会社の経費でブランド物、新車、ライザップ…。「売り上げが低いせいだ!」と社員のボーナスカット+減給。

以前の職場は、社長と営業3名と経理さん1人の小規模な会社でした。前社長より引き継いで社長になったこの社長がとてもブラック社長で、会社経営に素人な私も驚くことが沢山ありました。
まずは様々な会社でよくある残業代の出ないところ。これはもう当たり前でしたね。
それと急激なブラック社長の浪費。会社としての売上は悪くなく、少しづつですが伸びていました。しかし急激に着る物や身につける小物がブランド化したり、新車を買ったり、ライザップに通いだしたり急激にバブリーになりました。
そして、目を疑ったのがそれらの領収証。全て会社の経費になっていました。
まぁ、ブラック社長自身の会社だから別にどうでも良いと思ってましたが、ある日、会議のときに突然、「売上が悪すぎるから、銀行に借り入れてばかりだ!。このままではボーナスも出せないし減給にせざるを得ない!」と言うのです。
が手元の資料を見ると売上は悪くない。明らかに交際費や会議費?が膨れ上がっていて、6ヶ月ほどですでに400万計上されていたんです。当時の会社は売上の約1割が粗利でしたから単純計算でいくと400万の粗利を出すには4000万の売上を作らなければいけないのです。
それを6ヶ月ほどで使い込み挙句の果てに、社員の売上が低いからだと言う始末。呆れ果ててしまいました。もちろんこんな会社、先行き怪しいので辞めましたよ。
みんブラ事務局の所見:社長が6か月で使った400万円を、営業3名の4,000万円の売上で埋めろという話だった。
この会社で何が起きていたのか
この体験談が優れているのは、投稿者が数字で検証している点です。感情ではなく、資料で見抜いています。
会社の規模は社長と営業3名と経理1名。前社長から引き継いだ社長が、「会社経営に素人な私も驚くことが沢山ありました」という状態でした。
まず残業代の不払い。これは「もう当たり前」だったといいます。
そして社長の急激な浪費。会社の売上は悪くなく、少しずつ伸びていました。ところが社長は——
- 着る物や身につける小物が急にブランド化
- 新車を購入
- ライザップに通い出す
そして投稿者が目を疑ったこと。「それらの領収証。全て会社の経費になっていました」。
ここまでなら、投稿者は「ブラック社長自身の会社だから別にどうでも良い」と考えていたそうです。実際、非上場の同族会社であれば、税務上の問題は生じても従業員が直接の被害を受けるとは限りません。
ところが、ある日の会議でこう言われます。
「売上が悪すぎるから、銀行に借り入れてばかりだ!このままではボーナスも出せないし減給にせざるを得ない!」
そして投稿者は、手元の資料を見ます。売上は悪くない。明らかにおかしいのは別のところでした。
「交際費や会議費?が膨れ上がっていて、6ヶ月ほどですでに400万計上されていたんです」。
そして、この方の計算が秀逸です。
「当時の会社は売上の約1割が粗利でしたから単純計算でいくと400万の粗利を出すには4000万の売上を作らなければいけないのです」。
——社長が6か月で使った400万円を埋めるには、営業3名が4,000万円を売り上げなければならない。そして社長は、その穴を「社員の売上が低いからだ」と言った。
法律から見ると、これは何にあたるのか
この会社で行われていたことを条文と突き合わせます。労働法だけでなく会社法にも関わります。
| 体験談で実際に行われていたこと | 抵触する条文 | 何が問題なのか |
|---|---|---|
| 社長が私物の購入費用を会社の経費として処理していた。 | 会社法355条 会社法423条 |
取締役は法令・定款を遵守し、会社のため忠実に職務を行う義務を負う(忠実義務)。任務を怠って会社に損害を与えれば、会社に対する損害賠償責任が生じる。 |
| 私的な支出を会社の資金から継続的に支出していた。 | 会社法960条 刑法253条 |
自己または第三者の利益を図る目的で会社に損害を加えれば特別背任罪(10年以下の拘禁刑等)。会社の金銭を私的に費消すれば業務上横領罪の問題も生じる。 |
| 社長の浪費が原因の資金不足を「売上不振」として賞与カット・減給を通告した。 | 労働契約法8条 労働契約法9条 |
賃金の引下げは労働条件の不利益変更にあたり、労働者との合意が必要。就業規則の変更による場合も、変更の合理性と周知が要件となる。 |
| 残業代が支払われていなかった。 | 労働基準法37条 労働基準法24条 |
時間外労働には25パーセント以上の割増賃金が必要で、賃金は全額を支払わなければならない。「当たり前」という職場の慣行に法的効力はない。 |
| 賞与の不支給が一方的に通告された。 | 労働契約法8条 | 賞与の支給基準が就業規則や労働契約で明確に定められている場合、その基準に従った支給義務が生じ得る。「業績が悪い」という説明が事実に反するなら、根拠を欠く。 |
| 会社の財務状況について、事実と異なる説明が従業員になされていた。 | 労働契約法3条4項 | 労働契約の当事者は信義に従い誠実に権利を行使し義務を履行しなければならない。虚偽の説明を前提に労働条件の不利益変更を求めることは、この原則に反する。 |
※ 引用した条文は2026年8月時点のものです。実際の判断は個別の事情によります。
この事例で重要なのは、労働問題と会社法上の問題が直結しているという点です。順に説明します。
会社法355条は、取締役に忠実義務を課しています。「取締役は、法令及び定款並びに株主総会の決議を遵守し、株式会社のため忠実にその職務を行わなければならない」。
そして会社法423条により、取締役が任務を怠って会社に損害を与えた場合、会社に対して損害賠償責任を負います。
