食品製造の商品開発部門。昼食すら取れない激務でガリガリにやつれ鬱休職。かたや、営業の同期は脂がのって毎日定時。

まず残業時間がかなり長い。基本的に定時上がりの日など月に一度あるかないか。先月は残業時間が80時間を越してしまう事が分かった時点でサービス残業モードに突入し、対外的には過労死ボーダーラインを守っている。
仕事の内容は食品製造メーカーの商品開発部門。相手先は大手コンビニメーカー。商品は競合他社とのアイデア出し早いもの勝負で毎日が激務、激務の大忙し。
私はこの部門に配属されてから現在まで、まともに休憩すら取ったことがなくお昼ご飯は基本抜き。
しかし、同じ時期にフロアの同じ別部署に配属された同期の男性はお昼は優雅に外食で、もりもり脂がのっている。彼は営業チームで、毎日定時の男。最近はゴルフが趣味だって…。かたや、自分はやつれ、ガリガリに…
売上の根幹をなすはずの開発部署は、私のような若手社員を馬車馬の如く働かせ、若いうちにアイデアを搾りきり、搾ったあとは製造工場でパートの相手をさせておく。花形部署と口ではもてはやされているけれど、実際はそうではない扱いを受ける事が多々ある。
売上の見込みが立たなければ開発を叩くのが社内では当たり前です。悲しいかな、私にはこの状況を打開できるアイデアはなく、うつ病になりました。休職をいただく事になりましたが、復帰した私には工場で外国人に囲まれながら、かつて自分が開発した商品を製造する仕事が待っています。
会社が悪いのか、仕事が出来ない自分が悪いのか。きっとどちらも。
みんブラ事務局の所見:80時間で記録を止めるのは、数字の意味を知らなければできない。同じフロアの同期は毎日定時だった。
「80時間を超えたらサービス残業」は、意図的な潜脱である
この体験談には極めて明確な一文があります。
「先月は残業時間が80時間を越してしまう事が分かった時点でサービス残業モードに突入し、対外的には過労死ボーダーラインを守っている」。
この記述の意味を正確に押さえます。
この会社は、80時間という数字を知っていました。
知っていて、超えないように記録を止めたのです。
なぜ80時間か。
時間外・休日労働が月80時間を超え、疲労の蓄積が認められる労働者から申出があった場合、事業者には医師による面接指導を行う義務があります(労働安全衛生法66条の8)。
そして月80時間を超えた場合、本人にその旨を通知する義務もあります。
つまり記録を80時間未満に止めれば、これらの仕組みが一切作動しません。
そのうえで、全体を確認します。
- 残業時間がかなり長く、定時上がりの日は月に一度あるかないか
- 相手先は大手コンビニメーカーで、競合他社とのアイデア出し早いもの勝負の毎日
- 配属されてからまともに休憩を取ったことがなく、昼食は基本抜き
- 同じ時期に配属された営業チームの同期は毎日定時で、昼は外食、趣味はゴルフ
- 投稿者はやつれ、ガリガリになった
- 若手社員を働かせ、若いうちにアイデアを搾りきり、搾ったあとは製造工場でパートの相手をさせるという扱いだった
- 売上の見込みが立たなければ開発を叩くのが社内では当たり前
- うつ病になり休職。復帰後は工場でかつて自分が開発した商品を製造する仕事が待っていた
投稿者は最後に「会社が悪いのか、仕事が出来ない自分が悪いのか。きっとどちらも」と書いています。
この点について、事務局は見解を述べます。
法律から見ると
労働時間の記録と復職後の配置が中心の論点です。
| 体験談で実際に行われていたこと | 抵触する条文 | 何が問題なのか |
|---|---|---|
| 残業が80時間を超える見込みになった時点で、記録を止めていた。 | 労働安全衛生法 66条の8・66条の8の3 労働基準法108条 |
労働時間の状況を客観的な方法で把握する義務があり、月80時間超の労働者への通知義務もある。記録を操作しても実際の労働時間は変わらず、賃金台帳の虚偽記入にあたる。 |
| 記録上は80時間未満に抑えつつ、実際には超えて働かせていた。 | 労働基準法36条 37条 119条 |
時間外労働は単月100時間未満・複数月平均80時間以内が絶対的上限。記録の操作は違反を隠すもので、違反の事実自体は消えない。 |
| 配属以来、まともに休憩を取れず、昼食も取れない状態だった。 | 労働基準法34条 119条 |
6時間超で45分、8時間超で1時間の休憩を労働時間の途中に、自由に利用させる必要がある。違反は6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金。 |
| 長時間労働の結果、労働者がうつ病を発症した。 | 労働契約法5条 労働者災害補償保険法 (精神障害の認定基準) |
安全配慮義務違反による損害賠償の対象となり得る。長時間労働と、ノルマや叱責等の出来事を総合して心理的負荷が評価される。 |
| 休職から復帰した労働者を、開発部門ではなく工場に配置した。 | 労働契約法3条5項 (人事権濫用法理) |
職場復帰は原則として元の職場へとするのが厚生労働省の職場復帰支援の考え方。業務上の必要性と労働者の不利益を比較し、著しく相当性を欠く配置転換は権利濫用となる。 |
| 業務上の疾病により休業していた労働者の処遇を、実質的に引き下げた。 | 労働基準法19条 労働契約法8条 |
業務上の疾病による療養のための休業期間中とその後30日間は解雇できない。賃金の低下を伴う配置転換は労働条件の不利益変更としても問題となる。 |
| 売上の見込みが立たないと、開発部門を責めるのが常態化していた。 | 労働施策総合推進法 30条の2 |
達成困難なノルマを課し、未達を理由に繰り返し叱責する行為は「過大な要求」「精神的な攻撃」にあたり得る。 |
