休職3日で欠勤扱い、2週間で解雇通告。適応障害になった社員に会社がしたこと

会社から度重なる無理な業務を強いられ、精神的に追い詰められた結果、適応障害と診断されました。
その後、会社からの打診により1ヶ月の休職に入りましたが、3日後になって「当社には休職制度がないため、欠勤扱いとなる」と一方的に通達されました。欠勤開始から2週間後には、「残り2週間で復職できなければ解雇の可能性がある」と告げられ、退職を迫られるような形となりました。
この通告により将来への強い不安を感じ、精神状態がさらに悪化。結果として、医師からは追加で2ヶ月の療養が必要との診断を受け、合計3ヶ月の休職が必要となりました。
退職については私から「不当ではないか」と申し入れたことで、一時は撤回された経緯もあります。しかしその後、1週間に1度、体調を報告しなければいけないミーティングを開かれ、早期の復職を焦らされたり、会社側が依頼している社労士との面談において高圧的な態度を取られ、さらなる体調悪化を招いています。
現在も強い不安とストレスを感じており、これ以上一人で対応するのが困難な状況です。そのため、今後は某NPO法人に協力を仰ぎ、労働基準監督署へ同行していただき、報告・相談へ伺う予定です。
みんブラ事務局の所見:会社が打診した休職を3日で撤回し、2週間で解雇を示唆した。その通告が療養期間を2か月延ばしている。
「休職制度がない」ことは、解雇を正当化しない
この記事は現在進行中の事案です。
投稿者は最後にこう書いています。
「今後は某NPO法人に協力を仰ぎ、労働基準監督署へ同行していただき、報告・相談へ伺う予定です」。
正しい判断です。
そのうえで、先に押さえておくべき点を述べます。
休職制度は、法律上の義務ではありません。
労働基準法に「休職制度を設けなければならない」という規定はありません。
ですから「当社には休職制度がない」という説明自体は、それだけなら違法ではありません。
問題はその先です。
制度がないことは、解雇を正当化しません。
そして、この事案には解雇制限に関わる重大な論点があります。
労働基準法19条です。
業務上の負傷または疾病の療養のために休業する期間とその後30日間は、解雇してはならない。
投稿者は「会社から度重なる無理な業務を強いられ、精神的に追い詰められた結果、適応障害と診断されました」と書いています。
業務が原因だと認められれば、この期間は解雇できません。
事実を整理します。
- 度重なる無理な業務により適応障害と診断された
- 会社からの打診により1か月の休職に入った
- 3日後に「当社には休職制度がないため欠勤扱いとなる」と一方的に通達された
- 欠勤開始から2週間後には「残り2週間で復職できなければ解雇の可能性がある」と告げられ、退職を迫られる形になった
- この通告で精神状態がさらに悪化し、医師から追加で2か月の療養が必要との診断を受けた
- 投稿者が「不当ではないか」と申し入れたことで一時は撤回された
- その後週1回、体調を報告するミーティングを開かれ、早期の復職を焦らされた
- 会社側が依頼している社労士との面談で高圧的な態度を取られ、さらなる体調悪化を招いている
法律から見ると
休職と解雇制限を軸に整理します。
| 体験談で実際に行われていたこと | 抵触する条文 | 何が問題なのか |
|---|---|---|
| 業務が原因の疾病で療養中の労働者に、解雇の可能性を告げた。 | 労働基準法19条 労働契約法16条 |
業務上の疾病による療養のための休業期間中とその後30日間は解雇できない。長時間労働や過重な業務による精神障害は業務上と認定され得る。 |
| 会社の打診で休職に入らせた3日後に、欠勤扱いへ変更した。 | 労働契約法3条4項 労働基準法89条 |
休職の取扱いを設ける場合は就業規則への記載が必要。会社から打診しておきながら3日後に条件を変えるのは信義に反する対応である。 |
| 療養中の労働者に、週1回の体調報告ミーティングを課していた。 | 労働契約法5条 労働施策総合推進法 30条の2 |
療養中の労働者への連絡は必要最小限にとどめるべきとされる。復職を焦らせる働きかけは療養を妨げ、症状を悪化させる。 |
| 会社が依頼した社労士が、面談で高圧的な態度を取った。 | 労働契約法5条 労働施策総合推進法 30条の2 |
会社の委託を受けた者の言動についても、事業主の措置義務が及ぶと考えられる。療養中の労働者への圧迫は安全配慮義務に反する。 |
| 復職できなければ解雇するという形で、退職を迫った。 | 労働契約法3条5項 民法709条 |
退職勧奨は労働者の自由な意思を尊重する範囲でのみ許される。解雇を示唆して退職を迫る行為は違法な退職強要となり得る。 |
| 療養に必要な期間について、医師の診断より会社の都合を優先した。 | 労働安全衛生法66条の5 労働契約法5条 |
医師の意見を勘案し、必要な措置を講じることが求められる。復職の可否は主治医の診断が重要な資料となる。 |
| 業務による疾病について、労災の手続きが取られていない。 | 労働者災害補償保険法 (精神障害の認定基準) |
業務による強い心理的負荷が認められれば労災の対象。労災申請は会社の同意がなくても本人ができる。 |
| 欠勤扱いとしたことで、賃金が支払われない状態になっている。 | 健康保険法99条 | 療養のため労務不能となった場合、傷病手当金が支給される。会社が拒むことはできず、労災と認定されれば休業補償給付の対象となる。 |
※ 引用した条文は2026年8月時点のものです。実際の判断は個別の事情によります。
