薄給・休み無し。旅館の仲居はプライベートもなく、同僚からのイジメで夜逃げする従業員も…。

10代のとき、旅館の仲居をやっていました。朝は6時に出勤して、朝の朝食の準備、布団上げなど。午前10時には終わり、一旦職場近くの女子寮に戻って仮眠します。夕方4時ごろから夜10時まで仕事でした。初めての初任給は、研修中ということで5万円しか貰えませんでした。
丸1日休みというのは、ほどんどなかったように思います。
女子寮で、食事つきですがトイレもお風呂も一緒でアパートの壁は薄く声も筒抜けでした。両隣も先輩だったので、プライベートな時間もなかったです。風邪をひいたりして、体調が悪くても休みづらかったです。
寮の中でも女子特有のいじめがあり、郵便物を隠されたり、部屋の前にゴミを置かれたり陰湿な感じで私が入社する前には、辛くて夜逃げ同様に逃げ出した人もいたようです。
仕事中も初めは、先輩に教えてもらうのですが機嫌が悪いときに、ミスをすると胸倉をつかまれたこともありました。
辞めたくてしょうがなかったですが、人手不足ということもありなかなかやめさせてもらえませんでした。半年かけてやっと辞めさせてもらいましたが、辞めてからも数年は、そこの職場でまた働いている夢を見てうなされて起きるということが続いていました。
「オーガニック・手作り」と言いつつ安物を出すインチキ旅館は、清掃もいい加減。潰れて自業自得。

地元では有名な温泉地にある、割と新しくて綺麗な旅館での体験です。私は受付、ベットメイク、旅館内の喫茶室業務、浴室の清掃、朝食準備と幅広く動けるパートとして勤務していました。
まず驚いたのは掃除の手抜き加減です。専用の洗剤などが全くなく、ただデッキブラシでごしごしと擦るだけ。今までの清掃の方がそうやってきたのだから急に異議を唱えるわけにはいかないということもあり、しばらくはそのまま掃除をしていましたが、高い宿泊代を払ってこのお風呂に入っているお客様のことを思うと、オーナーに「浴室用の洗剤を買ってください」と言わないわけにはいきませんでした。
でも結果はただ睨まれただけ。なに偉そうなこと言ってんだ、というわけです。ただきれいに見えればいいと。実際に清潔かどうかは関係ないというわけです。
喫茶室での調理や接客も担当しましたが、このメニューの価格設定がまたひどい。
100円ショップで売っているあんみつを、器に盛っただけでなんと800円で提供。観光客は文句を言いませんが、出している私は人を騙している嫌な気分が続いたのでオーナーに相談。それもまた嫌な顔をされて一言、「嫌ならやめてもらっていいよ」。
朝食のお豆腐も「オーガニックてづくり」と謳っていましたがスーパーで買った安物。数か月は我慢しましたが、嘘に付き合うのがほとほと嫌になり、パートをやめました。
数年経って近くを通りかかったとき、潰れているその旅館を発見しました。あまり物事を批判的に見ない私ですが、その時は思わず「ざまあみろ」と思ってしまいました。
旅館の仲居は無賃労働が当たり前!?始業時間前の出社を強要。派遣会社からクレームが出るほど。

私が勤めていたブラック会社は、とある旅館風ホテルです。
高校を卒業した後に仲居として勤め始めたのですが、勤務日は始業時間の二時間前に出勤するように周りのお姉さん方(仲居では先輩のことをお姉さんと呼びます)に言われて勤務しておりました。ただ、客室係の取り締役のお姉さんだけはいつも出勤時間の五分前に出勤しておりました。
私は無賃労働がこの上なく嫌いなので、この悪しき風習がなくなればいいのにと思うっておりました。
取り絞め役のお姉さんは客室係の人事権も持っており、二時間前に出勤しなくても良いように人員配置をしてくださっていたのに、それを無下にしていることも許せませんでした。
そのようにしているせいか、後から入ってくる妹(後輩)たちはもって一年で辞めていきました。
その内に主に繁忙期に派遣会社の仲居さんがいらっしゃるようになりましたが、その方々にも同じように二時間の無賃労働を許容し、派遣会社からクレームが入りました。その結果、派遣会社の方々は十分前出勤になりました。正社員の扱いが変わらなかったため、私は退職しました。
