夜10時まで働いても予算がなければ無給…労基署に相談できない公務員の逃げ道

ブラックな職場と言っても、例えば残業代が支給されないなどの給与面や、体育会系が多く精神的に追い込まれる職場など、色んなモノが存在するのです。
筆者が勤めているのは、ホワイトな印象が強い公的機関ですが、見た目とは裏腹に実態は案外とブラックなのです。例えば、霞が関の官僚は国会シーズンになれば、深夜まで仕事が続き自宅へ帰れないということもあるのです。
筆者の働いてた職場はそこまで酷くはありませんでしたが、夜10時過ぎまで仕事をすることはしばしばありました。しかも、予算という縛りがあるので、それが無くなればタダ働きになってしまうのです。筆者も、かなりタダ働きさせられました。
そして、公的機関のブラック度は、人間関係など精神的な面が大きいのです。しかも、その世界は上意下達の世界なので、立場が下の人が意見を言ったりするだけでも、仲間外れにされる可能性が高いのです。
また、上司の意見が絶対なので、創造的で個性的な人はまず仲間外れにされるリスクが高いです。
親や兄弟をはじめ、周りの人は自営系やフリーランスの仕事をしている人が多くいるので、職場の組織風土に合わなく、自由にモノを言えない環境に嫌気が差してきたので、間もなく退職する予定です。
みんブラ事務局の所見:予算は義務を果たすために組むもの。公務員の相談先は労基署ではなく人事院・公平委員会である。
予算がないことは、超過勤務手当を払わない理由にならない
この体験談で最も重要な一文から取り上げます。
「予算という縛りがあるので、それが無くなればタダ働きになってしまうのです」。
ここをはっきり申し上げます。
これは逆です。
順序を確認します。
働いた事実が先にあります。
そして働いた事実に対して手当を支給する義務が生じます。
予算はその義務を果たすために組むものです。
つまり予算が足りないなら、予算のほうを直すのが筋です。
国家公務員の場合、一般職の職員の給与に関する法律16条が超過勤務手当を定めています。
地方公務員の場合は地方自治法204条と各自治体の給与条例です。
いずれも勤務を命じた以上、支給するという構造です。
そのうえで、全体を確認します。
- 職場はホワイトな印象が強い公的機関だった
- 霞が関の官僚は国会シーズンに深夜まで仕事が続くと認識されている
- 投稿者の職場でも夜10時過ぎまでの勤務がしばしばあった
- 予算が無くなればタダ働きになった
- かなりタダ働きさせられた
- 上意下達の世界で立場が下の人が意見を言うだけで仲間外れにされる
- 上司の意見が絶対で、創造的で個性的な人ほど外される
- 間もなく退職する予定である
法律から見ると
公務員に適用される法令は民間と異なります。
| 体験談で実際に行われていたこと | 抵触する条文 | 何が問題なのか |
|---|---|---|
| 予算がないことを理由に、超過勤務手当が支給されていない。 | 一般職給与法16条 地方自治法204条 各自治体の給与条例 |
正規の勤務時間を超えて勤務した職員には超過勤務手当を支給すると法定されている。予算の不足は支給義務を消滅させない。 |
| 超過勤務の時間が正確に把握されていない可能性がある。 | 労働安全衛生法66条の8の3 人事院規則10-4 |
公務職場でも勤務時間の客観的把握は求められる。在庁時間とシステムログの照合により実態を確認することとされている。 |
| 恒常的に夜10時過ぎまでの勤務が発生していた。 | 人事院規則15-14 (超過勤務の上限) |
他律的業務以外は原則月45時間・年360時間、他律的業務でも月100時間未満・複数月平均80時間以内の上限が定められている。 |
| 立場が下の職員が意見を述べると仲間外れにされる状態だった。 | 人事院規則10-16 労働施策総合推進法30条の2 |
公務職場にもパワー・ハラスメント防止の措置義務がある。「人間関係からの切り離し」は指針が挙げる類型のひとつ。 |
| 上司の意見が絶対とされ、異論を述べる余地がなかった。 | 国家公務員法96条 地方公務員法30条 |
職員は全体の奉仕者として公共の利益のために勤務するものであり、上司個人への奉仕ではない。 |
| 職員が心身の不調を訴える手段が示されていない。 | 労働安全衛生法66条の8 人事院規則10-4 |
長時間勤務職員への医師の面接指導は公務職場でも実施すべきものとされ、健康管理は任命権者の責務である。 |
| 労働基準監督署への申告という手段が使えない。 | 労働基準法別表第一 地方公務員法58条 国家公務員法附則16条 |
一般職の国家公務員には労働基準法が適用されず、地方公務員も58条により多くの規定が適用除外。監督機関は人事院・人事委員会等となる。 |
| 不利益な取扱いを受けた場合の救済手続が周知されていない。 | 国家公務員法90条 地方公務員法49条の2 46条 |
不利益処分については審査請求、勤務条件については措置要求という制度が用意されている。 |
※ 引用した条文は2026年8月時点のものです。実際の判断は個別の事情によります。
この職場を糾弾する
この記事は民間とは前提が違います。
そこを先に整理します。
公務員には労働基準法がそのままは適用されません。
一般職の国家公務員には原則として適用されず、
地方公務員も地方公務員法58条により多くの規定が適用除外です。
そして労働基準監督署に申告できません。
ここがこの記事で最も実用的な情報です。
ではどこに言うのか。
- 国家公務員 → 人事院(勤務条件に関する行政措置の要求、苦情相談)
- 地方公務員 → 人事委員会または公平委員会(措置要求、審査請求)
特に措置要求は重要です。
地方公務員法46条は職員は、給与、勤務時間その他の勤務条件に関し、人事委員会又は公平委員会に対して、地方公共団体の当局により適当な措置が執られるべきことを要求することができると定めています。
手当が払われていないことはまさに勤務条件です。
そして人事院にも苦情相談の窓口があります。
ここを知らないまま「公務員だから仕方ない」と諦めている方が多い。