ここで「社長個人の会社だから好きにしてよい」という感覚が誤りである理由を説明します。
会社と社長個人は、法律上まったく別の人格です。株式を100パーセント保有していても、会社の財産は社長の財産ではありません。会社の金で私物を買うことは、会社から社長個人への財産の移転であり、正当な手続き(役員報酬としての決議など)を経ていなければ会社に対する背任にあたり得ます。
そして、その影響は従業員に及びます。会社の資金が減れば、賞与の原資も、賃金の原資も減る。この事例では、まさにそれが起きました。
次に賃金の不利益変更について。労働契約法8条は、労働条件の変更には労働者との合意が必要と定めています。そして9条は、使用者が労働者と合意することなく就業規則を変更して労働条件を不利益に変更することはできないと規定しています(10条の合理性要件を満たす場合を除く)。
つまり「減給にせざるを得ない」と会議で宣言するだけでは、減給は成立しません。
そして、この事例では変更の前提となる説明そのものが事実に反していました。「売上が悪すぎる」——実際は売上は伸びていた。虚偽の説明に基づく合意は、そもそも有効な合意といえるのかという問題も生じます。
自分の浪費を社員の給料で埋める経営者を糾弾する
ここからは、事務局として率直に書きます。
この事例の構造を、もう一度整理します。
営業3名が働いて売上を作る。売上は伸びていた。ところが社長が6か月で400万円を交際費・会議費として使う。会社の資金が足りなくなる。そして社長は「売上が悪い」と説明して、社員の賞与をカットし、減給しようとした。
自分が空けた穴を、穴を空けていない人の給料で埋めようとしている。
そして、その説明が虚偽です。これは経営判断の失敗ではありません。責任の転嫁であり、事実の隠蔽です。
投稿者の計算——「400万の粗利を出すには4000万の売上を作らなければいけない」——この一文の重みを考えてください。
営業3名で6か月に4,000万円。一人あたり月222万円の売上を社長の浪費を埋めるためだけに追加で作らなければならなかった計算になります。そのうえで残業代は出ない。
そしてライザップという具体名にも触れておきます。ブランド品も新車も、「業務上必要」と強弁する余地が万一あるとしても、個人のパーソナルトレーニングはどう説明しても会社の経費になりません。隠す気がないのです。経理担当がすぐそこにいる5人の会社で、領収書を堂々と経費に回している。
ここに、この種の経営者の特徴が表れています。従業員が理解できないと思っている。あるいは理解しても何もできないと思っている。
ところが、この投稿者は理解しました。会議の場で資料を確認し、交際費の異常を発見し、粗利率から必要な売上を逆算した。「会社経営に素人」と自称しながら、社長より遥かに数字を理解しています。
そして「もちろんこんな会社、先行き怪しいので辞めましたよ」という結び。——完全に正しい判断です。
最後に、この記事を読んでいる方に伝えたいことがあります。経営者の私的流用は、「社長の勝手」ではなく「あなたの給料が減る原因」です。会社の資金は有限で、私的に流出した分だけ賃金と賞与の原資が減ります。他人事ではありません。
なぜ、この会社は今すぐ辞めるべきなのか
第一に、資金繰りが破綻に向かっているからです。「銀行に借り入れてばかりだ」と社長自身が言っています。売上が伸びているのに借入が増えているなら、原因は支出の側です。そして支出の中身は、社長の私的消費でした。この構造が続けば、行き着く先は決まっています。
第二に、賃金の遅配・未払いに直結するからです。賞与カットと減給の次に来るのは、賃金の遅配です。当サイトの他の体験談でも、経営者の私的流用と給与の遅配はしばしばセットで現れます。いま賞与の話で済んでいるのは、早い段階だからにすぎません。
第三に、いくら売っても報われないからです。売上を伸ばしても、その分が交際費として消えていく。努力と成果の間の回路が構造的に切断されています。営業職としてのキャリアを積むうえで、これほど不毛な環境はありません。
いま同じ状況にいる人が、今日のうちにやるべき3つのこと
- 1. 「減給」は、その場で同意しない
賃金の引下げは、労働条件の不利益変更です。労働契約法8条により労働者との合意が必要で、会議での一方的な宣言だけでは成立しません。同意書への署名を求められても、「持ち帰って検討します」で構いません。そして減給の理由と根拠資料の提示を、書面かメールで求めてください。説明が事実と異なるなら、その説明自体が記録として残ります。 - 2. 未払い残業代は、いま記録を始める
「残業代が出ないのは当たり前」という職場でも、法律上の支払義務は消えていません。毎日の出退勤時刻を記録してください。業務メールの送信時刻、パソコンのログイン・ログオフ履歴、交通系ICカードの利用履歴が裏づけになります。未払い賃金の請求権の時効は当分の間3年です。会社が傾く前に、記録を確保しておいてください。 - 3. 賃金の遅配が始まったら、迷わず相談する
賃金は毎月1回以上、一定の期日に全額支払わなければなりません(労働基準法24条)。遅配は明確な違反で、労働基準監督署の申告対象です。そして重要な情報があります。会社が倒産した場合でも、未払賃金立替払制度により一定範囲の賃金が国から支払われます(独立行政法人労働者健康安全機構が運営)。諦める前に相談してください。退職は民法627条1項により申し入れから2週間で成立します。
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この記事を読んで「うちの会社も同じだ」と感じた方は、ページ上部のブラック度から5段階で投票してください。投稿された体験談とあわせて、職場の実態を可視化していきます。