あるお姉さんに、他のお姉さんに気を遣われるほど目を付けられ当たられたことも辛かったですが、それよりも本当に無賃労働は嫌だと思いました。
以上が、私の勤めていたブラック会社の体験談です。一刻も早くこの日本社会から無賃労働が撲滅して欲しいですし、無賃労働を許さない社会になって欲しいです。
みんブラ事務局の所見:始業2時間前の出勤は「慣行」ではなく労働時間。派遣会社が言えば直り、社員が言っても直らなかった。
3つの旅館で起きていたこと
この記事には、旅館・ホテルで働いた3人の体験談が収められています。それぞれ別の角度から、この業界の構造的な問題を照らしています。
1件目・10代で仲居として勤務。勤務時間は朝6時から10時まで(朝食準備、布団上げ)、一旦寮に戻って仮眠し、夕方4時から夜10時まで。いわゆる分断勤務(中抜けシフト)です。
そして初任給は研修中ということで5万円。丸1日の休みはほとんどなかったといいます。
寮生活も過酷でした。食事つきだがトイレも風呂も共同、アパートの壁は薄く声も筒抜け。両隣も先輩でプライベートな時間もない。体調が悪くても休みづらい。
そして寮の中でのいじめ。郵便物を隠されたり、部屋の前にゴミを置かれたり。投稿者が入社する前には辛くて夜逃げ同様に逃げ出した人もいたそうです。
仕事中も——「機嫌が悪いときに、ミスをすると胸倉をつかまれたこともありました」。
辞めたくても人手不足を理由になかなか辞めさせてもらえず、半年かけてやっと辞められた。そして「辞めてからも数年は、そこの職場でまた働いている夢を見てうなされて起きるということが続いていました」。
2件目・温泉地の旅館(パート)。こちらは労働条件よりも提供しているサービスの質が問題になっています。
浴室清掃には専用の洗剤が全くなく、デッキブラシでこするだけ。「浴室用の洗剤を買ってください」とオーナーに言うと睨まれただけ。「ただきれいに見えればいい。実際に清潔かどうかは関係ない」という姿勢でした。
喫茶室では100円ショップのあんみつを器に盛って800円で提供。相談すると「嫌ならやめてもらっていいよ」。朝食の豆腐も「オーガニックてづくり」と謳いながらスーパーの安物でした。
数年後、その旅館は潰れていたそうです。
3件目・旅館風ホテルの仲居。ここが労働問題として最も明快です。
高校卒業後に仲居として勤務。勤務日は始業時間の2時間前に出勤するように先輩から言われていました。ところが客室係の取締役の先輩だけはいつも出勤時間の5分前に出勤。
そして重要な事実。「取締役のお姉さんは客室係の人事権も持っており、2時間前に出勤しなくても良いように人員配置をしてくださっていたのに、それを無下にしている」。
——2時間前の出勤は、業務上必要ではなかった。人員配置はできていたのに、慣行としてだけ残っていたのです。
そして繁忙期に派遣会社の仲居が来たとき。同じように2時間の無賃労働を求めたところ派遣会社からクレームが入り、派遣の方々は10分前出勤になりました。正社員の扱いは変わらなかったため、投稿者は退職しました。
法律から見ると、これは何にあたるのか
3社で行われていたことを条文と突き合わせます。
| 体験談で実際に行われていたこと | 抵触する条文 | 何が問題なのか |
|---|---|---|
| 始業時間の2時間前に出勤することが慣行として求められていた。 | 労働基準法32条 労働基準法37条 |
使用者の指示または黙示の指示による準備作業は労働時間。毎日2時間なら月40時間以上の未払い賃金が発生している。先輩からの指示であっても、会社が容認していれば同じ。 |
| 朝6時から10時、夕方4時から夜10時という分断勤務が組まれていた。 | 労働基準法34条 労働基準法32条 |
中抜け時間が労働から完全に解放されているなら休憩だが、寮での待機が事実上義務づけられていれば労働時間となり得る。拘束が朝6時から夜10時に及ぶ勤務形態は、生活時間を著しく圧迫する。 |
