最低上司は、体調不良でも強制出社強要。早退して病院にいきたくても戻り強要。

当時はまだブラック企業という言葉がそこまで浸透していませんでした。店頭での販売業務をしていたのですが、勤務時間は10時から20時まで、お店が営業している時間帯です。当時はまだシフト制という勤務体系がなかったので、それが普通だと思っていました。朝は掃除と朝礼があるので、8時半には全員出勤していました。
少しでも遅刻すると、目立ってしまうので、皆の前で上司に怒られます。そこまではまだ耐えられたのですが、ある日体調が悪くて上司に欠勤の連絡をすると、「体調が悪くても出勤しろ。絶対来い。」と半分脅し口調で言われたことがありました。
また、体調が悪くて早退したいことを伝えると、「病院に行ったら戻って来い。」と言われたこともありました。いわゆるパワハラです。
ある時は、別室に呼び出されて、1時間くらい説教をされたこともありました。残業に関しては、週末は23時近くまでいて、タクシーで帰宅していました。自分の業務は終わっていても、上司の業務が終わるまで帰れません。そのことを周りに話すと、ブラックだよと言われて、初めてブラック企業にいたことに気づきました。
今は早番遅番のシフト制になり、残業もほとんどなくなったそうです。
みんブラ事務局の所見:「体調が悪くても出勤しろ」は安全配慮義務違反。有給を使うのに理由の説明は要らない。
この職場の何がブラックだったのか
この体験談の中心にあるのは、たった一言です。「体調が悪くても出勤しろ。絶対来い。」
体調が悪くて欠勤の連絡を入れた従業員に対して、上司が半ば脅すような口調で告げた言葉です。さらに、体調が悪くて早退したいと伝えたときには「病院に行ったら戻って来い。」病院に行くことは認めるが、治療を受けたあとに職場へ戻れと言っている。休ませる気は最初からありません。
この職場の勤務実態も確認しておきます。店舗の営業時間は10時から20時。ところが朝は掃除と朝礼があるため8時30分に全員出勤。少しでも遅刻すれば皆の前で上司に怒られる。週末は23時近くまで残り、タクシーで帰宅する。そして決定的なのがこの一文です。「自分の業務は終わっていても、上司の業務が終わるまで帰れません」。
単純に計算すると、8時30分から20時で拘束11時間30分。週末は23時までなら14時間30分。休憩を1時間としても、所定8時間を大きく超える働き方が常態化していたことになります。
そして投稿者はこう書いています。「当時はまだシフト制という勤務体系がなかったので、それが普通だと思っていました」。「そのことを周りに話すと、ブラックだよと言われて、初めてブラック企業にいたことに気づきました」。
ここがこの体験談の重要な点です。渦中にいる人は、それが異常だと分からない。比較対象がないからです。外部の誰かに話して初めて、自分が置かれていた状況の名前を知ることになる。
法律から見ると、これは何にあたるのか
この職場で行われていたことを条文と突き合わせます。
| 体験談で実際に行われていたこと | 抵触する条文 | 何が問題なのか |
|---|---|---|
| 体調不良で欠勤を申し出たら「体調が悪くても出勤しろ。絶対来い」と言われた。 | 労働契約法5条 | 使用者は労働者がその生命・身体等の安全を確保しつつ労働できるよう必要な配慮をする義務(安全配慮義務)を負う。体調不良を認識しながら就労を強いて症状が悪化した場合、損害賠償責任を問われ得る。 |
| 体調不良で欠勤したいという申し出が、事実上拒まれていた。 | 労働基準法39条 | 年次有給休暇は労働者が請求する時季に与えなければならない。使用者に認められているのは事業の正常な運営を妨げる場合に他の時季へ変更する権利のみで、取得そのものを拒否する権利はない。取得理由を問うこともできない。 |
| 早退して病院に行きたいと伝えたら「病院に行ったら戻って来い」と言われた。 | 労働契約法5条 | 医師の受診を要する状態にある労働者を、受診後にただちに就労させることは安全配慮義務に反する。接客業であれば感染症を顧客・同僚に広げる危険も生じる。 |
| 営業時間は10時からだが、掃除と朝礼のため8時30分に全員出勤していた。 | 労働基準法32条 労働基準法37条 |
掃除も朝礼も使用者の指示による業務であれば労働時間。毎日1時間30分について、賃金と割増賃金の支払義務が生じる。 |
| 自分の業務が終わっても、上司の業務が終わるまで帰れなかった。週末は23時近くまで。 | 労働基準法32条 労働基準法36条 |
帰宅が事実上許されない状態は使用者の指揮命令下にある労働時間。いわゆる付き合い残業も、時間外労働として上限規制と割増賃金の対象になる。 |
| 少しでも遅刻すると、皆の前で上司に怒られた。 | 労働施策総合推進法 30条の2 |
他の労働者の面前での叱責は、指導の必要性を超えた「精神的な攻撃」と評価され得る。 |
※ 引用した条文は2026年8月時点のものです。実際の判断は個別の事情によります。
ここで、多くの人が知らない最も実用的な知識をお伝えします。体調不良で休むために、会社の許可は要りません。
年次有給休暇は労働基準法39条が定める労働者の権利です。取得にあたって理由を告げる義務はなく、会社が理由を審査して可否を決めることもできません。会社に認められているのは時季変更権だけで、それも「事業の正常な運営を妨げる場合」に別の日に変更する権利にすぎません。「休ませない」という選択肢は、法律上そもそも存在しないのです。
さらに2019年4月からは、年10日以上の有給が付与される労働者について年5日を確実に取得させることが企業の義務になりました(39条7項)。取得させなければ企業側が罰則の対象になります。つまり現在は、休ませないことのほうが会社にとってリスクなのです。