次にタダ働きの中身です。
投稿者は「予算という縛り」と書いています。
これは現場ではよく使われる説明です。
ですが整理すればおかしい。
超過勤務は命令によって行われます。
命令する側が予算がないから命令しないと判断するなら筋は通ります。
ですが実際は仕事は減らないのです。
つまり命令せずにやらせるという形になります。
これが「サービス残業」と呼ばれるものの正体です。
そして公務職場でも超過勤務の上限が定められています。
人事院規則15-14は他律的業務の比重が高い部署以外は原則月45時間・年360時間としています。
ここでも時間を把握していなければ上限は機能しません。
最後に人間関係です。
投稿者はこう書いています。
「立場が下の人が意見を言ったりするだけでも、仲間外れにされる可能性が高い」。
これはハラスメントです。
人事院規則10-16はパワー・ハラスメントの防止等を定めており、
公務職場にも措置義務があります。
そして「人間関係からの切り離し」は指針が挙げる類型のひとつです。
ここで公務という仕事の性質を考えてください。
国家公務員法96条はすべて職員は、国民全体の奉仕者として、公共の利益のために勤務し」と定めています。
上司への奉仕者ではありません。
意見を言った人が外される職場では、
おかしいと気づいた人が黙ることになります。
その損失を受け取るのは住民です。
ここで読者に注意していただきたい点があります。
公務員でも労働基準法が適用される場合があります。
整理します。
- 一般職の国家公務員 → 労働基準法は原則適用なし
- 地方公務員 → 地方公務員法58条で一部が適用除外。残る部分は適用される
- 現業職員(企業職員・単純労務職員) → 労働基準法が広く適用され、労働基準監督署が監督機関になる
つまり職種によって窓口が変わるのです。
公営企業の職員や技能労務職の方は労働基準監督署に相談できる場合があります。
自分がどちらに当たるかは任命の根拠で決まります。
わからなければ人事担当課に確認してください。
そしてこの体験談の価値を述べます。
投稿者は「ホワイトな印象が強い」と書きました。
ここが重要です。
外から見えないのです。
公務員という肩書きは世間から恵まれていると見られます。
だからつらいと言いにくい。
そして言っても同情されない。
この構造が声を封じます。
実際、霞が関の国会待機は長く問題にされてきました。
質問の通告が前日の夜に来れば、
答弁の作成は深夜になります。
これは個々の職員の努力では解決できません。
ですから個人ができることは限られています。
記録を残すことと、
正しい窓口に出すことです。
最後に一点申し添えます。
投稿者は間もなく退職する予定と書いています。
ここで退職前にやっておくべきことを挙げます。
- 在庁記録の写しを取っておく
- 超過勤務命令簿の写しを取っておく
- 年次休暇の残日数を確認する
退職後は庁内の記録にアクセスできません。
そして措置要求は在職中の職員が行う制度です。
出すつもりがあるなら在職中に出してください。
そして退職の手続きも民間とは異なります。
公務員の退職は任命権者の承認という形を取ります。
ですが意に反して働かせ続けることはできません。
退職願を出した記録を必ず残してください。
もう一点、「創造的で個性的な人ほど外される」という指摘について述べます。
これは組織にとって致命的です。
理由は単純です。
改善は「今のやり方はおかしい」という発言から始まります。
その発言をした人が外されるのであれば、
改善の芽が出た瞬間に摘まれることになります。
そして残るのは言わない人だけです。
投稿者は周りに自営やフリーランスの人が多かったと書いています。
つまり比べる相手がいたのです。
だからおかしいと気づけた。
逆に言えば比べる相手がいなければ気づけません。
公務職場は新卒から定年までという方が多い世界です。
その中でこれが普通と思い込むことが、
この構造を維持しているとも言えます。
この職場は、辞めて構わない
3つの理由を述べます。
- 1. 「予算がない」は、来年も再来年も言える
予算を理由にする限り、毎年同じことが起きます。手当を払う前提で予算を組むという発想に変わらない限り、構造は動きません。 - 2. 意見を言えない組織は、改善の入口がない
おかしいと言った人が外されるのですから、誰も言わなくなります。問題が報告されない組織は、問題がない組織に見えます。 - 3. 安定は、健康を差し出す理由にならない
公務員は安定していると言われます。ですが夜10時過ぎの勤務が常態で手当も出ないなら、その安定の対価は大きすぎます。
もし今、同じ状況にいるなら
- 1. 在庁時間を、自分でも記録する
入退庁の記録、パソコンのログオン・ログオフ、庁舎の施錠時刻が客観的な資料です。超過勤務命令簿に記載された時間と実際の在庁時間の差が不払いの額になります。 - 2. 相談先は労基署ではなく、人事院・公平委員会
国家公務員は人事院の苦情相談、地方公務員は人事委員会・公平委員会です。地方公務員法46条の措置要求は給与・勤務時間その他の勤務条件を対象としています。 - 3. ハラスメントは、公務職場でも措置義務がある
人事院規則10-16により相談体制の整備が義務づけられています。いつ・誰が・何をという形で記録を残してください。心身の不調はこころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)も利用できます。
この体験談に近いケース
この体験談に近いケースとして、あわせて読まれている記事です。
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- 産業医を使って社員をクビにする手口。組織ぐるみの排除。
この記事を読んで「うちの会社も同じだ」と感じた方は、ページ上部のブラック度から5段階で投票してください。投稿された体験談とあわせて、職場の実態を可視化していきます。





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