この会社を糾弾する
この事案の経過を時系列で見てください。
- 会社からの打診で1か月の休職に入った
- 3日後:「休職制度がないので欠勤扱い」
- 2週間後:「残り2週間で復職できなければ解雇の可能性」
- 申し入れにより一時撤回
- その後週1回の体調報告と社労士との面談
ここで1番目が重要です。
休職は、会社が打診したのです。
本人が申し出たのではありません。
つまり会社は、この方が働ける状態にないと判断していたことになります。
それなのに3日後に条件を変えた。
そして2週間後には解雇の可能性を告げた。
この短さを確認してください。
適応障害と診断された人に対して、合計1か月で復職か解雇かを迫っているのです。
そして、その結果何が起きたか。
「この通告により将来への強い不安を感じ、精神状態がさらに悪化。結果として、医師からは追加で2ヶ月の療養が必要との診断を受け」。
会社の対応が、療養期間を延ばしたのです。
これは推測ではありません。
医師が追加の療養を必要と判断したという事実があります。
次に、撤回後の対応です。
ここが特に問題だと事務局は考えます。
投稿者が「不当ではないか」と申し入れ、解雇の話は一度撤回されました。
ところが、その後2つの働きかけが始まります。
一つは、週1回の体調報告ミーティングです。
療養中の労働者への連絡は必要最小限にとどめるのが原則です。
週1回、体調を報告させるのは療養に集中させない効果を持ちます。
しかも投稿者は「早期の復職を焦らされたり」と書いています。
報告を受ける場ではなく、圧力をかける場になっていたということです。
もう一つは、社労士との面談です。
投稿者は「会社側が依頼している社労士」と明記しています。
中立の第三者ではないと正確に理解しています。
そして高圧的な態度を取られ、さらなる体調悪化を招いている。
ここにこの事案の構造があります。
解雇という直接の手段が止められた後、別の形で圧力が続いているのです。
そして、その圧力が症状を悪化させ、復職を遠ざけている。
復職できなければ解雇の理由になるのですから、結果として同じ方向に向かっています。
最後に、「休職制度がない」という説明について。
制度がないこと自体は違法ではありません。
ですが、それなら最初から打診すべきではありませんでした。
会社が休職を打診し、3日後に制度がないと言うのは、自社の制度を把握していなかったか、後から方針を変えたかのどちらかです。
どちらにしても、その不利益を労働者が負う理由はありません。
この状況では、外部の力を借りるのが正しい
投稿者はすでにNPO法人の協力を得て労働基準監督署へ行く予定と書いています。3点補足します。
そして最後に、この方が置かれている状況を整理しておきます。
会社側には社労士がついています。
一方、投稿者は適応障害の療養中です。
判断力も、交渉に使える気力も落ちている状態で、専門家を相手にしていることになります。
対等ではありません。
だからこそ、NPO法人に同行を頼むという判断が重要なのです。
一人で対応しないこと自体が、有効な対抗手段です。
そして、この記事を読んでいる方に一点お伝えします。
「休職制度がない」と言われた時点で諦める必要はありません。
制度の有無と、解雇できるかどうかは別の問題です。
そして業務が原因の疾病であれば、療養中とその後30日間は解雇できないと法律が定めています。
この一点だけでも、知っているかどうかで対応が変わります。
会社が「制度がない」と言っても、法律の定めは残ります。
そして認定するのは会社ではなく労働基準監督署長です。
その一言を知っているだけで、交渉の前提が変わります。
- 1. 労災申請を、並行して検討する
業務による強い心理的負荷が認められれば労災の対象です。認定されれば労基法19条により療養中とその後30日間は解雇できません。労災申請は会社の同意がなくても本人ができます。 - 2. 傷病手当金は、会社が拒めない
欠勤扱いで無給になっているなら、健康保険の傷病手当金が受けられる可能性があります。会社が拒むことはできません。申請は健康保険組合または協会けんぽへ。労災が認定されれば休業補償給付の対象です。 - 3. 面談の頻度と方法は、交渉できる
療養中の連絡は必要最小限にとどめるべきとされています。「主治医から療養に専念するよう指示されているため、連絡は月1回、メールでお願いします」と書面で申し入れることができます。
もし今、同じ状況にいるなら
- 1. すべてのやりとりを、記録する
いつ・誰から・どういう通告を受けたかを記録してください。「休職制度がない」「解雇の可能性がある」という発言は日時とともに一字一句残す価値があります。可能ならメールでのやりとりに切り替えてください。会話の当事者なら録音は適法です。 - 2. 主治医の診断書を、こまめに取る
療養が必要な期間は医師が判断するものです。会社の都合で短縮できるものではありません。「会社からの連絡により症状が悪化した」という経過も、診察時に伝えてカルテに残してもらってください。 - 3. 一人で対応しなくてよい
会社側には社労士がついています。こちらも専門家や支援団体を使ってよいのです。相談先は労働基準監督署(労災・解雇予告)、各都道府県労働局の総合労働相談コーナー(無料・予約不要・あっせん制度あり)、個人加入できる労働組合。
つらいときは、こころの健康相談統一ダイヤル 0570-064-556 へ。
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