そして安全配慮義務です。労働契約法5条は、使用者に対し労働者が安全と健康を確保しつつ働けるよう配慮する義務を課しています。「体調が悪くても出勤しろ」は、この義務の真逆を行く指示です。もし無理な出勤で症状が悪化したり、通勤途中で倒れたりした場合、会社は責任を問われ得ます。
接客業という点も見過ごせません。発熱している従業員を店頭に立たせれば、顧客と同僚に感染を広げる危険があります。これは従業員個人の健康問題にとどまらず、会社としての衛生管理の問題です。感染症が広まれば、結局は店舗が回らなくなります。目の前の一日のシフトを埋めるために、より大きな損失を招く判断をしていることになります。
「絶対来い」と言う上司を糾弾する
ここからは、事務局として率直に書きます。
「体調が悪くても出勤しろ。絶対来い。」この言葉が持つ本当の問題は、非情さではありません。従業員の身体を、会社の所有物のように扱っている点です。
雇用契約で会社が買っているのは、労働力の提供であって、身体そのものではありません。体調を崩せば労働力は提供できない。それだけの話です。ところがこの上司は、体調がどうであろうと身体を店頭に置くことを要求している。働けるかどうかではなく、そこにいるかどうかを求めている。これはもう労務管理ではなく、支配です。
「病院に行ったら戻って来い」に至っては、その矛盾が露骨に表れています。病院に行く必要があると認めているのです。医師の診察が要る状態だと理解している。それでも戻れと言う。健康状態を把握したうえで、なお就労を優先させているのですから、安全配慮義務違反を問われたときに「知らなかった」という弁解は成り立ちません。
そして「自分の業務は終わっていても、上司の業務が終わるまで帰れません」。この付き合い残業も、根は同じです。仕事の量ではなく、上司より先に帰らないという序列の確認のために時間が使われている。生産性とは何の関係もありません。週末に23時まで残ってタクシーで帰る費用を会社が負担していたのなら、その金額を残業代に回したほうがよほど合理的でしょう。
遅刻を皆の前で叱るという運用にも触れておきます。投稿者は「目立ってしまうので」と書いています。叱責の目的が、当人の改善ではなく、見せしめによる全体の統制にあったことがうかがえます。そういう職場で、「体調が悪いので休みます」と言い出せるでしょうか。言い出せないように空気が作られている。それがこの職場の設計です。
そして最後に、この体験談には注目すべき結末があります。「今は早番遅番のシフト制になり、残業もほとんどなくなったそうです」。
会社は変わったのです。ただし私たちは、これを美談として書きません。変わったのは、会社が自ら過ちに気づいたからではなく、時代が変わり、変わらなければ人が集まらなくなったからでしょう。そして、その改善が間に合わなかった人たちがいます。20年経ってもやりきれない気持ちを抱えている、この投稿者のような人です。会社が変わるのを待っている間、削られるのはあなたの人生の時間です。
なぜ、この職場は今すぐ辞めるべきなのか
第一に、休めない職場は、必ずどこかで限界が来るからです。風邪や発熱は、無理をすれば長引き、長引けばより長い離脱につながります。一日休めば治ったものが、無理を重ねて肺炎になれば一週間では済みません。休ませないことは、会社にとっても損なのですが、それを理解しない職場に説明しても伝わりません。
第二に、この基準は病気だけに適用されるわけではないからです。体調不良で休ませない職場は、家族の看護でも、忌引きでも、通院でも、同じ反応をします。今は若く健康でも、人生には必ず休まなければならない時期が来ます。そのときに「絶対来い」と言われる場所にいるかどうかは、極めて重要な問題です。
第三に、失っている賃金も小さくないという点です。毎日1時間30分の始業前労働に、週末の付き合い残業が加わります。仮に月40時間分が未払いだとして時給1,300円の1.25倍で計算すると、月6.5万円、年間78万円。未払い賃金の請求権の時効は当分の間3年です。
いま同じ状況にいる人が、今日のうちにやるべき3つのこと
- 1. 「休みます」ではなく「有給を使います」と伝える
実務上、これは驚くほど効きます。年次有給休暇の取得に、理由の説明は不要です。「体調不良で休ませてください」だと、症状の程度を上司が判定する余地が生まれてしまいます。「本日、年次有給休暇を取得します」と伝えれば、会社にできるのは時季変更権の行使だけで、それも別の日に振り替えるという話にしかなりません。メールやチャットなど、記録の残る形で送るのが最善です。拒否されたなら、その返信自体が証拠になります。 - 2. 体調不良で出勤を強いられたら、必ず受診して記録を残す
無理に出勤させられた日は、受診の記録(診察日・診断名)と、出勤を指示された経緯をセットで残してください。安全配慮義務違反を問う場合、「会社が体調不良を知っていた」ことの立証が要になります。欠勤の連絡をしたやりとり、「絶対来い」と言われた日時、その日の勤務記録。これらが揃えば、単なる主観的な訴えではなくなります。 - 3. 始業前労働と付き合い残業も、記録すれば取り返せる
掃除や朝礼のための早出は、会社の指示である以上れっきとした労働時間です。実際の出社時刻を毎日メモしてください。交通系ICカードの利用履歴、入館記録、業務用チャットの最初と最後の発言時刻も証拠になります。未払い賃金と違法な長時間労働は労働基準監督署、有給を取らせない・面前で叱責するといった問題は総合労働相談コーナー(無料・予約不要)が窓口です。退職は、期間の定めのない雇用なら民法627条1項により申し入れから2週間で成立します。
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この記事を読んで「うちの会社も同じだ」と感じた方は、ページ上部のブラック度から5段階で投票してください。投稿された体験談とあわせて、職場の実態を可視化していきます。