| 初任給が5万円だった。 | 最低賃金法4条 | 最低賃金を下回る賃金の定めはその部分が無効となり、最低賃金額で契約したものとみなされる。「研修中だから」は最低賃金を下回る理由にならない(減額特例には都道府県労働局長の許可が必要)。 |
| 丸1日の休みがほとんどなかった。 | 労働基準法35条 | 毎週1回または4週4日の休日を与える義務がある。分断勤務であっても、法定休日を与えなければならない。 |
| ミスをした際に、先輩から胸倉をつかまれた。 | 刑法208条 労働施策総合推進法30条の2 |
胸倉をつかむ行為は暴行罪。パワハラ6類型の「身体的な攻撃」にあたる。 |
| 寮で郵便物を隠される、部屋の前にゴミを置かれるなどのいじめがあった。 | 労働施策総合推進法 30条の2 刑法263条 |
社宅・寮も就業環境と密接に関連し、事業主の措置義務の対象となり得る。郵便物を隠す行為は信書隠匿罪に問われ得る。 |
| 人手不足を理由に、退職の申し出を半年間受け入れなかった。 | 民法627条1項 | 期間の定めのない雇用は申し入れから2週間で終了する。人手不足は退職を妨げる理由にならない。 |
※ 引用した条文は2026年8月時点のものです。実際の判断は個別の事情によります。
この記事で、最も明快かつ重要な論点は3件目の「始業2時間前の無賃出勤」です。ここを詳しく説明します。
労働時間とは労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間を指します。そして重要なのは、明示の命令だけでなく「黙示の指示」でも足りるという点です。
この事例で会社は、おそらく「2時間前に来いとは言っていない」と主張するでしょう。実際、指示していたのは先輩たちでした。
しかし——
- 全員がそうしていた(慣行として確立)
- 会社はそれを知っていた(人事権を持つ先輩が把握)
- やめさせていなかった(黙認)
- 派遣会社からクレームが入ると、派遣社員については即座に改めた(=会社の指示で変更できる事項だった)
最後の点が決定的です。クレームを受けて派遣社員を10分前出勤に変えられたということは、会社にはその慣行を止める権限も能力もあったということです。止めなかったのは、止める必要を感じなかったからにすぎません。
この状況で「黙示の指示はなかった」という主張が通る余地は小さいでしょう。毎日2時間、月20日なら月40時間。時給1,000円換算でも月4万円、年間48万円の未払い賃金です。
そして1件目の初任給5万円について。「研修中だから」という説明がありましたが、これは最低賃金を下回る理由になりません。
最低賃金法には減額特例の制度がありますが、都道府県労働局長の許可が必要であり、対象も限定的です。会社が勝手に「研修中だから低くする」ことはできません。
朝6時から夜10時までの拘束で月5万円なら、時給換算は数百円でしょう。最低賃金法4条により、その定めは無効となり、差額は未払い賃金として請求できます。
慣行という名の無賃労働を糾弾する
ここからは、事務局として率直に書きます。
3件目の投稿者が書いた言葉を引用します。「私は無賃労働がこの上なく嫌いなので、この悪しき風習がなくなればいいのにと思うっておりました」。
そして最後にはこう書いています。「一刻も早くこの日本社会から無賃労働が撲滅して欲しいですし、無賃労働を許さない社会になって欲しいです」。
高校を卒業したばかりの方が、「悪しき風習」という言葉でこの構造を正確に捉えています。そして私たちも、同じ言葉を使いたい。
この2時間の無賃労働には、業務上の必要性がありませんでした。人事権を持つ先輩が、2時間前に出勤しなくてよいように人員配置を組んでいたのです。それでも慣行は続いた。
なぜか。誰も止めなかったからです。先輩がそうしてきたから、後輩もそうする。理由を問う人はおらず、「そういうもの」として継承されていく。
そして、この構造の残酷さは「後から入る人ほど損をする」点にあります。取締役の先輩は5分前に出勤していました。自分は免除されている慣行を、後輩には課している。投稿者が「それを無下にしていることも許せませんでした」と書いているのは当然です。