| 同じ会社の中で、部署により労働時間に極端な差があった。 | 労働契約法3条2項 労働安全衛生法10条 |
就業の実態に応じて均衡を考慮すべきとされる。総括安全衛生管理者等には労働者の危険・健康障害を防止する措置が求められており、部署間の偏りは是正の対象である。 |
※ 引用した条文は2026年8月時点のものです。実際の判断は個別の事情によります。
この会社を糾弾する
まず、投稿者の自己評価に答えます。
「会社が悪いのか、仕事が出来ない自分が悪いのか。きっとどちらも」。
事務局は「会社です」と答えます。
根拠を3つ挙げます。
第一に、会社が違法を認識していました。
80時間で記録を止めるという運用は、その数字の意味を知らなければできません。
知っていて、健康を守る仕組みが作動しないようにした。
これは過失ではなく、設計です。
第二に、同じ会社の中に比較対象があります。
投稿者は書いています。
「同じ時期にフロアの同じ別部署に配属された同期の男性はお昼は優雅に外食で、もりもり脂がのっている。彼は営業チームで、毎日定時の男」。
同じフロアです。
同じ会社で、同じ年に入って、一方は毎日定時、一方は昼食も取れない。
これが個人の能力差で説明できるでしょうか。
できません。
投稿者が営業に配属されていれば定時で帰れていました。
同期が開発に配属されていればやつれていたでしょう。
差を生んだのは人ではなく、配置です。
そして部署ごとの業務量の配分は、会社が決めるものです。
第三に、この会社は搾取を自覚しています。
投稿者の記述です。
「私のような若手社員を馬車馬の如く働かせ、若いうちにアイデアを搾りきり、搾ったあとは製造工場でパートの相手をさせておく」。
これは推測ではなく、観察された事実です。
なぜなら——
投稿者自身が、そのとおりの経路をたどったからです。
うつ病で休職し、復帰後に待っていたのは工場での製造でした。
「かつて自分が開発した商品を製造する仕事」です。
この配置について書いておきます。
厚生労働省が示す職場復帰支援の考え方では、原則として元の職場へ復帰させることが推奨されています。
理由は新しい環境への適応が、回復期の労働者に負担となるからです。
もちろん元の職場が発症の原因であれば配置転換も検討されます。
ですが本人の意向を確認し、段階的に進めるのが前提です。
この記事からはそうした過程が読み取れません。
「復帰した私には……待っています」という書き方です。
決まっていたのです。
最後に、「花形部署」という言葉について。
投稿者はこう書いています。
「花形部署と口ではもてはやされているけれど、実際はそうではない扱いを受ける事が多々ある」。
「花形」という言葉は、待遇の代わりに使われることがあります。
やりがい、期待、将来性。
そして、この会社ではその「花形」の中身が書かれています。
「売上の見込みが立たなければ開発を叩くのが社内では当たり前です」。
もてはやされるのは普段だけで、数字が悪ければ最初に責められる立場でした。
そして商品開発は競合他社とのアイデア出し早いもの勝負です。
努力しても他社が先に出せば負けるという性質の仕事を、個人の責任として追及していたのです。
そして、その仕事を昼食も取れない状態で続けさせていました。
アイデアを出す仕事には、休息と余白が必要です。
疲弊した状態で良い発想が出ないのは当然であり、それでも成果が出ないと責められたのです。
どれも賃金でも休憩時間でもありません。
この会社は、今すぐ相談先を確保すべきである
この方はすでにうつ病を発症し、休職を経験しています。3点述べます。
- 1. 労災申請を、検討する価値がある
長時間労働による精神障害は、労災として認定され得ます。認定されれば療養中とその後30日間は解雇できず(労基法19条)、治療費の自己負担もありません。労災申請は会社の同意がなくても本人ができます。 - 2. 実際の労働時間は、自分で証明できる
会社の記録が80時間未満で止まっているなら、それ以外の記録が必要です。パソコンのログオン/ログオフ時刻・業務メールの送信時刻・入退館記録・試作の記録・スマホの位置情報履歴。これらが労災でも未払い請求でも中心の証拠になります。 - 3. 復職後の配置は、話し合いの対象
復職先の決定は、会社が一方的に通告して終わるものではありません。主治医の意見・本人の意向・産業医の判断を踏まえて検討されるべきものです。納得できないなら、書面で理由の説明を求めてください。
もし今、同じ状況にいるなら
- 1. 「サービス残業モード」の日を、記録する
「◯月◯日、申告を止めるよう言われた」という記録は極めて重要です。誰が、いつ、どう指示したかをメモしてください。組織的な記録操作を示す資料になり、労基署が最も重く見る類型です。 - 2. 体調の変化を、日付とともに残す
眠れない、食べられない、体重が減った、涙が出る。いつから、どう変化したかを記録してください。体重の記録も資料になります。受診が早いほど、経過が記録として残ります。 - 3. 相談先は、複数ある
労働時間の記録操作・休憩・割増賃金は労働基準監督署(匿名申告も可)。労災申請も同署です。復職後の配置やハラスメントは各都道府県労働局の総合労働相談コーナー(無料・予約不要)。
つらいときは、こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556 へ。
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この記事を読んで「うちの会社も同じだ」と感じた方は、ページ上部のブラック度から5段階で投票してください。投稿された体験談とあわせて、職場の実態を可視化していきます。





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