴。広告制作なら入稿ファイルのタイムスタンプが強い証拠になります。相談は労働基準監督署(匿名申告も可)へ。
この体験談に近いケース
この体験談に近いケースとして、あわせて読まれている記事です。
- 1年中求人を出している会社は要注意。人が定着しない理由が必ずある。
- マタハラの実態まとめ。妊娠・出産を理由とする不利益取扱いは違法です。
- 有給休暇が取れない/拒否する違法ブラック企業の実態がわかる体験談3選。
- 高齢者・障害者に高額商品を売りつける悪徳訪問販売会社で働いてみた結果。
この記事を読んで「うちの会社も同じだ」と感じた方は、ページ上部のブラック度から5段階で投票してください。投稿された体験談とあわせて、職場の実態を可視化していきます。





・広告、犯罪に関する内容、他人が不快になる誹謗中傷コメントは、書き込みは禁止です(削除させていただきます)。
・投稿者は、投稿された内容及びこれに含まれる知的財産権、(著作権法第21条ないし第28条に規定される権利も含む)その他の権利につき(第三者に対して再許諾する権利を含みます。)、サイト運営者に対し、無償で譲渡することを承諾します。
・投稿者は、サイト運営者に対して、著作者人格権を一切行使しないことを承諾します。