そして派遣会社のクレームという出来事。
これは、この記事で最も示唆的な部分です。派遣会社が声を上げた瞬間、慣行は即座に変わりました。派遣の仲居は10分前出勤になった。
そして正社員の扱いは変わらなかった。
ここから分かることは明白です。この会社は、外部から言われれば変えられた。そして内部の従業員には、言われない限り変えなかった。
当サイトの体験談で繰り返し現れる構図です。会社が動くのは、取引先や外部機関からの指摘があったときであって、従業員が困っているときではありません。
1件目の寮でのいじめにも触れておきます。郵便物を隠され、部屋の前にゴミを置かれる。10代の従業員が、職場と生活の場が一体になった環境で、逃げ場のないまま過ごしていた。そして入社前には夜逃げ同様に逃げ出した人がいた。
「辞めてからも数年は、そこの職場でまた働いている夢を見てうなされて起きるということが続いていました」。
——この一文が、職場が人に残す傷の深さを何より雄弁に語っています。半年かけてようやく辞められた後も、数年にわたって夢に出てきた。
なぜ、この職場からは今すぐ動くべきなのか
第一に、無賃労働は自然には終わらないからです。3件目の事例が証明しています。2時間前出勤の慣行は、外部からクレームが入るまで続きました。「そのうち改善される」という期待に根拠はありません。そして後から入る人が同じ目に遭い続けます。
第二に、回収できる金額が大きいからです。毎日2時間の無賃労働は、月40時間、年間480時間にあたります。最低賃金相当で計算しても年間48万円以上。初任給5万円のような最低賃金割れがあれば、さらに大きくなります。時効は当分の間3年です。
第三に、寮生活は逃げ場を奪うからです。職場と住居が一体の環境では、勤務時間が終わっても人間関係から離れられません。いじめがあれば24時間続くことになります。1件目の投稿者が数年間うなされ続けたのは、逃げ場のなさが記憶に刻まれたからでしょう。
いま同じ状況にいる人が、今日のうちにやるべき3つのこと
- 1. 始業前の出勤時刻を、毎日記録する
「何時に出勤し、何をしていたか」を記録してください。始業前の準備・清掃・朝礼は、使用者の指示または黙示の指示があれば労働時間です。「先輩に言われて」であっても、会社が知りながら黙認していれば同じです。タイムカードの打刻時刻と実際の出勤時刻の両方を記録し、交通系ICカードの利用履歴、寮から職場への移動時刻、館内の入退室記録を裏づけとして残してください。 - 2. 時給を計算する。「研修中」は理由にならない
「手取り ÷ 実際の労働時間」を計算してください。お住まいの都道府県の最低賃金を下回っていれば、最低賃金法4条によりその定めは無効で、差額を請求できます。「研修中だから」という説明で最低賃金を下回ることは認められません(減額特例には都道府県労働局長の許可が必要です)。分断勤務の場合、中抜け時間に自由があったかどうかも記録してください。 - 3. 辞められないと言われても、2週間で辞められる
期間の定めのない雇用なら、民法627条1項により申し入れから2週間で退職できます。人手不足は、退職を妨げる理由になりません。半年も待つ必要はありませんでした。受け取りを拒まれるなら内容証明郵便で送れば到達の日付が記録されます。寮に住んでいる場合、退去の期限についても書面で確認してください。無賃労働と最低賃金の問題は労働基準監督署、いじめや暴行は総合労働相談コーナー(無料・予約不要)や警察が窓口です。
この体験談に近いケース
この体験談に近いケースとして、あわせて読まれている記事です。
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この記事を読んで「うちの会社も同じだ」と感じた方は、ページ上部のブラック度から5段階で投票してください。投稿された体験談とあわせて、職場の実態を可視化していきます。





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